11-16低血糖
意識障害・けいれん・不機嫌
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次11項目
1ポイント
- 意識障害・けいれんでは血糖を最優先で測り、低血糖なら補正を遅らせない。
- 6〜7歳以下は低血糖を自分で認知できない。訴えを待たない。
- 糖尿病治療中の70mg/dL未満、非糖尿病の救急基準、新生児/持続疾患の管理目標は対象と目的が異なる。
- 原因不明の乳幼児は可能なら投与前の危急時検体を採る。採血・提出調整で緊急補正を遅らせない。
- 当院(二次救急)は低血糖の補正自体には対応できる。原因の精査で送る場面がある。
判断の流れ
拡大して見る ↗2鑑別のながれ
- 低血糖→糖尿病治療中。インスリン・経口薬の量と食事・運動のミスマッチ→治療関連の低血糖
- 低血糖→嘔吐・下痢・絶食が先行→ケトン性低血糖
- 低血糖→アルコール・経口血糖降下薬の誤飲・β遮断薬曝露→中毒
- 低血糖→色素沈着、低身長、電解質異常(低Na・高K)→内分泌(副腎不全・成長ホルモン分泌不全・下垂体機能低下)
- 低血糖→乳児期発症、肝腫大、家族歴、新生児マススクリーニング異常→代謝疾患(脂肪酸β酸化異常症・糖原病・有機酸代謝異常)
- 低血糖→高血糖を伴わず反復する→高インスリン血症(先天性高インスリン血症・インスリノーマ)
- 低血糖→全身状態不良・感染徴候→敗血症・重症感染
- 低血糖→黄疸・凝固異常→肝不全
3対応の緊急度
| 119 | 意識障害・けいれん+低血糖 | 検査より先にブドウ糖を投与し、投与後に血糖と意識を再検する |
|---|---|---|
| 緊急 | 乳児・新生児/糖尿病治療中の重症低血糖/絶食・嘔吐後 | 原因精査を並行する |
| 当日 | 症状があり血糖が低め、補食で改善した | 原因を詰めて再受診条件を渡し帰宅 |
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4検査
- 血糖(最優先)
- クリティカルサンプル(可能なら投与前):血糖、血液ガス、電解質、ケトン体、遊離脂肪酸、インスリン、コルチゾール、成長ホルモン、アンモニア、乳酸、尿ケトン
- 肝機能・腎機能
- 感染の検索
5処置・処方例
Rp. 1ブドウ糖(意識障害・けいれんを伴う重症低血糖) 10%ブドウ糖2〜5mL/kg、または20%ブドウ糖1〜2.5mL/kgを4〜5分かけて緩徐に静注。50%などの高濃度は使わない 静注
投与後は持続注入(10%ブドウ糖5mg/kg/分、GIRは別出典のため本文の単回量とは混ぜない)へ切り替える。可能なら投与前にクリティカルサンプル
- 10%ブドウ糖なら —〜—(2〜5mL/kg)を4〜5分かけて緩徐に静注
- 20%ブドウ糖なら —〜—(1〜2.5mL/kg)を4〜5分かけて緩徐に静注
- 急速投与や50%など高濃度のブドウ糖は使わない
- 投与後に血糖と意識を再検する
避けること・注意:原因不明のままブドウ糖投与だけで済ませること(クリティカルサンプルを逃すと代謝・内分泌の診断機会を失う)。
↑ このページの入口へ6初期対応
- 血糖を測る。意識障害・けいれんでは最優先
- 低血糖ならブドウ糖を投与する。意識があり経口が可能なら補食、意識障害・けいれんがあれば静脈内投与
- 投与後に血糖と意識を再検する。戻らなければ別の原因を探す
- 原因の見当がつかない乳幼児の低血糖では、ブドウ糖投与前の採血(クリティカルサンプル)を検討する
- 再発を防ぐところまでやる(補液の継続、食事の指示)
やってはいけない・落とし穴
↑ このページの入口へ- 上のmL/kg値は10%/20%ブドウ糖製剤を前提にした値。当院採用製剤の濃度・剤形は未確認のため、実在庫の濃度を投与前に確認する
- 単回投与量(本シート)と持続注入速度(GIR、薬剤一覧参照)は別出典の値。混ぜて計算しない
- ブドウ糖投与後では代謝・内分泌の診断がつかなくなる
7帰宅・入院の目安
- 帰宅原因を説明でき、補正後も血糖と反応が安定して再低下がない、食事・糖を含む摂取を続けられ、家族が再受診条件を理解できる
- 入院原因の見当がつかない乳児・新生児の低血糖:精査目的で入院とする(可能ならクリティカルサンプル採取後)、糖尿病治療中の重症低血糖:当院で補正し主治医・専門外来へつなぐ
- 搬送・紹介血糖を戻しても意識が戻らない:原因が別にある。搬送を検討、原因不明の反復する低血糖(特に乳児):代謝・内分泌の精査が要る。小児内分泌・代謝の専門施設へ、中毒による低血糖で解毒が要るもの:送る
8診療中の疑問と回答
- 簡易血糖が低いが、採血結果が出るまで補正を待つ?
- 血糖計は低値域で誤差があるため検体で確認するが、意識障害やけいれんを伴う低値では確認結果を待たず補正する。直ちに採れる危急時検体だけ確保し、採血・糖投与の時刻を記録する。投与後は血糖と神経症状を再評価する。
根拠:RCH 低血糖(海外小児指針) - 糖を入れて一度上がったら帰宅できる?
- 再低下しないか、普段どおり飲食できるか、原因が説明できるかを確認する。長い絶食、薬剤誤飲、代謝・内分泌疾患では一時的改善後も再発し得る。原因不明・反復・重症例は入院や専門評価につなぎ、次に食べられなくなったときの対応も具体化する。
根拠:RCH 低血糖(海外小児指針) - 胃腸炎の絶食が原因らしい。精査しなくてよい?
- 年齢、絶食時間、ケトン、成長、肝腫大、反復歴を合わせて判断する。短い絶食で重症化する、低ケトン性、肝機能異常や発達所見を伴う場合は単純な飢餓性低血糖としない。危急時検体の結果を引き継ぎ、小児内分泌・代謝専門医へ相談する。
根拠:RCH 低血糖(海外小児指針)
- 低血糖の子はどこから疑う?
- 6〜7歳以下は自分で気づけない。不機嫌・空腹感・顔色不良・傾眠傾向・あくびなど個人差のある症状で気づく。乳児では哺乳しない・なんとなく元気がないだけのこともある。
- 採血より先にブドウ糖を打っていい?
- 重症時は補正を遅らせない。直ちに採れる危急時検体だけ採り、投与前後と時刻を記録する。
- 血糖を戻したら終わり?
- 終わらない。治してから、なぜ下がったかを詰める。血糖と意識を再検し、戻らなければ別の原因を探す。
- 糖尿病でない子は何mg/dL未満を低血糖として動く?
- 対象別に判断する。非糖尿病の救急指針では症状あり約54mg/dL未満、症状によらず約47mg/dL未満を参考にする。新生児・持続性疾患は別の管理目標で専門相談。
10家族への説明
血糖が下がって症状が出ていました。まず糖を補って戻します。小さいお子さんは「低血糖だ」と自分で気づけないので、機嫌が悪い・顔色が悪い・うとうとする、といった様子が手がかりになります。なぜ下がったかを調べることが大事なので、いつ何を食べたか、薬を飲んでいるか、できるだけ詳しく教えてください。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。