5-16 肛門周囲膿瘍・裂肛

緊急

5-16肛門周囲膿瘍・裂肛

病態・根拠
このページの目次9項目

1乳児の病態と裂肛を分ける

乳児の肛門周囲膿瘍は肛門腺の感染により肛門近傍に膿がたまり、皮膚側へ排出されると腫れが一時軽くなる。瘻孔が残ると同じ場所から再び排膿することがある。乳児では自然に落ち着く例があり、成人の痔瘻と同じ根治手術の方針を一律に当てはめない。[1][3]

裂肛は硬便などで肛門皮膚が裂け、排便時痛と鮮血を生じる病態である。痛みで便を我慢し、さらに便が硬くなる循環を断つ必要がある。膿を伴う腫瘤と、排便で痛む線状の傷を分けて診察する。[2]

2診察と鑑別の根拠

所見対応の考え方
肛門のすぐ近くの発赤・腫脹、排膿膿瘍・痔瘻を考え、膿の貯留と全身状態を評価する。[1][3]
排便に一致する痛みと便表面の少量鮮血裂肛を確認し、便秘の原因と便の性状を評価する。[2]
年長児の持続・再発、多発する病変乳児の自然軽快型と同じ説明で終えず小児外科で原因評価する。[1][3]
発熱、周囲へ広がる炎症、摂取や活気の低下局所のケアのみで待たず、急性期評価・外科相談へ進む。[3]

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3検査と処置の選び方

典型的な表在病変は視診と全身状態の評価が中心になる。診断のために強い圧迫や反復する器具操作を行わない。大きく張った膿瘍では切開排膿を要する場合があるが、処置を持たない当院では小児外科に相談する。画像・採血は深部病変や全身感染などを疑う時に専門科と選択する。[1][3]

4治療とフォロー

清潔な洗浄と排便後のケアを基本とし、乳児の小さな局所病変へ抗菌薬を一律投与しない。公開されている国内施設資料でも抗菌薬・排膿の方針には違いがある。強い炎症や全身症状は別に評価し、局所処置の要否と合わせて判断する。[1][3]

裂肛は便を軟らかく保つ治療と痛みへの配慮を行う。出血が便に混じる、量が増す、排便と無関係に続く場合は裂肛のみで説明しない。家族には乳児痔瘻の再排膿が直ちに治療失敗とは限らない一方、発熱・腫脹拡大・全身状態の悪化は再受診が必要と伝える。[1][2][3]

5出典・適用範囲

[1][3]は国内小児外科施設の解説で、治療方針の幅がある。[2]は英国小児専門病院の裂肛解説。漢方や抗菌外用を一律の標準処方として追加していない。 確認日:2026-10-23。

6臨床医が迷う場面

7硬便のあと少量の鮮血。裂肛として何を調整する?

肛門の裂傷と便性状、排便時痛を確認し、便を軟らかく保って痛みからの排便我慢を断つ。出血の量が増える、軟便でも続く、腹痛・下痢・成長不良を伴う場合は裂肛だけと決めず別の腸疾患を評価する。

根拠:GOSH Anal fissure・小児肛門症状 / 北野病院小児外科 肛門周囲膿瘍(乳児痔瘻)

8肛門の赤い腫れを外用だけで追ってよい?

発熱、活気低下、波動、周囲へ広がる発赤を確認する。膿瘍は塗り薬だけでは解決しないことがあり、当院では切開排膿をせず小児外科へ紹介する。自宅で絞るよう指示せず、若年乳児の全身症状や急速な悪化は即日評価する。

根拠:GOSH Anal fissure・小児肛門症状 / 北野病院小児外科 肛門周囲膿瘍(乳児痔瘻)

9何度も同じ場所が腫れる乳児では何を確認する?

排便と局所の経過を記録し、痔瘻を含め小児外科で評価する。通常の乳児痔瘻の経過だけに当てはめず、年長での発症、複数病変、潰瘍・皮垂、下痢や成長不良は炎症性腸疾患・免疫異常の評価を相談する。

追加根拠:CPS 小児皮膚軟部組織感染(反復性肛門周囲膿瘍)

根拠:GOSH Anal fissure・小児肛門症状 / 北野病院小児外科 肛門周囲膿瘍(乳児痔瘻)

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