2-8 急性副鼻腔炎

緊急

2-8急性副鼻腔炎

病態・根拠
このページの目次15項目

1一目でわかるフロー

受診(鼻汁・湿性咳嗽・鼻閉などの感冒様症状)
        │
        ▼
① レッドフラグ評価(眼窩内・頭蓋内合併症の兆候)
   眼瞼腫脹/発赤・眼球運動障害・複視・眼球突出・視力低下・
   高熱+強い頭痛/嘔吐/意識障害・前頭部腫脹 → あれば②③(臨床診断・重症度病型判定)を省略し緊急対応へ直行
        │ なし
        ▼
② 臨床診断(画像は原則不要)
   問診で「いつから鼻汁/咳が続いているか」を確認し、AAP 3パターンで判定
     (a) 持続型:鼻汁または日中の咳が10日以上、改善なく遷延
     (b) 増悪型:感冒がいったん軽快後、再増悪 or 新規の発熱・鼻汁・咳
     (c) 重症型:39℃以上の発熱+膿性鼻汁が3日以上同時に持続
   ウイルス性上気道炎(かぜ)・アレルギー性鼻炎との鑑別も同時に行う
        │
        ▼
③ 重症度・病型判定(日本鼻科学会スコアリング:鼻漏+不機嫌・湿性咳嗽+鼻汁/後鼻漏の性状量)
   軽症(1-3) / 中等症(4-6) / 重症(7-8)
   年齢因子:2歳未満・保育園児は耐性菌リスクが高く重症化しやすい
        │
        ▼
④ 検査(原則不要)
   合併症疑い時のみCT(眼窩・頭蓋内)を検討。単純X線・鼻汁培養は日常的には不要
        │
        ▼
⑤ 治療
   軽症        → 鼻処置+抗菌薬非投与で5日間経過観察(wait & watch)
   中等症以上   → 鼻処置+アモキシシリン(AMPC)常用量 5日間
   5日後に改善なし → 高用量AMPCまたは他系統薬へ変更
        │
        ▼
⑥ 再診・紹介判断
   5日間の経過観察/治療で無効 → 再評価・薬剤変更
   眼窩内/頭蓋内合併症の兆候出現 → 即日、眼科・耳鼻咽喉科(必要時脳神経外科)へ緊急紹介・入院
   難治例(複数回治療でも無効)→ 耳鼻咽喉科紹介(上顎洞穿刺洗浄等の適応判断)

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2レッドフラグ(見逃し厳禁)

急性副鼻腔炎の合併症は眼窩内合併症と頭蓋内合併症が主体で、小児は成人より眼窩内合併症を起こしやすい(篩骨洞の急性炎症からの波及が多い)。頭蓋内合併症は10歳代・男児に多く、前頭洞の急性炎症から波及することが多い[1]。以下があれば精査・緊急紹介・入院を検討する。

  • 眼窩内合併症を疑うサイン(眼瞼蜂窩織炎〜眼窩蜂窩織炎〜眼窩骨膜下膿瘍〜眼窩膿瘍のスペクトラム)
  • 眼瞼腫脹・発赤(片側性、急速進行)
  • 眼球運動障害・複視
  • 眼球突出(proptosis)、結膜浮腫(chemosis)
  • 視力低下、相対性求心性瞳孔異常(RAPD)
  • → 網膜・視神経は短時間の循環障害で不可逆な障害を受けうるため、視力障害の出現は緊急事態。眼科医の診断と、早期の副鼻腔手術・眼窩減圧術の適応判断が必要[2][1]
  • 頭蓋内合併症を疑うサイン(硬膜外膿瘍・硬膜下膿瘍・脳膿瘍・髄膜炎・海綿静脈洞血栓症)
  • 高熱の持続+強い頭痛・嘔吐
  • 意識障害、項部硬直、痙攣
  • 前頭部の腫脹・波動(Pott's puffy tumor:前頭骨骨膜下膿瘍)
  • → 発症から診断までの時間が長いほど予後不良。診断にはCT(疑えばMRIも)が有用[1]
  • 上記いずれかを認めたら:入院のうえ抗菌薬の点滴静注(起炎菌不明期は広域スペクトラム・髄液移行の良い薬剤)を開始し、眼窩内・頭蓋内合併症は手術療法(ドレナージ等)の適応も含め専門科(眼科/耳鼻咽喉科/脳神経外科)へ緊急連携する[1]

3重症度・病型の判定

AAPの臨床診断3パターン(画像を使わず病歴だけで判定できる設計)[2]

パターン定義
持続型(persistent)鼻汁または日中の咳嗽が10日以上、改善なく続く
増悪型(worsening course)感冒がいったん軽快したのち、鼻汁・咳嗽・発熱が再増悪または新規出現
重症型(severe onset)39℃以上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも3日間連続して同時にみられる

表は横にスクロールできます →

日本鼻科学会スコアリング(小児):臨床症状(鼻漏、不機嫌・湿性咳嗽:各0/1/2点)+鼻腔所見(鼻汁・後鼻漏の性状・量:0/2/4点、鼻腔所見は診断的価値が高いため2倍配点)を合計し重症度を判定する[1]。

合計スコア重症度
1〜3軽症
4〜6中等症
7〜8重症

表は横にスクロールできます →

  • 発熱38.5℃以上の持続、顔面腫脹・発赤、血液検査での強い炎症所見がみられる場合は合併症を疑い画像診断を検討する[1]。
  • 年齢因子:2歳以下の乳幼児は他年齢層より耐性菌(PRSP・BLNARなど)検出率が高く、より重症と考えて治療・細菌検査を行う[1]。5歳以下は肺炎球菌・インフルエンザ菌の保菌率が高い年齢層でもある。
  • 病型としては、ウイルス性鼻炎(感冒)に続発する「ウイルス性鼻副鼻腔炎」は軽症が多く自然軽快するが、「細菌性鼻副鼻腔炎」は重症化しやすく早期の抗菌薬治療を要する、という整理が背景にある[1]。

4検査

  • 必要:
  • 問診(発症からの日数・症状パターン・既往:中耳炎/アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎歴・保育園状況・直近1か月以内の抗菌薬使用歴)と鼻腔・咽頭の視診(外鼻孔・鼻橋のただれ、鼻腔所見、後鼻漏の有無)が診断の中心[1][2]
  • 合併症(眼窩内・頭蓋内)を疑う場合のみCT(推奨グレードB)[1]
  • 不要・過剰になりがち:
  • 画像検査はウイルス性上気道炎との鑑別に寄与しないため、合併症を疑わない限り不要(AAP:明確に非推奨)[2]。日本鼻科学会も「画像診断は鼻内所見の評価を優先した上で行うことが望ましい(推奨グレードC1)」とし、単純X線(Waters法)は特に6歳以下では補助診断にすぎないとする[1]
  • 臨床的に副鼻腔炎を疑われていない例でもCTで副鼻腔の粘膜肥厚が高率に見られる(=CT所見は特異度が低く、過剰診断につながりやすい)[1]
  • 鼻汁の細菌培養は日常臨床では通常不要(起炎菌の決定が困難なことが多い)。難治例・重症例で治療方針変更を検討する際の参考情報として行う程度[1]

5治療

  • 第一選択:
  • 軽症:鼻処置(鼻汁吸引)を優先し、抗菌薬は投与せず5日間の経過観察(推奨グレードB)。5日後に改善なければ抗菌薬投与へ移行[1]
  • 中等症以上:鼻処置+ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリン、AMPC)を常用量で5日間投与。AMPCの小児常用量の考え方は20〜40mg/kg/日を3〜4回に分服(JRS2024版:抗菌薬の全投与期間は5日間を原則とし、臨床効果を見ながら変更、全投与期間は7〜10日間。用量の考え方・添付文書との対応は§6参照)。急性副鼻腔炎に対するAMPC単剤の処方は、AMPC自体は本邦で鼻副鼻腔炎への薬事適応を取得していないが、社会保険診療報酬支払基金の審査情報提供事例244号(平成24年3月16日新規、JRS 2010年版ガイドラインを参考資料として引用)により審査上認められている[1][4]
  • AAPの整理では、増悪型・重症型は抗菌薬を初診時から開始、持続型(10日ルール該当)は抗菌薬投与または3日間の追加経過観察のいずれかを選択できる[2]
  • 2024年のメタ解析(RCT6件、対象患者の合計例数はアブストラクトに記載がなく未確認)では、抗菌薬投与群で治療失敗の相対リスクが41%減少した一方、下痢の発生率は非投与群の1.6倍高かったと報告されている。同メタ解析の結論は「副鼻腔炎の自然経過が良好なため、待機的観察も治療選択肢として支持しうる」であり、軽症〜中等症での「まず経過観察」という設計自体は現時点でも妥当とされている(AAP/IDSAの用量・期間の基本方針を覆す新知見ではない)[7]
  • 抗菌薬投与期間はJRS(2010)と国際GLで設計思想が異なる点に注意:JRSは常用量5日間投与→無効なら高用量/他剤へ切替という「短期投与→再評価」プロトコルを採る[1]のに対し、AAP(2013)は「10〜14日間、または症状消失後7日間の長い方」を目安とし[2]、IDSA(2012)も小児は10〜14日間(成人は5〜7日間)を推奨する[3]。本文のアルゴリズムはJRSの5日間再評価プロトコルに準拠しており、国際GLの投与期間をそのまま適用するものではない。院内プロトコルとして5日間短期法を採用する場合も、この違いを保護者説明・他科連携時に混同しないこと
  • 国際的な考え方として、中等〜重症、2歳未満、集団保育児、直近1か月以内の抗菌薬使用歴、耐性菌流行地域などリスクの高い児では、初診時から高用量アモキシシリン・クラブラン酸(アモキシシリン成分80〜90mg/kg/日+クラブラン酸6.4mg/kg/日、1日2回分服)を検討するという整理がある[3][2]。この用量比(アモキシシリン:クラブラン酸 ≒ 14:1)は国内では「クラバモックス小児用配合ドライシロップ」相当の高比率専用製剤で初めて成立する。国内で流通する標準比率の配合剤(オーグメンチン等、アモキシシリン:クラブラン酸 ≒ 2:1)を用いてアモキシシリン90mg/kg/日を作ろうとすると、クラブラン酸が過量(下痢等の消化器症状増加のリスク)となるため使用してはならない。標準比率製剤で高用量アモキシシリンを狙う場合は、国内の実務同様「配合剤(常用量)+アモキシシリン単剤(サワシリン等)追加」で成分量を分けて調整する(いわゆるオグサワ処方に準じる考え方)のが安全である[5][6]。日本の検出菌サーベイランスでも肺炎球菌の耐性化(PRSP/PISP)とインフルエンザ菌のBLNAR化が進んでおり、耐性菌リスクを踏まえた用量選択の重要性は共通する[1]
  • 第二選択・無効時:
  • 常用量5日間投与で改善なしの場合:AMPC高用量、または経口セフェム系(セフジトレン/セフカペン/セフテラム等)高用量へ変更し5日間投与。それでも無効なら経口カルバペネム系(テビペネム)常用量、または他剤への変更を薬剤感受性を考慮して行う[1]
  • ペニシリンアレルギー時の代替:国際的なガイドラインでは、非I型アレルギーの場合クリンダマイシン+第3世代経口セフェム(セフィキシム/セフポドキシム等)の併用が選択肢とされる[3]。国内での実際の採用薬・使用経験は施設ごとに差があるため院内確認が必要(§6参照)
  • 重症・改善不良例では上顎洞穿刺洗浄も治療選択肢に含まれる(耳鼻咽喉科紹介が前提)[1]
  • やってはいけない/非推奨:
  • 軽症例への抗菌薬の安易な投与(耐性菌増加につながる。ウイルス性上気道炎の大半は無治療でも自然軽快)[1][2]
  • 10日未満の遷延(=AAPの3パターンいずれにも該当しない時期)での抗菌薬投与判断。感冒の自然経過との区別がつかないまま投与すると過剰治療になりやすい[2]
  • 合併症を疑わない例への画像検査での「確定診断」化(特異度が低く偽陽性が多い)[1][2]
  • 経口カルバペネム系の安易な第一選択使用(「よく効くから」という理由での早期使用は不適正使用として明確に戒められている)[1]

6再診・帰宅指導・保護者説明

  • 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
  • 5日間の経過観察・治療中に症状が悪化する(高熱の再燃、機嫌の悪化、鼻汁量の急増、睡眠が妨げられるほどの咳)
  • まぶたの腫れ・赤み、物が二重に見える、目が動かしにくい、視力が落ちた感じがある → その場合は経過観察日を待たずすぐ受診
  • 強い頭痛や嘔吐を伴う、ぐったりして反応が悪い
  • 抗菌薬開始後5日たっても改善がみられない
  • 経過の見通し・登園/登校の目安:
  • 軽症の多くはウイルス性で、鼻処置のみで数日のうちに自然軽快する経過をたどることが多い[1]
  • 抗菌薬が奏功する中等症以上でも、改善の実感までに数日を要することを事前に説明しておく
  • 「薬をもらえなかった」という不満への対応として軽症時も“安心用”の抗菌薬を持たせておく運用(遅延処方 delayed prescribingに類する考え方)について、出典[1]の全文をテキスト照合したが、「遅延処方」「安心」「念のため」に該当する記載は存在しないことを確認した(出典: 日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版・追補版2013 全文照合, 確認日 2026-09-25)。起草時のAI補足解釈であり、JRSの明示的推奨ではないと確定してよい。院内配布資料にはこの一文を含めないこと。
  • 急性副鼻腔炎自体は学校保健安全法上の出席停止対象疾患ではないため、解熱し全身状態が良好であれば登園・登校の目安は感冒に準じる(施設ごとに運用差がある)
  • 紹介・入院の閾値:
  • §1のレッドフラグ(眼窩内・頭蓋内合併症の兆候)を認めたら即日、眼科・耳鼻咽喉科(頭蓋内合併症疑い時は脳神経外科も)へ紹介し、入院・画像検査・抗菌薬静注を前提に動く[1]
  • 中等症〜重症の治療アルゴリズムで複数回(AMPC常用量→高用量→他剤)薬剤を変更しても改善しない難治例は耳鼻咽喉科へ紹介(自然口開大処置・上顎洞穿刺洗浄の適応判断)[1]
  • 乳幼児で経口摂取不良・脱水傾向、または合併症を伴う場合は入院治療を考慮[1]

7院内ローカルルール

  • 決定:AMPC小児用量の整理=JRS2024版の第一選択は1日45〜90mg/kg(1回15〜30mg/kg×3回)。本文の20〜40mg/kg/日は添付文書の通常量そのもの。45〜90mg/kg/日は添付文書が認める年齢・症状による増量域(上限90mg/kg/日)の内で、適応外ではない。
  • 確定(2026-09-14 確認):当直帯に院内の眼科はいない。緊急CTも撮れない。眼窩内合併症を疑ったら院内に手段が無い=そのまま送る。小児鎮静プロトコルは要確認
  • 決定:疑った時点で画像検査(CT/MRIが可能な施設)を伴う搬送を原則とし、連携先を明文化する(論点:頭蓋内合併症疑い時の脳神経外科連携先・搬送基準)

8出典(日本のGL優先・URL+版年)

  • [1] 一般社団法人日本鼻科学会.急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版・追補版(2013)パブリックコメント用暫定版(旧URL https://plaza.umin.ac.jp/jrs/pdf/as_guideline_demo_20140224.pdf は2026年9月時点でリンク切れ。archive: https://web.archive.org/web/20251214234001/https://plaza.umin.ac.jp/jrs/pdf/as_guideline_demo_20140224.pdf)。日本鼻科学会公式サイトの刊行物一覧を確認したところ、後継として「鼻副鼻腔炎診療の手引き」(日本鼻科学会会誌第63巻第1号、発行日:令和6年4月2日)が刊行済みで、これが現行の公式ガイドラインである(オンライン版: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/63/1/63_1/_article/-char/ja)。本シートの詳細リファレンスは2010/2013年の旧ガイドラインに基づく。2024年版(鼻副鼻腔炎診療の手引き・日鼻誌63巻1号)で照合済みで、重症度スコア・5日間プロトコルの骨格は変更なし(確認日 2026-09-26。各論第1章V治療・第4章IV治療)。
  • [2] American Academy of Pediatrics, Subcommittee on Management of Sinusitis and Committee on Quality Improvement. Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of Acute Bacterial Sinusitis in Children Aged 1 to 18 Years. Pediatrics. 2013;132(1):e262-e280. https://publications.aap.org/pediatrics/article/132/1/e262/31288/ (2013年版。以降の公式改訂の有無は運用前に要確認。関連する新しいエビデンス総括として Pediatrics 2024;153(5):e2023064244「Antibiotics for Acute Sinusitis in Children: A Meta-Analysis」あり)
  • [3] Chow AW, Benninger MS, Brook I, et al. IDSA Clinical Practice Guideline for Acute Bacterial Rhinosinusitis in Children and Adults. Clinical Infectious Diseases. 2012;54(8):e72-e112. https://doi.org/10.1093/cid/cis370 (ペニシリンアレルギー時の代替薬・治療期間の考え方の出典。原文で確認:小児ABRS「より長い10~14日の治療期間がなお推奨される」、成人「未複雑なABRS成人患者の推奨治療期間は5~7日」。IDSA公式サイトが2026年9月時点でも本ガイドラインを現行版として掲載しており、以降の公式改訂は確認されなかった)(出典: Clinical Infectious Diseases 2012;54(8):e72-e112 本文, IDSA公式サイト, 確認日 2026-09-25)。
  • [7] Conway SJ, Mueller GD, Shaikh N, et al. Antibiotics for Acute Sinusitis in Children: A Meta-Analysis. Pediatrics. 2024;153(5):e2023064244. PMID 38646685. https://publications.aap.org/pediatrics/article/153/5/e2023064244/197126/ (2026-08-01 PubMedアブストラクト(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38646685/)をWebFetchで直接確認。「Analysis of 6 included studies showed that antibiotic treatment reduced the rate of treatment failure by 41%」「Children treated with antibiotics were 1.6 times more likely to have diarrhea」「favorable natural history...could also support close observation without immediate antibiotic treatment」を逐語確認。対象患者の合計例数はこのアブストラクトには記載なく未確認。AAP(2013)の付随エビデンス更新であり、アルゴリズム本体の推奨を変更するものではない)
  • [4] 社会保険診療報酬支払基金. 審査情報提供事例(医薬品)244「アモキシシリン水和物」(感染症9・耳鼻咽喉科11). https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/teikyojirei/yakuzai/no600/jirei244.html (平成24年3月16日新規。アモキシシリン水和物内服薬の急性副鼻腔炎への処方を審査上認める事例。参考資料として日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版」を引用。2026-08-01 WebFetchで内容確認済み)
  • [5] クラバモックス小児用配合ドライシロップ 添付文書・くすりのしおり(クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物配合、比率≒14:1). 用法用量:クラバモックスとして96.4mg(力価)/kg/日(アモキシシリン水和物90mg/kg+クラブラン酸カリウム6.4mg/kg)を1日2回に分けて経口投与。https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=17618 (高用量アモキシシリン・クラブラン酸の用量根拠となる専用比率製剤。[要確認] 2026-08-01にWebFetchで再取得を試みたがヘッダーのみ返却され本文の用法用量・比率数値は本URLからは直接確認できなかった。比率の数値自体は[6](fizz-di.jp)経由で独立に確認済みのため事実関係は問題ないが、本URLがその数値を直接裏付けているかは未確認。運用前に添付文書原本での本人二次確認を推奨)
  • [6] オーグメンチン配合錠/配合ドライシロップの配合比率(アモキシシリン水和物:クラブラン酸カリウム≒2:1)に関する解説。標準比率製剤で高用量アモキシシリンを狙うとクラブラン酸過量になるため、国内臨床では配合剤常用量にアモキシシリン単剤を追加する運用(オグサワ処方)が用いられる。https://www.fizz-di.jp/archives/1062065885.html (2026-08-01 WebSearchで確認。一次資料である添付文書での比率確認は運用前に要)

9臨床医が迷う場面

10黄色い鼻汁が続く。抗菌薬が必要な細菌性副鼻腔炎?

鼻汁の色だけでは決めない。改善しない鼻汁・日中の咳が10日を超える、いったん改善して再び悪化する、39℃以上の発熱と膿性鼻汁が3日以上続く、という経過を確認する。さらに国内の重症度スコアと合併症を評価する。このページの院内方針では軽症は鼻処置を行い5日間観察し、中等症以上で抗菌薬を検討する。

根拠:AAP 2013 小児急性細菌性副鼻腔炎:診断、72時間の再評価、合併症 / 日本鼻科学会:鼻副鼻腔炎診療の手引き2024

11抗菌薬の3日目に鼻汁が残る。増量すべき?

残っていても減っている症状と、全く改善しない・悪化する症状を分ける。AAPは72時間で改善しない場合の再評価を推奨するが、これは自動的な増量指示ではない。服薬状況、用量、診断と合併症を確認する。院内の予定評価は5日後としつつ、悪化時や改善の兆しが乏しい場合は早めに再診し、所見に応じて変更する。

根拠:AAP 2013 小児急性細菌性副鼻腔炎:診断、72時間の再評価、合併症

12薬を替え続ける前に、何を見直す?

投与量・飲めているか・直近の抗菌薬歴に加え、アレルギー性鼻炎など非感染性の原因や構造的な問題を再評価する。不応例では耐性菌も考えるが、薬を順番に試すだけにしない。適切な治療でも不応・反復する場合は耳鼻科に相談し、必要な検体採取や内視鏡評価を依頼する。

根拠:IDSA 2012:副鼻腔炎の治療不応と培養・紹介

13治りきらないからCTや鼻汁培養を全員に出す?

単純な急性副鼻腔炎の確定にCTを用いない。鼻咽腔の培養は副鼻腔内の原因菌を正確に反映せず、その結果だけで広域薬へ替えない。適切な初期治療に不応で原因菌の確認が必要なら、耳鼻科と相談して採取方法を選ぶ。眼窩内・頭蓋内合併症を疑う場合の画像は別扱いで、検査可能な施設へ送る。

根拠:AAP 2013 小児急性細菌性副鼻腔炎:診断、72時間の再評価、合併症 / IDSA 2012:副鼻腔炎の治療不応と培養・紹介

14まぶたが腫れた。内服の増量で翌日まで待てる?

眼球運動時痛・運動制限、複視、眼球突出、視力低下、強い頭痛、意識変容、けいれんを確認する。これらや急速な眼周囲腫脹があれば合併症として即日紹介する。当院の当直帯はCTが撮れないため、画像を待つための経過観察にしない。眼科・耳鼻科、必要に応じ脳神経外科が対応できる施設へ相談する。

根拠:AAP 2013 小児急性細菌性副鼻腔炎:診断、72時間の再評価、合併症

15抗菌薬の5日分が終わる。鼻汁がゼロになるまで延長する?

このページの5日は院内の再評価を伴う処方単位であり、すべての患児の総治療期間を5日と固定する意味ではない。症状が改善しているか、発熱や痛みが残るかで終了・継続・診断の見直しを判断し、残存鼻汁だけで漫然と延長しない。IDSA 2012は小児で10〜14日を推奨しており、国内運用と混在させず担当医が総期間を決める。

根拠:IDSA 2012:副鼻腔炎の治療不応と培養・紹介 / 日本鼻科学会:鼻副鼻腔炎診療の手引き2024

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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