11-3カルシウム・マグネシウム・リン異常
ていかるしうむ・ていまぐねしうむ・低Ca・低Mg
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 低Caではけいれん、テタニー、易刺激性をみる。骨変形・成長障害や食事/日光・吸収障害の背景を確認する。[1]
- 高Mgは投与/サプリ曝露と腎障害、高Pは腎障害・溶血/細胞崩壊やリン含有浣腸等を確認する。高Caでは薬剤・ビタミンDと家族歴を確認し、年齢に適した基準で評価する。[3][4][6]
- けいれん、意識変容、テタニーまたは不整脈:ABCと血糖を確認し、電解質評価と監視下治療を並行して小児救急/専門医に相談する。[1][2]
- 軽度・無症候の低Mgで経口摂取可能なら経口補充を検討し、症候性や消化管不耐容では専門相談のもと静注を選ぶ。[2]
2鑑別のながれ
- けいれん/テタニー→低Caと栄養・骨所見→低Caの原因にビタミンD/PTH等を評価する。[1]
- 筋症状/電解質異常→下痢、利尿薬、腎疾患の背景→低Mgを測定し臨床所見と合わせて判断する。[2]
- Ca高値→PTHと尿Ca、薬剤/ビタミンD・家族歴→PTH依存性と非依存性等を専門医と評価する。[6]
- P低値→栄養再開/インスリン治療後か、骨変形・尿中喪失か→再分布による低Pと栄養/腎性くる病を区別する。[1][5]
- P高値→採血溶血または腎機能低下・補充/浣腸曝露→偽高値を再確認し、腎不全/過剰負荷と低Caを評価する。[4]
3検査
- Ca、Mg、P、ALP、PTH、25OHDを組み合わせて、栄養性欠乏と腎・内分泌疾患を区別する。[1]
- くる病所見があれば適切な部位の単純写真を検討する。ビタミンD低値の併存だけでは全てを欠乏性くる病と診断しない。[1]
- 高Caはイオン化Ca/蛋白・酸塩基の影響を確認し、PTH、Mg/P、腎機能、25OHDと尿Ca/Cr等で原因を分類する。必要な検体は可能なら治療前に採るが、結果待ちで初期対応を遅らせない。[6]
4対応の注意
避けること・注意:けいれんを熱性けいれんだけで説明しない。低リン性くる病や骨疾患の鑑別を省かない。[1]。
↑ このページの入口へ5初期対応と継続管理
初期対応
- 軽度・無症候の低Mgで経口摂取可能なら経口補充を検討し、症候性や消化管不耐容では専門相談のもと静注を選ぶ。[2]
- 低Caによるけいれん・テタニー・不整脈/QT延長では静脈路を確保し、心電図連続監視下で静注Caを速やかに開始する方針を専門医と決める。採血結果や通常紹介待ちで遅らせず、製剤濃度・元素Ca量・投与速度・血管外漏出への注意を院内手順で確認する。安定後は原因に応じCa/ビタミンDやMgの治療と再検計画を設定する。[1][2][7]
- 高Mg/高Pでは原因となる補充・輸液/薬剤を止め、腎機能と再検値を追う。高Caでは脱水評価・補正と原因精査を並行し、持続重症は内分泌へ相談する。[3][4][6]
- 低P補充は軽度無症候なら経腸を優先し、症候性/重症や摂取不能時の静注は専門相談と監視下で行う。Ca/Mg含有輸液との同一ルーメン投与を避ける。[5]
フォローと再評価
- 原因治療と補充後のCa/Mg・関連検査を再評価し、症状と栄養/骨所見の改善を追う。[1][2]
- 栄養再開時はP単独でなくK/Mg・腎機能を追い、骨症状ではALP/PTH/25OHDと尿中喪失の評価につなぐ。[1][5]
根拠と適用範囲
- 日本小児内分泌学会 ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き:骨端閉鎖前の小児。未熟児くる病を対象に含まない
- RCH Clinical Practice Guidelines: Hypomagnesaemia:小児低Mgの評価・補充原則
- RCH Hypermagnesaemia:小児高Mg、2021年更新。症候性の緊急相談と曝露中止
- RCH Hyperphosphataemia:小児高P、2023年更新。腎障害・溶血と症候性低Ca
- RCH Hypophosphataemia:小児低P。年齢別基準、refeeding・くる病、静注安全
- University Hospitals Bristol and Weston Calcium: hypercalcaemia and hypocalcaemia:小児施設初期対応、2021版・記載上の見直し期限2024。固定閾値/薬量は採用せず原因検査・専門相談のみ使用
- Pediatric Endocrine Society Child With Suspected Hypocalcemia:2021年。症候性低Ca/QT延長での入院・静注Ca。国内製剤の濃度・薬量・速度は採用しない。
6帰宅・入院の目安
- 帰宅無症状で原因と経口補充・再検計画が明確な場合に外来を検討する。[2]
- 入院神経症状、不整脈、静注治療、摂取不能は監視可能な入院環境で扱う。[2]
- 搬送・紹介症候性、再発性、原因不明や腎障害合併は内分泌・腎臓へ相談する。[1][2]、症候性高Mg、高P/低P、持続する高Caや腎障害合併は腎臓/内分泌・集中治療へ速やかに相談する。[3][4][5][6]
7診療中の疑問と回答
- 低Caが補正しても戻る。次に何を確認する?
- Mg低下があると低Ca・低Kの改善が進まないことがある。Mg、腎機能、薬剤、消化管からの喪失を確認し、単一の値だけを追って補充を重ねない。けいれんや不整脈があれば監視下治療を急ぎ、原因と補充順序を専門科と決める。
根拠:RCH Hypomagnesaemia:原因・症状・補充 - 低Mgは全員に静注する?
- 症状と低下の程度、経口摂取・吸収、継続する喪失と腎機能で選ぶ。軽い無症候例で飲めるなら経口補充を検討できるが、けいれん、テタニー、不整脈、経口不耐容は専門相談と静注管理を考える。補充後もMgと関連電解質を再確認する。
根拠:RCH Hypomagnesaemia:原因・症状・補充 - 補充で数値が正常になれば薬を終了できる?
- 喪失や原因薬が続くか、食事と腎機能が安定したかを確認して減量・終了を決める。過剰補充を避けるため再検日を設定する。症状を伴う異常、再発例、原因不明例は小児内分泌・腎臓へ相談し、家庭で増減させない。
根拠:RCH Hypomagnesaemia:原因・症状・補充
8家族への説明
骨や筋肉の働きに必要な成分の異常を調べる。サプリだけで置き換えず、原因と補充方法を確認する。[1][2]
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。