1-4発熱児のトリアージ
このページの目次12項目
1一目でわかるフロー
受診(発熱を主訴)
→ 年齢確認(生後3ヶ月未満か/3ヶ月〜3歳か)
├─ 生後3ヶ月未満 → 体温38.0℃以上そのものが高リスク群 → レッドフラグ評価不要なほど閾値低い
│ → 原則、小児科医の直接診察+精査(sepsis work-up)へ。外来での「経過観察のみ」は基本的に選ばない
└─ 生後3ヶ月〜3歳 → レッドフラグ評価(該当あれば即・上位/紹介)
→ 重症度・病型の判定(見た目 well-looking か ill-looking か、トラフィックライト)
→ 検査(要る/要らない)
→ 治療(解熱薬は対症療法。感染症そのものへの治療は原因次第)
→ 再診・帰宅指導・紹介基準図は横にスクロールできます →
2レッドフラグ(見逃し厳禁)
- 基礎疾患スクリーニング(初診時に必ず確認) — 免疫不全・悪性腫瘍化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・中心静脈カテーテルやVPシャント留置の有無。これらの児は「well-looking」に見えても通常のトラフィックライト運用が適用できず(例:好中球減少性発熱は見た目が良くても緊急)、該当があれば年齢・所見によらず個別の緊急対応(例:好中球減少性発熱プロトコル)に切り替える(日本小児血液・がん学会「小児がん患者の発熱性好中球減少症診療ガイドライン」/一般的な免疫不全児フィーバーワークアップの原則)
- 直近数週間〜数ヶ月以内の海外渡航歴(特にマラリア・デング・腸チフス流行地域)を問診で確認。該当あれば通常の「ウイルス性が大半」という前提が成立しないため、専門医(渡航医学・感染症)への紹介を検討する
- 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上であること自体がハイリスク群の定義。この年齢だけで「精査を検討すべき対象」に入る(NICE NG143、AAP 2021ガイドライン、国内報告で共通)[7-1][7-2][7-8]
- ぐったりしている・not doing well・あやしても反応が乏しい/笑わない(ただし「not doing well」単独は細菌感染とウイルス感染の判別に使えないとする国内データもあり、他の所見と併せて評価する)[7-8]
- 点状出血・紫斑(特に圧迫で消えない皮疹=non-blanching rash、直径2mm超の紫斑)
- 髄膜刺激徴候(項部硬直、大泉門膨隆、Kernig/Brudzinski徴候)
- けいれんの群発・遷延(焦点性発作、意識障害の遷延、てんかん重積状態)。確認済み:単純型熱性けいれん(意識清明に回復・他のred/amber所見なし)は本ワークフロー上の一律精査(full sepsis work-up・LP)の対象ではなく、日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」[7-10]に準拠して複雑型・群発・意識障害遷延と切り分ける
- 呼吸障害(多呼吸:生後0-5ヶ月で60回/分超、中等度〜高度の陥没呼吸、呻吟、無呼吸)
- 循環不全(皮膚色不良=蒼白・網状・チアノーゼ、末梢冷感、毛細血管再充満時間≥3秒)
- 経口摂取不良・尿量減少などの脱水徴候
- 保護者が「いつもと様子が違う」と強く訴える(NICEも「専門職が見て具合が悪そう」を高リスク所見に含める)[7-1]
- 5日以上続く発熱、原因不明の発熱が長引く場合は再評価(NICE)[7-1]。確認済み:NICE NG143は発熱5日以上の児について川崎病の評価を明記している。日本は世界最多の川崎病発症国であり、見た目がwell-lookingでも進行しうる。主要症状(両側眼球結膜充血、口唇・口腔粘膜変化、頸部リンパ節腫脹、多形皮疹、四肢末端の変化)を確認し、5日以上の発熱では単なる「再評価」でなく川崎病を明示的な鑑別に含める。あわせて、持続する発熱に発疹・結膜充血・消化器症状・ショック徴候を伴う場合はMIS-C(小児多系統炎症性症候群)も鑑別に含める(CDC/AAP MIS-C case definition)
3重症度・病型の判定
年齢区分でまず分ける
- 生後3ヶ月未満(さらに国際的には 0-21日/22-28日/29-60日 で対応が変わる。AAP 2021ガイドラインは well-appearing な生後8-60日児を対象に3区分のアルゴリズムを提示)[7-2]
- 生後3ヶ月〜3歳
- 3歳以上は本ワークフローの主対象外(参考程度)
NICE NG143 トラフィックライト(信号色)システムの考え方 [7-1][7-3]
| 項目 | GREEN(低リスク) | AMBER(中間リスク) | RED(高リスク) |
|---|---|---|---|
| 皮膚色 | 正常 | 保護者申告のみの蒼白 | 蒼白・まだら・灰色・チアノーゼ |
| 活気・反応 | 社会的刺激に正常反応、機嫌よい | 反応が普段どおりでない、覚醒に時間を要する | 社会的刺激に無反応、医療者から見て具合が悪い、覚醒維持困難 |
| 呼吸 | 問題なし | 鼻翼呼吸、頻呼吸(目安:生後6-12ヶ月で50/分超) | 呻吟、中等度〜高度陥没呼吸、頻呼吸(生後0-5ヶ月>60/分、6-12ヶ月>50/分、12ヶ月超>40/分)、SpO2≤95%(room air) |
| 循環・水分 | 皮膚・粘膜湿潤 | CRT≥3秒、哺乳不良、尿量減少、頻脈(目安:12ヶ月未満>160/分、12-24ヶ月>150/分、2-5歳>140/分) | 皮膚緊張低下 |
| その他 | — | 生後3-6ヶ月で39℃以上、発熱5日以上、悪寒戦慄、四肢腫脹、非荷重肢 | 大泉門膨隆、項部硬直、けいれん重積、非blanching皮疹、局所神経徴候 |
表は横にスクロールできます →
※上表は当初案でRED行の呼吸数閾値が生後0-5ヶ月のみ、SpO2・年齢別頻脈がいずれも欠落していたため、NICE NG143本文の年齢帯別閾値に合わせて補完した(出典: NICE NG143 Recommendations, respiratory rate/oxygen saturation/circulation and hydration traffic light criteria https://www.nice.org.uk/guidance/ng143/chapter/recommendations)。
- 生後3ヶ月未満:NICEは体温38.0℃以上をそのまま「high-risk group」と位置づけ、well-appearingであっても精査対象とする[7-1]。AAP 2021は「well-appearing」の定義(正常な活気・哺乳・反応)を満たす生後8-60日児のみをアルゴリズム対象とし、ill-appearingは無条件で入院・精査[7-2][7-4]
- 生後3ヶ月〜3歳:ワクチン接種歴(肺炎球菌・Hibなど)が普及した現在、"fever without source"のうち重症細菌感染症(SBI)の頻度は接種前時代より下がっているとされる一方、尿路感染症は年齢を問わず見落とされやすい原因として重要(3.のUTIの項参照)
- 初期評価の問診項目として、個々の児の肺炎球菌・Hibワクチン接種歴(未接種・不完全接種か)を必ず確認し、リスク評価に反映する(NICE NG143 Recommendations: initial assessment, immunisation status)。未接種・不完全接種児は侵襲性細菌感染症のリスクが相対的に高い
- 国内データとして、生後3ヶ月未満の入院発熱児86例の検討では、真の細菌感染群は11.6%にとどまり約9割はウイルス感染主体だったが、「病歴・症状・検査値だけからは細菌感染の有無を判断するのは困難」であり、月齢の低い群では従来通りfull sepsis work-upと積極的な抗菌薬適応の検討が妥当と結論づけている(松江市立病院、2010年報告)[7-8]。※単一施設・n=86・2010年(ワクチン普及前)の後方視的検討であり、直近の多施設データでの再確認が望ましい点に留意する
4検査
- 必要(年齢・所見に応じて):
- 生後1ヶ月未満:全例で血液培養・尿検査(カテーテル/膀胱穿刺)・髄液検査(腰椎穿刺)を含むfull sepsis work-upが原則(NICE、AAP、国内報告とも一致)[7-1][7-2][7-8]。院内方針:日齢によらず全例フル精査。 AAP 2021は22-28日で炎症マーカーに応じてLP省略を検討しうるとするが、当院ではこの段階化を採らない。
- 生後1-3ヶ月:尿検査+血算+CRP・プロカルシトニン等の炎症マーカー。マーカー陽性やill-appearingなら腰椎穿刺・入院を追加検討(AAP 2021の3区分アルゴリズム:8-21日/22-28日/29-60日で必要検査と方針が段階的に変わる)[7-2][7-4]。⚠要医師確認:AAP 2021の適用範囲は生後8〜60日までであり、61-90日(2-3ヶ月)はAAPのスコープ外。この区分は「生後1-2ヶ月(AAP準拠)」と「生後2-3ヶ月(AAP適用外・院内プロトコル/臨床判断)」に分けて運用することが望ましい
- 生後1ヶ月未満・特に8-21日の児では、AAP 2021ガイドライン自体が明記する新生児HSVリスク因子(母体HSV既往・分娩前後の発熱、児の水疱性皮疹、痙攣、無呼吸、CSF細胞増多、ALT高値)を確認し、該当あれば経験的acyclovir投与を検討する(Pantell RH et al. Pediatrics. 2021;148(2):e2021052228, HSV risk factor section)。新生児HSV感染症(特に髄膜脳炎型)は見逃すと死亡率・後遺症率が高い
- 3ヶ月〜3歳でamber/red所見あり、または発熱源不明が続く場合:尿検査(特に女児・排尿時痛の申告がない乳幼児でも尿路感染は無症候的に発熱のみのことが多い)、血算・CRPを状況に応じて
- かぜ症状(鼻汁・咳)を伴わない発熱:尿路感染の再燃・再発を念頭に検尿を行うことが推奨される(日本小児泌尿器科学会)[7-9]
- 不要・過剰になりがち:
- green(低リスク)所見のみの3ヶ月〜3歳児への画一的な血液検査・画像検査
- 発熱のみを理由にした全例胸部X線
- ウイルス性が明らかな臨床像への抗菌薬適応目的の追加検査
- CRPは発熱からの経過時間が短いと上昇していないことがあるため、早期受診例では「初回低値=除外」と即断しない(時間を空けた再検が有用というのが国内報告の指摘)[7-8]
5治療
- 第一選択:アセトアミノフェン(解熱・鎮痛目的の対症療法。感染症そのものへの治療ではない)
- 体重換算の考え方:1回10〜15mg/kg、投与間隔4〜6時間以上、1日総量60mg/kgを上限とする一般的な用法(添付文書ベース)。1回最大500mg、1日最大1500mgという上限が製剤情報にある[7-5]
- ※上記はあくまで一般論。個別の処方量・回数は診察時に医師が決定する
- 第二選択・無効時:イブプロフェン
- 海外のガイドライン(NICE等)はパラセタモール/イブプロフェンいずれも製品ライセンス(添付文書)の年齢・体重条件に従うとしており、具体的な年齢閾値は製剤依存(NICEが一律に「生後6ヶ月以上」を定めているという明文根拠は確認できておらず要再確認)[7-1]。日本国内の医療用イブプロフェン製剤の添付文書上は小児の用法用量が5〜7歳/8〜10歳/11〜15歳の年齢区分でのみ設定されており、低出生体重児・新生児・乳児・4歳以下の幼児を対象とした有効性・安全性の臨床試験は実施されていない旨が明記されている[7-6]。5歳未満(3ヶ月〜3歳を含む)への使用は事実上の適応外使用となるため、使用可否は医師の個別判断とする
- 脱水徴候(尿量減少・活気不良・経口摂取不良)がある場合はイブプロフェン投与を避けるか、医師が個別に腎機能リスクを評価した上で判断する。発熱性疾患の乳幼児は腎灌流低下+NSAIDのプロスタグランジン合成阻害でAKIを起こしやすいハイリスク集団であり、複数の小児科文献で脱水を伴うibuprofen使用中のAKI症例が報告されている(NSAIDs Linked to Acute Kidney Injury in Dehydrated Kids, Medscape; Non-steroidal Anti-inflammatory Drugs Systemic Use: The Risk of Renal Failure, Front Pediatr 2019)
- NICEはパラセタモールとイブプロフェンの同時併用は推奨せず、いずれかで苦痛が続く場合のみ交互投与を検討するとしている[7-1][7-3]
- やってはいけない/非推奨:
- インフルエンザ罹患(疑い含む)児へのジクロフェナクナトリウム・メフェナム酸:インフルエンザ脳症の重症化・死亡率上昇との関連が指摘され、2000年に厚生省(当時)から原則禁忌とする行政指導が出ている。解熱薬はアセトアミノフェンを第一選択とする[7-7]
- 15歳未満の水痘・インフルエンザ患者へのアスピリン等サリチル酸系薬剤:ライ症候群のリスクから1998年に原則禁忌の措置がとられている[7-7]
- 水痘(水疱瘡)罹患中の児へのイブプロフェン等NSAIDs投与:壊死性筋膜炎等の重症皮膚軟部組織感染症リスク増加との関連が報告されており(ケースコントロール研究でOR約11.5)、可能な限り避けアセトアミノフェンを優先する(Mikaeloff Y et al. Br J Clin Pharmacol. 2008;65(2):203-9; Don't Forget the Bubbles: Varicella and NSAIDs summary)
- 解熱そのものを目的とした機械的な投与(体温を下げること自体が目的ではなく、児の苦痛緩和が目的)[7-1]
- Tepid sponging(微温湯清拭)による解熱は推奨されない[7-1]
- 解熱薬使用は熱性けいれんの再発予防効果を示すエビデンスに乏しいとされる(日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」でCQとして検討されている)[7-10]
- 解熱薬投与後に解熱した/しなかったことをもって重症・非重症を判別してはならない(NICE NG143の明示的な推奨)。amber/red所見のある児は解熱の有無によらず1-2時間後の再評価を行う
6再診・帰宅指導・保護者説明
- 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
- けいれんを起こした
- 皮疹が出た(特に押しても消えない紫斑・点状出血)
- 発熱が5日以上続く
- ぐったりしている、水分が摂れない、いつもと様子が違うと感じる
- 呼吸が速い・肩で息をする・唇や顔色が悪い(真っ青・灰色)(NICE NG143 患者・保護者向け情報のsafety netting原則)
- 上記1.のレッドフラグに該当する変化
- 経過の見通し:
- 3ヶ月〜3歳の発熱の大半はウイルス感染に伴うもので自然軽快する。生後3ヶ月未満でも実際の細菌感染は約1〜1.5割程度にとどまるが、月齢が低いほど症状だけでの判別は困難という前提で対応する[7-8]
- 紹介・入院の閾値:
- 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上:原則、小児科医の診察・精査(入院を含めた対応)を検討する対象[7-1][7-2][7-8]
- red所見該当:緊急での上位医療機関搬送・入院を検討。⚠要医師確認:非blanching疹+red所見(意識レベル低下・循環不全等)でmeningococcemiaを強く疑う場合は、搬送を遅らせない前提で、可能であれば施設内プロトコルに基づき搬送前にIV(困難ならIM)でベンジルペニシリンまたはセフトリアキソンの投与を検討する。ただし抗菌薬投与のために搬送を遅らせてはならない(NICE NG240 Meningitis (bacterial) and meningococcal disease: recognition, diagnosis and management, pre-hospital antibiotics recommendation)
- amber所見のみでred非該当:対面での経過観察・安全網(safety netting)を敷いた上でのフォローアップ設定
- green所見のみ:自宅経過観察+上記の再受診サインの説明
7出典
- [7-1] NICE Guideline NG143. *Fever in under 5s: assessment and initial management.* Published 7 November 2019, last updated 26 November 2021. https://www.nice.org.uk/guidance/ng143 (Recommendations章: https://www.nice.org.uk/guidance/ng143/chapter/recommendations / NCBI Bookshelf版: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK552086/ )
- [7-2] American Academy of Pediatrics. Pantell RH, Roberts KB, Adams WG, et al. *Evaluation and Management of Well-Appearing Febrile Infants 8 to 60 Days Old.* Pediatrics. 2021;148(2):e2021052228. doi:10.1542/peds.2021-052228. https://publications.aap.org/pediatrics/article/148/2/e2021052228/179783/
- [7-3] NICE NG143 解説記事(トラフィックライト表の整理): https://www.iatrox.com/guidelines/fever-under-5s
- [7-4] Aliem.com(AAP 2021ガイドラインの年齢区分別アルゴリズム整理・FOAMed臨床要約): https://www.aliem.com/the-febrile-infant/
- [7-5] アセトアミノフェン 医療用医薬品情報(KEGG MEDICUS収載・添付文書ベース): https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066335 / 日経メディカル処方薬事典: https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/11/1141007F1187.html
- [7-6] イブプロフェン錠 添付文書(PMDA/JAPIC PINS収載): https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00069375.pdf
- [7-7] 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). *インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について.* https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/esc-rsc/0013.html (サリチル酸系薬剤・アスピリンの水痘/インフルエンザ患児への原則禁忌措置は1998年の厚生省行政指導。二次情報として佐久総合病院薬剤部資料 https://sakuhp.or.jp/pharmacy/rai/rai.htm )
- [7-8] 藤本正伸、田本直弘、当院学、田中雄二. 「当院で経験した生後3ヵ月未満の発熱症例の検討」. 松江市立病院医学雑誌. 2010;14(1):59-62. https://www.jstage.jst.go.jp/article/mch/14/1/14_59/_pdf/-char/ja
- [7-9] 日本小児泌尿器科学会. 「小児の尿路感染」. https://jspu.jp/ippan_014.html
- [7-10] 日本小児神経学会. 「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」. 診断と治療社, 2023年1月. 学会ページ: https://www.childneuro.jp/about/6442/ / Mindsガイドラインライブラリ要約: https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00763/
※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特にNICE NG143は2025年4月にexceptional surveillance(改定要否の例外的見直し)が行われている(変更なしと判定された模様だが、運用前に最新状態を要確認)。
8化学療法・免疫抑制中の発熱:搬送前の連絡(2026-10-02)
化学療法中・免疫抑制中の発熱は、ANCを待たず主治医・血液腫瘍担当・上級医へ直ちに連絡し、搬送を並行調整する。初回抗菌薬の開始時点とレジメンをその電話で確認し、搬送待ちで治療を遅らせない。不安定なら蘇生と同時に緊急指示を受ける。
過去の「当院で抗菌薬を開始せず搬送」という記録には、不安定例や搬送所要時間への条件が未記載だった。搬送方針は維持するが、初回抗菌薬の開始時点・採用薬・調達と投与権限を再確認するまでは、無条件に抗菌薬を遅らせる手順として使用しない。安定して見えてもANCが出ないことは待機の根拠にならない。
出典:IPFNG 小児がん・HCT患者の発熱性好中球減少症ガイドライン2023、RCH 小児FN。不安定例の速やかな経験的治療を支持するが、当院の薬剤レジメンを確定するものではない。
9臨床医が迷う場面
10解熱薬で平熱になれば重症感染は否定できる?
体温の反応だけでは判定できない。解熱後も呼吸、灌流、反応、飲水と尿量を再評価する。顔色不良、意識変化、呼吸苦が残る場合は熱が下がっても原因評価と入院・紹介を検討する。乳児では月齢と基礎疾患に応じた評価を省略しない。
11熱だけで元気な乳児は、尿検査なしで帰してよい?
乳児の尿路感染は局所症状に乏しい。月齢、発熱経過、他の熱源、既往を確認し、適切な採尿法で検査の必要性を判断する。当院は生後28日以下の発熱をフル精査、60日以下を原則入院とする。元気という印象だけで院内の年齢別対応を省かない。
12熱が5日を超えたら、抗菌薬を追加すればよい?
発熱日数だけで細菌感染と決めず、川崎病、尿路感染、肺炎などの新たな徴候を診直す。結膜、口唇、皮疹、手足、頸部リンパ節と全身状態を確認する。川崎病を疑う徴候があれば5日を待つ必要はなく、専門評価へつなぐ。検査値だけで判断しない。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。