10-7 急性小脳失調・歩行異常

緊急

10-7急性小脳失調・歩行異常

病態・根拠
このページの目次9項目

1病態と鑑別:「ふらつく」を、協調運動・筋力・感覚に分ける

失調は筋肉の協調が乱れた状態だが、痛みや筋力低下、恐怖でも歩行が不安定に見える。意識、構音、眼球運動、指鼻試験、体幹・歩行、筋力、感覚、腱反射を組み合わせて局在を考える。反射低下は感覚性失調や末梢神経障害の手がかりになるが、反射だけで小脳疾患とギラン・バレー症候群を二分できるわけではない。[1]

2感染後という時間関係だけでは診断しない

感染後急性小脳失調はよくある原因だが、他の原因を除外したうえで判断する。急に始まった失調では薬物へのアクセス、外傷、代謝異常、脳炎・炎症、血管障害、腫瘍も考える。家族が「いつもと違う」と感じた時刻、進行しているか、過去にも反復したかが鑑別を変える。学校や家庭での薬の保管状況も聞く。[1]

NICEは、新たな歩行異常を認める子どもを直ちに急性小児診療へ紹介することを勧めている。すでに小児診療の場で評価した後の帰宅判断とは区別する。意識清明、反射正常という二点のみで良性と確定しない。[2]

3画像と髄液検査は、順番にも意味がある

血糖・電解質等は治療可能な原因を調べる。局在徴候、頭蓋内圧亢進を疑う頭痛・嘔吐、意識変化、進行例では画像を含む専門評価が必要となる。頭蓋内病変を疑うときに、自施設で実施できるという理由だけで腰椎穿刺を先行しない。RCHは原因が非典型、悪化する、改善しない場合の検査と、画像後の髄液検査を挙げる。[1]

4治療と当院で観察できる範囲

当直帯にCT・MRIがないため、原因不明、局在徴候、嚥下・呼吸障害、頭蓋内圧亢進の疑いでは画像と神経診療が可能な施設に相談する。帰宅は原因が明らかで全身状態が良く、保護者が安全に見守れ、再評価が確保される場合に限って考える。転倒予防に配慮し、悪化、新たな頭痛・嘔吐、反応低下、飲み込みにくさがあれば直ちに再受診するよう伝える。[1][2]

5出典と適用範囲

NICEの公式ページ本文を直接取得し、新たな歩行異常の推奨を確認した。

6臨床医が迷う場面

7感染後のふらつきなら良性小脳失調として帰せる?

感染後急性小脳失調は除外診断。意識、頭痛・嘔吐、眼球運動、腱反射・筋力と進行性を評価し、中毒や腫瘍・炎症を除く。原因の説明がつき全身状態良好で、確実な再診がある場合に限り外来を検討し、新しい症状があれば再評価する。

根拠:RCH Ataxia

8腱反射が残っていればGBSは否定できる?

早期には典型所見がそろわないことがある。歩けない理由が失調か筋力低下・痛みかを診察し、眼球運動障害、球症状、呼吸・自律神経症状を確認する。進行する脱力や反射低下があれば神経専門科へ相談し、単回の正常所見で帰宅を決めない。

根拠:RCH Ataxia

9翌日も同じふらつきならそのまま待てる?

悪化・非対称性、強い頭痛や朝の嘔吐、意識変化、新しい神経症状があれば画像を含む評価へ進む。症状が改善しない場合も診断を見直す。当院で必要な画像ができない時間帯は、検査可能な施設への相談を先延ばしにしない。

根拠:RCH Ataxia

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