1-1 インフルエンザ

緊急

1-1インフルエンザ

抗ウイルス薬の適応・異常行動・脳症の見極め
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30

日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。

このページの目次10項目

ページ内目次

1ポイント

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2鑑別のながれ

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3重症度

軽症発熱・上気道症状主体、意識清明、経口摂取可、活気良好外来対症療法+抗ウイルス薬の適応判断
中等症高熱が遷延、経口摂取低下、活気低下だが意識清明抗ウイルス薬適応を積極検討し、翌日以降の再評価を指示
重症肺炎合併、呼吸不全、意識障害、けいれん重積、脱水著明、基礎疾患増悪原則として全例に抗ウイルス薬治療。入院・上位医療機関紹介を検討
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4計算・スコア

計算

アセトアミノフェン頓用量

kg
いつ使う

発熱・疼痛のつらさ緩和目的の頓用。解熱剤は「つらさ緩和」であり治癒判定ではない(本シート正本の記載)。熱の数字を下げること自体は目的にしない。

落とし穴
  • 1回上限と1日上限は別々に効く。体重26kg以上では、1回量の上限を4〜6時間ごとに4回打つと1日上限(1,500mg)を超える。上の「1日の回数」はその逆算で、数字が4未満なら間隔を空けるか1回量を下げる
  • 1回500mg・1日1,500mgの上限を超えない(体重約33kg以上では体重換算より1回上限が先に当たる)
  • ここに出るのは体重換算の「考え方」。個別の処方値は診察で決定し、基礎疾患・併用薬を確認する
次の一手

解熱の有無にかかわらず、水分・反応・呼吸の観察を続ける。受診判断は本シート上部のレッドフラグ表へ。

出典

カロナール(アセトアミノフェン)添付文書(PMDA): 1回10〜15mg/kg・4〜6時間以上あけて投与・1日総量60mg/kgを限度(1回500mg・1日1,500mgを超えない) 添付文書(正本で照合済み・2026-08-14リンク更新)

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5検査

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6処置・処方例

Rp. 1アセトアミノフェン 1回10〜15mg/kg、4〜6時間以上あけて。1日総量60mg/kgかつ1500mgを超えない(1回最大500mg) 内服
当院の方針で解熱はアセトアミノフェンのみ(イブプロフェンは使わない)。苦痛緩和が目的
  1. シロップ(カロナールシロップ2%=20mg/mL):—〜—(10〜15mg/kg)を1回
  2. 細粒(カロナール細粒20%=200mg/g):—〜—(10〜15mg/kg)を1回
  3. 坐剤:1回 —〜— に一番近い規格・個数を選ぶ(アンヒバ/アルピニー 50・100・200mg。10kgなら100mgを1個)
  4. 次は4〜6時間以上あける。1日の合計は — まで
Rp. 2オセルタミビル 幼小児で1回2mg/kg(最高1回75mg)を1日2回・5日間。新生児・乳児で1回3mg/kgを1日2回・5日間 内服
新生児・乳児(1歳未満)・幼児(1〜5歳)の第一選択。生後2週以降が適応。体重2,500g未満または生後2週未満は使用経験が少なく副作用に十分注意
  1. タミフルドライシロップ3%またはカプセル75mgを使用
  2. 幼小児は1回 —(2mg/kg、上限75mg)を1日2回、5日間
  3. 新生児・乳児は1回 —(3mg/kg)を1日2回、5日間
Rp. 3ザナミビル 5歳以上で成人と同じ1回10mg・1日2回・5日間吸入 吸入
気管支喘息・COPD等の基礎疾患がある患者は気管支攣縮に注意。乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しておりアナフィラキシー報告あり、牛乳・乳製品アレルギー既往児には慎重投与。低出生体重児・新生児・乳児・4歳以下は安全性が確立していない
  1. リレンザ(ディスクヘラー使用)を5歳以上に1回10mg(2ブリスター)を1日2回、5日間吸入
Rp. 4ラニナミビル 10歳未満20mg・10歳以上40mgの単回吸入 吸入
粉末吸入が困難な乳幼児にはラニナミビル吸入懸濁液(イナビル吸入懸濁用160mgセット)がある。国内の市販後調査(4歳未満1,104例)で特段の安全性懸念は認められていない
  1. イナビル吸入粉末剤20mgで10歳未満は20mgを単回吸入
  2. 10歳以上は40mg(2キット)を単回吸入
  3. 粉末吸入が難しい乳幼児はイナビル吸入懸濁用160mgセットを生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザで単回吸入
Rp. 5バロキサビル 内服
幼児(1〜5歳)は低感受性(治療耐性)変異ウイルスの排出が高頻度(6歳未満で52.2%との報告)かつ排出が遷延する可能性があり積極的には推奨されない(B型感染例は考慮)。2025年9月に20kg未満の小児に対する顆粒製剤の使用が承認されたが、体重20kg未満では他剤の使用を検討したうえで投与の必要性を特に慎重に検討する。体重区分別の用量は改訂が続くため、処方前に最新の添付文書を確認する
Rp. 6ペラミビル 1回10mg/kgを1日1回、15分以上かけて点滴静注(最大600mg/日) 点滴静注
経口・吸入が困難な重症例に使用。低出生体重児・新生児への安全性は確立していない
  1. ラピアクタ点滴静注液で1回 —(10mg/kg、上限600mg/日)を15分以上かけて点滴静注、1日1回
避けること・注意:アスピリン等サリチル酸系製剤は15歳未満の水痘・インフルエンザ患者への投与が原則禁忌(ライ症候群)。ジクロフェナクナトリウムは小児のウイルス性疾患患者への解熱目的投与が原則禁忌。メフェナム酸(ポンタール等)も小児のインフルエンザ関連発熱には使用を避ける(日本小児科学会は推奨していない)。当院の方針として解熱はアセトアミノフェンのみとし、イブプロフェンも使わない。アマンタジンは耐性ウイルスの問題から積極的には推奨されない。
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7紹介・入院の閾値

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8診療中の疑問と回答

迅速陰性で発症早期なら、明日陽性になるまで治療を待つ?
検査時期や採取で陰性になることがある。流行、接触、症状、重症度と基礎疾患から治療の必要性を判断する。低酸素、意識異常、けいれん、脱水があれば検査の再陽性確認より評価・治療を優先する。検査陰性を帰宅の根拠にしない。
根拠:日本小児科学会 2025/26治療・予防指針 / 厚生労働省 ARI総合対策Q&A2025
抗ウイルス薬を使ったのに翌日も熱がある。薬を変更する?
発熱の残存だけで無効・耐性としない。服薬・吸入ができたか、嘔吐、呼吸症状、飲水、二峰性の発熱を再評価する。肺炎や細菌合併症、脳症などを疑う変化があれば診断を見直す。重症例の薬剤選択は本文の指針に沿い、外来薬を機械的に追加しない。
根拠:日本小児科学会 2025/26治療・予防指針 / 厚生労働省 ARI総合対策Q&A2025
異常行動があった。薬をやめれば見守りは不要?
異常行動は薬を使わなくても起こり得る。転落防止と見守りを続け、発熱後少なくとも2日間は一人にしない。持続する意識の異常、反応低下、けいれんがあれば薬の副作用と決めつけず緊急評価する。薬の継続可否は症状と時間経過を処方医に伝えて判断する。
根拠:日本小児科学会 2025/26治療・予防指針 / 厚生労働省 ARI総合対策Q&A2025
迅速検査が陰性ならインフルエンザは否定できる?
できない。流行期に典型的な臨床像を呈する患者は、迅速検査陰性でも臨床的にインフルエンザと診断し治療方針を決めてよい場面がある。
異常行動への対策は薬を使ったときだけ?
違う。抗インフルエンザ薬の使用有無にかかわらず全例に伝える。発熱から少なくとも2日間は一人にしない。
登園はいつから?
発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止。
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10家族への説明

検査の陽性がゴールではありません。息が苦しい、水分が取れない、けいれんが止まらない、いつもと違う言動が続くときは連絡してください。発熱から少なくとも2日間は一人にせず目を離さないでください。窓や玄関の施錠を確認し、ベランダに面さない部屋で寝かせてください。突然走り出す、ベランダから飛び出そうとする、といった行動が薬を使っていなくても起こることがあります。解熱にはアセトアミノフェン以外は使わないでください。

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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