8-6 赤ちゃんの股関節の検査(発育性股関節形成不全)

緊急

8-6赤ちゃんの股関節の検査(発育性股関節形成不全)

開排制限を軸にリスク因子・皮膚溝で拾う
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30

日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。

このページの目次10項目

ページ内目次

1ポイント

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2Graf分類(要点)

Ia/Ib(正常発達)α角>60°経過観察
IIa+(生後3か月未満・週齢相応)α角50〜59°経過観察
IIa-(生後3か月未満・週齢に対し未熟)α角50〜59°継続的な超音波経過観察(IIbへの移行に注意)
IIb(生後3か月以降・骨化遅延)α角50〜59°継続的な超音波経過観察
IIc(危険状態)α角43〜49°・β角70〜77°治療対象(整形外科紹介)
D(非求心性)α角43〜49°・β角>77°治療対象(整形外科紹介)
IIIa/IIIb(脱臼)α角<43°・β角>77°治療対象(整形外科紹介)
IV(高位脱臼)計測不能なことが多い整形外科での精査・治療
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3計算・スコア

スコア

二次検診への紹介基準

皮膚溝(大腿・鼠径)の非対称
家族歴
性別
分娩様式

合計 — / 4点

全項目を選択すると判定が出ます。

開排制限が陽性なら、この4項目の点数に関わらず単独で紹介する。

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4検査

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5対応の注意

避けること・注意:クリックサイン単独陽性のみで反射的に二次検診へ紹介すること、Ortolani/Barlow法を検査目的で頻回・力任せに繰り返すこと、骨頭核成熟後(生後10〜12か月以降)の超音波単独評価、男児の左右対称な軽度開排制限を機械的に陽性扱いすること。
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6一次健診の身体所見(開排制限・皮膚溝・Allis徴候・クリックサイン)

  1. 体位:仰臥位で骨盤を水平にする
  2. 開排制限(最重要所見):股関節・膝関節を90〜100度屈曲し、やさしく外転(開排)する。開排角度70度以下、または床からの角度20度以上を陽性とする。無理に開かない(骨頭損傷のリスク)
  3. 大腿・鼠径の皮膚溝:深く・長く、大腿内側から後面まで達する左右差を陽性とする。浅く短い皺の左右差は正常でもよくみられる(偽陽性が多い)
  4. Allis徴候:仰臥位のまま両膝を立て、両踵を床につけて両膝の高さの差をみる。脱臼側で短縮する
  5. クリックサイン:開排時に骨頭が臼蓋を出入りする感触を確認する。強く・繰り返し誘発しない
  6. Ortolani/Barlow法(主に新生児期・二次検診で整形外科医が実施):Ortolaniは脱臼・亜脱臼した骨頭を愛護的な外転で整復する手技、Barlowは安定した骨頭を内転して不安定性を誘発する手技。いずれも愛護的に、後方への圧を加えず1回の診察で行う
やってはいけない・落とし穴
  • 頻回・強制的な誘発操作(クリックサイン・Ortolani/Barlowの繰り返し)は骨頭を傷める危険があるため避ける
  • クリックサイン単独陽性のみで反射的に二次検診へ紹介しない(非特異的で正常股でも触れることがある)
  • 浅く短い皮膚溝の左右差だけを非対称と判定しすぎない(偽陽性が多い)
  • 男児の左右対称な軽度開排制限を機械的に陽性扱いしない(左右差の有無を必ず確認する)
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7紹介の目安

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8診療中の疑問と回答

開排制限がないなら股関節脱臼を除外できる?
開排制限の有無だけでなく、皮膚溝の非対称、家族歴、女児、骨盤位など既定の危険因子を確認する。開排制限がある、または所定の危険因子が重なる場合は二次健診へ紹介する。痛がらないことや一度の正常所見だけで、その後の健診を省略しない。
根拠:日本小児整形外科学会 乳児股関節健診
骨盤位だったが帝王切開で生まれた場合、リスクは消える?
帝王切開かどうかだけで骨盤位のリスクを除外しない。妊娠・出生時の情報を確認し、他の危険因子と合わせて二次健診の基準に当てはめる。紹介時は単に「健診異常」とせず、開排制限の左右差と該当する危険因子を具体的に記載する。
根拠:日本小児整形外科学会 乳児股関節健診
予防のために脚をまっすぐ固定するよう説明してよい?
股関節と膝を伸ばして脚を閉じる姿勢の強制は避ける。自然な屈曲・開排を妨げない抱き方や衣服を説明する。外来で無理に開排したり、整復を試みたりせず、疑い例は専門評価へつなぐ。生活指導だけで紹介や画像評価の代わりにはしない。
根拠:日本小児整形外科学会 乳児股関節健診
クリックサインだけ陽性なら紹介する?
しない。クリック単独は非特異的で正常股でも触れることがある。開排制限・皮膚溝非対称・家族歴・女児・骨盤位分娩を確認する。
帝王切開なら骨盤位分娩のリスクはない?
変わらない。経腟・帝王切開を問わずスクリーニング対象で、子宮内の肢位(特に単殿位)がリスクを規定する。
レントゲンで異常なしなら安心?
生後早期(骨頭核出現前)はX線の判断材料として不十分。身体所見が陽性なら超音波評価か整形外科紹介を優先する。
IIa+とIIa-の違いは自分で判断していい?
いいえ。区別と治療開始の判断は整形外科の評価事項。小児科では紹介するかどうかの判断に使う。
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10家族への説明

この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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