12-16尿検査の読み方
定性・沈渣・培養を採り方から読み分ける
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-27
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 尿は当直で最も安く・速く・多くを教える検査。発熱源不明の乳幼児、意識障害、脱水、黄疸、腹痛、けいれん——この全部で出す価値がある。
- 当直帯に出せるのは定性(試験紙)まで。沈渣は夜間に見られないため、白血球エステラーゼ・亜硝酸塩・蛋白・潜血・糖・ケトン・比重で組み立てる。
- 導尿はできる。これが夜のいちばん大事な手札。抗菌薬を始める前にカテーテル尿を採っておけば、培養だけは翌日に生きる。
- 培養に使えるのはカテーテル尿・中間尿だけ。パック尿(採尿バッグ尿)はコンタミネーションが多く培養診断には使わない。
- 乳児では亜硝酸塩が当てにならない。膀胱内滞留時間が短いため偽陰性になりやすい。
判断の流れ
拡大して見る ↗2鑑別のながれ
- 赤い尿→潜血陽性だが沈渣に赤血球がない→ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿(溶血・横紋筋融解)を考える
- 尿蛋白陽性→変形赤血球・赤血球円柱を伴う→糸球体性(腎炎)を考える
- 尿糖陽性→ケトンも陽性→糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を疑う。糖陰性でケトンのみなら飢餓性
- 沈渣白血球5/HPF以上→白血球エステラーゼは陽性のことが多いが、亜硝酸塩は感度が低く(乳児ではさらに偽陰性になりやすい)陰性でも否定できない→尿路感染症を疑って尿培養を行う
3検査
- 白血球エステラーゼまたは亜硝酸塩のいずれか陽性で「尿定性陽性」とみなし培養へ進む
- 白血球反応・亜硝酸塩ともに陰性はLR0.20(95%CI 0.16〜0.26)。新鮮尿(採取後1時間以内)で両者陰性ならUTIの可能性は低いが確実な除外にはならない
- 尿蛋白は試験紙で判断せず、尿蛋白/尿Cr比(早朝尿で0.15以上を陽性)で評価する
- 沈渣:赤血球5/HPF以上で評価、白血球5個/HPF以上で尿路感染症を疑って尿培養(沈渣は当直帯に出ない。夜は白血球エステラーゼで代える)
- 尿カルシウム/尿Cr比0.25超は高カルシウム尿症、尿β2ミクログロブリン/尿Crは幼稚園0.5・小学生0.35・中学生以降0.30μg/mgCr以下を目安
- ビリルビン:直接ビリルビンの上昇は胆汁うっ滞(黄疸の精査へ)
- pH:反復する結石・成長障害があれば尿細管性アシドーシスを疑う
- 早朝尿の採り方:前夜の激しい運動を避け就寝直前に排尿、起床してすぐ前彎負荷の体位を避けて採尿、出始めを避けて中間尿を採る
4対応の注意
避けること・注意:パック尿で細菌が出たことをもって培養診断に使う。乳児で定性陰性のみをもってUTIを否定する。抗菌薬を出してから培養を採る。女児の白血球尿を、外陰部炎・帯下の混入を除外せずにUTIと決めつける(外陰部洗浄・中間尿採取で確認してから判断する)。蛋白1+のみで精査を急ぐ(発熱・運動・脱水による一過性のことが多く、落ち着いてから早朝尿で再検すれば足りる)。
5帰宅・入院の目安
- 入院蛋白3+以上・低アルブミン血症(ネフローゼ症候群)(初発かつ全身状態が安定している場合。再発や不安定な場合は専門施設へ)、赤血球円柱+高血圧(尿量が保たれている典型例)(急性糸球体腎炎)(初発かつ全身状態が安定している場合。再発や不安定な場合、乏尿・無尿を伴う場合は専門施設へ)
- 搬送・紹介尿糖2+以上・多飲多尿でDKAを疑う場合:血糖・ケトン・血ガスで確認し、DKAが濃厚なら送る(当院では持てない)、ネフローゼ症候群で循環血漿量減少性ショック(初期輸液のみ当院、その先は持てない)・血栓症/腹膜炎の疑い・腎生検適応(血尿・高血圧・腎機能低下・低補体・1歳未満発症)があれば持てない、急性糸球体腎炎で高血圧性脳症(降圧開始のうえ搬送)・無尿/著明な乏尿を伴う急性腎障害・高カリウム血症の透析適応・肺水腫の人工呼吸/透析適応・腎生検適応(低補体遷延・ネフローゼ域蛋白尿)があれば持てない、学校検尿の3次検査で異常があれば小児腎臓科へ紹介する
6Q&A
- 定性が陰性ならUTIは否定できる?
- 乳児では否定できない。亜硝酸塩は膀胱内滞留時間が短いため偽陰性になりやすい。
- パック尿の定性が陽性ならそのまま抗菌薬を始めてよい?
- だめ。カテーテル尿で採り直してから治療判断をする。
- 尿が濃いから脱水と言える?
- 比重だけでは決まらない。臨床所見と合わせて判断する。
7家族への説明
おしっこの検査は、体の中でいま何が起きているかを、いちばん早く教えてくれる検査のひとつです。ばい菌がいないか、腎臓が傷んでいないか、脱水になっていないか、糖が出ていないかを、一度に調べられます。赤ちゃんの場合、おむつに貼る袋で採った尿は雑菌が混じりやすいため、ばい菌の種類を調べる検査(培養)には使えません。その場合は、細い管を尿道から入れてきれいな尿を採らせていただくことがあります。また、たんぱくを正確に見るには朝いちばんの尿が必要です。前の晩は激しい運動を避け、寝る直前におしっこをして、朝は起きたらすぐ、腰を反らさずにそっとトイレへ行き、出始めではなく途中の尿を採ってください。
詳しい根拠・出典は 本文の出典欄を参照。
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