6-4蕁麻疹とアナフィラキシー
このページの目次14項目
1一目でわかるフロー
受診(蕁麻疹・皮疹+その他の訴え)
→ レッドフラグ評価(アナフィラキシー診断基準に該当 → 即アドレナリン筋注、様子見しない)
→ 重症度・病型の判定(アナフィラキシーのグレード分類 / 蕁麻疹の病型分類)
→ 検査(急性期は臨床所見で診断、誘因確定検査は後日)
→ 治療(アナフィラキシー=アドレナリン第一選択/蕁麻疹単独=抗ヒスタミン薬第一選択)
→ 二相性反応を想定した院内観察(4〜6時間、リスクありなら最大24時間)
→ 再診・帰宅指導・エピペン処方・食物アレルギー精査への橋渡し図は横にスクロールできます →
2レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 「2. 重症度・病型の判定」の診断基準1・2のいずれかを満たす時点でアナフィラキシーとして扱い、即アドレナリン筋注。蕁麻疹(皮膚症状)の見た目の軽さで判断しない。
- 呼吸器症状: 呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、嗄声、犬吠様の咳、嚥下痛、SpO2低下。
- 循環器症状: 血圧低下、頻脈または徐脈、筋緊張低下(虚脱)、失神、蒼白、失禁、意識レベル低下。
- 喉頭浮腫を示唆する所見(嗄声・嚥下痛・吸気性喘鳴)は気道閉塞に直結するため最優先で評価する。
- 皮膚症状を伴わない(蕁麻疹が出ていない)まま血圧低下・気管支攣縮・喉頭症状だけが急速に進行するケースがある。既知アレルゲンへの曝露歴があれば皮疹なしでもアナフィラキシーとして対応する。
- 抗ヒスタミン薬・ステロイドを先に投与して反応を「様子見る」対応はしない。医療事故調査・支援センターの院内調査では、アナフィラキシーによる死亡12例全例で、抗ヒスタミン薬・ステロイドを先行してアドレナリン投与が遅れたことが背景にあったと報告されている(出典7)。
- 二相性反応(後述)のリスクがあるため、初期対応で症状が消えても院内観察を打ち切らない。
- 気管支喘息(特にコントロール不良)の既往がある場合は重症化・致死のリスクが高い。軽度の皮膚症状に見えても閾値を低くしてアドレナリン投与・入院を検討する(出典8)。
- 乳児・幼児は症状を自ら説明できないため,アナフィラキシーが非典型的な形で現れることがある。日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」は中枢神経系症状として「乳幼児や小児の場合は,突然の行動変化,例えば,短気になる,遊ぶのを止める,親にまとわりつくなど」を挙げ,また年齢関連因子として「乳幼児:症状を説明できない」ことをリスク因子に位置づけている。既知アレルゲン曝露歴があれば,こうした行動変化もアナフィラキシーとして評価する(出典: 日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」2022年8月31日発行・2023年3月修正第2刷, 確認日 2026-09-25)
- 蕁麻疹・掻痒を伴わない孤発性の血管性浮腫(特に家族歴あり・ACE阻害薬内服歴あり)で喉頭浮腫がありアドレナリン筋注に反応しない場合は、HAE等ブラジキニン起因性を疑う。アドレナリン・抗ヒスタミン薬・ステロイドはいずれも無効なため、反復投与で様子を見ず、C1-INH製剤・専門医(アレルギー科/小児科上位施設)へ速やかにエスカレーションする。(出典9・10。院内採用)
3重症度・病型の判定
アナフィラキシーの診断基準(アナフィラキシーガイドライン2022、2023年3月修正版)
以下の2つの基準のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーである可能性が非常に高い。
基準1: 皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性の蕁麻疹、瘙痒または紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)が急速に(数分〜数時間で)発症し、さらに少なくとも次の1つを伴う場合。
- A. 気道/呼吸: 重度の呼吸器症状(呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、PEF低下、低酸素血症など)
- B. 循環器: 血圧低下または臓器不全に伴う症状(筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁など)
- C. その他: 重度の消化器症状(重度の痙攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外のアレルゲンへの曝露後])
基準2: 典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性がきわめて高いものに曝露された後、血圧低下または気管支攣縮または喉頭症状(吸気性喘鳴、変声、嚥下痛など)が急速に(数分〜数時間で)発症した場合。
- 血圧低下の定義: 乳児・10歳以下の小児は収縮期血圧が「70+(2×年齢[歳])」mmHg未満、成人は収縮期血圧90mmHg未満、いずれもベースライン値に比べて30%を超える収縮期血圧の低下があれば該当。
(出典1、修正2023年3月1日版で基準1のAが「呼吸不全」から「重度の呼吸器症状」に文言修正されている)
アナフィラキシーの重症度分類(グレード)
器官症状の重症度分類(アナフィラキシーガイドライン2022 表11、Yanagida N et al. Int Arch Allergy Immunol. 2017;172:173-82 に基づく)を参考に、最も高い重症度を示す器官の重症度で判定する。
| 症状領域 | グレード1(軽症) | グレード2(中等症) | グレード3(重症) |
|---|---|---|---|
| 皮膚・粘膜 | 部分的な紅斑・蕁麻疹・膨疹、軽い瘙痒(自制内) | 全身性の紅斑・蕁麻疹、瘙痒(自制外)、顔全体の腫れ | 同左(グレード2以上) |
| 消化器 | 弱い腹痛、嘔気・単回の嘔吐/下痢 | 強い腹痛(自制内)、複数回の嘔吐/下痢 | 持続する強い腹痛、繰り返す嘔吐・便失禁 |
| 呼吸器 | 間欠的な咳嗽・鼻汁・鼻閉 | 断続的な咳嗽、聴診上の喘鳴・軽い息苦しさ | 明らかな喘鳴、呼吸困難、チアノーゼ、SpO2≦92%、嗄声、嚥下困難 |
| 循環器 | なし | 頻脈(+15回/分)、血圧軽度低下、蒼白 | 不整脈、血圧低下、重度徐脈、心停止 |
| 神経 | 元気がない | 眠気、軽度頭痛、恐怖感 | ぐったり、不穏、失禁、意識消失 |
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(出典1)
蕁麻疹の病型分類(蕁麻疹診療ガイドライン2026・第4版、表2を外来向けに簡略化)
| 大分類 | 主な病型 |
|---|---|
| 特発性の蕁麻疹 | 急性特発性蕁麻疹(発症後6週間以内)/慢性特発性蕁麻疹(6週間超) |
| 刺激誘発型(アレルギー性) | 食物・薬剤・虫刺傷等によるI型アレルギー性蕁麻疹(食物依存性運動誘発アナフィラキシー[FDEIA]を含む) |
| 刺激誘発型(非アレルギー性) | NSAID誘発蕁麻疹、物理性蕁麻疹(機械性・寒冷・日光・温熱・遅延性圧・水)、コリン性蕁麻疹、接触蕁麻疹 |
| 血管性浮腫 | マスト細胞起因性(蕁麻疹合併しやすい)/非マスト細胞起因性(ブラジキニン起因性・遺伝性血管性浮腫など) |
表は横にスクロールできます →
急性蕁麻疹単独か、アナフィラキシー(診断基準1・2)を満たすかを最初に切り分けることが、外来対応の分岐点になる(出典2)。
4検査
- 必要:
- 診断は臨床所見のみで可能。アナフィラキシー診断基準・蕁麻疹の病型分類とも臨床所見ベースであり、検査は必須ではない。
- アナフィラキシー疑いで全身状態が不安定な場合、初期対応と並行して全身状態把握のための検査(血算、血液ガス分析、CRP、一般生化学検査など)を行う(出典1 図5・12)。
- 誘因(アレルゲン)確定のための検査は急性期の検査ではなく、アレルギー専門医への経過観察受診時(発症後3〜4週間が目安)に血清アレルゲン特異的IgE抗体・皮膚テストで行う(出典1)。
- 蕁麻疹で細菌・ウイルス感染の合併が疑われる場合は、一般的な生化学検査を行ってもよい(出典2)。
- 可能な施設では総トリプターゼ値を測定してもよい(発症15分後から3時間以内の値とベースライン値を比較)。ただし正常値でもアナフィラキシーを否定できない(出典1)。
- 不要・過剰になりがち:
- 典型的な蕁麻疹以外に身体症状がなく治療への反応性もよい場合、I型アレルギーのルーチン検査を行う意義は認められない(蕁麻疹診療ガイドライン2026 CQ1: 推奨なし、エビデンスレベルB)。
- 蕁麻疹症例に対して一般的な生化学検査等をルーチンで行うべきではない(同CQ2・CQ3: 推奨なし、エビデンスレベルC〜B)。詳細な病歴からI型アレルギーが強く疑われる場合のみ、個々の事例に適した検査を選択する(出典2)。
5治療
第一選択
- アナフィラキシー(診断基準1・2のいずれかを満たす、または強く疑う場合): アドレナリン筋肉注射が第一選択。大腿部中央の前外側に0.1%アドレナリン(1:1,000、1mg/mL)0.01mg/kgを直ちに筋注する(最大量は成人0.5mg、小児0.3mg)。体重換算の考え方は「体重1kgあたり0.01mg、最大総投与量0.5mg」であり、体重区分ごとの目安(10kg以下の乳幼児・1〜5歳・6〜12歳・13歳以上)がガイドラインの推奨用量表に示されている(出典1 表13・14)。決定=13歳以上を成人区分(上限0.5mg)とする。根拠:出典1 表14、日本救急医学会監修の簡易チャート(出典14)。この区分はアドレナリン筋注の上限のみに適用し、輸液量など他の年齢依存基準には適用しない(未確定)。アドレナリン使用に絶対禁忌は存在しない(心疾患・高齢者・妊婦を含む)。血中濃度は筋注後10分程度で最高、40分程度で半減するため、効果が不十分・症状が治療抵抗性を示す場合は5〜15分毎に反復投与する(ほとんどの患者は1〜2回の投与で効果が得られる)。体位は原則仰臥位(呼吸困難があれば座位、意識消失なら回復体位、妊娠中なら左側臥位)とし、急に立位・坐位をとらせない(empty vena cava/empty ventricle syndromeで数秒〜数分で急変しうる)。血圧低下が明らかでなくてもトレンデレンブルグ体位が望ましく、著明な血圧低下がある場合は下肢挙上が短時間でも血圧上昇に効果がある(出典1 p.20)。必要に応じて酸素投与(6〜8L/分)、静脈路確保・輸液(血圧低下時、細胞外液を成人5〜10mL/kg・小児10mL/kgで急速投与)を行う(出典1)。蕁麻疹・掻痒を伴わないHAE等ブラジキニン起因性の血管性浮腫はアドレナリンに反応しないため、反復投与しても喉頭浮腫が改善しない場合は反復を漫然と続けず、C1-INH製剤・専門医へのエスカレーションに切り替える(1章参照)。⚠要医師確認(出典9・10)
- 蕁麻疹単独(アナフィラキシーの徴候がない場合): 非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬の内服が第一選択。急性特発性蕁麻疹では診断確定後に数日〜1週間程度内服を継続し、症状消失を確認できれば内服中止する(「漸減」というステップは慢性特発性蕁麻疹〈発症後6週間超〉のフローにのみ規定されており、急性例では用いない。蕁麻疹診療ガイドライン2026 図3)。小児の蕁麻疹治療では、副作用リスクの高い第1世代抗ヒスタミン薬・経口ステロイド・それらの合剤の使用は可能な限り避ける(蕁麻疹診療ガイドライン2026 行動指針4.2)。
第二選択・無効時
- 蕁麻疹単独: 症状が重篤で抗ヒスタミン薬単独での制御が困難な場合に限り、有害事象に注意しながら、できる限り短期間(3〜7日程度)ステロイドを併用してもよい(CQ7: 推奨なし、エビデンスレベルC。抗ヒスタミン薬単独と差がなかったとする報告もあり、長期的有用性は確立していない)。抗ヒスタミン薬に抵抗し、感冒症状を伴う細菌感染症の併発が疑われる場合は抗菌薬の併用を試みてもよい(CQ8: 推奨なし、エビデンスレベルC)(出典2)。
- アナフィラキシー: H1およびH2抗ヒスタミン薬は皮膚・粘膜症状を緩和するが、他の症状(呼吸器・循環器症状)への効果は確認されておらず、単独では救命効果がない(推奨度C)。グルココルチコイドは作用発現に数時間を要し、遷延性・二相性のアナフィラキシーの防止・緩和に使用されるが、その効果は立証されていない。アドレナリンに反応しない患者、特にβブロッカー投与中の患者にはグルカゴンが有効な可能性がある(1〜5mg、小児20〜30μg/kg、最大1mgを5分以上かけて静注)(出典1 p.21「アドレナリン使用における注意」)。
やってはいけない/非推奨
- 抗ヒスタミン薬・ステロイドをアドレナリンの代わりに先行投与し、様子を見る対応(第二選択薬であり、投与の遅れが死亡リスクに直結する。医療事故調査データでも指摘されている)。
- H1およびH2抗ヒスタミン薬の急速静注(血圧低下を引き起こす可能性がある)。
- グルココルチコイドの急速静注(喘息発作等の過敏症状発現の可能性があり好ましくない)。
- 症状出現時に急に立位・坐位をとらせる(体位変換をきっかけに急変するリスク)。
- 蕁麻疹単独例へのI型アレルギー検査・一般生化学検査のルーチン実施(3章参照)。
- HAE等ブラジキニン起因性の血管性浮腫に対してアドレナリンを漫然と反復投与し、C1-INH製剤・専門医紹介のタイミングを逃す(1章・本章「第一選択」参照)。(出典9・10。院内採用)
(出典1・2)
6再診・帰宅指導・保護者説明
- 緊急受診(救急要請)のサイン(保護者に伝える): 呼吸が苦しそう・声がかすれる・犬が吠えるような咳、ゼーゼーする呼吸・息がしにくい、繰り返し吐く・我慢できない強い腹痛、唇や爪が青白い、脈が触れにくい・不規則、意識がもうろうとしている・ぐったりしている、尿や便を漏らす。これらの症状が一つでもあれば、外来再受診を待たず直ちに119番通報し、エピペン処方があれば救急要請と並行して使用する。 これらは「一般向けエピペンの適応」基準(後述)と同一の項目であり、保護者説明とエピペン使用基準を揃えることで実務上の一貫性を保てる(出典1)。
- 経過の見通し(二相性反応): 二相性反応は成人の最大23%、小児の最大11%のアナフィラキシーに発生し、その約半数は最初の反応後6〜12時間以内に出現する。アドレナリン投与の遅れ(発症から30分以上)は二相性反応の出現に関連する。遅延反応でアドレナリン投与を要したのは9.2%(中央値1.7時間、14分〜30時間)で、76%は4時間以内だが7.4%は4〜10時間のうちに重篤な反応を来している(出典1)。このため、症状消失後も4〜6時間の院内観察を目安とし、心血管疾患の合併・重症だった場合・医療アクセスの悪い遠方への帰宅など二相性反応のリスクが高い場合は最大6〜24時間の観察を検討する。
- 紹介・入院の閾値: グレード3(重症)、二相性反応リスクが高い症例(重症だった・心血管疾患合併・気管支喘息〈特にコントロール不良〉合併・βブロッカー内服中・遠方在住等)は入院または経過観察の延長を検討する。基本的な初期対応で反応が乏しい場合は、救急医療・救命救急・麻酔科蘇生専門チームの治療に迅速に委ねる(出典1・8)。
- エピペン処方と保護者・学校への指導: アナフィラキシー既往のある患者には、退院時にアドレナリン自己注射薬(エピペン)の処方・使用方法の指導、アナフィラキシーへの対応マニュアル、アレルギーを他人に伝えるカード(財布に入れる等)を準備する。重症化リスクが高い患者(喘息合併、重篤な既往、遠方居住等)には、初回投与後5〜15分で症状が改善しない場合に備え、エピペン2本の処方・携帯(外出用と学校・自宅据置用)を検討し、改善なければ2本目を同手順で使用するよう説明する(出典12)。
- 一般向けエピペンの適応(日本小児アレルギー学会、アナフィラキシー対応ワーキンググループ策定): エピペンが処方されている患者でアナフィラキシーショックを疑う場合、次の症状が一つでもあれば使用すべきである。消化器症状(繰り返し吐き続ける、持続する強い[我慢できない]腹痛)、呼吸器症状(のどや胸が締めつけられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、持続する強い咳込み、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい)、全身の症状(唇や爪が青白い、脈を触れにくい・不規則、意識がもうろうとしている、ぐったりしている、尿や便を漏らす)(出典1 表20)。
- 使用方法: 太腿の前外側に垂直に先端を「カチッ」と音がするまで強く押しつけ、太ももに押し付けたまま数秒間待ってから抜き取る(衣服の上からでも可)。添付文書(患者向医薬品ガイド)は具体的な秒数を規定せず「数秒間待ち」とのみ記載しており、「5秒間」という特定の秒数は一次資料に基づかないため削除した(出典13)。注射後はカバーの状態を確認し、救急車を呼んで医療機関を受診する(出典1)。
- 学校での対応: 児童生徒本人が自ら注射できない状況にある場合、その場に居合わせた教職員が代わりに注射することは、医行為を反復継続する意図がないと認められるため医師法違反にはならないとされる(出典11。旧版は出典5〈日本小児アレルギー学会「一般向けエピペンの適応」〉を引用していたが、当該ページに医師法・法的根拠の記載はなく引用元の取り違えだったため文部科学省ガイドラインに差し替えた)。緊急時の教職員の役割分担(観察・管理監督・連絡・準備・救急車の誘導)を園・学校側とあらかじめ決めておくよう保護者・学校双方に伝える。
- 食物アレルギー精査への橋渡し: 原因アレルゲンを確定するため、発症後3〜4週間を目安にアレルギー専門医へ紹介し、血清アレルゲン特異的IgE抗体・皮膚テストを実施する。検査項目(個別選択13項目までかセット検査か)の選び方は「食物アレルギー検査の選び方」(同フォルダ内、外来編)を参照。
- FDEIA(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)の生活指導: FDEIAの診断・疑いがある患者には、原因食物摂取後2〜4時間は運動を避けること、NSAIDs内服・飲酒・睡眠不足・体調不良時に原因食物摂取と運動を重ねないことを保護者・本人に説明する(促進因子: 運動・NSAIDs・アルコール・感染・情動ストレス等)(出典1)。
7出典
- 一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」(2022年8月31日発行、2023年3月1日修正第2刷)
- 発行案内: https://www.jsaweb.jp/modules/news_topics/index.php?content_id=688
- 修正内容: https://www.jsaweb.jp/uploads/files/shusei_Ana2022_1MAR23.pdf
- 本文PDF: https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2022_0914.pdf
- 啓発サイト: https://anaphylaxis-guideline.jp/
- 蕁麻疹診療ガイドライン策定委員会「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」日本皮膚科学会雑誌 136(4): 375-493, 2026(令和8)
- 学会掲載ページ: https://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/4742/
- 本文PDF: https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/jinmashin2026ver2.pdf
- J-STAGE書誌情報: https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/136/4/136_375/_article/-char/ja
- (2018年版「蕁麻疹診療ガイドライン2018」日本皮膚科学会雑誌 128(12), 2018を全面改訂したもの。CQ番号は2026年版に基づく)
- World Allergy Organization anaphylaxis guidance 2020(アナフィラキシーガイドライン2022の診断基準はWAO 2020改訂に準拠、3項目から2項目へ集約)
- Yanagida N, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2017;172:173-82(アナフィラキシー重症度分類の出典、アナフィラキシーガイドライン2022 表11に引用)
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会「一般向けエピペン®の適応」
- https://www.jspaci.jp/gcontents/epipen/
- エピペン使用ガイドブック(相模原病院監修): https://www.epipen.jp/download/EPI_guidebook_j.pdf
- 学校での食物アレルギー・アナフィラキシー対応(学校保健ポータルサイト)
- 平成30年1月 医療事故調査・支援センター/一般社団法人日本医療安全調査機構「医療事故の再発防止に向けた提言 第3号」(アナフィラキシーに係る死亡事例の分析、アナフィラキシーガイドライン2022内に引用)
- 医学界新聞「ピットフォールにハマらないER診療の勘どころ(6)」(気管支喘息合併がアナフィラキシー重症化・致死のリスク因子である旨の解説)
- 国立成育医療研究センター「血管性浮腫・遺伝性血管性浮腫(HAE)」(HAEがアドレナリン等の通常治療に反応しないことの解説)
- 一般社団法人日本補体学会「遺伝性血管性浮腫(HAE)診療ガイドライン改訂2023年版」
- 文部科学省・公益財団法人日本学校保健会「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(平成20年3月作成、令和元年度改訂。教職員による代理注射が医師法違反にならない旨の法的整理の一次出典)
- 文科省: https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1353630.htm
- ガイドライン本体(学校保健ポータルサイト): https://www.gakkohoken.jp/books/archives/226
- 一般社団法人日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」(アドレナリン筋注は効果不十分なら5〜15分毎に反復投与の記載。自己注射薬の適応・処方の項も参照)
- https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2023_0301.pdf
- 学会公式の一般向け啓発サイト: https://anaphylaxis-guideline.jp/
- アドレナリン自己注射薬(エピペン®)について,日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」原文(全32ページ)を通読したが,「エピペン®を複数本携帯する」ことを推奨する逐語記載は見当たらなかった。原文が実際に述べているのは「すぐに投与できるよう,なるべく早期にエピペン®を用意する」ことと,運動誘発性アナフィラキシー等では「常に携帯電話を携行するよう推奨する」ことである(出典: 日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」2022年8月31日発行・2023年3月修正第2刷, 確認日 2026-09-25)
- エピペン患者向医薬品ガイド(2024年7月改訂、製造販売元: ヴィアトリス製薬合同会社。PMDA掲載)。「太ももに押し付けたまま数秒間待ち」とのみ記載され、具体的な秒数(5秒・10秒等)は規定されていないことを本ファイル執筆時にWebFetchで確認した。
- 一般社団法人日本救急医学会監修『アナフィラキシー対応・簡易チャート(13歳以上〜成人)』. https://www.jaam.jp/info/2021/files/20230614_o.pdf (表14「体重1kgあたり0.01mg、最大総投与量0.5mg」「13歳以上および成人=0.5mg」を原本PDFで直接確認。未確認:本チャートの正式な発行年月日はPDF内に明記がなく、ファイル名の日付から2023年6月作成と推定されるのみ)
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特に蕁麻疹診療ガイドラインは2026年4月に第4版へ全面改訂されたばかりであり、CQ番号・推奨度は今後の正誤表・改訂に注意する。
8臨床医が迷う場面
9蕁麻疹の内服を出した後に咳・嗄声・ぐったりが出たら?
抗ヒスタミン薬の効果を待たず、気道・呼吸・循環を再評価する。アナフィラキシーではアドレナリン筋注が第一選択で、抗ヒスタミン薬やステロイドは代わりにならない。皮疹が軽い・消えたことを安全の根拠にせず、救急要請・搬送を含む急性期手順へ進む。
10毎日出る蕁麻疹は、毎回食物アレルギーの採血が必要?
明らかな食事との時間的関係や再現性がなければ、広い食物パネルを一律に調べない。個々の皮疹が消えるまでの時間、薬・感染・刺激との関係を聞き、写真で確認する。6週間以上続けば慢性蕁麻疹として病型を見直す。検査陽性だけを根拠に除去食を増やさない。
11第2世代抗ヒスタミン薬が効かない。倍量・4倍量にしてよい?
まず連日服用できているか、年齢・体重と処方、眠気、刺激誘発型など病型を確認する。小児の増量の根拠は限られ、成人・海外の4倍量をそのまま適用しない。薬剤ごとの添付文書上の年齢と増量可否を確認し、標準量で制御できない場合は変更・追加治療を専門医と検討する。
12皮疹が消えたら、その日から抗ヒスタミン薬をやめる?
急性か慢性かで考える。慢性蕁麻疹では薬で出現を抑えているだけの場合があり、無症状を確認してから段階的に減量・服用間隔を調整する。2026年ガイドラインは完全抑制後1〜2か月の維持を目安とするが根拠は限定的。小児では経過と製剤特性に合わせ、再燃時の戻し方も事前に決める。
13早く治すためにステロイドを繰り返してよい?
漫然と繰り返さない。長期予後を改善する根拠は乏しく、小児では成長などへの有害作用が問題になる。必要な短期使用を検討する場合も、終了の見通しを立て、止めるたびに再燃するなら専門医へ相談する。抗ヒスタミン薬との配合剤にもステロイドが含まれるため、処方内容を確認する。
14同じ皮疹が翌日も残り、痛みや紫斑があるときは?
典型的な蕁麻疹として薬だけを追加せず、蕁麻疹様血管炎などを再評価する。発熱・関節痛・腹痛や尿所見も確認し、皮膚科等へ相談する。膨疹を伴わず口唇などの腫れを繰り返す場合も別病型を検討する。舌・喉頭の腫れや呼吸症状は病型精査より緊急対応を優先する。
出典:日本皮膚科学会:蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版) / 食物アレルギー診療の手引き2023:症状出現時の対応
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。