1-15新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
発熱・けいれん・呼吸苦・MIS-Cの鑑別
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次9項目
1ポイント
- ほとんどの小児は軽症。軽症患者は原則として自宅療養を考慮する。
- 見るべき所見は他の急性疾患と同じ入口。原因不明の発熱が続く・呼吸が苦しい・経口摂取ができない・ぐったりしているは速やかな受診が要る。
- オミクロン株以降、熱性けいれんや急性脳症の頻度が増加。関連のない脳症例より後遺症(16.5%対11.7%)・死亡(10.7%対5.0%)が多い。
- 基礎疾患のある児・乳児は重症化しやすい。米国データでは入院した小児の58.9%に基礎疾患があった。
- 出席停止は発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで。
2鑑別のながれ
- 胸痛・動悸・不整脈→循環不全の徴候→心筋炎(心電図。持てない、循環器へ)
- 発症の2〜6週後に発熱+発疹+消化器症状→心臓の動きが悪くなることがある。川崎病に似るが別疾患と考えられている→MIS-C(小児多系統炎症性症候群)(持てない、専門施設で評価)
- 生後3か月未満の発熱→他の重症感染症の可能性もある→速やかな受診が必要
- 意識障害・けいれんが止まらない→急性脳症を疑う→気道確保・酸素。持てない
- 基礎疾患あり(喘息・先天性心疾患・免疫不全など)で発熱→経口摂取良好・意識清明でも重症化しやすい→重症化リスクとして慎重に評価。入院閾値を下げる
- けいれん後、意識清明に回復した単純型熱性けいれん→オミクロン以降、頻度が増えている所見→熱性けいれんの手順で評価。観察を丁寧に
3重症度の目安
| 軽症 | 経口摂取良好・意識清明 | 自宅療養を考慮。当院で対症療法 |
|---|---|---|
| 中等症以上 | 脱水・基礎疾患増悪・意識障害 | 入院を検討 |
→ 横にスクロールできます
4検査
- 迅速抗原検査は当直帯にできる
- 基礎疾患・年齢(生後3か月未満か)・ワクチン接種歴を確認する
- SpO2測定・呼吸数評価で、重症化因子(基礎疾患・乳児・意識障害・呼吸不全)の有無を判断する
5処置・処方例
Rp. 1アセトアミノフェン 1回10〜15mg/kg、4〜6時間以上あけて頓用。1日総量60mg/kgかつ1500mgを超えない(1回最大500mg) 内服
軽症は自宅療養を考慮し当院で対症療法。解熱は苦痛緩和が目的で、治癒判定には使わない
- シロップ(カロナールシロップ2%=20mg/mL):—〜— を1回
- 細粒(カロナール細粒20%=200mg/g):—〜— を1回
- 坐剤:1回 —〜— に一番近い規格・個数を選ぶ(アンヒバ/アルピニー 50・100・200mg)
- 次は4〜6時間以上あける。1日の合計は — まで
避けること・注意:抗ウイルス薬(レムデシビル・ニルマトレルビル等)の適応判断は本シートでは扱わない。当直帯は対症療法(解熱・水分管理)と重症化因子の評価にとどめ、中等症以上・重症化リスクは入院・専門施設紹介で対応する。
↑ このページの入口へ6送る/持つ
- 帰宅軽症・経口摂取良好・意識清明なら自宅療養を考慮し当院で対症療法
- 入院中等症以上・脱水・基礎疾患増悪は入院を検討
- 搬送・紹介意識障害・けいれんが止まらない(急性脳症疑い)は持てない、胸痛・不整脈(心筋炎疑い)は持てない、MIS-C疑い(発症2〜6週後の発熱・発疹・消化器症状)は持てない。専門施設で評価、生後3か月未満の発熱は他の重症感染症の除外が先。乳児の発熱の基準で評価する
7診療中の疑問と回答
- 陽性なら発熱の原因はCOVIDだけと考えてよい?
- 低月齢乳児、全身状態不良、局所症状がある児では重症細菌感染や他疾患を同時に評価する。陽性結果だけで低月齢発熱の検査・入院基準を外さない。呼吸、意識、飲水・尿量を診て重症度を決め、検査陽性と帰宅可能を同義にしない。
根拠:CDC COVID-19 Clinical considerations for special populations - 軽症でも抗ウイルス薬を始める?
- 多くの小児は対症療法で改善する。免疫抑制など重症化リスクがある児では、発症日、年齢・体重、腎機能、併用薬を確認し国内承認に合う治療を早期に相談する。成人処方をそのまま使わず、相互作用や投与可能期間を製剤ごとに確認する。
根拠:CDC COVID-19 Clinical considerations for special populations - 感染が治った後の発熱・腹痛も経過観察でよい?
- 回復期の持続発熱に皮疹、消化器症状、結膜充血、循環不良が重なる場合はMIS-Cなどを考える。通常の再感染や胃腸炎として対症療法だけで待たず、心機能と炎症・臓器障害の評価ができる専門施設へ相談する。
根拠:CDC COVID-19 Clinical considerations for special populations
- 検査陽性がゴールか?
- 違う。ほとんどの小児は軽症。原因不明の発熱が続く・呼吸が苦しい・経口摂取ができない・ぐったりしているの有無を見る。
- 出席停止はいつまで?
- 発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで。外出自粛は法的義務ではなく個人の判断。
- MIS-Cはどう疑う?
- 感染の回復期(2〜6週後)に学童期以降の児で発熱・発疹・消化器症状・心機能低下。川崎病に似るが別疾患と考えられている。
- 生後3か月未満の乳児がCOVID陽性/疑いで発熱している場合は?
- 乳児の発熱の基準を優先する。COVID陽性でも他の重症感染症の可能性を除外する。
9家族への説明
今回の症状はおそらく新型コロナウイルス感染症によるものと考えられます。ほとんどのお子さんは軽症で、自宅での経過観察と対症療法で治ります。ただし、意識がはっきりしない、けいれんが止まらない、呼吸が苦しい、水分や食事がまったく摂れない、ぐったりしている、といった様子があれば、すぐに医療機関を受診してください。学校・保育園は、熱などの症状が出た日を0日目として5日を経過し、かつ、症状が良くなった日の翌日から1日を経過するまでお休みです。感染症法上の外出自粛の義務はありませんが、発症から5日間は特に人にうつしやすい時期ですので、外出はできるだけ控えてください。10日目までは咳などの症状が続くことがあり、その間はマスクの着用など周りへの配慮をお願いします。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。