12-7血液検査(肝臓・腎臓・電解質など)
年齢別基準値・低血糖クリティカルサンプル・アンモニア
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次5項目
1ポイント
- 当直帯は電解質・BUN・Cr、肝機能・ビリルビン、アンモニア、CK・ミオグロビン、LDH・尿酸、CRP・アルブミン、血液ガス、乳酸が出せる。プロカルシトニン・マイコプラズマ核酸検査・赤沈は出せない。白血球分画(自動・鏡検)も出ない。
- 小児のALP・軽度AST/ALT上昇や高値のCKは成長期の骨・筋肉代謝を反映した生理的所見であることが多い。逆にCrは筋肉量依存で絶対値が低いため、基準値内に見える軽度上昇が実は腎機能障害を意味しうる。必ず年齢別基準値で判定する。
- 低血糖で循環・意識が保たれている場合は、治療(ブドウ糖投与)の前に血糖値を含むクリティカルサンプルを採取する。意識障害・けいれん重積など重症の症状性低血糖では、採血を待たずに直ちにブドウ糖投与を優先する。
- アンモニアは室温放置・溶血で急速に偽高値化するため氷冷・採血後速やかな測定が必須。CKも号泣・筋注・溶血で上昇しうるため、真の筋炎・横紋筋融解と区別する。
2鑑別のながれ
- ALP著明高値(年齢基準を超える)→骨石灰化障害の有無を確認→くる病・骨系統疾患・肝胆道系疾患(胆道閉鎖症・胆汁うっ滞)
- 低血糖+ケトン体陰性〜低値→インスリン過剰でケトン体・脂肪酸産生が抑制される→先天性高インスリン血症
- 高アンモニア血症+アニオンギャップ正常・血糖正常→尿素サイクル異常症を示す組み合わせ→尿素サイクル異常症
- 高アンモニア血症+抗てんかん薬(特にバルプロ酸)内服歴→肝機能検査は正常〜軽度異常→薬剤性高アンモニア血症
- CK著明高値+近位筋優位の筋力低下+ゴットロン徴候/ヘリオトロープ疹→自己免疫疾患を疑う所見→若年性皮膚筋炎(JDM)
- CK高値+発熱回復期のふくらはぎ痛・歩行困難→多くは1週間程度で自然軽快→良性急性小児ミオパチー
3検査
- Crの年齢別中央値の目安: 1歳0.23mg/dL・6歳0.34mg/dL・12歳(男児)0.53mg/dL。大人の正常値レンジに収まっていても年齢基準では異常なことがある
- Kは新生児期(0ヵ月)4.1〜6.0mEq/L・1歳3.6〜5.1mEq/L・6歳以降3.6〜4.7mEq/Lが基準値。乳児期をひとまとめにせず年齢で見る(1歳の上限5.1は新生児期の6.0より低い)。乳児の高値を成人基準で異常と読まない
- ALPは成人基準値の3〜4倍に達することが生理的にある。ALP高値のみで肝・骨疾患の精査を急がない
- CKは乳児期(0ヵ月)44〜310IU/Lが基準値上限帯で、成人(20歳)48〜240IU/Lより明らかに高い(生理的)
- LDH・AST・Kが同時に高値のときは、採血手技による溶血の影響を疑う(真の肝・筋障害と区別する)
- BUN/Cr比は10以下が正常の目安、20以上は腎前性(脱水)を示唆する補助指標。単独では判定しない
- 低血糖疑いで循環・意識が保たれていれば、治療前に血糖・インスリン・血液ガス・アンモニア・血中ケトン体などのクリティカルサンプルを確保する(簡易血糖測定器のみで確定診断・重大な治療判断をしない)
- 意識障害・けいれん重積を伴う重症の症状性低血糖は、採血を待たずに直ちにブドウ糖投与を優先する
- 低血糖の治療手順(初期ボーラス・持続静注の速度)は本シートでは扱わない。低血糖を見る。本シートが担うのは治療前クリティカルサンプルの確保タイミングのみ
- GIRが概ね7mg/kg/分以上になる場合は通常中心静脈の確保が必要になる(末梢のみでは対応しきれないことがある)
- アンモニアは駆血を長くかけず、採取後は直ちに氷冷して速やかに検査室へ搬送する。溶血検体は再検を検討する
- CK上昇は採血手技(号泣・筋注・溶血)や直近の運動歴を確認してから解釈する
4Q&A
- Crが基準値内に見えたら腎機能は正常?
- そうとは限らない。乳幼児のCrは絶対値が低く、基準値内に見えても年齢基準の中央値の2倍近ければ腎機能障害を意味しうる。年齢別基準値で判定する。
- 低血糖ならまず糖を入れていい?
- 循環・意識が保たれていれば、まずクリティカルサンプルを採ってから治療する。意識障害・けいれん重積があれば採血を待たずに糖を先に投与する。
- 簡易血糖測定器の値で低血糖を確定していい?
- しない。確定診断や重大な治療判断には採血管での血糖測定を使う。
- ALPが基準値の数倍ある。異常?
- 乳幼児・思春期は生理的に成人の3〜4倍まで上がる。まず年齢別基準値を確認する。
5家族への説明
血液検査では、肝臓・腎臓・骨の状態や、体の中の塩分・水分バランス、血糖の値などをまとめて調べています。お子さんは大人と正常な範囲が違う項目がいくつもあります。大人の基準とそのまま比べると「異常」に見えても、年齢的には正常なことがよくあります。低血糖が疑われるときは、原因をはっきりさせるために、糖分を補う治療の前に血液を採らせていただくことがあります。
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