3-10 卵巣腫瘍茎捻転(女児の急性腹症)

緊急

3-10卵巣腫瘍茎捻転(女児の急性腹症)

病態・根拠
このページの目次10項目

1痛みが間欠的でも急ぐ理由

卵巣・卵管がねじれると静脈還流の障害、浮腫、さらに動脈灌流の障害へ進む。突然の片側下腹部痛と嘔吐は典型的だが、痛みが出たり軽くなったりすることもある。小児・思春期では腫瘤のない卵巣にも起こるため、既知の卵巣嚢腫がないことは除外根拠にならない。[1]

2鑑別と本人への配慮

虫垂炎、尿路疾患、消化管疾患、月経関連痛等を鑑別する。妊娠の可能性がある場合は妊娠関連の緊急疾患も評価するが、問診は本人のプライバシーと安全に配慮して行う。痛みの強さに比して腹膜刺激が乏しい場合でも否定しない。診断のために小児へ一律の内診を強いる必要はない。[1][2]

3画像と検査の限界

経腹超音波は卵巣の左右差、腫大、浮腫、腫瘤・腹水を評価する。ドプラで動脈血流を認めても、二重血流や間欠的な捻転などにより捻転は残り得る。炎症反応や尿所見にも確実な除外能力はない。臨床的疑いが強い時は、画像の完全な確定を待たず手術可能な婦人科・小児外科へ相談する。[1][2]

4治療目的は臓器機能の温存

疑い例は絶食、鎮痛、必要な補液を行い、速やかに手術判断へつなぐ。ACOGは可能な限り捻転解除と付属器温存を推奨しており、術中の色だけで不可逆性を断定しない。これは紹介先の手術方針の説明に役立つが、当院で保存的に経過を見る理由にはならない。[1]

5当直帯の接続と説明

当院では超音波も緊急婦人科・小児外科手術も当直帯に前提としない。発症時刻と痛みの変動、嘔吐、月経・妊娠評価、バイタル、実施した鎮痛・輸液を伝えて搬送を調整する。家族には確定前でも卵巣の血流を守るため早い専門評価が必要と説明する。疼痛が一時軽くなっても紹介を取り消さない。[1][2]

6出典・適用範囲

両資料は海外の専門学会/小児施設。主に思春期の資料であり、乳幼児の検査方法や手術は小児外科と個別調整する。米国の未成年同意法制・処方は転用していない。 確認日:2026-10-23。

7臨床医が迷う場面

8片側の強い腹痛がいったん治った。捻転は否定できる?

捻転と自然整復で痛みが断続的になることがある。突然の片側痛、嘔吐、腫瘤の既往を確認し、改善だけで帰宅させない。初経前でも起こり得るため、疑った時点で小児外科・婦人科へ相談し、画像待ちの遅延を避ける。

根拠:RCH 思春期女児の下腹部痛 / ACOG Adnexal torsion in adolescents:Dopplerの限界・温存

9超音波で血流が見えたら手術評価は不要?

卵巣血流が見えても捻転を完全には除外できない。症状と卵巣腫大・形態などを合わせ、疑いが高ければ専門外科評価を続ける。当直に超音波ができない当院では、検査できる翌朝まで待たず受入先へ連絡する。

根拠:RCH 思春期女児の下腹部痛 / ACOG Adnexal torsion in adolescents:Dopplerの限界・温存

10発症から時間が経っていれば温存は難しいので急がない?

経過時間だけで卵巣温存不能とは判断しない。迅速に専門施設へつなぎ、捻転解除と温存の可否を手術所見を含めて判断してもらう。妊娠可能性がある児では妊娠反応と子宮外妊娠も並行評価するが、転送を不必要に遅らせない。

根拠:RCH 思春期女児の下腹部痛 / ACOG Adnexal torsion in adolescents:Dopplerの限界・温存

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