SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)

緊急

SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)

アレルギー・皮膚β版・逐条レビュー継続中

2026-10-28更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。

30秒要約

  • 皮膚の痛み・圧痛を伴う紅斑から、弛緩性水疱・浅い表皮剥離が急速に広がるときに疑う。口囲・眼囲の痂皮、頸部・腋窩・鼠径などの間擦部も見る。粘膜びらんは通常目立たない。発熱がなくても否定しない。[1,2]
  • 原則入院を検討し、全身抗菌薬、補液・鎮痛、皮膚保護を並行する。外用薬だけで経過を見ない。新生児・乳児、脱水、広範囲剥離、全身状態不良では入院管理の必要性が高い。[1,2]
  • 抗菌薬はMSSAとMRSAを分けて選ぶ。MSSAを想定・確認した場合はセファゾリン(CEZ)静注を候補にする。MRSA既往・保菌、地域・院内の検出状況、重症度、初期治療への反応、培養から、バンコマイシン(VCM)などの抗MRSA薬を判断する。国内MRSA診療ガイドラインはSSSSでのMRSA関与に注意を促している。[1,3]
  • 皮膚ケアの院内方針院内(2026-10-28確認): 当院ではSSSSの患部にアクアチム軟膏1%とアズノール軟膏0.033%を塗布する。部位・量・回数・期間は個別指示に従い、全身抗菌薬と支持療法も並行する。

レッドフラグ → 次の一手

所見次の一手
意識低下、末梢循環不良、呼吸障害、尿量減少ABCを評価し、敗血症・ショック対応。集中治療が必要なら蘇生と搬送相談を並行する
剥離の急速拡大、飲めない、疼痛が強く処置できない入院し、静注抗菌薬・水分管理・鎮痛。皮膚科へ相談する
口腔・眼・陰部の明らかな粘膜びらん、新規薬剤使用SJS/TENなどを再評価。疑わしい薬剤の中止と皮膚科への緊急相談を検討する
皮膚所見に比べて深い強い痛み、局所腫脹、循環不全壊死性軟部組織感染などを鑑別し、外科・集中治療へ緊急相談する

初期評価・検査

  • バイタル、反応、末梢循環、経口摂取、尿量、体重、疼痛、剥離の範囲と新規病変の推移を記録する。[1,2]
  • 培養は可能なら抗菌薬前に、鼻腔・咽頭・眼脂、臍・会陰など感染源が疑われる部位から採取する。毒素でできた水疱内容だけでは原因菌を検出できないことがある。水疱培養陰性で否定しない。[2,3]
  • 血液培養は新生児、発熱・全身状態不良、敗血症疑いなどで検討する。全身状態が良い典型例に、菌血症が多いと説明しない。[1,2]
  • 採血は全例一律のセットにはしない。診療上の検査選択案として、広範囲病変・脱水・全身状態不良ではCBC、CRP、電解質、BUN・Crなどを病態に応じて検討する。補液・薬剤投与の安全性も評価する。血液検査だけでSSSSを確定・除外しない。この検査選択案は、上記の施設で利用できる項目と病態から整理したもので、SSSS指針が規定する必須セットではない。
  • 診断が非典型なら皮膚科と皮膚生検を相談する。Nikolsky徴候は補助所見で、繰り返し皮膚をこすって誘発しない。[2,8]
  • 施設情報では当直帯の入院・静脈路確保・CBC・電解質・BUN・Cr・CRPは可能。夜間の培養受付・保管は検査室の手順を確認する。結果や翌朝の提出を待って必要な抗菌薬を遅らせない。皮膚科・集中治療への連絡先は当直責任者と確認する。

全身抗菌薬の選択

状況選択の考え方
MSSAを想定できる、または感受性で確認セファゾリン(CEZ)静注を候補にする。培養と反応で適正化する
MRSA既往・保菌、地域・院内でMRSAの関与が疑われる、重症、初期βラクタム治療で悪化・反応不良バンコマイシン(VCM)などを感染症科・薬剤師と相談。腎機能とTDMで投与を調整する
全身状態・発熱・皮膚の圧痛が改善し、内服と水分摂取が可能感受性に合う内服薬へ切り替える。MSSAならセファレキシン(CEX)が候補。MRSAならCEXに切り替えず、感受性と年齢に合う薬剤を相談する
クリンダマイシン(CLDM)の追加を考える毒素産生抑制の理論はあるが、通常例への一律追加の利益は確立していない。重症・難治例などで感受性・耐性を踏まえて個別判断する

海外のCHOP経路では総治療期間を7〜10日としている。これは静注と内服の合計であり、全期間の静注を意味しない。菌血症・深部感染、反応不良では別に評価する。[1] 落屑だけが残ることと、発熱・圧痛・新規紅斑が悪化することを区別する。軽快後の落屑だけで、抗菌薬を延長・広域化しない。[1]

用量は院内採用製剤の電子添文、体重、日齢・年齢、腎機能、重症度、アレルギー歴で確認する。 現在の施設情報には経験的抗菌薬の確定レジメンがないため、本ページには確定オーダーや自動体重換算を置かない。VCMはTDMを組み合わせる。[3] セファレキシンは通常製剤と持続性製剤で用法が異なるため、単純に「分2」としない。

皮膚ケア・支持療法

  • やさしく清潔にし、こすらない。被覆は全例には要さず、必要に応じて非固着性の被覆材などで保護する。水疱を意図的に破る、剥がれかけた表皮を無理に除く、粘着材を直接びらんに貼る処置を避ける。[2,8]
  • アズノール軟膏0.033%(ジメチルイソプロピルアズレン)は、びらん部の保護を目的とした局所ケアの選択肢。適応には熱傷その他によるびらん・潰瘍が含まれる。抗菌薬ではない。添文では通常1日数回適量を塗布する。[6]
  • アクアチム軟膏1%(ナジフロキサシン)は、当院ではSSSSの患部に塗布し、アズノールも患部へ併用する(院内方針院内)。添文の適応は感性ブドウ球菌属などによる表在性・深在性皮膚感染症で、通常1日2回。実際の範囲・量・回数・期間は個別に指示する。[5]
  • アクアチムは低出生体重児、新生児、乳児、幼児を対象とした有効性・安全性の臨床試験が行われていない。禁忌という意味ではないが、好発年齢と重なるため使用の必要性、範囲、期間を個別に判断する。原則として感受性を確認し必要最小限の期間にとどめる。添文は1週間使用しても改善しない場合の中止を規定するが、SSSSの悪化時にその期間まで待つという意味ではない。[5]
  • 当院ではSSSSの患部にアクアチム軟膏1%とアズノール軟膏0.033%を塗布する。これは診療担当者から示された院内方針院内であり、外部ガイドラインがこの併用を全例へ推奨したという意味ではない。混合調剤・混合比・塗布順序は今回の指示に含まれないため、個別指示で確認する。過敏症、眼への使用、刺激・発赤・接触皮膚炎に注意する。[5,6]
  • 経口摂取、尿量、電解質、体重を追い、脱水と皮膚からの喪失に応じて補液する。保温、鎮痛、処置前の疼痛対策を行う。[1,8]
  • 感染対策は施設の標準予防策・接触予防策に従う。CDCはSSSSに罹患期間中の標準予防策+接触予防策を挙げ、新生児室などの集団発生にも注意を促している。複数例の発生は感染対策チームに相談する。[9]

入院・退院・紹介

  • 入院: SSSSを疑い、静注治療・観察が必要な場合。とくに新生児・乳児、急速拡大、広範囲病変、経口摂取不良・脱水、疼痛、全身状態不良では入院管理する。[1,2]
  • 搬送・紹介: ショック・臓器障害、SJS/TENなどとの鑑別困難、広範囲の創傷管理や集中治療を自施設で行えない場合。安定化と並行して相談する。[2]
  • 退院候補: 全身状態・発熱・疼痛が改善し、必要な抗菌薬と水分を内服・摂取できる。家族が皮膚ケアを行え、再診先・時期と再受診条件を共有できる。落屑の完全消失は必須条件ではない。[1]

家族への説明

細菌が作る毒素の影響で、皮膚の表面がはがれやすくなる病気です。飲み薬や点滴の抗菌薬で原因となる細菌を治療し、軟膏や被覆材で皮膚を守ります。皮膚をこすらず、薬は指示した部位に使ってください。飲めない、尿が減る、ぐったりする、赤みや痛みが増すときは、すぐに医療者へ知らせてください。

病態・根拠9章
病態と診断

SSSSは、黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥脱毒素が血行性に作用し、表皮の浅い層の接着を障害する病態。感染源と皮膚剥離部位が一致しないことがある。水疱性膿痂疹は局所で毒素が作用する病態で、局在する水疱・びらんが中心。SSSSでは皮膚の圧痛、広範囲の紅斑・剥離、発熱・不機嫌などを合わせて判断する。[2]

粘膜は通常保たれる。明らかな口腔・眼・陰部のびらん、薬剤曝露、標的状病変があればSJS/TENなどを考える。Nikolsky徴候だけで両者を区別しない。非典型例は皮膚科に相談し、必要に応じて皮膚生検で剥離の深さを確認する。[2,8]

MSSA・MRSAと抗菌薬の根拠

CHOPの小児SSSS経路はセファゾリン静注、内服可能例のセファレキシン、改善後の内服移行と総7〜10日治療を提示している。これは海外施設の経路で、日本の院内処方をそのまま規定するものではない。[1]

国内『MRSA感染症の診療ガイドライン2024』の小児領域はSSSSにおけるMRSAの関与に注意を促し、MRSA感染症としてのSSSSにはVCMを推奨する。MRSAを扱う指針であり、全SSSSに無条件でVCMを使うという意味ではない。MSSAを想定できる状況と、MRSAが疑わしい状況を分け、地域・院内の疫学、重症度、培養、治療反応から選択する。[3]

国内の培養陽性入院児を対象にした小規模後方視研究では、MRSAが多く分離された。感受性のある抗菌薬を5日間以上投与した群・それ以外の群で症状持続・入院期間に有意差を認めなかったが、対象の選択、保菌と起炎菌の区別、症例数の限界がある。初期薬剤の一致・不一致だけを比べた研究ではない。βラクタムで全例治療できる、あるいは抗菌薬を省略できるという根拠にはならない。[4]

クリンダマイシン・治療反応の見方

CLDMには毒素産生抑制という理論がある。一方、小児SSSSの観察研究では耐性や治療選択の交絡が問題になり、通常例へ追加する利益は確立していない。重症・難治例で検討する際は感受性と施設疫学を踏まえ、CLDM単剤を感受性不明のまま選ばない。[7,10]

改善の判断は、全身状態、発熱、皮膚の圧痛、新規紅斑・剥離の拡大、摂取・尿量で行う。軽快後も落屑は続くことがある。落屑だけを治療失敗と扱わず、全身状態の悪化や新規炎症所見があれば原因菌・薬剤、鑑別、深部感染などを再評価する。[1]

アクアチム・アズノールの位置付け

当院ではSSSSの患部にアクアチム軟膏1%とアズノール軟膏0.033%を塗布する。(院内方針院内、2026-10-28に診療担当者が明示)。アクアチムは局所抗菌、アズノールはびらん保護を目的として使い、全身抗菌薬・支持療法も並行する。電子添文は各薬の適応・用法・安全情報の出典であり、当院の併用方針そのものの出典ではない。[5,6]

アクアチムは低出生体重児・新生児・乳児・幼児を対象とした有効性・安全性の臨床試験がない。使用の必要性を個別に判断し、原則感受性を確認して必要最小限の期間にとどめる。両剤とも成分への過敏症既往には使用せず、眼科用には使用しない。塗布後の刺激・発赤・接触皮膚炎が疑われたら再評価する。[5,6]

塗布部位はSSSSの患部とし、量・回数・期間は個別指示に従う。混合調剤・混合比・塗布順序は今回の指示に含まれないため新たに設定しない。必要に応じて非固着性被覆などで摩擦を避ける。[2,8]

出典・確認情報

最終根拠確認: 2026-10-23。小児科医による逐条レビュー、院内採用品・用量と皮膚科相談経路の確認後に公開を判断する。全身抗菌薬の固定用量は未設定。

臨床医が迷う場面
皮膚の培養が陰性で、CEZを続けてよいか迷うときは?

SSSSは離れた感染源の毒素で発症し、剥離面から菌が出ないことがある。鼻腔・咽頭・眼脂などの感染源、採取時期、抗菌薬前投与を確認する。培養陰性だけで中止せず、皮膚痛と新規剥離、全身状態の推移から診断と抗菌薬を再評価する。

出典:CHOP SSSS診療経路(海外施設) / 日本化学療法学会ほか MRSA感染症GL2024

全身抗菌薬を始めても皮膚痛・剥離が進む。薬を追加する?

MRSAリスク、培養・感受性、投与状況に加え、TENなど別病態、脱水、感染源の持続を見直す。抗菌薬の無条件な併用より皮膚科・感染症担当へ早めに相談する。腎機能悪化があれば補液と薬剤曝露を評価し、VCM使用時はTDMで調整する。

出典:CHOP SSSS診療経路(海外施設) / 日本化学療法学会ほか MRSA感染症GL2024

皮膚がむけている間は、点滴抗菌薬と外用抗菌薬を続ける?

落屑の残存だけで全身抗菌薬を延長せず、新規剥離、圧痛、発熱、飲水・内服可能性で経口移行を検討する。当院ではSSSSの患部にアクアチム軟膏1%とアズノール軟膏0.033%を塗布する。外用の継続期間は患部の状態を見て指示し、混合調剤・混合比・塗布順序は今回の指示に含まれない。

出典:CHOP SSSS診療経路(海外施設) / 日本化学療法学会ほか MRSA感染症GL2024 / PMDA アクアチム軟膏1% / PMDA アズノール軟膏0.033%

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