4-3 こどもの熱傷(やけど)

緊急

4-3こどもの熱傷(やけど)

病態・根拠
このページの目次9項目

1病態:創の面積だけでなく、全身と受傷機転を見る

熱傷は熱による組織傷害に加え、広範囲では血管透過性亢進による血管内水分の減少を生じる。深さは受傷直後に正確に決めにくく、経時的に変化する。そのため「初診で浅く見えた」ことだけで、その後の創管理を終えない。煙への曝露、電流、化学物質は皮膚の面積と別の臓器障害も考える。[1][2]

2鑑別と評価:発赤、深い傷、気道傷害を分ける

水疱のない単なる発赤を、輸液量を決める熱傷面積へ加算しない。年齢に合った面積評価を用い、顔・手・足・会陰・関節、全周性の傷では機能や循環への影響を確認する。閉鎖空間の火災、嗄声、煤、呼吸症状なら気道傷害やCO中毒を考え、通常のSpO2の数値だけで安全としない。受傷状況と傷の形が合うか、保護の必要性も確認する。[2]

3検査と初期治療:冷やす目的と、冷やしすぎの害

熱源から離し、冷却で熱による傷害を減らす一方、小児では低体温を避ける。氷を直接当てず、全身を冷やし続けない。鎮痛と清潔な被覆を行い、創の深さと面積、体温・循環を繰り返し評価する。検査は広範囲、吸入傷害、電撃傷等の病態に合わせ、軽い局所熱傷の全員へ一律に採血するものではない。[1][2]

広範囲熱傷の輸液計算式は開始時の目安で、処方後の体重・循環・尿量・電解質等を見て調整する。受傷からの時間と年齢・体重を無視した一律量にしない。気道傷害、広範囲・深い熱傷、重要部位、全周性による循環障害は熱傷専門施設へ早く連絡する。[1][2]

4感染対策とフォロー

感染を予防する目的だけで、全例に全身抗菌薬を定型投与しない。国内ガイドラインは画一的投与を勧めず、汚染創や特定の条件では対象菌を考慮した個別判断としている。創保護のための外用・被覆と、成立した感染の治療を区別する。破傷風予防は受傷と接種歴で確認する。[1]

帰宅時も創の深さが変わりうるため、予定した創の再評価を確保する。痛みの増悪、発赤の拡大、発熱、末梢の色や感覚の変化、飲めない状態では予定を待たず受診する。専門外科処置がない当院では、処置可能範囲を超える創を抱えない。[1][2]

5出典と適用範囲

成人を含む国内ガイドラインの固定輸液量・尿量目標は小児へそのまま転用せず、体重と専門施設の判断を要する。

6臨床医が迷う場面

7受傷直後は浅そうだった。翌日も同じ処置でよい?

熱傷の深さは初期に判定しきれない。色、毛細血管再充満、感覚、疼痛、浸出液を再診で見直す。手・顔・関節・陰部、全周性、深い熱傷は面積が小さくても専門相談する。外用薬を漫然と継続せず、治癒の進みと機能障害リスクで方針を調整する。

根拠:RCH Burns - acute management(海外指針)

8輸液を始めたが尿が少ない。計算量をそのまま続ける?

面積計算は開始の目安であり、尿量・循環・体重と実投与量で調整する。低尿量では熱傷面積、脱水、尿路と循環を再評価し、浮腫や呼吸状態も観察する。輸液を際限なく追加せず、広範囲熱傷は早期から小児熱傷に対応する施設と管理を相談する。

根拠:RCH Burns - acute management(海外指針)

9冷却して痛みが減った。ずっと水をかけてよい?

冷却中も深部体温・震え・反応を確認する。小児や広範囲熱傷では創を冷やす一方、他部位を保温し、低体温を起こす長時間冷却を避ける。氷を直接当てない。鎮痛後にも循環障害や気道熱傷の所見を再評価し、痛みの軽減だけで帰宅を決めない。

根拠:RCH Burns - acute management(海外指針)

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