7-11 扁桃炎・咽頭炎(溶連菌以外)

緊急

7-11扁桃炎・咽頭炎(溶連菌以外)

病態・根拠
このページの目次9項目

1発赤や白苔だけでは病原体は決まらない

咽頭・扁桃の炎症の多くはウイルスによる。粘膜の発赤、扁桃腫大、白苔は炎症を示すが、抗菌薬の必要性を直接示す所見ではない。咳、鼻汁、結膜炎、口腔潰瘍など明らかなウイルス症状を伴う場合は、GAS検査を一律に行う利益は乏しい。[1][2]

2先に除外するのは気道・深頸部感染

流涎、呼吸困難、吸気性雑音、こもった声、開口障害、頸部の腫れ・可動域制限を確認する。単純な咽頭炎より気道や深頸部の病変を疑う場合は、口腔診察を無理に続けず上級医と気道管理・耳鼻科相談を優先する。当直帯に院内耳鼻科がいないため、専門処置を要する兆候があれば院外の受入先へ早く連絡する。[1]

3鑑別と検査の考え方

発熱・咽頭痛のみでウイルスとGASを確実に分けることは難しい。ウイルス所見が明確でない場合は年齢と臨床像からGASの検査を考える。CDCは有症状の3歳以上小児で迅速抗原検査が陰性なら培養による確認を推奨しており、陰性時の方針は採用検査の性能と国内手順に合わせる。陽性例は臨床像と合わせてGASの診療経路へつなぐ。[2]

全身リンパ節腫大・肝脾腫などはEBV、限局する一側腫脹や開口障害は膿瘍の評価へつなげる。脱水・重症感がなければ、血算や炎症反応をウイルス/細菌鑑別のためだけに一律に測定する必要はない。[1]

4治療の目的と帰宅条件

ウイルス性の作業診断では、鎮痛・解熱と飲みやすい水分の確保を行う。抗菌薬はウイルス性症状を早く治す目的では用いない。GAS確認例や深部感染など抗菌治療の対象がある場合は、その疾患の経路と院内採用薬に従う。[1][2]

帰宅前に水分を飲めるか、気道所見がないかを確認する。改善せず嚥下困難が進む、流涎、呼吸症状、頸部腫脹、摂取・尿量低下が現れた時は再評価する。「抗菌薬を出さない」で説明を終えず、予想される経過と再受診条件を具体的に伝える。[1]

5出典・適用範囲

[1]は豪州小児施設、[2]は米国公的指針。豪州の高リスク集団向けリウマチ熱予防策や米国の検査運用を、日本の全小児へ無条件で転用しない。 確認日:2026-10-23。

6臨床医が迷う場面

7扁桃に白苔があるから、抗菌薬を始めてよい?

白苔だけではウイルスと細菌を区別できない。年齢、咳・鼻汁・結膜炎、リンパ節、経過からGASやEBVを検討し、必要な検査を選ぶ。ウイルス性と判断される単純咽頭炎には抗菌薬を一律処方しない。流涎・開口障害・呼吸苦は別の緊急経路で評価する。

出典:RCH 咽頭痛(海外) / CDC GAS咽頭炎診療

8GAS迅速検査が陰性なら、悪化しても再診はいらない?

陰性結果は深頸部感染や他疾患の除外ではない。小児の確認培養は年齢・検査性能・施設方針で判断する。片側の強い痛み、頸部腫脹、嚥下不能、軽快後の再悪化があれば再評価し、追加の抗菌薬だけで対応せず耳鼻科への相談を検討する。

出典:RCH 咽頭痛(海外) / CDC GAS咽頭炎診療

9痛くて飲めない児は、抗菌薬より先に何をする?

気道が安全かを確認し、適切な鎮痛後に飲水できるかを再評価する。尿量、口腔乾燥、循環などから脱水を判断し、飲めない状態が続けば輸液・入院を検討する。唾液も飲み込めず流涎する、呼吸が苦しい場合は飲水を無理に勧めず気道評価を優先する。

出典:RCH 咽頭痛(海外) / CDC GAS咽頭炎診療

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