7-13滲出性中耳炎
watchful waiting・抗菌薬は推奨しない
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 鼓膜の病的変化がなければ発症から3カ月間は経過観察を推奨。聴力・発達・生活への影響を評価し、当院で聴力検査ができなければ初診で耳鼻科へ紹介。
- 抗菌薬は推奨しない。急性中耳炎と同じ扱いにしない。
- 痛がらない・熱が出ない。「聞こえが悪い」「呼んでも振り向かない」「テレビの音が大きい」で気づかれる。
- チューブ適応は3カ月以上遷延する両側性で、①鼓膜の病的変化 ②良聴耳30 dB超 ③OME関与が疑われる言語・学業・行動・前庭・活動性・不快感・QOLの問題。発達障害による症状と区別する。
2経過観察と紹介の分かれ目
| 経過観察でよい | 発症3カ月未満・鼓膜に病的変化なし(当院で聴力検査ができる場合) | 当院で経過観察できる。再評価の日を決める |
|---|---|---|
| 耳鼻科へ紹介(強く推奨) | 鼓膜のアテレクタシスや癒着などの病的変化(内陥・耳小骨の破壊) | 経過観察の対象から外れる。チューブ留置の適応 |
| 耳鼻科へ紹介(推奨) | 3カ月以上遷延する両側性+良聴耳の聴力30 dB超 | チューブ留置の適応。25〜30 dBは適応をより慎重に検討 |
| 耳鼻科へ紹介(要精査) | 一側性で成人・年長児、鼻閉・鼻出血を伴う | 上咽頭の器質的病変を除外する必要がある。経過観察の対象から外れる |
| 最初から耳鼻科へ | ダウン症・口蓋裂 | 通常の経過観察の枠で扱わない |
| 耳鼻科と適応相談 | 3カ月以上の両側性でOME関与が疑われる発達・生活・QOLの問題 | 聴力閾値だけで判断せず、OMEとの関係と他の原因を評価 |
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3検査
- 鼓膜を必ず見る。耳垢で見えないなら見えるようにしてから判断する。
- 液体貯留の所見(透見される液面・気泡、色調変化、可動性低下)と病的変化(内陥・癒着・耳小骨の透見)を探す。
- 片側か両側かを記録し、鼻・咽頭(鼻副鼻腔炎の合併・アデノイド)も見る。
- ティンパノメトリーは中耳の状態を見る検査。正常・異常の結果だけで聴力や感音難聴の有無を決めず、年齢に応じた聴力検査を行う。
4対応の注意
避けること・注意:OMEだけに抗菌薬を使わず、ティンパノメトリーを聴力検査の代わりにしない。国内外で薬物推奨が異なるため、未確認の採用薬・自己通気を指示しない。
↑ このページの入口へ5帰宅・入院の目安
- 帰宅発症3カ月未満・鼓膜に病的変化なし、かつ当院で聴力検査ができる場合:経過観察できる。再評価の日を決める
- 搬送・紹介鼓膜の病的変化がある:耳鼻科へ紹介、3カ月以上遷延する両側性:聴力評価とチューブ留置の適応判断が要る、一側性で成人・年長児、鼻閉・鼻出血を伴う:上咽頭の器質的病変を除外するため耳鼻科へ紹介、当院で聴力検査ができない:初診で耳鼻科へ紹介、ダウン症・口蓋裂:最初から耳鼻科へ
6診療中の疑問と回答
- 3か月観察とは何もせず待つこと?
- 鼓膜所見と聴力、言語・学業・生活への影響を記録し、再診日を決めて追う。痛みがないことは聴力正常を意味しない。当院で聴力検査ができなければ初診で耳鼻科へ紹介し、発達への影響が大きい例や鼓膜変化は早めに相談する。
根拠:小児滲出性中耳炎診療GL2022 - 中耳の水を抜くため抗菌薬を続ける?
- 滲出性中耳炎そのものに抗菌薬を漫然と使わない。急性中耳炎や副鼻腔炎の合併があれば、その病態を別に判断する。聞こえが改善しないことだけで抗菌薬を変更せず、持続期間・聴力と鼓膜の状態からチューブなどの適応を耳鼻科と検討する。
根拠:小児滲出性中耳炎診療GL2022 - 片側だけの滲出性中耳炎も同じ経過観察でよい?
- 年齢と経過、鼻閉・鼻出血などを確認する。年長児で一側性が続く場合は上咽頭病変などの原因を耳鼻科で評価する。両側例でも口蓋裂やダウン症、発達上のリスクがある児は一般的な待機期間だけに依存せず早期に連携する。
根拠:小児滲出性中耳炎診療GL2022
- 抗菌薬を出してよいか?
- 推奨しない。ただし鼻副鼻腔炎を合併している場合はマクロライド系少量長期投与療法が別途検討される。
- 良聴耳の聴力が25〜30 dBならどうする?
- チューブ留置を行ってもよいが、適応をより慎重に検討すべきとされる。
- 3カ月は何もせず待つ?
- 聴力、鼓膜、言語・園学校生活と再評価日を確認する。影響が大きければ早く相談し、聴力を測れない当院では初診紹介の院内方針院内に従う。
8家族への説明
耳の奥に水がたまっている状態です。痛みや熱は出ないので気づきにくく、聞こえの悪さで見つかることが多い病気です。多くは自然に治るので、まず3か月は様子を見るのが標準的な方針で、抗菌薬は使いません。鼓膜の形、聞こえ、言葉や生活への影響によっては耳鼻科で処置を検討します。様子を見る間も、呼んでも振り向かない・テレビの音が大きい・言葉の遅れが気になる、といった変化があれば早めに教えてください。
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