11-20 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

緊急

11-20糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

高血糖・アシドーシス・意識障害
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30

日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。

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1ポイント

判断の流れ

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小児DKA疑いで血糖・ケトン・酸塩基・カリウムを確認し搬送につなぐ図
DKA/HHSを疑えば初期評価と専門施設相談を並行。pH正常・ケトン軽度でもHHSを除外できない。当院はDKAの持続インスリンを開始せず速やかに搬送する方針。ISPAD 2022:小児DKA/HHSを参照。
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2鑑別のながれ

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3重症度(静脈血pH・HCO3⁻ mEq/L)

軽症静脈血pH<7.30 または HCO3⁻<18輸液とカリウム補正を開始し、受け入れ先に連絡する
中等症静脈血pH<7.20 または HCO3⁻<10輸液とカリウム補正を開始し、受け入れ先に連絡する
重症静脈血pH<7.10 または HCO3⁻<5輸液とカリウム補正を開始し、搬送を急ぐ
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4検査

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5処置・処方例

Rp. 1生理食塩水(初期輸液) 非ショック=10mL/kgを30分(脱水補正量から差し引く)+脱水量(軽症・中等症5%/重症10%)+維持量(Holliday-Segar式・体重上限75kg)を48時間で均等投与。ショック=10mL/kgを15分で開始し10mL/kgずつ反復、合計40mL/kgでイノトロープ検討 点滴
成人の「500〜1,000mL/時」を小児に当てはめない。意識・循環・電解質を反復評価し、循環不全を適切に治療する。ショックで合計40mL/kgに達しても改善しなければ上級医コール・搬送前倒し(下記「送る」参照)
  1. 非ショック:生理食塩水 —(10mL/kgを30分で投与。この分は脱水の補正量から差し引く)
  2. 非ショック:脱水量(軽症・中等症=体重の5%、重症=体重の10%と仮定)+維持量(Holliday-Segar式、体重の計算上限75kg)を48時間かけて均等に投与する
  3. ショック:生理食塩水 —(10mL/kgを15分で開始)。反応を見ながら10mL/kgずつ反復し、合計 —(40mL/kg)に達しても改善しなければイノトロープを検討し上級医コール・搬送を前倒しする
  4. 血糖が250〜300mg/dLになったらブドウ糖を含む低張電解質輸液へ切り替える
  5. 頭痛・嘔吐・意識悪化・徐脈などの脳障害徴候を観察。疑えば画像/搬送を待たず上級医・受入先と緊急治療を開始する
Rp. 2カリウム 輸液500mLにKCl 20mmol(濃度40mEq/L)を加えて補充。最大0.5mmol/kg/時を超えない。血清カリウムが3.3mEq/L未満ならインスリンを開始・増量しない 点滴に添加
成人の「20〜30mEq/時」を小児に当てはめない(院内方針院内)。40mEq/Lを超える濃度は中心静脈路が要る。高カリウム血症があれば排尿を確認するまで待つ。心電図でT波を見る
  1. KCL補正液(またはアスパラカリウム注射液、いずれも1mEq/mL)を点滴に混ぜる。原液のまま静注しない
  2. 輸液500mLにKCl 20mmol(40mEq/L)。速度は —/時(0.5mmol/kg/時)を超えない
  3. 心電図でT波をモニターする
当院ではインスリン持続静注を開始しない。輸液とカリウム補正のみ行い速やかに搬送する。以下は搬送先の治療内容を把握するための参考情報:インスリン持続静注は輸液を十分に行い少なくとも1時間たってから開始し、速効型インスリンを0.05〜0.1単位/kg/時を目安に持続静注する(小児ではボーラス投与は行わない。脳浮腫のリスク)。希釈の目安は速効型インスリン50単位を生理食塩水500mLに混注(0.1単位/mLとなる)し、体重×1mL/kg/時で流せば0.1単位/kg/時にあたる。血糖は50〜75mg/dL/時の速度で低下することが期待される。重炭酸・リンのroutine投与と緊急例外を区別する。生命危機の高K、極端な酸血症と心機能低下、重い低リンでは一律に禁止せず、適応・開始時点・院内実行薬を専門医へ直ちに確認する。 避けること・注意:小児へのインスリンボーラス、K3.3mEq/L未満でのインスリン開始・増量、血糖を急いで下げること。重炭酸・リンを自己判断でroutine投与しないが、緊急例外は専門医と直ちに判断する。
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6帰宅・入院の目安

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7診療中の疑問と回答

輸液で血糖が下がった。DKAは改善したと考えてよい?
血糖低下だけではケトアシドーシスの解消を示さない。意識、循環、pH・重炭酸、ケトン、Na・Kを経時的に評価する。血糖が下がっても必要な治療を続けられるよう糖の併用を検討するが、当院では持続インスリンを開始せず早期搬送の方針を守る。
根拠:日本糖尿病学会 糖尿病GL2024第20章 / BSPED 小児DKA指針(海外)
治療中に頭痛・嘔吐が増えた。胃腸炎の症状として待てる?
新しい頭痛、意識悪化、徐脈、呼吸変化はDKA関連脳障害を疑う。血糖と循環を再評価し、直ちに上級医・受入先へ連絡する。CT撮影や搬送の完了を待たず緊急治療の必要性を判断する。治療開始前の意識状態と変化を時刻付きで伝える。
根拠:日本糖尿病学会 糖尿病GL2024第20章 / BSPED 小児DKA指針(海外)
Kが正常なら、補充や監視は不要?
血清Kが正常でも総体内Kは不足していることがあり、治療に伴って急低下し得る。腎機能・尿量と心電図、反復採血で監視する。補充量・速度は小児の計画で管理し、成人の固定速度を使わない。低K時のインスリン開始・増量は本文の閾値と専門指示に従う。
根拠:日本糖尿病学会 糖尿病GL2024第20章 / BSPED 小児DKA指針(海外)
腹痛の子に糖尿病は考える?
考える。腹痛・嘔吐で来た子に多飲多尿・体重減少があれば血糖を測る。急性腹症として扱わない。
インスリンはすぐ始める?
始めない。輸液を十分に行い、少なくとも1時間たってから開始する。ボーラス投与はしない。
カリウムが低いときは?
3.3mEq/L未満ならインスリンを始めない・増やさない。先に補充する。
搬送前に何を伝える?
血糖・pH・HCO3⁻・カリウム・意識レベルをセットで伝える。開始した輸液の種類・量・時刻、インスリンを始めたか(始めていなければその理由)も伝える。
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9家族への説明

インスリンが足りなくなって、血液が酸性に傾いた状態です。吐き気やお腹の痛みで来られることが多く、胃腸炎と間違われやすい病気です。治療は点滴から始め、血糖や電解質、意識の変化を繰り返し確認しながら進めます。集中的な管理が必要なので設備のある病院へ移っていただきます。

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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