9-8 停留精巣・陰嚢水腫

緊急

9-8停留精巣・陰嚢水腫

病態・根拠
このページの目次9項目

1精巣の位置と水腫は別に確認する

停留精巣は下降が完了していない精巣、移動性精巣は挙睾反射により上がるが陰嚢へ誘導でき一時的にそこに留まる精巣である。出生時に陰嚢内だった精巣が後に上がることもある。陰嚢が小さい・空に見える場合、左右を診察し、過去に触れた位置と経過を確認する。[1]

陰嚢水腫は精巣周囲等の液体貯留で、腹膜鞘状突起の開存による交通性では大きさが変動する。腸管等が脱出する鼠径ヘルニアと区別し、水腫を認めても精巣自体の位置を確認する。[2]

2診察と検査の意義・限界

暖かく落ち着いた環境で触診し、陰嚢へ誘導した時の位置・保持、精巣の大きさと左右差を記録する。停留精巣の評価は病歴・診察が中心で、紹介前に画像で場所を確定する必要はない。超音波で見えないことは腹腔内精巣がない証明にならず、画像を待って専門紹介を遅らせない。[1]

水腫と思われる腫瘤でも、性状が不確か、精巣が触れない、他の精巣病変が疑われる場合は超音波等を専門診療で検討する。透光することだけを全腫瘤の安全保証にしない。[2]

3緊急性と紹介時期

痛み、発赤、嘔吐、硬く戻らない鼠径部腫脹は、無痛性水腫・慢性停留精巣の予約紹介とは分け、精巣捻転や嵌頓ヘルニアを考え当日外科評価へつなぐ。両側非触知や外性器の非典型所見は、内分泌・性分化の評価を含む専門相談が必要になる。[1][2]

EAUは生後6か月以降の自然下降は期待しにくいとし、修正月齢を考慮して12か月、遅くとも18か月までの精巣固定を推奨する。これは欧州GLの推奨であり、当院では手術を行わず、国内の小児泌尿器科・小児外科へ早期に紹介して計画を確認する。移動性精巣は治療不要でも二次上昇の確認を続ける。[1]

4観察を選ぶ時の説明

乳児の合併症のない水腫は自然軽快を期待して観察できる場合があるが、ヘルニアや精巣病変が疑わしければ早い手術を検討する。成人水腫と同じ穿刺吸引・硬化療法を安易に行わない。再診で精巣位置と腫瘤・疼痛の変化を確認し、停留精巣術後も将来の自己認識と専門フォローにつなぐ。[1][2]

5出典・適用範囲

現行EAU小児泌尿器GL2026の2章を確認。国内学会の旧リンクは取得不良で本文を再確認できず、国内の手術時期として断定していない。薬剤・性分化評価の具体手順は国内専門診療で決める。 確認日:2026-10-23。

6臨床医が迷う場面

7陰嚢に精巣が触れない。まず超音波を予約する?

暖かく落ち着いた環境で診察し、触知部位と陰嚢へ誘導できるかを記録する。画像だけでは腹腔内精巣の有無を確定できず、専門紹介を遅らせない。両側非触知や外性器の非典型所見がある新生児は、性分化・内分泌の評価も含め早急に相談する。

根拠:EAU Paediatric Urology:停留精巣

8移動性精巣と言われたら以後の診察は不要?

陰嚢内へ誘導でき安定するかを確認し、精巣が上昇していないか成長に合わせて再診する。以前触れていたことだけで停留精巣を除外しない。陰嚢へ戻らない、位置や大きさが変わる場合は泌尿器科へ再紹介する。

根拠:EAU Paediatric Urology:停留精巣

9痛みのない停留精巣なら学童まで手術を待てる?

生後6か月を過ぎて下降しない例は、自然下降を長く待たず専門科で手術時期を決める。妊娠週数、両側性、位置と合併所見を共有する。鼠径部の急な痛みや腫脹、嘔吐は予定手術の相談ではなく捻転・嵌頓として即時評価する。

根拠:EAU Paediatric Urology:停留精巣

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