4-22動物咬傷・ハチ刺傷・虫刺され
このページの目次10項目
1病態と鑑別:傷の入口の大きさと、深さは一致しない
犬咬傷は圧挫と裂傷、猫咬傷は細い穿刺が深部に達する損傷になりやすい。人咬傷、とくに握り拳が歯に当たった創では、手を伸ばした外見だけで関節・腱への到達を見落としうる。皮膚の穴だけでなく、受傷肢位、神経血管、腱・関節機能、顔面なら眼や頭部の損傷を診る。[1]
2洗浄と探索が治療の中心になる理由
咬傷には動物の口腔、児の皮膚、環境に由来する菌が混在する。十分な鎮痛のもとで洗浄し、異物・壊死組織と深部損傷を確認することが、薬だけでは除けない汚染に対する処置になる。抗菌薬予防は深い穿刺、手・顔・関節周囲、遅れた受診や免疫不全などの感染リスクで判断し、すべての浅い咬傷に一律投与する方針とは分ける。[1]
3破傷風と創感染の予防を混同しない
4検査・外科評価:当院で閉創しないことと、放置は違う
当院は縫合・外科処置ができないため、深部への到達、神経血管異常、腱・関節・骨や眼の損傷、組織欠損では洗浄と被覆を行い外科へ紹介する。画像は骨・関節損傷や異物を疑う場合に役立つが、専門評価を遅らせない。閉創の是非は汚染・部位・受傷時間で異なり、紹介先で判断する。[1]
5帰宅後は感染の進み方を見る
帰宅可能な浅い創でも、疼痛・発赤・腫脹の増悪、発熱、膿、指や関節が動かしにくい場合は再評価する。洗浄・被覆の方法と再診計画を示す。ハチ刺傷などの即時呼吸循環症状は、創感染の経路ではなくアナフィラキシーとして対応する。[1]
6出典と適用範囲
- [1] RCH Animal and human bites。機序、洗浄、抗菌薬リスク評価、専門紹介。
- [2] CDC Clinical Guidance for Wound Management to Prevent Tetanus。汚染創の接種歴評価と、抗菌薬は破傷風予防を代替しない点。
抗菌薬、ワクチン・免疫グロブリンの国内用法は施設手順で確認する。動物種と曝露地域による狂犬病判断は専門機関へ相談する。
7臨床医が迷う場面
8小さな猫咬傷なら洗って帰してよい?
表面が小さくても深い穿刺になり得る。部位、関節・腱への到達、神経血管所見を確認し、十分に洗浄する。手指、顔、関節近傍、挫滅や免疫不全では創感染予防薬と専門科評価を検討する。破傷風対策は抗菌薬と分け、接種歴で判断する。
9咬傷をきれいに縫って閉じてよい?
大半は感染リスクを考えて開放管理を検討する。顔面など整容上の必要がある創でも、受傷時間、深さ、汚染、十分な洗浄・探索の可否を確認する。当院で腱や関節損傷の評価、適切な処置を完了できない場合は、縫合を先行せず専門科に相談する。
10予防薬を飲んでいるのに腫れた。期間を延ばす?
疼痛・発赤の拡大、膿、発熱、関節運動制限を再評価する。深部感染や異物があれば内服の延長だけでは不十分で、画像や洗浄・ドレナージが必要となる。培養、投与薬の適合、入院の要否を検討し、骨・関節感染が疑わしければ速やかに専門科へつなぐ。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。