8-2 化膿性関節炎・骨髄炎

緊急

8-2化膿性関節炎・骨髄炎

病態・根拠
このページの目次9項目

1病態:骨と関節の感染は隣り合う

小児の骨髄炎・化膿性関節炎は血行性に起きることが多く、隣接した骨と関節の感染が併存する場合がある。炎症がある関節を動かすと痛いため、乳児では泣く、片側を動かさない、年長児では歩かないという形で現れる。発熱がないことや、軽い外傷の直後という説明だけで感染を除外しない。[1]

2鑑別:一過性滑膜炎でよいかを考える

疼痛部位だけでなく、隣接関節と脊椎も診察する。股関節の病変が膝の痛みとして感じられることがある。全身状態、荷重や可動域、局所の熱感・腫脹、経過を合わせ、一過性滑膜炎、骨折、炎症性疾患、悪性疾患などを検討する。一つの予測スコアや炎症反応の値だけで化膿性関節炎を確定・除外しない。[1][2]

3検査の役割と限界

血液培養は可能なら抗菌薬前に採取する。CRPは単独の診断精度が十分でなく、上昇している場合には治療反応を追う基準にもなる。単純X線は骨折等の別の原因を探す役割があり、初期の骨感染には感度が低い。超音波は関節液の検出に有用だが、液体があるだけでは細菌性かを決められない。MRIは骨髄炎や周囲膿瘍の広がりを調べるのに役立つ。[1][2]

関節液の培養が陰性でも感染を否定できず、年齢・既投薬・Kingella等を考慮して専門施設で分子検査が検討される。夜間に画像や穿刺ができない当院では、その制約を受入整形外科へ早く伝える。[2]

4治療と紹介:検体採取を待てるか

関節感染では排膿・洗浄等の感染源への対応が必要となり、整形外科へ緊急相談する。全身不良または急速進行なら、可能な血液培養の後、関節穿刺を待って抗菌薬を遅らせない。安定例で採取前投与を短く待つ判断は、監視下で専門医と行い、移送所要時間も含めて決める。経験的治療は黄色ブドウ球菌を基本に、年齢、地域のMRSA感受性、重症度で調整する。[2]

治療期間は骨病変の併存、原因菌、排膿、臨床とCRPの反応で変わる。一律の日数だけで中止しない。退院後も疼痛・歩行・関節機能を追い、再発熱、動かさない、荷重できない場合は早く再評価する。[1][2]

5出典と適用範囲

PIDS/IDSAは主に急性細菌性関節炎を対象とする。骨髄炎単独の全治療計画へ短期治療の推奨を転用しない。

6臨床医が迷う場面

7炎症反応が低くX線も正常なら、骨関節感染は否定できる?

初期や一部の病原体では検査異常が乏しい。荷重不能、関節可動時痛、局在する圧痛、動かさない四肢を重視する。疑いが残れば超音波・MRIや専門評価を相談する。当院では関節炎を疑った時点で処置可能な施設へつなぎ、画像変化を待たない。

出典:PIDS/IDSA 小児細菌性関節炎GL2023 / RCH 骨・関節感染(海外)

8培養のために抗菌薬を待ってよい?

全身状態が悪い・急速に進行する場合は、採れる血液培養を確保して抗菌薬を遅らせない。安定例では関節液採取との順序を整形外科と速やかに調整する。培養を優先するあまり搬送や治療を遅らせず、投与薬と採取時刻を引き継ぐ。

出典:PIDS/IDSA 小児細菌性関節炎GL2023 / RCH 骨・関節感染(海外)

9熱が下がったら、すぐ内服へ切り替えてよい?

解熱だけでなく疼痛、可動域、荷重、炎症反応、菌血症や膿瘍の有無と内服可能性を評価する。原因菌に有効な薬が選べ、服薬と再診が確実かを専門医と判断する。合併症や経過で治療期間が変わるため、一律の日数で静注終了や全治療終了としない。

出典:PIDS/IDSA 小児細菌性関節炎GL2023 / RCH 骨・関節感染(海外)

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

スペースで絞り込み(例:夜尿症 休薬)↑↓ 移動 / Enter 開く