12-4炎症マーカー(CRP・PCT)の使い方
発熱・重症感のリスク層別化に使う血液検査
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次6項目
1ポイント
- CRPは発症後6〜12時間は上がらない。早期受診でのCRP陰性は細菌感染を否定する根拠にならない。
- PCTはCRPより細菌感染への特異度が高いが、保険適用は敗血症(細菌性)疑いに限定される。
- 当院の当直帯で出せるのはCRP・総WBC数(分画なし)まで。好中球分画(自動分画)とPCTは夜間に出ないため、当直の炎症評価は実質CRPと体温だけになる。
- 川崎病様症状に循環動態の破綻(ショック・左室機能低下・強い腹部症状)を伴うときはMIS-Cを必ず鑑別に上げる。心エコーは当直帯にできないので疑ったら相談に回す。
2鑑別のながれ
- 発熱+CRP著明高値+川崎病様の粘膜皮膚症状→腹部症状・循環動態の破綻(頻脈・血圧低下・左室機能低下)を伴う→MIS-C(小児多系統炎症性症候群)。炎症マーカー高値だけでは確定・除外できない
- 発熱+白血球増多・CRP高値→咽頭結膜熱様の上気道症状→ウイルス感染(アデノウイルス・EBV等)でもCRPは上がる
- 発熱を周期的に繰り返す+発作時のみCRP上昇→間欠期は正常化する→家族性地中海熱・PFAPA等の自己炎症性疾患
- 川崎病様症状(発熱・発疹・粘膜疹・結膜充血等)→主要症状が4つ以下(不全型)→CRP高値などの参考条項+冠動脈病変があれば診断対象になる(川崎病参照)
3発熱乳児での使い方(AAP 2021・生後8〜60日)
| 生後8〜21日 | CRP・PCTは取得してよいが結果で方針を変えない | フルセプシスワークアップ・入院・経験的抗菌薬投与を炎症マーカーの結果で省略しない |
|---|---|---|
| 生後22〜28日 | PCTを優先して測定(CRP・血算も) | 当院は院内生後28日以下は日齢によらず全例フル精査(血培・カテ尿・腰椎穿刺)を行う(院内方針院内)。マーカーの結果で省略しない |
| 生後29〜60日 | PCT・CRP・好中球数でリスク層別化 | 腰椎穿刺・抗菌薬投与の要否はマーカーで判断するが、当院は院内生後60日以下は原則入院とする(院内方針院内)。好中球数とPCTが夜間に出ないため実質CRPと体温で判断する |
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4検査
- CRP:当直帯に出せる(簡易採血の範囲)。カットオフの目安はAAP基準でCRP>20mg/L(2.0mg/dL)だが米国基準であり、院内・検査会社の基準値に従う
- PCT:半定量の代表的なカットオフは0.5ng/mL。当直帯には出ない。年齢別アルゴリズムのPCT・ANCはいずれも使えず、当直帯の炎症評価は実質CRPと体温のみになる
- 末梢血液像(鏡検)・尿沈渣:当直帯には出ない
- 画像:単純X線は撮影可(読影は当直医自身、放射線科読影は翌日)。超音波・CT・MRIは当直帯に出ない
- 単一マーカー・単回測定で断定しない。疑いが強ければ数時間〜翌日に再検する
5Q&A
- 生後1週未満(生後8日未満)の発熱児にAAP 2021のCRP・PCT基準を使ってよい?
- 使えない。GLの対象は生後8〜60日に限定され、生後8日未満は適用除外。
- CRPが正常なら細菌感染は否定できる?
- できない。発症後6〜12時間は上がらないため、疑いが強ければ数時間〜翌日に再検する。
- CRPが高ければ抗菌薬が要る?
- 必ずしも要らない。ウイルス感染でもCRPは上がるため、診察所見と合わせて判断する。
6家族への説明
熱の炎症を見る血液検査(CRPなど)は、熱が出てすぐには上がってこないことがあります。今は正常でも感染が隠れていないとは言い切れないため、症状が続く・悪くなるときは再度の受診や採血をお願いすることがあります。数値が高い=必ず抗生物質が必要というわけではなく、他の診察所見と合わせて総合的に判断します。
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