9-4血尿・蛋白尿(学校検尿から)
学校検尿の3次検査
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次9項目
1ポイント
- 学校検尿で来た子の大半は病気ではない。仕事は病気の子を取りこぼさず、健康な子を専門施設に送らないこと。
- 尿蛋白は試験紙で判断せず、尿蛋白/尿Cr比(g/gCr)で評価する。早朝尿で0.15以上を陽性とする。
- 学校検尿の紹介目安:糖2+以上/蛋白3+以上/蛋白・潜血ともに2+以上。有症状児ではこの数値だけで緊急度を決めず、血圧・乏尿・浮腫・腎機能を評価する。
- 潜血だけ・沈渣赤血球4/HPF以下は精査不要。ここで安心させてよい。蛋白と潜血がともに陽性は原則専門医療機関で管理。
- 当直帯の尿検査は定性のみ(沈渣は出ない)、超音波も使えない。今夜動く理由は肉眼的血尿・高血圧・乏尿・浮腫があるかだけ。
判断の流れ
拡大して見る ↗2鑑別のながれ
- 潜血のみ→早朝尿の3条件を満たした沈渣赤血球4/HPF以下→精査不要
- 潜血のみ・沈渣赤血球5/HPF以上、円柱なし→家族歴なし→無症候性血尿(指導区分E)
- 潜血・沈渣赤血球円柱あり→腎炎の疑い→腎炎の疑い(指導区分D、蛋白尿が出たら紹介)
- 蛋白のみ、日中安静臥床時尿で陰性化→病的意義に乏しい→起立性蛋白尿
- 蛋白・潜血がともに陽性→早朝尿で蛋白陰性なら起立性蛋白尿+無症候性血尿のことも→原則として専門医療機関で管理
- 白血球尿5個/HPF以上→外陰部炎・帯下の除外が必要→尿路感染症
3対応の緊急度
| 119 | 浮腫+高血圧+乏尿 | 急性腎炎症候群として動く(急性糸球体腎炎) |
|---|---|---|
| 119 | けいれん・意識障害+高血圧 | 高血圧性脳症 |
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4検査
- 早朝尿の3条件(前夜の激しい運動を避ける・起床直後にそっと採尿・中間尿を採る)を満たしているか確認
- 尿定性+尿沈渣(赤血球形態・円柱)— 当直帯は定性のみ、沈渣は出ない
- 血清総蛋白・アルブミン・Cr・尿素窒素 — アルブミン・Cr・尿素窒素・電解質は当直帯に出せる
- 補体(C3)— 当直帯に出せるか未確認(尿蛋白/尿Cr比・尿沈渣は当直帯には出ない。日勤帯で提出)
- 尿蛋白/尿Cr比(早朝尿、0.15以上を陽性)— 当直帯は出ない(日勤帯で提出)
- 超音波検査(腎形態)— 一度は行うことが望ましいが当直帯では撮れない
- 身長・体重・血圧の計測
- 尿糖2+以上は緊急受診の基準。当日の血糖・ケトンは当院で測定し、DKAの所見があれば搬送(糖尿病性ケトアシドーシス)
5紹介の目安
- 帰宅潜血のみ・沈渣4/HPF以下(精査不要と伝えてよい)、無症候性血尿(円柱なし、指導区分Eでフォロー)、起立性蛋白尿
- 搬送・紹介早朝尿の尿蛋白/尿Cr比が0.15〜0.4で6か月程度、0.5〜0.9で3か月程度、1.0以上で1か月程度持続、尿蛋白と尿潜血がともに陽性、肉眼的血尿、低アルブミン血症(3.0 g/dL未満)、低補体血症(C3が73 mg/dL未満)、高血圧・腎機能障害・腎形態異常・遺伝性腎疾患の家族歴、白血球尿50個/HPF以上または赤血球尿50個/HPF以上が2回以上連続
6診療中の疑問と回答
- 学校検尿で潜血が出た。すぐ薬や運動制限が必要?
- 症状と血圧、浮腫、蛋白尿を確認し、運動や月経の影響を避けて再検する。無症候の顕微鏡的血尿だけで薬を開始しない。持続する場合は沈渣や家族歴などを評価し、蛋白尿・高血圧・腎機能異常が重なる場合は腎臓専門科へ相談する。
根拠:RCH Haematuria / NSW Health 小児蛋白尿紹介基準 - 昼の尿だけ蛋白陽性。正常として終了してよい?
- 早朝尿を正しく採取し、尿蛋白/Cr比などで持続性を確認する。起立性の可能性があっても、血尿・浮腫・高血圧や腎機能異常を除外する。再検時期を決め、強い蛋白尿や持続する異常は学校検尿の紹介基準に沿って専門科へつなぐ。
根拠:RCH Haematuria / NSW Health 小児蛋白尿紹介基準 - 赤い尿が出たが元気。次回予約まで待てる?
- 肉眼的血尿では痛み、発熱、血塊、尿量、浮腫と血圧を評価する。乏尿や高血圧、蛋白尿、腎機能異常があれば緊急度を上げる。色だけで腎炎と断定せず、尿沈渣等で血尿を確認し、当直に検査ができなければ必要な評価が可能な施設へ相談する。
根拠:RCH Haematuria / NSW Health 小児蛋白尿紹介基準
- 糖尿病はどう外す?
- 尿糖2+以上は緊急受診の基準。1型糖尿病の初発を必ず外す。
- 潜血だけなら安心していい?
- 沈渣赤血球4/HPF以下なら精査不要と伝えてよい。5/HPF以上は円柱の有無で腎炎の疑いと無症候性血尿に分ける。
- 早朝尿はどう採る?
- 前夜は激しい運動を避けて就寝直前に排尿し、起床してすぐそっと移動して中間尿を容器にとる。生理や感冒時の検尿は避ける。
8家族への説明
学校の検尿で引っかかった子の多くは病気ではありません。ただし本当に治療が要る腎臓の病気を早く見つけるための検査なので、決められた手順で確かめていきます。朝いちばんの尿を、前の晩は激しい運動を避け、寝る直前におしっこをして、朝は起きたらすぐ腰を反らさずそっとトイレへ行き、出始めではなく途中の尿を取ってください。生理中やかぜをひいているときの検査は避けてください。今日の結果で、これ以上調べなくてよいか、しばらく毎月見ていくか、専門の病院に紹介するかを決めます。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。