3-6 胆汁性嘔吐・中腸軸捻転(腸回転異常症)

緊急

3-6胆汁性嘔吐・中腸軸捻転(腸回転異常症)

病態・根拠
このページの目次10項目

1捻転が血流障害を起こす理由

腸回転異常では腸管固定の異常により腸間膜の付着部が狭くなり、中腸が上腸間膜動脈を軸にねじれやすい。通過障害に血流障害が加わると腸管虚血・壊死へ進む。画像確定だけを目的に待つと、救済できる腸管を失うおそれがある。[1]

2症状をどう読むか

胆汁性嘔吐は暗緑色かを家族と確認する。黄色い胃液とは区別するが、色の聴取に時間をかけて外科相談を遅らせない。新生児・乳児の緑色嘔吐は、腹部膨満が目立たず一時的に元気に見えても閉塞を除外するまで外科的に扱う。血便、腹膜刺激、循環不良は進行した障害を疑う所見であり、出現を待つ診断ではない。[1][2]

3鑑別と検査の役割

幽門狭窄は典型的には無胆汁性嘔吐で、胆汁性嘔吐の説明に置き換えない。感染性胃腸炎でも嘔吐は起こるが、下痢のない嘔吐では閉塞、頭蓋内疾患などを再検討する。制吐薬で止まったことも重症疾患の除外にならない。[2]

上部消化管造影と超音波は腸管の位置・通過や血管を取り巻く腸間膜を評価する検査であり、緊急性と施設の経験で選ぶ。単純X線で明らかな閉塞像がないことだけでは除外できない。循環が悪い場合は検査より蘇生と外科的対応を優先し、安定例の追加検査も受入外科と相談する。[1]

4当院での初期治療と搬送

経口摂取を止め、循環評価、静脈路、必要な輸液と胃管減圧を進める。目的は脱水・ショックと誤嚥を防ぎ、手術可能施設に安全につなぐことである。当直帯の当院には超音波・CTも緊急手術もない。疑った時点で小児外科へ連絡し、検査を翌朝行うために院内で留める計画は取らない。[1][2]

5引継ぎと説明

嘔吐開始時刻と色、腹痛・腹満、血便、循環・尿量、胃管排液、輸液と反応を伝える。家族には胃腸炎との最終的な区別より先に、「腸の血流が悪くなる閉塞を早く除外する必要がある」と説明する。[1][2]

6出典・適用範囲

[1]は国内学会GL2023詳細版の本文をHTTP公開URLで確認。[2]は豪州小児施設の嘔吐経路。各画像の感度・特異度や死亡率をすべての施設・年齢へ一律に当てはめない。 確認日:2026-10-23。

7臨床医が迷う場面

8緑色の嘔吐が1回だけで、今は元気でも待てる?

胆汁性の緑色嘔吐は、腸閉塞が除外されるまで外科的緊急疾患として扱う。色が曖昧なら写真や色の例を用いて確認する。反復や腹満を待たず、絶食と全身評価を行い、小児外科へ連絡する。当直帯に確定画像ができない当院では搬送相談を先行する。

根拠:RCH 小児の嘔吐

9制吐薬で吐かなくなれば中腸軸捻転を除外できる?

嘔吐が止まったことは重い原因の除外にならない。胆汁性であった経過、痛み、血便、循環と腹部所見を再確認する。薬への反応を帰宅基準にせず、閉塞疑いが残る場合は小児外科での評価へつなぐ。ショックや血便があれば緊急搬送を急ぐ。

根拠:RCH 小児の嘔吐

10下痢がない乳児の嘔吐を胃腸炎として帰してよい?

嘔吐だけの場合は胃腸炎以外の原因を積極的に見直す。胆汁性なら閉塞、非胆汁性の噴水状嘔吐なら幽門狭窄などを考え、月齢、哺乳、尿量、体重と全身状態で評価する。腹部が平坦でも安心とせず、外科疾患を疑う経過では専門科へ相談する。

根拠:RCH 小児の嘔吐

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