11-8 甲状腺(機能亢進・低下)

緊急

11-8甲状腺(機能亢進・低下)

病態・根拠
このページの目次10項目

1ホルモンの変化と小児の症状

バセドウ病ではTSH受容体抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモン過剰による頻脈、発汗、振戦、体重減少が起こる。小児では成長加速、集中困難や学業の変化も手がかりになる。甲状腺機能低下では活気・成長・神経発達への影響があり、乳児は症状がそろう前の発見と治療が重要となる。[1][2]

2検査を組み合わせる理由

TSHとFT4、必要に応じFT3を併せて評価する。原発性機能亢進では高いホルモン値と抑制されたTSH、原発性低下では低いホルモン値と高いTSHが手がかりになる。一方、視床下部・下垂体に原因がある低下では、TSHだけの判断で見逃し得る。新生児スクリーニング正常歴があっても、成長・発達や臨床所見に懸念があれば再評価する。[1][2]

甲状腺腫、TRAbなどは原因の評価に使う。検査値を年齢、症状、服薬、母体の甲状腺疾患やヨード曝露等と合わせて解釈し、単独の値だけで薬剤を変更しない。[1][2]

3治療の目的と紹介

機能亢進は過剰分泌を抑え、機能低下は不足するホルモンを補い、循環・代謝と成長発達を守るため治療する。特に乳児の低下疑いは検査結果や症状を専門医に速やかに共有し、通常の長期予約で待たせない。外科・放射線治療や長期薬物管理の選択は小児内分泌で相談する。[1][2]

4抗甲状腺薬服用中の発熱・咽頭痛

無顆粒球症を疑う重要な症状であり、かぜとして次回外来まで服薬継続を指示しない。原因薬を中止し、血算・好中球評価と専門医の緊急指示につなぐ。当院の当直帯は自動分画が出ないため、総白血球数が保たれていても否定できない。感染症状と全身状態を評価し、搬送・感染治療の判断を並行する。[1][3]

5継続評価

症状だけでなく脈拍、体重・身長、学習・活動、服薬と副反応、検査推移を確認する。強い頻脈に心不全や意識の変化が加わる場合は、通常の甲状腺外来ではなく急性期・集中治療と連携する。家族へは受診が必要な薬剤副作用の症状と、夜間の連絡経路を具体的に伝える。[1][3]

6出典・適用範囲

[1][2]は国内小児内分泌学会の疾患解説、[3]は厚生労働省の重篤副作用対応マニュアル。薬剤量・採血間隔は症例と最新専門指針・添付文書で決める。先天性の資料を後天性低下の全治療へ一般化しない。 確認日:2026-10-23。

7臨床医が迷う場面

8抗甲状腺薬内服中に発熱した。抗菌薬だけ出してよい?

咽頭痛・発熱では無顆粒球症をまず除外する。抗甲状腺薬を止めて処方医へ連絡し、血算・好中球の緊急評価につなぐ。当直帯に分画が出ない当院では白血球総数だけで否定せず、検査可能な専門施設へ相談する。感染症として薬を追加するだけで待たない。

根拠:日本小児内分泌学会 バセドウ病 / PMDA 抗甲状腺薬による無顆粒球症

9動悸が減ったので、抗甲状腺薬を中止できる?

症状軽快と寛解は同じではない。甲状腺機能、抗体、服薬期間、副作用を処方医が評価して調整する。当院は新規開始・増減を行わず、飲み忘れや残薬を確認して専門外来へ引き継ぐ。動悸が再燃しても自己増量せず、発熱・意識変化があれば救急評価する。

根拠:日本小児内分泌学会 バセドウ病 / PMDA 抗甲状腺薬による無顆粒球症

10薬を飲み始めた児に、次の外来まで何を伝える?

発熱・咽頭痛など無顆粒球症を疑う症状と、服薬中止・速やかな連絡手順を説明する。開始初期は定期的な血液検査が必要で、検査予約と結果確認先を明確にする。学校活動は甲状腺機能が改善するまで負荷を調整し、処方医と再開時期を決める。

根拠:日本小児内分泌学会 バセドウ病 / PMDA 抗甲状腺薬による無顆粒球症

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