9-11 夜尿症(おねしょ)

緊急

9-11夜尿症(おねしょ)

病態・根拠
このページの目次13項目

1夜間尿量・膀胱容量・覚醒の釣り合い

夜尿は、睡眠中につくられる尿量が膀胱に保持できる量を超え、その時に目覚めて排尿できないことで起こる。夜間の抗利尿作用、蓄尿機能、覚醒の発達が関わり、意欲の不足とは扱わない。尿量を減らす薬と、濡れ始めの覚醒を助けるアラームでは狙いが異なる。[1][2]

2分類が治療の順番を変える

国内GLでは5歳以上、月1回以上、3か月以上の夜尿を評価の対象とする。昼間の排尿症状がない単一症候性と、症状を伴う非単一症候性を分ける。6か月以上乾燥していた後の再発は二次性として、便秘、身体疾患や環境の変化を確認する。昼間の漏れや排尿困難を見落とすと、夜間だけ治療しても改善しにくい。[1][2]

3日誌と診察で確かめること

日誌は夜尿回数に加え、飲水の時間、昼間の排尿量・回数、便を記録する。夜間尿量は、おむつの重量増加、夜間にトイレでした尿、起床時第一尿を合わせる。第一尿だけを測って夜間全体の尿量とみなさない。便秘や尿意の我慢があれば、蓄尿・排尿の問題を並行して整える。[1][2]

多飲多尿や体重減少は糖尿病等、発熱・排尿時痛は感染、持続漏れや神経所見は解剖学的・神経学的異常を評価する。典型的な単一症候性にMRIや膀胱機能検査を一律に追加しない。強いいびきや睡眠時無呼吸は関連する併存症として評価し、現在の呼吸不全がない児を一律に救急搬送しない。[1][2]

4続けられる治療を一緒に選ぶ

生活指導を土台に本人の希望と家庭の負担を聞く。アラームは濡れた際の覚醒と排尿を助けるため、初めは保護者の支援を要することがある。乾燥だけを急がず、覚醒できたか、尿量や頻度が変わったかを早い再診で確認する。デスモプレシンは夜間の尿生成を抑えるが、膀胱・便秘・昼間症状そのものの治療には代わらない。[1][2]

5国内製剤の適応と水中毒の予防

夜尿症の適応を持つミニリンメルトは120μg・240μg規格。原則6歳以上で、観察期の夜尿翌朝の平均尿浸透圧800mOsm/L以下または平均尿比重1.022以下を目安に尿濃縮低下を確認する。1日1回就寝前120μgから、効果不十分なら240μgへ増量する固定用量であり、体重換算や海外の増量上限を用いない。[3]

薬が効いている間に水分が過剰になると低Na血症・水中毒を来しうる。投与2〜3時間前(夕食後)から翌朝まで飲水を極力避け、過度の飲水後は投与しない。発熱や胃腸炎で補水が必要な間は中止し、再開は体調と飲水を確認して処方医の指示に従う。頭痛・倦怠感・嘔吐で中止と医師への連絡、意識障害・けいれんでは救急対応とする。[3]

低Na血症、多飲症、利尿薬治療を要する心不全、SIADH、中等度以上の腎障害、成分過敏症は禁忌。1週間以上の継続では血清Na・血漿浸透圧の検査、投与中は毎月の状態観察が必要である。約3か月ごとに1〜2週間中止して夜尿状況を確認するなど、漫然と継続しない。[3]

6早期評価から治療変更までの根拠

国内GLの総論4では120μgで開始し、早期に同量継続か240μgへの増量を判断する。引用されたICCSの目安は1〜2週間であり、添付文書が固定した増量日程ではない。服薬・食事・飲水の状況を直してから用量を決める。食後から食前への変更は吸収を増やしうるため、「効かない」ことだけを理由に時刻変更と増量を重ねない。[1][3]

治療前後を同じ長さの日誌で比較する。夜間尿量が減っても夜尿が続く場合は蓄尿・覚醒の要素が残る可能性があり、尿量だけで成功・失敗を判定しない。240μgでも適切な服薬下で無効なら中止・アラームへの変更や併用を検討する。抗コリン薬を考える前には便秘と残尿・排尿困難を評価する。[1][2]

7休薬・減量・再開を分ける

約3か月ごとの1〜2週間休薬は、自然軽快を確認するための添付文書上の方針である。有効例の終了時には段階的な減量も検討できるが、最適な手順は確立していない。GLで紹介された60μgや隔日投与を含む研究手順は、そのまま国内承認用法を意味しない。240μgから120μgへの減量を含め、担当医が個別に計画する。[1][3]

休薬後の再発は直ちに治療失敗を意味しない。再開前に困り感、昼間症状・便秘、新たな疾患、服薬・飲水条件を見直す。体調不良や過飲水による安全上の休薬と、治療終了を試す計画休薬を分ける。水中毒が疑われた場合は評価を済ませずに再開しない。[1][3]

8併用薬が水中毒リスクを変える

添付文書10.2には三環系抗うつ薬・SSRI・カルバマゼピン等、NSAIDs、ロペラミド、利尿薬などの併用注意がある。自己購入薬も含めて確認し、必要性と監視方法を見直す。口渇を来す抗コリン薬を加える際も、便秘・尿閉に加えて飲水量の変化に注意する。三環系薬は心毒性に加え、デスモプレシンとの併用で低Na血症にも注意する。[1][3]

9出典・適用範囲

根拠確認日:2026-10-27。院内採用・検査の実施時期・連携先は診療担当者が確認する。

10臨床医が迷う場面

11デスモプレシンが効かない。何を確認してから増量する?

投与時刻、食事との間隔、舌下での服用と飲水、夜尿日誌を確認する。便秘・昼間症状や尿量型の見立ても再評価する。国内の夜尿症用量の範囲で医師が増量し、自己判断で追加しない。上限でも不応なら治療併用や専門紹介を検討する。

根拠:PMDA ミニリンメルト電子添文

12発熱・胃腸炎の日もいつもの薬を飲ませる?

補水が必要な発熱や胃腸炎では休薬する。投与前から翌朝までの飲水制限を安全に守れない日や、多く飲水した日も投与しない。頭痛、嘔気・嘔吐、むくみ、意識変化やけいれんは低Na血症を疑い中止して受診し、体調と飲水が戻った後の再開は処方医と決める。

根拠:PMDA ミニリンメルト電子添文

13夜尿が減ったら薬をずっと続けてよい?

月ごとに効果と安全性を確認し、継続時の血清Na・血漿浸透圧の監視を行う。約3か月ごとに1〜2週間の中断で継続の必要を見直す。再発時は日誌と生活条件を確認して再開を相談し、60μg製剤を用いた独自の減量法を夜尿症へ流用しない。

根拠:PMDA ミニリンメルト電子添文

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