1-15 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

緊急

1-15新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

病態・根拠
このページの目次9項目

1病態:陽性という診断と、今起きている障害を分ける

小児COVID-19の多くは軽症で対症療法が中心となるが、肺炎だけでなく、クループ、けいれん、脱水、脳症、心筋炎等を伴う例がある。陽性結果が得られても、呼吸、循環、意識、飲水・尿量を評価する理由は変わらない。基礎疾患があれば重症化リスクを確認し、生来健康という理由だけで危険所見を軽く扱わない。[1]

2鑑別:検査結果で診察を終えない

抗原・核酸検査は感染の診断に役立つが、合併症の重症度を直接表すものではない。陰性でも検体採取の時期・方法等で感染を完全には否定できず、必要性に応じて再検や別の検査を考える。同時期のインフルエンザ、RS、溶連菌等と、尿路感染や敗血症等の別の原因も病歴と診察から検討する。胸部画像や血液検査を陽性児全員へ一律に追加せず、呼吸症状、循環、神経症状等の問いに応じて選ぶ。[1]

3治療:重症度、時期、年齢と体重で適応が変わる

飲水・栄養、発熱や疼痛への対症療法、必要な酸素と合併症への対応を行う。特異的治療は症状、重症化リスク、発症からの時間、年齢・体重を合わせて判断する。抗ウイルス薬には併用薬・臓器機能の確認が必要で、小児の使用経験や適応にも限界がある。成人の投与方法をそのまま小児へ移さず、処方時点の添付文書と専門医に確認する。[1]

呼吸不全、反応低下、循環不良、持続するけいれん等は検査の再確認を待たず初期安定化と搬送相談を進める。当院の人工呼吸・集中治療の限界に合わせ、悪化してから紹介を始めない。隔離・登校の運用は変わりうるため、診療時の制度と施設手順を確認する。[1]

4回復後の発熱とフォロー

罹患から数週間後の持続する発熱に、腹痛・嘔吐、発疹・粘膜症状、循環不良等を伴う場合はMIS-C/PIMSを考える。急性期感染の陽性検査が今は陰性でも、その可能性だけで否定しない。川崎病、細菌性敗血症等も鑑別し、炎症反応、血算、心筋障害の評価等を専門施設と相談する。ショックや心機能障害を伴いうるため、単なる再感染として経過観察しない。[1][2]

帰宅時には、息苦しさ、反応低下、飲めない・尿が少ない状態の受診目安を説明する。回復後も症状が続き登園・登校等に影響する場合は、他の原因を含めて再評価し、生活面も支える。[1]

5出典と適用範囲

薬剤の小児適応、年齢・体重制限、腎機能条件、療養制度は更新されうるため、本節は固定用量や診療時点の全承認状況を保証しない。MIS-C資料は旧版であり、専門治療の現在の選択を本節だけで決めない。

6臨床医が迷う場面

7陽性なら発熱の原因はCOVIDだけと考えてよい?

低月齢乳児、全身状態不良、局所症状がある児では重症細菌感染や他疾患を同時に評価する。陽性結果だけで低月齢発熱の検査・入院基準を外さない。呼吸、意識、飲水・尿量を診て重症度を決め、検査陽性と帰宅可能を同義にしない。

根拠:CDC COVID-19 Clinical considerations for special populations

8軽症でも抗ウイルス薬を始める?

多くの小児は対症療法で改善する。免疫抑制など重症化リスクがある児では、発症日、年齢・体重、腎機能、併用薬を確認し国内承認に合う治療を早期に相談する。成人処方をそのまま使わず、相互作用や投与可能期間を製剤ごとに確認する。

根拠:CDC COVID-19 Clinical considerations for special populations

9感染が治った後の発熱・腹痛も経過観察でよい?

回復期の持続発熱に皮疹、消化器症状、結膜充血、循環不良が重なる場合はMIS-Cなどを考える。通常の再感染や胃腸炎として対症療法だけで待たず、心機能と炎症・臓器障害の評価ができる専門施設へ相談する。

根拠:CDC COVID-19 Clinical considerations for special populations

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