9-10尿細管障害・尿細管性アシドーシス
にょうさいかんしょうがい・RTA・Fanconi・Bartter
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 成長不良、筋力低下、反復脱水、結石/腎石灰化、くる病、原因不明の代謝性アシドーシスを手がかりにする。[1][2]
- Fanconiでは血糖に見合わない尿糖、尿中P/重炭酸/アミノ酸等の複数の喪失、成長不良やくる病を手がかりに、近位尿細管全体の障害を疑う。[1]
- 筋力低下/麻痺、不整脈または重いK異常:心電図と循環を評価し、監視下の電解質対応を小児腎臓科と直ちに相談する。[1]
- RTAの代謝性アシドーシスでは病型に応じたアルカリ療法を用い、補充中もKを追う。[1][2] Bartter/Gitelman等の塩喪失性アルカローシスでは塩分・K/Mgの喪失補充と脱水時の対応を小児腎臓科と決め、同じアルカリ補充を機械的に用いない。[3][4]
2鑑別のながれ
- 代謝性アシドーシス→低Kと不適切な尿酸性化→遠位/近位RTAを病型評価する。[1][2]
- 代謝性アシドーシス→高K、薬剤やアルドステロンの背景→4型RTAを含め評価し、低K型の補充を機械的に用いない。[1]
- 低P/くる病+尿糖→血糖と合わない尿糖と複数溶質の尿中喪失→Fanconiを疑い近位尿細管の原因疾患/薬剤を評価する。[1]
- 低K+代謝性アルカローシス→低〜正常血圧、腎性塩喪失、低Mg/尿Caのパターン→RTAと区別してBartter/Gitelmanや嘔吐・薬剤性を小児腎臓科へ相談する。[3][4]
3検査
- 血液ガスと血清電解質、血糖・腎機能、同時の尿pH/電解質・尿糖等を確認し、腎外性の原因も除外する。[1]
- 結石や腎石灰化では尿酸性化障害を評価する。先天性では遺伝や聴覚の評価を病型に応じ追加する。[2]
- アルカローシスでは嘔吐・下痢の性状と利尿薬等の曝露、尿Cl/K・尿Ca、Mg、血圧を確認し、RTAのアシドーシスと区別する。発症時期や単一所見だけで病型を確定せず、小児腎臓科で遺伝・追加検査を判断する。[3][4]
4対応の注意
避けること・注意:全てのRTAを低Kと決めつけない。4型は高Kを伴い得る。尿pH単独で診断せず血液の状態と併せて読む。[1]。
↑ このページの入口へ5初期対応と継続管理
初期対応
- RTAの代謝性アシドーシスでは病型に応じたアルカリ療法を用い、補充中もKを追う。[1][2] Bartter/Gitelman等の塩喪失性アルカローシスでは塩分・K/Mgの喪失補充と脱水時の対応を小児腎臓科と決め、同じアルカリ補充を機械的に用いない。[3][4]
フォローと再評価
- 電解質・酸塩基、尿Ca/尿pH、腎エコー、身長を継続評価し、聴覚関連病型は聴力も追う。[2]
- 塩喪失型は成長・血圧、脱水時症状とK/Mg・腎機能を追い、発熱/嘔吐時の補充と受診計画を専門医と作る。[3][4]
根拠と適用範囲
- NIDDK Renal Tubular Acidosis:RTA病型・Fanconi・治療概念、2020年
- ERKNet/ESPN Distal renal tubular acidosis clinical practice points:2021年専門家提言。遠位RTAに限定
- ERKNet Bartter syndrome consensus extended version:2020作成/2021関連公表。検索取得の実本文で定義・発症/臨床特徴を確認。直接openは403
- KDIGO Gitelman syndrome consensus and guidance:2017年専門家合意。低Kアルカローシス・低Mg/低尿Caと鑑別
6帰宅・入院の目安
- 帰宅安定し経口治療・再検が可能な症例は専門医と外来管理する。[2]
- 入院症候性K異常、重い酸塩基異常、脱水、経口補充不能は入院を検討する。[1][2]
- 搬送・紹介尿細管障害疑いは小児腎臓科へ紹介し、Fanconiや遺伝性疾患・薬剤性を評価する。[1][2]
7診療中の疑問と回答
- 尿pHが高いだけでRTAとしてアルカリを始める?
- 血液の酸塩基とK、腎機能を尿所見と同時に評価し、他の原因を除外する。尿pH単独ではRTAと確定しない。低K型と高Kを伴う4型では補充の考え方が違うため、病型不明のままKを含む製剤を選ばず、小児腎臓科に相談する。
根拠:NIDDK 尿細管性アシドーシス - アルカリ補充で酸血症が改善したら採血間隔を空けてよい?
- 酸塩基だけでなくKと成長、脱水、服薬状況を追う。近位RTAではアルカリ治療中に低Kが強まることがあるため、開始・変更後は専門医の計画で再検する。筋力低下、麻痺、動悸が出た場合は定期外来を待たず、電解質と心電図を評価する。
根拠:NIDDK 尿細管性アシドーシス - 尿糖が出たのに血糖が正常。糖尿病として扱う?
- 正常血糖での尿糖に低P、成長不良、くる病などが重なれば、複数の物質を失うFanconi症候群を疑う。尿糖だけを経過観察せず、酸塩基、K、Pと尿所見、服薬・基礎疾患を整理して小児腎臓科へ紹介する。原因と不足成分を合わせて治療する。
根拠:NIDDK 尿細管性アシドーシス
8家族への説明
腎臓から必要な成分が失われたり酸が残ったりする病気がある。成長を見ながら薬を調整し、自己判断で中止しない。[1][2]
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。