12-11処置時の鎮静・鎮痛
腰椎穿刺・導尿・浣腸・ルート確保での安全な鎮静
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-27
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 3つの原則。1. 鎮静は自然睡眠と全く異なる。2. 鎮静の深さは「一連のもの」である。3. どの鎮静薬も危険である。
- 鎮静は「薬の選択」の話ではなく「体制」の話。共同提言は薬剤名も投与量も一切書いていない。書いてあるのは説明と同意・患者の評価・緊急時のバックアップ体制・経口摂取の制限・患者の監視・終了後のケアと覚醒の確認の6項目。
- 鎮静担当医は監視から外れない。処置をする人と監視する人は別。
- 2-4-6ルール:清澄水2時間、母乳4時間、人工乳あるいは固形物は6時間前。経口摂取の制限は検査終了後、覚醒を確認するまで継続する。
- まず「鎮静しないで済まないか」を考える。鎮静薬を使用しなければより安全な検査となる。
- 当院は院内軽度〜中等度鎮静(意識下鎮静)までが対象。深い鎮静・全身麻酔相当は麻酔科・専門施設へ。対象処置は腰椎穿刺・導尿・浣腸・ルート確保(院内方針院内)。
判断の流れ
拡大して見る ↗2検査
- 鎮静を始める前に止まる条件:ASA分類III以上、消化管の狭窄や機能障害・気道介入が必要、経口摂取の制限が守れていない、緊急性が高くかつ誤嚥の危険性も高い、監視に専念できる人がいない
- 絶飲食(2-4-6ルール):清澄水2時間、母乳4時間、牛乳・粉ミルク・人工乳・軽食は6時間
- 監視:鎮静薬投与前の患者評価、最終飲食時刻・気道症状・禁忌事項・直前バイタルの確認、パルスオキシメーターによる持続監視、鎮静中の監視内容の記録
- 緊急時のバックアップ体制:人員の事前配置、酸素・吸引の配管または近接配置、人材が手薄な時間帯(夜間・休日)のバックアップ体制を事前に定める、救急カートと拮抗薬の準備
- 終了後のケア:覚醒確認まで監視する医師または看護師を配置し、パルスオキシメーターを装着し続ける
3対応の注意
避けること・注意:痛い処置に鎮静薬だけを使う(鎮静は痛みを取らない)。寝かせるために経口摂取させてから鎮静薬を投与する(2-4-6ルールに反する一定時間の投与禁止に触れる)。
4当院で鎮静を行うときのチェックリスト
- その検査・処置は今夜必要か。翌日に体制を整えて行えないか
- 保護者に説明し、同意を得たか(有害事象の危険性と、検査と鎮静の必要性)
- 患者の評価:ASA分類、気道(いびき・扁桃肥大・上気道炎)、既往、アレルギー、前回の鎮静歴
- 最終飲食時刻と2-4-6ルールの適合
- 監視に専念する人がいるか(処置者と別に)
- パルスオキシメーター(と可能ならカプノメーター)が装着されているか
- 酸素・吸引・バッグバルブマスク・年齢に合った気道デバイス・救急カート・拮抗薬がその場にあるか
- 夜間のバックアップ(応援を呼べる人)が誰か決まっているか
- 記録用紙(5分おきのバイタル)を準備したか
- 覚醒を確認する場所と担当を決めたか
- 帰宅の条件を決めたか(誰が最終確認するか)
やってはいけない・落とし穴
- ASA分類III以上なのに、上級医・麻酔科医への相談なしに始める(症状が安定するまで延期する)
- 消化管の狭窄・機能障害や気道介入が必要な患者で、誤嚥リスクの評価を省く
- 経口摂取の制限が守れていないまま鎮静薬を投与する(2-4-6ルールに照らして一定時間あける)
- 緊急性・誤嚥の危険性がともに高いのに気管挿管下での鎮静を計画しない
- 監視に専念する人や緊急時の体制がないまま始める(その場でしない。体制のある施設へ)
5帰宅・入院の目安
- 搬送・紹介ASA分類III以上は経験のある上級医または麻酔科医に相談してから、判断がつかなければ延期・搬送する、気道の異常(いびき・扁桃肥大・上気道炎の最中)は鎮静のリスクが上がる。延期または体制のある施設へ、誤嚥リスクが高くかつ緊急(気管挿管下での鎮静が要る=持てない)、深い鎮静が必要な長時間の検査(体制のある施設へ)
6Q&A
- 自然に眠らせるためにミルクを飲ませてから鎮静薬を使ってよい?
- だめ。自然睡眠を誘導するために経口摂取を行った場合は、2-4-6ルールに照らして鎮静薬を一定時間投与してはならない。
- 処置をする医師が同時に監視してよい?
- だめ。患者監視に専念する人が必要で、処置者と監視者は別にする。
- 検査が終わればすぐ帰宅させてよい?
- だめ。覚醒を確認するまでが鎮静であり、パルスオキシメーター装着と監視を継続する。
7家族への説明
検査や処置のあいだ、お子さんが動かないように眠くなるお薬を使うことがあります。ただし、これは自然な眠りとは違います。呼吸が浅くなったり、気道がふさがったりすることがあるため、お薬を使っているあいだと、しっかり目が覚めるまで、専任の者が付いて酸素の値を見続けます。その安全のために、検査の前に食事と飲み物を止めていただきます(お水やお茶は2時間前まで、母乳は4時間前まで、ミルクや食事は6時間前まで)。寝かせるために直前に飲ませてしまうと、かえって危険なので、必ず最後に飲んだ時刻を教えてください。検査が終わっても、目がしっかり覚めたことを確認してからお帰りいただきます。
詳しい根拠・出典は 本文の出典欄を参照。
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