1-6りんご病(伝染性紅斑)
このページの目次11項目
1一目でわかるフロー
受診(発疹の訴え、または健診等で偶発的に発疹を指摘)
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├─ 問診・視診(発疹の分布・進行順序、周囲の流行状況、
│ 基礎疾患〈溶血性疾患・免疫不全〉の有無、
│ 妊娠中の同居家族・保育士等への曝露の可能性)
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①レッドフラグ評価(§1)
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├─ あり → 精査/専門紹介(溶血性疾患・免疫不全での重症貧血兆候、
│ 麻疹疑い、川崎病様所見、遷延する関節炎 等)
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└─ なし
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②重症度・病型判定(§2)
├─ 典型例(両頬紅斑→四肢レース状紅斑、全身状態良好)→ 臨床診断で確定
├─ 関節症状型(学童期後半〜思春期、特に女児)→ 関節痛・関節炎が前面
├─ 基礎に溶血性疾患/免疫不全 → aplastic crisis型(要警戒)
└─ 非典型(発疹前の高熱先行、コプリック斑、サーモン疹の出没等)
→ 鑑別診断へ(麻疹・風疹・薬疹・全身型JIA・SLE、§2参照)
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③検査要否判断(§3)
├─ 典型例・全身状態良好 → 検査不要、臨床診断のみ
└─ 溶血性疾患基礎あり/免疫不全/重症貧血徴候/妊婦曝露あり
→ 血算・網状赤血球数、B19抗体・PCR等を検討
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④治療(§4):対症療法のみ、特異的抗ウイルス薬・ワクチンはない
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⑤再診・帰宅指導・保護者説明(§5)
→「発疹が出た時点でこの子から人にはうつらない」を明確に伝える
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⑥再受診サインあり → 再評価・紹介/なし → 経過観察終了図は横にスクロールできます →
2レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 基礎に溶血性疾患(遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症、サラセミア等)を持つ児での急激な顔色不良・活気低下・頻脈・息切れ → B19は正常な赤血球産生を一時的にほぼ完全に停止させる。赤血球寿命が元々短い溶血性疾患患児ではこれが致命的な急性重症貧血(aplastic crisis/一過性骨髄無形成発作)につながる[4][7][8]。発疹の有無にかかわらず、この既往を持つ児の発熱・倦怠感は必ずaplastic crisisを念頭に置く。
- 免疫不全患児(先天性免疫不全、化学療法中、HIV感染等)での遷延する発熱・貧血 → 通常は自然に排除されるウイルス血症が持続し、慢性的な骨髄機能不全(遷延性重症貧血)に至ることがある[6][7]。
- 妊娠中またはその可能性がある同居家族・保育士・学校職員等が、発疹出現の7〜10日前(かぜ症状期=感染力が最も強い時期)に患児と濃厚接触していた → 母体が初感染した場合、経胎盤感染(胎児感染)は約20%に成立し、そのうち約20%(初感染妊婦全体では約4%)が胎児貧血・胎児水腫に至る。胎内感染が成立した場合の流産・死産は約10%とされる。曝露の事実確認と産婦人科紹介の説明機会を逃さない(§5)[2][5][6]。
- カタル症状(咳・鼻汁・結膜充血)を伴う発熱が先行し、解熱前〜発熱再上昇期に発疹が出現、コプリック斑を認める → 麻疹を最優先で除外する。20歳以上の麻疹疑い患者の約3割からB19ゲノムが検出されたとの報告もあり、非典型例では臨床像が紛らわしい[4]。麻疹確定・強疑いの場合は空気予防策・保健所届出体制のある動線に切り替える。
- 1日1〜2峰性の弛張熱に同期して出没するサーモンピンク色の皮疹、著明な炎症反応上昇 → 全身型若年性特発性関節炎(JIA)を疑う所見。伝染性紅斑の頬部紅斑・レース状紅斑は解熱後も持続し、発熱の峰に同期して出没しない点で異なる[9]。
- 両側対称性の関節痛・関節腫脹が数週間以上遷延し、抗核抗体陽性・低補体血症を伴う → 成人領域ではB19感染がSLE/RAの分類基準を一過性に満たす例が報告されており、遷延例では鑑別を要する。B19関連関節炎は通常数週間で自然軽快する点が持続的な自己免疫疾患と異なる[5]。
- 紫斑・出血傾向を伴う発疹 → 単なる発疹の再燃と区別し、血算・血小板数の確認を検討する。B19感染に伴う血小板減少の合併は臨床的には知られるが、本ワークフローが引用する[6][7]の本文には該当記載を直接確認できなかった。出典は[要確認]とし、運用前に一次資料(成書・血液学領域のGL等)での裏取りを行う。
- 川崎病を疑う所見(眼球結膜充血、口唇発赤・苺舌、頸部リンパ節腫脹、四肢末端の変化、多形皮疹等)を伴う発熱性発疹 → 典型的な伝染性紅斑の経過から外れる場合は川崎病を再検討する(別途、川崎病専用ワークフロー参照)。
3重症度・病型の判定
典型例(小児で最多)
潜伏期は10〜20日[1][3]。発疹出現の7〜10日前に微熱・感冒様症状(このタイミングがウイルス血症のピークで、最も感染力が強い時期)が先行することがある[2][3]。その後、境界鮮明な両頬の紅斑(「頬を平手打ちされたような」外観)が出現し、続いて上腕外側・体幹・大腿へと拡大、融合しながら網目状・レース状の紅斑として左右対称性に広がる[1][2][7]。発疹は数日〜1週間程度で消退するが、その後数週間は日光曝露・入浴・運動・発熱・精神的ストレス等の刺激で一時的に再出現(recrudescence)することがある[8]。
診断の性質: 通常は発疹の外観と拡大パターンによる臨床診断のみで確定する。血清学的検査(IgM/IgG抗体)やPCRは合併症評価が必要な場合に限る(§3)[7]。
年齢分布・流行
9歳以下が全体の93%を占め、うち5歳が全年齢中最多の17%(2015年第50週時点データ、IASR 37(1), 2016)[4]。4〜6年周期で流行し、例年6〜7月にピークを迎える[4]。COVID-19流行期は年齢分布が一時的に変化したが、2024年以降は流行前と同様(3〜5歳・6〜9歳が中心)の傾向に戻ったと報告されている[2][要確認: 直近(2025年大流行後)の年齢別詳細%はIDWR/IASR最新号で運用前に再確認]。2025年は現行サーベイランス体制(1999年開始)以来最高値を記録する大流行となり、関東地方での増加が先行して全国に拡大した(2025年第25週時点、定点当たり報告数2.53)[2]。
関節症状型
学童期後半以降、特に女児・成人女性で関節痛・関節炎が前面に出ることがある。手指・手首・膝等の左右対称性の関節痛・腫脹を呈し、抗核抗体・リウマトイド因子が一過性に陽性化することもある[5]。多くはNSAIDs等の対症療法と関節の安静で1〜2週間以内に自然軽快する一過性の経過をたどる[8](小児NSAIDs適応は一般論。個別適応・用量は医師判断)。
aplastic crisis型(要警戒)
遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症、サラセミア等の溶血性疾患を基礎に持つ児では、B19感染による一過性の赤血球産生停止が重篤な急性貧血(aplastic crisis)を引き起こす[4][7][8]。免疫不全患児では慢性的なウイルス血症により遷延性の重症貧血に至ることがある[6][7]。
鑑別診断(麻疹・風疹・薬疹・全身型JIA・SLE)
- 麻疹: カタル期(咳・鼻汁・結膜充血)を伴う発熱が続き、コプリック斑ののち解熱前〜発熱再上昇期に発疹が出現する二峰性の経過。伝染性紅斑のように「発疹出現時には既に解熱・感染力もほぼ消失」というパターンとは決定的に異なる[3][4]。
- 風疹: 前駆症状に乏しく、発熱(あっても軽度)と同時期に発疹が出現、後頸部・耳介後部・後頭部リンパ節腫脹を伴うことが多い。
- 薬疹: 直近の薬剤投与歴(抗菌薬等)、痒みを伴う膨疹様皮疹、薬剤中止後も遷延・拡大する傾向で鑑別する。
- 全身型JIA: 1日1〜2峰性の弛張熱・間欠熱に同期して出没するサーモンピンク疹(解熱すると消退)が特徴で、著明な炎症反応上昇を伴う[9]。伝染性紅斑の発疹は解熱後も持続し発熱の峰と連動しない点、全身状態が比較的良好な点で異なる。
- SLE: 関節症状型のB19感染で抗核抗体陽性・低補体血症を認めることがあり、遷延する関節炎ではSLE/RAとの鑑別を要する。B19関連関節炎は通常数週間で自然軽快する一過性の経過をたどる点が持続的な自己免疫疾患と異なる[5]。
4検査
- 必要:
- 典型的な小児例(全身状態良好、経過が典型的)は臨床診断のみで検査不要[1][7]。
- 溶血性疾患の基礎疾患がある児で急な顔色不良・活気低下・頻脈を認める場合 → 直ちに血算・網状赤血球数を確認する(aplastic crisisの評価)[4][7][8]。
- 免疫不全児で遷延する貧血 → 血算に加え、可能であればB19 PCR(ウイルス血症の直接証明)を検討する[6]。
- 15歳以上で紅斑出現時に感染が強く疑われる場合 → B19 IgM抗体(EIA)が保険適用対象(2018年改定で成人にも拡大)[6]。感染2週間程度でIgM上昇、約3か月で陰性化。IgGはIgM陽性後数日で上昇し生涯陽性が持続する[6]。小児(15歳未満)の同検査は保険適用外のため、実施の要否は必要性を精査したうえで判断する[要確認: 院内での小児B19抗体検査の運用・費用については§6]。
- 妊娠中またはその可能性がある同居家族への曝露があった場合 → 産婦人科でのB19 IgM/IgG抗体検査、感染確定時は必要に応じた胎児超音波モニタリングを産婦人科と連携する[2][5]。
- 不要・過剰になりがち:
- 典型例へのルーチン血液検査・炎症反応測定(診断・治療方針を変えない)
- 全身状態良好な小児への日常的なB19抗体検査(保険適用外であり、臨床診断で十分)[6]
- 発疹出現後の患児本人への追加のウイルス学的検査(この時点で既にウイルス血症は消失しており、感染力の評価という意味では不要)[2][3]
5治療
- 第一選択: 対症療法のみ。特異的な抗ウイルス薬・ワクチンはない[1][3][7]。
- 発熱・関節痛時の苦痛緩和目的の解熱鎮痛薬。アセトアミノフェンが体重換算での代表的選択肢(一般的な用量の考え方として1回10〜15mg/kg程度が広く使われている〈個別処方値は医師が決定〉)。
- 学童期後半〜思春期の関節症状型で痛みが強い場合、小児に使用可能なNSAIDs(例: イブプロフェン等。日本小児科学会は概ね5歳以上を目安とする)が体重換算での選択肢として用いられることがある(個別適応・用量は医師判断)。アスピリン(サリチル酸系)・ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)・メフェナム酸(ポンタール)は使用しない(下記「やってはいけない/非推奨」参照)[8][11][12]。
- 水分・食事摂取のフォロー、関節症状があれば安静。
- 第二選択・無効時:
- aplastic crisisで重症貧血・循環動態不安定 → 赤血球輸血を要することがある。血液(専門)科と連携する[4][7][8]。
- 免疫不全患者の慢性ウイルス血症 → 静注免疫グロブリン(IVIG)投与が検討される[6][7]。
- やってはいけない/非推奨:
- アスピリン(サリチル酸系製剤)・ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)・メフェナム酸(ポンタール)の使用。ジクロフェナクナトリウムは、インフルエンザ脳炎・脳症患者での使用群で有意に死亡率が高かったとの調査結果を受け、厚生省(当時)がインフルエンザ脳炎・脳症患者への投与を禁忌とする通知を出している(2001年〈平成13年〉5月30日)[11]。メフェナム酸も同調査で使用群が比較対象とされ、インフルエンザに伴う発熱への使用を避けるべきとされている[11][12]。アスピリン等サリチル酸系製剤は、15歳未満の水痘・インフルエンザ患者への投与でライ症候群のリスクが指摘され、慎重投与とされている[12]。伝染性紅斑を含む小児の発熱性ウイルス感染症では、初診時点でインフルエンザ等を完全には除外できないため、解熱鎮痛の第一選択はアセトアミノフェンとし、この3剤は避けるのが実地の標準的対応[12]。
- 発疹のみを理由にした抗菌薬投与(ウイルス感染であり無効)。
- 発疹出現後の患児を「感染力あり」として不要に登校・登園停止扱いにすること(発疹出現時には既にウイルス排出はほとんどなく感染力もほぼ消失しているため)[2][3][10]。
- 妊婦への曝露事実を確認せず経過観察のみで終えること(母子感染リスクの説明・産婦人科紹介の機会を逃す)[2][5]。
6再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- 顔色が急に悪くなる、ぐったりする、動悸・頻脈、息切れ、活気低下(基礎に溶血性疾患がある児は特に注意)→ aplastic crisisを疑う
- 関節の腫れ・痛みが強く、歩行や日常動作に支障が出る
- 紫斑・出血傾向が出現する
- 発疹の経過が典型的でない(高熱が先行して続く、咳・鼻汁・結膜充血を伴う)→ 麻疹等の可能性を再評価
- 発熱が繰り返し出没し、その都度発疹(サーモンピンク疹様)が悪化する経過 → 全身型JIA等の鑑別が必要
- 経過の見通し・登園/登校の目安:
- 前駆症状(微熱・感冒様症状)から7〜10日後に頬部紅斑、続いて四肢のレース状紅斑が出現。発疹は数日〜1週間で消退するが、その後数週間は日光・入浴・運動・発熱・ストレス等の刺激で一時的に再出現することがある(心配な悪化ではないことを説明する)[8]。
- 最重要ポイント(保護者に必ず伝える): 感染力が最も強いのは発疹出現前の7〜10日間(かぜ症状の時期)であり、その時点では診断がつかないため事実上隔離のしようがない。発疹が出て「りんご病」とわかった時点では、この子から周囲への感染力はほぼ消失している[2][3]。この説明は免疫機能が正常な典型例が前提であり、免疫不全患児(慢性ウイルス血症例)ではウイルス血症・排出が長期間持続し感染性を保持しうるため、この一般化を適用しない[6][7]。
- 学校保健安全法上、伝染性紅斑は第一種・第二種のいずれにも該当せず、条件により第三種「その他の感染症」に位置づけられるが、出席停止の対象ではない。発疹のみで全身状態が良好であれば、発疹が残っていても登校・登園は可能とこども家庭庁の保育所ガイドライン等に基づき説明する[9][10]。ただし通園・通学先ごとの運用基準は異なりうるため、園・学校の基準も確認するよう伝える。
- 妊娠中の同居家族・妊婦との接触がある家庭には、上記の感染力の時期と母子感染リスクを併せて説明する(次項)。
- 紹介・入院の閾値:
- 溶血性疾患基礎児でのaplastic crisis(重症貧血・輸血要否の判断)→ 小児科(血液)専門医・入院管理
- 免疫不全患児の慢性ウイルス血症・遷延性貧血 → 専門科紹介
- 妊娠中の同居家族・関係者への曝露が判明した場合 → 産婦人科紹介(母体IgM/IgG確認、感染確定時は胎児超音波フォローを産婦人科と連携)。母体初感染時の胎児感染率は約20%、そのうち胎児水腫等に至るのは約20%(初感染妊婦全体では約4%)、胎内感染が成立した場合の流産・死産は約10%とされる[2][5][6]。妊娠28週以降の感染では胎児水腫・胎児死亡のリスクは低いとされる[5]。
- 麻疹疑い・確定 → 空気予防策対応・保健所届出体制のある医療機関へ
- 川崎病様所見を伴う場合 → 川崎病ワークフローに準じて評価・紹介
7出典(日本のGL優先、URL+版年。改定で変わるため運用前に最新版確認)
- [1] 「伝染性紅斑」国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/erythema-infectiosum/index.html
- [2] IDWR 2025年第26号<注目すべき感染症>伝染性紅斑、国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/featured/2025/26/index.html (2025年発行・2025年第25週時点でのサーベイランス史上最高値の記載を含む)
- [3] 「伝染性紅斑(りんご病)」厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/fifth_disease.html
- [4] IASR 37(1), 2016【特集】伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスB19感染症)、国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/5th-disease-m/5th-disease-iasrtpc/6213-tpc431-j.html (2016年発行)
- [5] 「ヒトパルボウイルスB19母子感染の実態」IASR、国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/6180-dj4314.html
- [6] 「パルボウイルスB19感染症(Human parvovirus B19 infection)」感染症クイック・リファレンス、日本感染症学会. https://www.kansensho.or.jp/ref/d64.html
- [7] 「伝染性紅斑(パルボウイルスB19感染症)」MSDマニュアル プロフェッショナル版、19. 小児科/乳児および小児における一般的なウイルス感染症. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/乳児および小児における一般的なウイルス感染症/伝染性紅斑-パルボウイルスb19感染症
- [8] 「伝染性紅斑(パルボウイルスB19感染症)」MSDマニュアル 家庭版、23. 小児の健康上の問題/乳児と小児における一般的なウイルス感染症. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/23-小児の健康上の問題/乳児と小児における一般的なウイルス感染症/伝染性紅斑-パルボウイルスb19感染症 ※家庭版のため、NSAIDs・発疹再燃の記載は運用前に一次資料(成書・添付文書)で裏取りすること。
- [9] 「若年性特発性関節炎 概要」小児慢性特定疾病情報センター. https://www.shouman.jp/disease/details/06_01_001/ (全身型の発熱パターン・サーモン疹の鑑別記載として参照)
- 学校感染症の分類上、伝染性紅斑は第一種・第二種のいずれにも列挙されておらず、条件により第三種「その他の感染症」に位置づけられる(第三種として名指しされているのはコレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症・腸チフス・パラチフス・流行性角結膜炎・急性出血性結膜炎で、それ以外は「その他の感染症」として学校医の判断に委ねられる)。こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」関連資料で該当箇所の本文照合ができた(出典: こども家庭庁 資料, 確認日 2026-09-25)。
- 参考(妊婦向け一般解説、GL本文ではない):日本産科婦人科学会「妊婦の皆さんへ:パルボウイルスB19によるリンゴ病(伝染性紅斑)はお腹の赤ちゃんに影響することがあります」。本文は「日本人妊婦の抗体保有率は20〜50%とされ、妊婦が初めて感染した場合は約2割でウイルスが胎盤を通過し胎児感染を起こし、そのうち約2割が流死産、胎児貧血や胎児水腫を起こします」としている(出典: 日本産科婦人科学会, 確認日 2026-09-25)。
- [11] 「インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について」医薬品医療機器総合機構(PMDA)/厚生省(2000年通知に基づく安全性情報). https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/esc-rsc/0013.html (ジクロフェナクナトリウムのインフルエンザ脳炎・脳症患者への投与禁忌の経緯。メフェナム酸は同調査で使用群として比較対象。アスピリン等サリチル酸系製剤の15歳未満・水痘/インフルエンザ患者への慎重投与は別途、厚生省の医薬品副作用情報に基づく)
- [12] 「アセトアミノフェン製剤の在庫逼迫に伴う、成人患者への解熱鎮痛薬処方時のご配慮のお願い」日本小児科学会. https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=145 (小児の解熱鎮痛薬の第一選択はアセトアミノフェンである旨、NSAIDsのライ症候群・インフルエンザ脳症予後不良因子としての懸念を記載。運用前に各薬剤の最新添付文書でも確認すること)
8臨床医が迷う場面
9頬の発疹が残る間は登園を止める?
免疫が正常な児の典型的なりんご病では、発疹が出た段階で感染力は通常低く、発疹の残存だけで登園を止める必要はない。発熱や体調と園の運用で判断する。免疫不全や貧血を伴う例は同じ感染性の扱いにせず専門科へ相談する。
10溶血性疾患のある児が急に青白い。発疹がなくても検査する?
パルボウイルスB19による無形成発作は発疹が目立たないこともある。Hbと網赤血球、循環を確認し、急速な貧血や息切れ・頻脈は血液専門医へ急いで相談する。感染後の元気のなさとして待たず、必要な輸血と監視を評価する。
11妊婦の家族がいたら、児の発疹が消えるまで待って連絡する?
妊娠中の接触者は症状の有無によらず産科へ早めに相談する。曝露時期と児の発症経過を伝え、母体の既感染・新規感染の評価と胎児の追跡を産科が判断する。接触しただけで胎児障害が確定すると説明せず、不安と必要な検査を分けて伝える。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。