3-8 腸閉塞・イレウス

緊急

3-8腸閉塞・イレウス

病態・根拠
このページの目次9項目

1病態:通過障害と、血流障害を分けて考える

腸閉塞は内容物が先へ流れなくなる状態である。腸回転異常に伴う中腸軸捻転では、腸がねじれることで閉塞だけでなく血流も障害され、腸管壊死につながりうる。脱水を補正して見た目が改善しても、捻転が解除されたことにはならない。緑色嘔吐と全身状態の変化は、外科評価を急ぐ理由となる。[1][2]

2鑑別:黄色い嘔吐と胆汁性嘔吐を混同しない

警戒する胆汁性嘔吐は濃い緑色であり、保護者の「黄色だった」という言葉だけで分類せず、写真や色の確認を行う。緑色嘔吐は消化管閉塞を否定できるまで緊急外科疾患として扱う。腹部膨満、間欠痛、排便・排ガス、手術歴、鼠径部腫脹、血便から、捻転、腸重積、嵌頓ヘルニア等を考える。下痢や直前の排便があっても、疑いの強い閉塞をそれだけで否定しない。[1][2]

3検査:正常画像という言葉に頼らない

画像は通過障害の場所と原因、ねじれ等を調べる目的で選ぶ。単純X線、超音波、上部消化管造影等はそれぞれ役割が異なり、一つの検査で全病態を除外するものではない。電解質や腎機能は嘔吐・循環不全の影響を示すが、早期の腸管虚血の否定検査にはならない。検査の順番は、疑う病態と小児外科の体制に合わせる。[1][2]

4治療と紹介:改善を待つ前に外科へ連絡する

経口摂取を控え、気道・循環の評価、必要な静脈路、補液・鎮痛を行う。胃管減圧が必要な場合は経験ある担当者と受入外科で相談し、処置の完遂のために搬送を遅らせない。捻転では緊急手術が必要となり、感染・虚血の懸念に応じた抗菌薬も受入先と調整する。[1]

当院の夜間画像・外科処置の制約があるため、緑色嘔吐、腹膜刺激、循環不良、痛みや膨満の進行では画像がそろう前に相談する。制吐後の軽快だけで帰宅させない。家族には、点滴は循環を支える処置であり、ねじれや閉塞そのものの治療は別に必要となることを説明する。[1][2]

5出典と適用範囲

すべての腸閉塞原因や画像診断プロトコルを網羅しない。検査法と抗菌薬は小児外科が病態に応じて選ぶ。

6臨床医が迷う場面

7吐き気止めで吐かなくなった。腸閉塞は否定できる?

制吐薬への反応では閉塞を否定できない。胆汁性嘔吐、腹部膨満、排便・排ガス、手術歴、局在する痛みや血便を確認する。疑えば絶飲食、輸液・必要な減圧と外科相談を行う。症状を隠して飲水させ、診断を先送りにしない。

出典:RCH 小児嘔吐(海外)

8胆汁性嘔吐は、腹部がまだ軟らかくても緊急?

濃緑色の嘔吐は閉塞、とくに中腸軸捻転を考える。初期に腹部所見が乏しくても否定できず、外科へ速やかに連絡する。ショック・血便・強い持続痛は虚血を疑い、画像がそろうのを待たない。胆汁の色が不明なら現物や写真などで確認する。

出典:RCH 小児嘔吐(海外)

9手術歴があり軽い嘔吐を繰り返す。下剤で様子を見る?

癒着による通過障害を検討し、排便があることだけで部分閉塞を否定しない。腹部膨満、疼痛、脱水と画像を評価し、外科へ相談する。閉塞が疑わしい段階で下剤や食事負荷を自己判断で追加せず、悪化や血行障害の徴候を反復して診る。

出典:RCH 小児嘔吐(海外)

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