4-19 溺水

緊急

4-19溺水

病態・根拠
このページの目次10項目

1病態:まず起きるのは呼吸障害と低酸素

溺水では液体への浸水・水没によって呼吸が障害され、低酸素から意識低下、徐脈・心停止へ進む。したがって水を吐かせる処置に時間を使わず、酸素化と換気を支えることが優先される。水から引き上げた後の心停止では、訓練を受けた医療者は人工呼吸と胸骨圧迫を含む心肺蘇生を行う。AEDの準備で蘇生開始を遅らせない。[1][3]

2鑑別:事故の原因と、低酸素以外の傷害も調べる

水没時間、発見時の様子、救助・人工呼吸・CPRの内容、意識が戻った時刻を確認する。不明な時間を、長すぎるという推測だけで蘇生を控える理由にしない。てんかん、不整脈・失神、低血糖等が先に起きた可能性、飛び込みや転落の外傷も検討する。頸椎保護は外傷機転に応じて判断し、水没だけを理由に全員へ固定するものではない。[2]

3検査は呼吸と意識の状態に合わせる

無症状で意識・バイタルが正常なら、一律の胸部X線や多数の採血が必要とは限らない。呼吸症状では酸素化と肺傷害、意識が戻らなければ低酸素以外の原因も評価する。胸部X線の一回の所見だけで、その後の安全性や帰宅を決めない。循環・呼吸・体温・意識の反復評価を中心に、血糖、血液ガス、心電図等を臨床上の問いに合わせる。[1][2]

4初期治療と専門相談

必要な酸素、換気、循環への対応を行い、濡れた衣類を除いて低体温を防ぐ。予防的な抗菌薬は通常は不要で、明らかな感染や著しく汚染された水の曝露等では専門医と判断する。ステロイドも溺水という理由で定型投与しない。人工呼吸管理を持たない当院では、酸素需要や呼吸仕事量の増加、反応低下等があれば、受入先と早く搬送を調整する。[1][2]

5観察と帰宅:経過時間だけで判断しない

無症状でも受傷後の観察を要する。RCHは受傷から8時間、CHQは4~8時間の観察を挙げており、当院の既存6~8時間の運用は、時計の起点と帰宅条件を明確にして実施する。症状がなく、呼吸診察・酸素化が正常で、安全な監護と再受診が確保できるかを合わせて判断する。咳や息苦しさ、傾眠・元気低下があれば再評価し、水の安全対策も家族と具体的に確認する。[1][2]

6出典と適用範囲

観察時間に施設間の幅がある。入院・搬送の判断を単一の時間、単回SpO2や胸部X線だけで決めない。AHA公式PDFはweb取得で本文確認し、curl取得では内容を得られなかった。

7臨床医が迷う場面

8胸部X線が正常なら観察を短くできる?

画像所見だけでは経過を予測できない。受傷時刻から院内方針の6〜8時間を目安に、呼吸仕事量、SpO2、意識と肺所見を追う。酸素需要や呼吸苦があれば画像正常でも帰さず、人工呼吸管理を持たない当院では早期に搬送先と相談する。

根拠:RCH Drowning(海外指針・観察は院内方針)

9水を吸ったので抗菌薬を全例に出す?

予防的抗菌薬は全例に必要ではない。高度に汚染された水、発熱など感染・敗血症の所見を区別し、必要な場合に培養と薬剤選択を検討する。咳や肺所見は非感染性の肺障害でも生じるため、それだけで抗菌薬の追加・延長を決めない。

根拠:RCH Drowning(海外指針・観察は院内方針)

10泳げる子が突然沈んだ。事故だけで説明してよい?

発生前の動悸・失神・けいれん、既往、家族の突然死歴を確認し、必要に応じ心電図を評価する。低酸素が軽いのに意識障害が続く場合は低血糖・低体温・外傷なども再検討する。事故予防の指導と、溺水の原因となった病態の評価を両方行う。

根拠:RCH Drowning(海外指針・観察は院内方針)

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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