4-9 急性中毒・誤飲(薬・洗剤・たばこ・石油製品)

緊急

4-9急性中毒・誤飲(薬・洗剤・たばこ・石油製品)

病態・根拠
このページの目次10項目

1毒性は物質・製剤・時間で変わる

同じ商品名に見えても成分・濃度・剤形で経過は異なる。初診時に無症状でも吸収が遅い製剤や遅発性臓器障害を起こす物質では危険が残る。原因物質、最大摂取可能量、摂取時刻、体重、症状、併用曝露を確認し、容器・残量・処方情報を使ってリスクを推定する。[1][2]

2蘇生と原因評価を同時に進める

意識、呼吸、循環、けいれん、体温と血糖を先に確認する。曝露歴が不明でも、低血糖、感染、外傷等の鑑別を並行する。瞳孔、発汗、皮膚粘膜、腸蠕動、心拍などの組合せは中毒の型を考える手がかりになるが、一所見で成分を断定しない。発達段階と誤飲の説明が合わない場合は養育・安全の問題も検討する。[2]

3検査は処置を変えるものから

心電図、血糖、酸塩基・電解質、特定薬物濃度などを疑う物質に合わせて選ぶ。スクリーニング用尿薬物検査には検出対象と解釈の限界があり、陰性で中毒全体を除外できない。濃度は採血時刻や製剤によって意味が変わるため、単発の数値を専門相談なしに安全保証として使わない。[2]

4除染・解毒の目的と制約

家庭で吐かせない。石油製品は誤嚥、腐食性製品は粘膜損傷を悪化させるおそれがある。水・牛乳も全誤飲に共通の応急手当ではない。意識や嚥下と原因物質を確認し、日本中毒情報センター等へ相談する。[1]

活性炭や胃洗浄はルーチンに行わず、成分、時間、予想される利益と誤嚥の危険を専門医と検討する。支持療法を中心に、解毒薬・血液浄化や小児集中治療を要する可能性があれば、当院での保有薬・管理能力を確認し受入先へ早期に連絡する。[2]

5観察終了と再発予防

観察時間を全物質一律に決めない。予想される毒性発現時期を過ぎたか、検査や症状が安定したか、家庭の見守りが可能かで個別判断する。意図的摂取は身体の回復だけで帰宅を決めず、本人の安全と心理社会的評価を行う。誤飲例では保管場所や再曝露の可能性を家族と見直す。[1][2]

6出典・適用範囲

[1]は国内の中毒情報専門機関による一般向け対応、[2]は豪州小児施設の初期診療指針。個別物質の致死量や危険な摂取方法、未確認の解毒薬用量は記載しない。相談先は国内の院内手順を使う。 確認日:2026-10-23。

7臨床医が迷う場面

8今は無症状なら、少量の誤飲として帰せる?

薬名だけでなく規格、残量、最大摂取可能量、時刻、徐放製剤かを確認する。少量でも重症化する物質や遅れて症状が出る製剤がある。中毒情報機関と観察時間・必要な検査を決め、無症状の一点だけで安全と判断しない。

根拠:RCH Poisoning - Acute Guidelines(海外指針)

9飲んでから時間が短いので、まず活性炭を入れる?

適応は限られる。気道防御、物質の吸着性、摂取時刻、閉塞・穿孔の可能性を確認し、既存の院内基準と中毒情報機関への相談を満たす場合だけ検討する。意識が落ちる可能性を無視して経口投与せず、搬送や呼吸循環の安定化を遅らせない。

根拠:RCH Poisoning - Acute Guidelines(海外指針)

10本人が少量しか飲んでいないと言う。検査正常なら帰宅?

意図的摂取では量の申告だけで判断せず、併用薬・市販薬も確認し遅発毒性を評価する。医学的観察が終わっても自傷リスク、家庭の安全、精神面の評価が必要である。低毒性の製品でも、帰宅後の安全を確保する計画なしに退院させない。

根拠:RCH Poisoning - Acute Guidelines(海外指針)

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