2-17喘息の長期管理(発作ではない相談)
このページの目次12項目
1病態と、長期管理で防ぐもの
2鑑別と検査:効かない理由を確かめる
症状が残るときは、薬が届いているかを先に確認する。本人に実物のデバイスで吸入してもらい、スペーサーの使い方、薬の残量、続けにくい事情を聞く。治療不十分と診断違いを区別しないまま、薬剤を追加しない。運動中に急に生じる吸気性の音やのどの閉塞感ではEILOも考える。JPGL2023の解説は、専門治療前に鑑別・合併症・服薬継続・吸入手技を再評価する重要性を示す。[1]
協力できる年齢ならスパイロメトリーは気流制限と変動の評価に役立つ。ただし、症状がない時の単回検査だけで臨床経過を置き換えない。アレルギー検査は感作の評価であり、それだけで今の咳の原因や喘息重症度を決める検査ではない。RCHは通常の管理で一律にアレルギー検査を行うことを勧めていない。[2]
3治療の目的と当院の役割
4再評価と家族への説明
5出典と適用範囲
- [1] 長尾みづほ:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023の解説。日本小児アレルギー学会JPGL2023の変更点、専門連携と基本の再評価。原ガイドライン全巻の代替ではない。
- [2] RCH Asthma in primary school-aged children (6–11 years)。学童のコントロール評価、手技・服薬確認、長期管理・行動計画。
RCHの製剤・適応外使用・投与ステップを国内処方へそのまま移していない。乳幼児の診断と用量を本節だけで決定しない。
6臨床医が迷う場面
2026-10-27追記。海外指針の評価の考え方は参考とし、国内承認用量・既存の院内方針と区別する。
7「最近よく発作止めを使う」だけで長期管理薬を増やす?
その場で増量せず、日中症状・夜間覚醒・運動制限・発作止めの使用日数と、救急受診や全身性ステロイドの履歴を聞く。薬を実際に持参してもらい、スペーサーを含む吸入手技と残薬・処方間隔を確認する。当院は長期薬を調整せず、記録をかかりつけへ送り早めの再評価につなぐ。現在の呼吸苦があれば発作対応へ切り替える。
8薬を正しく使っていても咳が続く。次に何を確認する?
喘息の診断、鼻炎などの併存症、受動喫煙、アレルゲン曝露を再点検する。吸気時に喉で音がする、運動中だけ急に苦しくなる、吸入への反応が乏しい場合は別の原因も評価する。「重症化」と決めつけて薬を積み重ねず、専門医に検査と治療調整を依頼する。
出典:RCH:学童の喘息管理(海外指針)/) / RCH:急性喘息(海外指針)
9症状が消えたら吸入ステロイドを中止してよい?
無症状だけでは中止しない。コントロールの持続期間、過去の重症発作、季節性・曝露、家庭での対応力を確認し、かかりつけが最小有効治療を検討する。海外指針は約3か月の良好な状態を減量検討の目安とするが、年齢で中止条件が異なる。当院から一律の休薬指示は出さず、変更後の再診を先に決める。
出典:RCH:学童の喘息管理(海外指針)/) / RCH:就学前の喘息管理(海外指針)/)
10風邪をひいたら普段の吸入ステロイドを倍にする?
自己判断で一時的に倍量にしない。小児では短期増量の有効性が明確でなく、反復高用量には有害作用がある。普段の処方と個別の発作時指示を確認し、発作止めで改善しない呼吸苦には受診を促す。長期薬の再設計はかかりつけに依頼し、発作時の薬と予防薬を家族と区別する。
11モンテルカスト開始後に悪夢や性格の変化が出たら?
開始日・症状の出現日、睡眠、行動の変化を確認する。国内添付文書には精神症状の報告があり、因果関係は明らかではないが観察が必要とされる。処方医へ速やかに連絡し、休薬・変更の要否を判断する。自傷のおそれなど切迫した症状は当日評価とする。無効なのに漫然と継続せず、この薬を発作止めにも使わない。
12紹介状に何を書けば、専門外来で調整しやすい?
年齢、薬剤名・規格・デバイス・実使用量、吸入実演の結果、夜間症状・運動制限・発作止めの頻度、全身性ステロイドと救急・入院歴を添える。成長経過と治療継続の障害も共有する。診断不確実、繰り返す増悪や治療不良は、薬を増やす前の専門評価につなぐ。当院の紹介運用として用いる項目である。
出典:RCH:学童の喘息管理(海外指針)/) / RCH:就学前の喘息管理(海外指針)/) / CPS:小児喘息急性増悪(海外指針)
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。