13-1キャッチアップ接種(予防接種の遅れ・積み残し)
積み残しの相談か、時間制限のある曝露後予防かを見分ける
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次7項目
1ポイント
- キャッチアップの原則はひとつ。最初からやり直すのではなく、これまでの接種回数をそのまま数え、規定の最短間隔で残りを詰める。
- 当直の仕事は接種そのものより選別。「麻疹・水痘の患者と会った」を、のんびりした積み残し相談と間違えないこと。曝露後対応には時間の制限がある。
- 当直では通常のキャッチアップ接種そのものは行わない。案内・予約のみとし、かかりつけ・予防接種外来につなぐ(院内方針院内)。
- ロタウイルスは締切が2つ。初回接種は生後15週0日未満に開始が必須(過ぎたら未接種児はどこでも開始不可)。24週0日/32週0日(1価/5価)は開始済みの児の最終回の締切で、「特別の事情」による2年延長の対象にもならない。
- HPVの2価・4価ワクチンのキャッチアップ経過措置は2026年3月末で終了済み。
- 母子手帳がない・海外接種歴がある児も、接種回数はゼロに戻さないのが原則。ただし新規に打つ前に記録の確認を先に。
2鑑別のながれ
- 麻疹患者との接触歴+ワクチン歴が不十分・不明→曝露後72時間以内という時間制限がある→「積み残し」として翌日以降に回さず曝露後対応に切り替える
- 水痘患者との接触歴+未接種または免疫不全→曝露後できるだけ早く(少なくとも72時間以内)→曝露後対応に切り替える
- 汚染創・深い刺創+破傷風トキソイド接種歴3回未満・不明→創処置と同時に判断すべき事項→通常のキャッチアップ相談ではなく創処置の一部として判断表で決める
- ロタウイルス未接種の乳児で、生後15週0日が近い(またはまだ1回目を打っていない)→初回接種は生後15週0日未満に開始しなければならない。これは開始できるかどうかの締切であり、24週0日/32週0日(下の行)とは別の基準→15週0日を過ぎたら未接種児はどの施設でも新規に開始できない。24週0日・32週0日の上限にまだ余裕があるように見えても、実際は開始不可能なことがある
- ロタウイルス未接種の乳児→年齢が上限(1価は生後24週0日、5価は生後32週0日)に迫っている、または既に超えている→この上限は、既に1回目を開始した児の最終回の締切。週単位で待てない。上限を過ぎたら理由を問わず接種できない。「特別の事情」による延長の対象にもならない。無理に受けようとする家族には正確に伝える
- 単純に予定が飛んだ(旅行・体調不良・行事)→曝露歴なし、年齢上限まで余裕がある→最短間隔で詰められる範囲。外来予約でよい
3検査
- 問診:麻疹・水痘の患者との接触の有無(あれば曝露後対応に切り替える)、創の有無、母子手帳の接種回数・接種日、海外での接種歴、免疫不全・免疫抑制治療・臓器移植の既往、長期入院・災害・ワクチン供給不足などの理由
- 「特別の事情」による2年延長の年齢上限:BCGは4歳に達するまで、5種混合は15歳に達するまで、Hib単独は10歳に達するまで、小児の肺炎球菌(PCV15/PCV20)は6歳に達するまで。ロタウイルスはこの制度の対象外
- 長期入院・免疫抑制治療などで定期接種が止まっていた児が退院・治療終了したときは、この2年延長の対象になりうる。ワクチンごとの年齢上限を確認したうえで外来・かかりつけへ確実につなぐ
- 5種混合・4種混合の接種回数は種類をまたいで通算4回まで
- 海外接種歴・母子手帳がない場合は接種回数をゼロに戻さないが、記録を確認できるまでは外来で確認する
- MRの特例(2025年4月〜2027年3月):令和6年度の第1期対象者(2022年4月2日〜2023年4月1日生まれ)・第2期対象者(2018年4月2日〜2019年4月1日生まれ)で、MRワクチンの偏在等を理由に接種できなかったと市町村長が認める場合
4対応の注意
避けること・注意:ロタウイルスの年齢上限を超えているのに家族に押されて接種する。免疫不全児・移植後の児に生ワクチン(BCG・MR・水痘・おたふくかぜ)を単独判断で勧める。HPVキャッチアップ経過措置がまだ続いていると案内する。
5帰宅・入院の目安
- 搬送・紹介麻疹・水痘の曝露後対応が必要(曝露後対応として扱い、通常のキャッチアップとして先送りしない)、免疫不全・移植後の生ワクチン適応判断は、原疾患の担当専門科(腎臓・膠原病・血液等)に確認してから接種する(当直で単独判断しない・院内方針院内)、単純な接種間隔の遅れで緊急性なし(当直では接種を実施せず、案内・予約のみとしてかかりつけ・予防接種外来につなぐ。院内方針院内)
6Q&A
- 予防接種の遅れは最初からやり直す?
- やり直さない。これまでの接種回数をそのまま数え、規定の最短間隔で残りを詰める。
- ロタウイルスは上限年齢を過ぎても事情があれば打てる?
- 打てない。「特別の事情」による延長制度の対象外で、上限年齢(1価は生後24週0日、5価は生後32週0日)を過ぎたら理由を問わず接種できない。
- HPVの2価・4価のキャッチアップはまだ間に合う?
- 間に合わない。経過措置は2026年3月末で終了しており、9価ワクチンの通常の定期接種年齢を案内する。
- 母子手帳が無い・海外での接種歴があるとき、今日打ってよい?
- 当直で新規には打たない。接種回数はゼロに戻さないのが原則だが、記録(海外の接種証明書等)を確認できるまでは外来で確認してから接種する。
- 緊急性のない積み残しなら、当直でそのまま打ってしまってよい?
- 打たない。当直では通常のキャッチアップ接種そのものは実施せず、案内・予約のみとしてかかりつけ・予防接種外来につなぐ(院内方針院内)。麻疹・水痘の曝露後対応は別枠で切り替える。
7家族への説明
予防接種が予定より遅れていても、最初からやり直す必要はありません。今まで受けた回数はそのまま数えて、決められた間隔をあけて残りを追いつかせます。ただしワクチンによっては、これ以上は打てないという年齢の上限があります。特にロタウイルスの飲むワクチンは、この上限を過ぎると理由に関わらず接種できません。母子手帳を持って、かかりつけ医または予防接種の外来で相談してください。もしはしか(麻疹)や水ぼうそう(水痘)にかかった人と最近会った場合は、これは「積み残し」とは別の急ぎの相談です。すぐに伝えてください。
詳しい根拠・出典は 本文の出典欄を参照。
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