8-9 歩かない・手足を動かさない(外傷・跛行)

緊急

8-9歩かない・手足を動かさない(外傷・跛行)

病態・根拠
このページの目次10項目

1病態と痛みの場所

跛行は診断名ではなく、疼痛、関節可動域の制限、筋力・神経機能の変化が歩行に現れた所見である。股関節の病変が膝痛として現れるため、訴える部位だけを診て終えない。歩き方を観察し、疼痛の上下の関節、股関節・脊椎・腹部まで診察する。[1]

2鑑別を変える所見

所見の組合せ考える病態と判断
発熱、荷重不能、局所の強い痛み・他動可動域制限化膿性関節炎・骨髄炎を考える。特に関節炎は緊急整形評価が必要。[1][2]
軽微な外傷後の限局圧痛、立たない幼児骨折を検討する。外傷機転が乏しいことや初回画像のみでは否定しない。[1]
夜間痛、体重減少、蒼白・紫斑、複数部位の痛み悪性疾患や全身性炎症を含む評価へ進む。[1][2]
ウイルス感染後、比較的良好な全身状態一過性滑膜炎・筋炎などを考えるが、重篤疾患の所見と経過を確認する。[1]

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3検査の意義と限界

X線は骨折や股関節形態の評価に使うが、正常でも初期の感染性関節炎・骨髄炎を除外できない。炎症反応も感染早期には正常のことがある。超音波の関節液は感染の確定所見ではない。重症感染が疑わしければ、血液培養などを採取し、穿刺・MRI・ドレナージを行える施設へつなぐ。当直帯の当院では超音波・MRIを待つ計画にしない。[1][2]

4治療と紹介を結びつける

まず鎮痛と無理のない保護を行い、改善後の歩行・荷重を再確認する。鎮痛後も荷重できない児は再評価を要する。化膿性関節炎は抗菌薬のみで完結すると考えず、感染源評価と排膿の判断を整形外科に依頼する。敗血症なら穿刺や転送の都合で抗菌薬を遅らせず、培養採取と専門相談を並行する。[1][2]

5外来で追う場合の条件

危険所見がなく、鎮痛後に歩行でき、作業診断と短期再診が決まっている場合に帰宅を検討する。原因不明のまま経過を見る場合は、発熱、疼痛増悪、荷重不能の持続を再受診条件にする。単なる「成長痛」という説明で片側の持続痛や跛行を終わらせない。[1][2]

6出典・適用範囲

いずれも豪州小児施設の診療経路。Kocher基準の個々の確率を当院の除外閾値として採用していない。外科・整形処置が当院でできないという施設制約を優先する。 確認日:2026-10-23。

7臨床医が迷う場面

8発熱と跛行があるが、単純X線が正常なら帰宅できる?

正常X線でも初期の骨・関節感染を除外できない。発熱、関節可動域制限、腫脹、荷重不能があれば化膿性関節炎を考え、緊急に整形外科へ相談する。採血や画像の一項目が正常でも、臨床所見が強ければ帰宅判断の根拠にしない。

根拠:RCH 跛行・荷重不能児

9膝を痛がるときも股関節を診る必要がある?

股関節の痛みが膝に現れることがあるため、訴える場所だけでなく上下の関節、股関節、脊椎、腹部を診る。年長児の荷重不能や股関節可動域制限では大腿骨頭すべり症も考える。痛い脚を歩かせて確認することを繰り返さず、荷重を避けて紹介する。

根拠:RCH 跛行・荷重不能児

10一過性股関節炎として帰宅させた後、いつ見直す?

鎮痛後に歩け、危険所見がなく、再評価の手段があることを確認する。発熱、痛みの増悪、再び歩けない場合は予定日を待たず再診とする。症状が7日を超えて続く場合や診断が不明な場合は、単なる経過延長とせず画像を含む再評価・専門相談へ進む。

根拠:RCH 跛行・荷重不能児

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