10-11 失神・一過性の意識消失

緊急

10-11失神・一過性の意識消失

病態・根拠
このページの目次12項目

1失神は脳血流の一過性低下として考える

失神は姿勢保持が失われる短い意識消失で、通常は自然に速やかに回復する。反射性失神では疼痛・恐怖・長時間立位などを契機に血管拡張や徐脈が起こり、起立性の病態では体位変化後の循環調整が追いつかない。心原性では不整脈、流出路狭窄、心筋症等により心拍出が急に落ちうる。病歴だけで良性を確定せず、心電図と危険な場面を確認する。[1][3]

2発症場面が病型を分ける

立位での暑さ・長時間起立、痛みや採血、眼前暗黒感・冷汗・吐き気の前駆症状は反射性を支持する。運動中に倒れた、臥位で発症、前駆症状なく急に倒れた、胸痛・動悸を伴った場合は心原性を優先する。運動「直後」の迷走神経反応と、運動「中」の失神は意味が異なるため目撃者に正確に聞く。[1][2][3]

3目撃者から取る時系列

本人は意識消失中を説明できない。倒れる前の姿勢・運動・症状、顔色、最初に力が抜けたか、けいれん様運動の開始時刻と長さ、呼吸、完全回復までの時間を聞く。短いミオクローヌスは失神でも起こる一方、長い発作後混迷、局在徴候、繰り返す発作はてんかん等を考える。低血糖・中毒・貧血/出血も評価し、「けいれんのように見えた」だけで心臓を外さない。[1]

4家族歴と既往歴の質

若年突然死だけでなく、原因不明の溺死・単独事故、既知の不整脈・心筋症・突然死の家族歴を確認する。本人の先天性心疾患、川崎病後冠動脈病変、心筋炎、運動時胸痛・息切れ、服薬・QT延長薬を聞く。家族歴の陰性は遺伝性不整脈を除外しない。[2][3][4]

5心電図は必須だが一枚で終わらない

RCHは小児失神で少なくとも一度の12誘導心電図を勧める。リズム、PR/QRS/QT、前興奮、伝導障害、肥大・ST-T変化を年齢基準と臨床背景で読む。自動測定値は参考であり異常を上級医と再確認する。発作間欠期に心電図が正常な不整脈もあるため、運動中発症や家族歴などの危険な病歴があれば正常ECGでも小児循環器へ相談する。[1][2]

6起立性・反射性と心原性の管理の分岐

全身状態安定、典型的な誘因・前駆症状、速い完全回復、心電図に懸念なし、家族歴や胸痛・動悸なしの場合は反射性/起立性として水分・生活指導と再診を考える。しかし運動中・臥位・前駆なし、胸痛・動悸、突然死の家族歴、心疾患、心電図異常なら外来で長期の起立性管理へ直行しない。運動制限、監視の要否と心エコー・Holter等を受入先と決める。[1][2][3]

7当院から搬送するときの境界

意識が戻らない、継続する不整脈、ショックはその場で蘇生と監視を始める。心原性が疑わしい児は当院夜間に心エコー・Holterがないため、検査予約を搬送の前提にしない。受入先には発症が運動中か直後か、姿勢、前駆、回復までの時間、家族歴、心電図原本と血糖、目撃者の動画を伝える。[1][2]

8出典

9臨床医が迷う場面

10心電図が正常なら、運動中の失神でも体育を許可できる?

正常な一枚だけでは心原性を除外できない。運動中の発症、胸痛・動悸、家族の突然死を確認し、小児循環器で評価するまで強い運動再開を安易に許可しない。反射性失神に見えても危険な病歴を優先し、検査と復帰判断を専門医につなぐ。

出典:RCH 小児失神(海外指針) / RCH 小児心電図の解釈(海外)

11倒れたときに手足が動いた。てんかん薬を始める?

失神でも短いけいれん様運動が起こり得る。姿勢、誘因、前駆症状、皮膚色、持続と回復の速さを確認し、心電図も評価する。動きだけでてんかんと決めず、意識回復が遅い・反復するなどの所見に応じて小児神経・循環器へ相談する。

出典:RCH 小児失神(海外指針) / RCH 小児心電図の解釈(海外)

12反射性らしい失神が繰り返す。薬を出す前に何をする?

水分・食事、睡眠、暑熱や長時間立位との関係を確認し、前駆症状があれば座る・横になる対応を教える。貧血や脱水などを病歴から評価し、頻回で生活に支障がある場合は専門評価へ進む。新たな胸痛や運動時発症は以前の良性診断に固定しない。

出典:RCH 小児失神(海外指針) / RCH 小児心電図の解釈(海外)

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