12-13 髄液検査(腰椎穿刺)

緊急

12-13髄液検査(腰椎穿刺)

細菌性髄膜炎の確定診断・脳ヘルニア徴候の除外
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30

日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。

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1ポイント

判断の流れ

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腰椎穿刺:神経所見・呼吸循環・出血リスクから安全性を評価し、抗菌薬を遅らせない判断図
新規巣症状・瞳孔異常・重度/進行意識低下等ではLPを延期。抗菌薬・安定化・専門相談を先行し、危険因子が解消するまで穿刺しない。NICE NG240:LP安全性と治療の順序を参照。

2鑑別のながれ

3髄液所見の目安(正常値と細菌性・ウイルス性髄膜炎)

正常(新生児・乳児)髄液初圧100mmCSF、細胞数は新生児22/mm³以下・生後0〜8週30/mm³以下・生後8週以降5/mm³以下(乳児は8/mm³以下とする表記も併記あり)、蛋白20〜170mg/dL、糖34〜119mg/dL年齢・検体条件と臨床像で判断。正常範囲だけで髄膜炎を除外しない
正常(学童以上・成人)髄液初圧50〜180mmCSF、細胞数5/mm³以下、蛋白45mg/dL以下、糖45〜80mg/dL年齢・検体条件と臨床像で判断。正常範囲だけで髄膜炎を除外しない
ウイルス性髄膜炎細胞数100〜1,000/mm³、蛋白50〜100mg/dL、髄液糖/血糖比0.6超細菌性との区別に用いる
細菌性髄膜炎髄液初圧180mmCSF超、細胞数1,000〜5,000/mm³・多形核球比率80%以上、蛋白100〜500mg/dL、糖40mg/dL以下、髄液糖/血糖比0.4未満抗菌薬を開始し搬送を検討

4検査

5手技の流れ(当院で行う場合・体位/穿刺部位/針/局所麻酔濃度は医学書による一般的な目安)

  1. 神経所見、呼吸循環、けいれん制御、出血リスク、穿刺部感染を確認。安全性が確保できない場合は穿刺を見送る
  2. 同意(目的・起こりうることの説明)
  3. 清潔操作の準備:帽子・マスクを着用し長袖白衣は脱いで手指消毒。消毒液(イソジン)・滅菌綿球・滅菌ガーゼ・滅菌ドレープ・滅菌手袋を用意する
  4. 器具:局所麻酔薬(0.5%または1%キシロカイン)・5mL注射器・26G注射針、穿刺針は新生児・乳児27G/幼児以降23G・25G、圧測定用マノメーター(エクステンションチューブで代用可)と三方活栓、検体採取容器(小分けにして数本)
  5. モニタ装着(SpO2・心拍)。体位で呼吸が止まりうるため抑える人と見る人を分ける。小児は原則術者単独で行わず介助者をつける
  6. 血液培養は治療を遅らせず可能なら投与前に採取
  7. 同時血糖のための採血を忘れない
  8. 体位は左側臥位・膝屈曲位。患者の肩と骨盤(ヤコビー線)を平行かつ処置台に垂直にする。介助者は患者の腹部に膝をつけ腰部を術者側へ突き出すように保持する(新生児・乳児は介助者が腰部と肩部を押さえる)。頭部を過度に前屈させると気道閉塞のおそれがあるため注意する
  9. 穿刺部位はヤコビー線上のL4棘突起(L4/L5が第一選択だが最も刺しやすい位置でよい)。消毒は穿刺部を中心に外側へ、最低2回繰り返す。滅菌ドレープをかけたのち局所麻酔薬を穿刺部周囲に十分浸潤させる
  10. 針は新生児・乳児27G、幼児以降23G/25G。皮膚に垂直に刺入し、通過後は頭側(臍部を狙う感じ)へ傾けて進める。皮膚→皮下組織→棘上靱帯→棘間靱帯→黄色靱帯→硬膜外腔→硬膜→くも膜下腔の順に進む
  11. 清潔操作で穿刺。深さの目安は乳児〜3cm・幼児3.5〜4cm・学童以上5〜7cm。内針を適宜抜いて髄液の流出を確認し、流出がなければ内針を戻してさらに進める(流出が少なければ針を回転させると増えることがある)。血液の混入があれば再穿刺を考慮する
  12. 初圧は体位・鎮静・啼泣等の測定条件と神経所見を合わせて評価する。単一の圧閾値だけで採取継続やグリセオール等の自動投与を決めず、上級医が安全性を再評価し専門施設へ相談する
  13. 髄液を検査項目に応じて採取。分注方法・必要量・容器・保管/提出条件を検査室へ確認し、乳児を含め共通の固定量を置かない
  14. 終圧を測ってから内針を戻して抜針する(内針を戻すほうが穿刺後頭痛の発生が軽減する)。穿刺部を滅菌ガーゼで圧迫し髄液の流出がないか確認してテープで固定する
  15. 穿刺後は仰臥位とし安静を指示する。意識と呼吸を観察する。意識レベルの低下は脳ヘルニアを疑う
  16. 結果を待って抗菌薬を決めるのではなく、細菌性髄膜炎を疑うなら抗菌薬を先に開始する
やってはいけない・落とし穴
  • 神経所見や状態変化を見ず、初圧だけで測定・採取継続や薬剤投与を決める
  • 「髄液所見が軽いから髄膜炎ではない」と判断してしまう(新生児・乳児では成立しない)
  • 培養の採取・保管手順が決まらないまま「抗菌薬の前に採る」が実務にならない
  • 検体を1本にまとめて採り、培養用の量が不足する(1本目は培養・グラム染色用に確保する)

6帰宅・入院の目安

7Q&A

頭部CTを先に撮ってから穿刺してよい?
当直帯はCT/MRI不可。新規巣症状・瞳孔異常・重度/進行意識低下等ではLPを延期し、抗菌薬・安定化・専門施設相談を先行する。危険因子解消と安全性を再評価できた場合にLPを検討。CTだけで安全性を保証できない。
抗菌薬を先に打つと検査が無駄になる?
培養やグラム染色の検出率は下がり得るが、採取で治療を遅らせない。培養は可能な範囲で投与前に採り、抗菌薬と安定化を先行する。LPは危険因子が解消し安全性を再評価できた場合に行う。
初圧が高いときはどうする?
初圧は体位・鎮静・啼泣等の測定条件と神経所見を合わせて評価する。単一の圧閾値だけで採取継続やグリセオール等の自動投与を決めず、上級医が安全性を再評価し専門施設へ相談する
新生児の発熱には、見た目が良くても腰椎穿刺をする?
新生児発熱は見た目が良くても全例フル精査を検討する院内方針院内。ただしLPは安全な場合のみ実施し、危険なら延期して安定化と治療を先行する

8家族への説明

背中から細い針を刺して、脳と脊髄のまわりを流れている液(髄液)を少し取る検査です。髄膜炎かどうかは、この検査でしか確かめられません。細菌による髄膜炎は、早く見つけて早く治療を始めることが結果を大きく変える病気です。検査のあと、頭痛や吐き気が出ることがありますが、しばらく横になっていると軽くなることがほとんどです。まれに検査のあとで具合が悪くなることがあるので、検査後も様子を見せていただきます。なお、検査より先にお薬(抗菌薬)を始めることがあります。これは、検査で治療が遅れることのほうが危ないと判断した場合です。

詳しい根拠・出典は 本文の出典欄を参照。

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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