5-7炎症性腸疾患を疑うとき(潰瘍性大腸炎・クローン病)
このページの目次7項目
1腸症状だけでなく成長をみる
2検査の役割と専門科に渡す情報
血算・鉄関連は出血と貧血、アルブミンは栄養と蛋白喪失、炎症反応は全身炎症、電解質・腎機能は脱水や治療への影響を調べる。便カルプロテクチンは腸管炎症の手掛かりになるが病名を確定する検査ではなく、健康な就学前児でも高い場合がある。単独の数値でIBDと診断しない。[1][2]
確定と病変の広がりの評価は専門施設で行う。当院には小児内視鏡やIBD診療体制がないため、症状経過、便回数と血液の有無、体重・身長の推移、血液・便検査、服薬と服薬継続状況をまとめて紹介する。受診日までの水分・栄養と再評価の担当も決める。[1][2](当院運用)
強い腹痛や血性下痢に発熱・循環不全、腹部膨満、腹膜刺激、閉塞や膿瘍の疑いが加われば緊急入院評価が必要になる。止痢薬で症状だけを抑えるより、重症大腸炎や外科合併症を評価する。再燃時のステロイドや生物学的製剤の導入・増減は、感染と合併症の評価を踏まえて専門科と相談する。[1][2]
維持薬を自己判断で止めると再燃につながり得る。感染を心配する家族にも、中止・再開は薬剤と病状ごとに主治医へ確認するよう伝える。出血増加、飲めない、尿が減る、痛みや膨満の悪化は予約日を待たない。[1][2]
3出典
- 海外・NSW Ministry of Health:Paediatric Gastroenterology referral criteria, IBD(p16)(本文確認:2026-10-23)
- 海外・Sydney Children’s Hospitals Network:IBD Investigations and medication(本文確認:2026-10-23)
海外資料の薬剤・処置は国内の承認・院内採用を意味しない。本文の施設条件を前提に適用する。
4臨床医が迷う場面
5下痢がなくても、成長不良と治らない鉄欠乏でIBDを疑う?
小児クローン病では成長障害、体重増加不良、不明熱や貧血が先行することがある。成長曲線、口腔アフタ、肛門病変、腹痛・便の変化を確認し、小児消化器へ相談する。鉄剤や栄養指導だけで長く追い、背景の腸炎を見逃さない。
出典:日本小児栄養消化器肝臓学会 小児UC治療指針2019 / 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児クローン病治療指針2019
6既知IBDで血便が増えた。残っているステロイドを増やす?
活動性だけでなく感染、服薬状況、薬の副作用を評価する。腹部膨満、強い痛み、多量出血、全身状態不良は緊急相談の対象。主治医へ現在の薬、便回数・血液量、発熱、検査を伝え、患者や一般外来の自己判断で免疫抑制薬を増減しない。
出典:日本小児栄養消化器肝臓学会 小児UC治療指針2019 / 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児クローン病治療指針2019
7症状が落ち着いたら、身長や思春期の評価は不要?
臨床症状だけで治療目標を満たしたとはいえない。身長・体重の成長曲線、二次性徴、栄養、貧血、学校生活を継続評価する。ステロイドの長期使用は成長にも影響するため寛解維持薬として漫然と続けず、専門医が病勢と治療負担を調整する。
出典:日本小児栄養消化器肝臓学会 小児UC治療指針2019 / 日本小児栄養消化器肝臓学会 小児クローン病治療指針2019
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