11-22 白血病・悪性腫瘍を疑うとき

緊急

11-22白血病・悪性腫瘍を疑うとき

病態・根拠
このページの目次10項目

1病態と症候のつながり

骨髄で白血病細胞が増殖すると正常造血が抑えられ、貧血による易疲労・蒼白、血小板減少による紫斑・粘膜出血、感染に伴う発熱が組み合わさる。骨痛、肝脾腫、リンパ節腫大は浸潤の手がかりになる。白血球数は多い場合も少ない場合もあるため、「白血球が高くない」を除外根拠にしない。[1]

2鑑別を進める順序

発熱だけでなく、出血・骨痛・成長や活動性の変化を併せて確認する。感染後の一過性血球減少と悪性疾患は一回の血算だけでは分けにくい。孤立した異常か複数系統か、前回からの変化、末梢血像と診察所見を合わせて専門医に相談する。正常範囲の値が一つあるだけで、他の異常や持続症状を打ち消さない。[1]

3検査が答えること・答えないこと

血算は異常を拾う入口で、白血病の確定・病型判定には骨髄、免疫学的分類、染色体・遺伝子などの専門検査が必要になる。当院では夜間の鏡検・分画を前提にしない。検査が翌朝になることを患者を帰す理由にせず、状態に応じ院内観察または当日相談・搬送を選ぶ。[1]

治療中の発熱では血算と培養を準備し、感染源と循環・呼吸を評価する。好中球数を測れない時間帯でも、化学療法歴と発熱、悪寒、循環不良があればFNを疑う。白血球総数から絶対好中球数を正確に推定することはできない。[2]

4治療の目的と当院からの接続

未診断例の抗腫瘍治療を独断で始めることと、蘇生・支持療法を始めることは区別する。FNを疑う児の不安定化では、採血結果や搬送を待って感染治療を遅らせない。上級医・血液腫瘍担当と初回の経験的静注抗菌薬を直ちに調整し、搬送と並行して投与できる体制を取る。薬剤は既往培養、院内耐性菌状況、アレルギーと重症度を踏まえて選ぶ。[2]

5再評価と家族説明

帰宅の可否は検査値だけでなく、全身状態と翌回評価の確実性で決める。病型未確定の段階では予後や治療内容を断定しない。症状経過、発熱、出血、摂取・尿量、採血値、治療内容と時刻を紹介先に伝え、家族にも受入先と次の行動を説明する。[1][2]

6出典・適用範囲

[1]は国内の小児白血病の公的解説。[2]は豪州小児施設のFN経路で、発熱定義・投与目標時刻・レジメンを当院の規程に置き換えるものではない。成人のMASCCスコアを小児の帰宅判断へ流用しない。 確認日:2026-10-23。

7臨床医が迷う場面

8リンパ節腫脹と咳があり、横になると苦しい。鎮静してCT?

縦隔腫瘤による気道・循環圧迫を疑う。楽な体位を維持し、鎮静や全身麻酔で悪化する危険を考える。CTや生検のために安易に鎮静せず、麻酔科・小児腫瘍科・集中治療のある施設と直ちに検査と搬送を調整する。

根拠:RCH Oncological emergencies: Mediastinal mass

9腫瘍を疑う呼吸苦に、ステロイドを先に投与する?

ステロイドは腫瘍の縮小で診断に影響し得るため、原則として腫瘍科と相談せず開始しない。ただし切迫する気道・循環障害では救命の対応が最優先となる。体位・酸素化を保ち、必要な緊急処置と診断確保の順序を専門チームと決める。

根拠:RCH Oncological emergencies: Mediastinal mass

10縦隔陰影があるが落ち着いている。後日紹介でよい?

無症状に見えても体位や処置で急変し得る。起坐呼吸、顔・頸部腫脹、失神、酸素化を評価して同日専門科に相談する。検査のために仰臥位を強制せず、診断確定までの観察場所と安全な搬送を決める。

根拠:RCH Oncological emergencies: Mediastinal mass

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