6-3 アナフィラキシーとアドレナリン注射(エピペン)

緊急

6-3アナフィラキシーとアドレナリン注射(エピペン)

病態・根拠
このページの目次12項目

1要点(3行)

  • アナフィラキシーは「皮膚粘膜症状+呼吸/循環/消化器のいずれか」または「既知アレルゲン曝露後の急な血圧低下・気管支攣縮・喉頭症状」で診断し、疑った時点で直ちにアドレナリン筋注(0.01mg/kg、大腿前外側)が第一選択[1]。
  • 抗ヒスタミン薬・ステロイドはあくまで補助薬で、皮膚症状の緩和以外に確立したエビデンスはなく、アドレナリン投与を遅らせる理由にならない[1]。仰臥位(下肢挙上)を保ち、急な起立・座位変換は避ける(empty vena cava/ventricle syndrome)[1]。
  • エピペンは体重区分(目安:15kg未満は0.15mgでも過量、15〜30kg未満で0.15mg、30kg以上で0.3mg)を取り違えない[2]。二相性反応(小児最大11%)に備えて数時間の院内観察を行い、エピペン処方は使い方の実技指導・学校/保育所への生活管理指導表とセットで完結させる[1]。

2いつ使う・いつ使わない(適応/非適応)

  • 使う(適応): 日本アレルギー学会診断基準1・2のいずれかを満たす場合[1]
  • 基準1: 皮膚・粘膜症状(全身性の蕁麻疹、瘙痒または紅潮、口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)が急速に(数分〜数時間で)発症し、さらに次のいずれか1つを伴う
  • A. 気道/呼吸:呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、PEF低下、低酸素血症など
  • B. 循環器:血圧低下または臓器不全に伴う症状(筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁など)
  • C. その他:重度の消化器症状(重度の痙攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外のアレルゲンへの曝露後])
  • 基準2: 典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲン(またはその可能性がきわめて高いもの)に曝露された後、血圧低下*または気管支攣縮または喉頭症状#が急速に(数分〜数時間で)発症した場合
  • *血圧低下の定義:乳児・10歳以下=収縮期血圧が[70+(2×年齢)]mmHg未満、または平時比30%超の低下/成人=収縮期血圧90mmHg未満、または平時比30%超の低下
  • #喉頭症状:吸気性喘鳴、嗄声、嚥下痛
  • 使わない・過剰になりがち:
  • 局所の蕁麻疹のみ・軽度の皮膚症状のみでバイタル異常や呼吸器/循環器/消化器症状を伴わない例(抗ヒスタミン薬で経過観察可)
  • 喘息発作単独(蕁麻疹・血管性浮腫・腹痛・血圧低下を伴わない)
  • 不安発作/パニック発作(蕁麻疹・血管性浮腫・喘鳴・血圧低下を伴わない)
  • 純粋な血管迷走神経反射(臥位で軽快、蒼白と発汗を伴うが蕁麻疹・皮膚紅潮・呼吸器症状・消化器症状を伴わない)
  • 部分的な発疹・瘙痒のみなど、皮膚症状はあってもA(気道/呼吸)・B(循環器)・C(重度消化器)のいずれも伴わない場合はアナフィラキシーと判断しない。※「グレード」(表11の重症度分類、グレード1〜3)は診断基準1・2とは別建ての分類で、診断後の治療強度を決めるための軸であり、「グレード2以上・複数臓器でなければ診断しない」という追加の閾値は基準1・2には存在しない。皮膚・粘膜症状にA/B/Cのいずれか1つでも急速に伴えば、その症状の重症度(グレード)を問わずアナフィラキシーと診断し、アドレナリンを投与する[1]

3実際(初期対応・アドレナリン投与・エピペン・観察)

2-1. 初期対応の手順(GL記載の10ステップの要旨)[1]

  1. アナフィラキシーを認識し、院内の緊急時プロトコールに沿って迅速に対応する
  2. 可能なら曝露要因を除去する(原因薬剤の点滴投与中なら中止など)
  3. 気道/呼吸/循環、精神状態、皮膚、体重を評価する
  4. 応援を呼ぶ(院内蘇生チームまたは救急隊)
  5. 大腿部中央の前外側に0.1%アドレナリン(1:1,000[1mg/mL]溶液)0.01mg/kgを直ちに筋注(最大量:成人0.5mg、小児0.3mg)。投与時刻を記録し、必要なら5〜15分毎に再投与する(ほとんどの患者は1〜2回の投与で効果が得られる)
  6. 患者を仰臥位にする(呼吸困難・嘔吐がある場合は楽な体位)。下肢を挙上させる。突然立ち上がったり座ったりした場合、数秒で急変することがある
  7. 必要な場合、フェイスマスクか経口エアウェイで高流量(6〜8L/分)の酸素投与を行う
  8. 留置針・カテーテル(14〜16Gの太いもの)で静脈路を確保し、0.9%等張食塩水1〜2Lの急速輸液を考慮(例:成人は最初の5〜10分で5〜10mL/kg、小児は10mL/kg)
  9. 必要に応じ胸部圧迫法で心肺蘇生を行う
  10. 頻回かつ定期的に血圧・心拍数・心機能・呼吸状態・酸素濃度を評価する(可能なら持続的モニタリング)

2-2. アドレナリン筋注:体重換算の考え方[1]

  • 通常量:0.01mg/kg(1mg/mL=1:1000溶液を使用)
  • 最大投与量:成人0.5mg、小児0.3mg
  • 決定=13歳以上を成人区分(アドレナリン筋注の上限0.5mg)とする。根拠:出典1 表14、日本救急医学会監修「アナフィラキシー対応・簡易チャート(13歳以上〜成人)」(出典3)。この区分はアドレナリン筋注の上限のみに適用し、輸液量・除細動エネルギー(J/kg)・気管チューブサイズ等、本シート内の他の年齢依存基準には適用しない。
  • 効果発現:筋注後10分程度で血中濃度が最高になり、40分程度で半減する。効果が短時間で消失するため、症状が治療抵抗性なら5〜15分毎に反復投与する
  • 投与経路:筋肉内注射が原則(静脈内投与は心停止/心停止に近い状態以外は推奨されない。不整脈・高血圧などの有害事象リスクがあるため)
  • 投与部位:大腿部中央の前外側(殿部や他部位は不可・吸収が不確実)
  • 妊娠中の患者でも母体循環動態を守ることが胎児を守ることにつながるため筋注の適応となる
  • 既知または疑いのある心血管疾患患者でも、アドレナリン使用の絶対禁忌は存在しない(ベネフィットとリスクのバランスで判断)

簡易換算の目安(GL表14より)[1]:

年齢の目安用量の目安(1mg/mL[1:1000])
体重10kg以下の乳幼児0.01mL/kg = 0.01mg/kg
1〜5歳の小児0.15mg(0.15mL)
6〜12歳の小児0.3mg(0.3mL)
13歳以上・成人0.5mg(0.5mL)

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※あくまで体重換算(0.01mg/kg、最大成人0.5mg・小児0.3mg)の考え方の補助であり、年齢だけで機械的に決めない。体重が判明している場合は年齢区分より体重換算(0.01mg/kg)を優先する(肥満・低体重児では年齢区分どおりだと実体重との乖離が生じうるため)。年齢と体重の区分が食い違う境界例(例:体重上は0.15mg相当だが年齢は6〜12歳など)でも、体重を優先して判断する。

2-3. エピペン(アドレナリン自己注射薬)の体重区分[2]

添付文書(エピペン注射液0.15mg/0.3mg。2026年3月改訂第6版が現行最新〔前版は2025年11月改訂第5版〕。以下の用法・用量・警告の記載内容自体は旧版から一貫しているが、運用前に必ず最新版原文で再確認すること)の用法・用量:「通常、アドレナリンとして0.01mg/kgが推奨用量であり、患者の体重を考慮して、アドレナリン0.15mg又は0.3mgを筋肉内注射する」「通常、成人は0.3mg製剤を使用し、小児は体重に応じて0.15mg製剤又は0.3mg製剤を使用する」。

  • 警告(9)に明記された過量投与の目安:0.01mg/kgを超える用量となるのは、0.15mg製剤では体重15kg未満、0.3mg製剤では体重30kg未満の患者。この場合は過量投与となるおそれがあるため十分な注意が必要で、それ以外のアドレナリン製剤(アンプル等)の使用も含めて検討し、患者の症状を観察した上で慎重に判断する。
  • 実地の目安(上記から逆算):15kg以上30kg未満=0.15mg/30kg以上=0.3mg。エピペンには体重15kg未満に対応する承認用量区分が存在せず、15kg未満への処方は適応外使用に相当する(過量投与のおそれを伴うため通常は行わず、必要な場合は通常のアドレナリン注射液(アンプル)での用量調整を検討する)。
  • 「小児等への投与」:低出生体重児・新生児・乳児を対象とした臨床試験は実施しておらず、安全性は確立していない。
  • 禁忌(添付文書に明記):イソプレナリン・ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)。GL2022が述べる「アドレナリン使用に絶対禁忌は存在しない」は心血管疾患既往を理由に投与をためらうべきでない、というアナフィラキシー治療全般の考え方であり、エピペン添付文書上のこの禁忌とは矛盾しない(他のカテコールアミン投与中という限定的な状況のみが対象)。
  • 投与部位:大腿部の前外側のみ(殿部やその他の部位への注射は避ける)。衣服の上からでも投与可能。
  • 使用方法:オレンジ色のニードルカバー先端を大腿前外側に垂直に「カチッ」と音がするまで強く押し付け、太腿に押しつけて注射する。押しつけ時間:GL2022の解説図(図14)は「5秒間」と明記している[1]。一方、現行のPMDA添付文書(後述、直近改訂版)は「数秒間強く押し付けて注射する」という記載にとどまり、具体的な秒数を明記していない可能性がある。実技指導では「数秒間(目安5秒程度)しっかり押しつける」という運用とし、指導時は必ずその時点の添付文書原文の秒数表現を確認すること。
  • 一度注射すると再注射できない仕組み(同一の製剤での二度注射は不可)。効果不十分・症状再燃時は次回投与量の医療用アドレナリン(施設内の製剤)または追加のエピペンで対応する。
  • 患者・保護者への交付時は、必ずインフォームドコンセントを実施し、保存方法・使用方法・使用時発現しうる副作用等を理解したことを確認した上で交付する。

2-4. 第二選択薬(アドレナリン以外)の位置づけ[1]

薬剤臨床的意義(GL要旨)推奨度
H1抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン静注、セチリジン経口など)瘙痒感・紅斑・蕁麻疹・鼻漏などを軽減するが、気道閉塞や血圧低下/ショックを防止・改善できないため救命効果はないC
β2アドレナリン受容体刺激薬(サルブタモール吸入など)喘鳴・咳嗽・息切れなど下気道症状を軽減するが、上気道閉塞や血圧低下/ショックには無効C
グルココルチコイド(ヒドロコルチゾン・メチルプレドニゾロン静注、プレドニゾロン経口など)作用発現に数時間を要し、アナフィラキシー発症後最初の数時間は救命効果がない。遷延性/二相性反応の防止・緩和を意図して使用されるが、その効果は立証されていないC

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  • 第一選択薬であるアドレナリンが最優先。第二選択薬はいずれも推奨度C(比較研究などの非実験的記述研究、または無作為化対照試験もしくは準実験的研究からの類推)にとどまる。
  • H1/H2抗ヒスタミン薬の急速静注は血圧低下を、グルココルチコイドの急速静注は喘息発作等の過敏症状の発現を招く可能性があり好ましくない。
  • アドレナリンに反応しない患者、特にβブロッカー投与中の患者にはグルカゴンが有効な可能性がある(成人1〜5mg、小児20〜30μg/kg、最大1mgをゆっくり5分以上かけて静注。必要に応じ5〜10分毎に1mgずつ反復、または5〜15μg/分で持続点滴)[1]。
  • グルカゴンは日本では抗アナフィラキシー適応で未承認(適応外使用):GL2022自身が「日本での適応疾患は、動揺病、メニエール症候群に限られる」と明記しており[1]、アナフィラキシー・β遮断薬抵抗性への使用は適応外使用である旨をカルテ記載・インフォームドコンセントの観点で明示すること。

2-5. 体位[1]

  • 明らかな血圧低下がなくても、発症時は仰臥位かトレンデレンブルグ体位が望ましい。血圧が著明に低下している場合は下肢挙上が短時間でも血圧上昇に効果的。
  • 呼吸困難がある場合は座位、妊娠中は左側を下にして半仰臥位、意識消失時は回復体位にする。
  • 血管内に血液量が維持されていない病態で急に立位・坐位にすると、心室内・大静脈内が十分に充満していない"Empty"な状態(empty vena cava / empty ventricle syndrome)に陥る。この状態でアドレナリンを投与しても心臓は空打ちとなり薬効が不十分なばかりか、心拍出量低下や心室細動など不整脈誘発のリスクがある。

2-6. 二相性反応と観察時間[1]

  • 二相性反応は成人の最大23%、小児の最大11%に発生する。
  • 二相性反応の約半数は最初の反応後6〜12時間以内に出現する。
  • アドレナリン投与の遅れ(発症から30分以上)は二相性反応の出現に関連する。
  • 遅延反応でアドレナリン投与を要したのは9.2%(中央値1.7時間、14分〜30時間)、うち76%は4時間以内だが7.4%は4〜10時間のうちに重篤な反応を来している。
  • GL2022自体に「◯時間観察してから帰宅」という一律の数値基準の明記はない。上記の疫学(二相性反応の約半数が6〜12時間以内に出現、アドレナリン投与の遅れが二相性反応と関連)を踏まえ、症状が治療に良好に反応し軽快した単回投与例でも数時間(目安4〜6時間)の院内観察を行い、アドレナリン複数回投与例・重症例(グレード3)・喘息合併例・アドレナリン投与が遅れた例では、より長時間(6時間超〜一晩)の観察または入院を検討するのが実地臨床の考え方。

4鑑別・拾える疾患/注意すべき病態[1]

  • 気道症状:喘息増悪(発作)、異物誤嚥・窒息、過換気症候群、不安発作/パニック発作
  • 精神・神経症状:血管迷走神経反射(神経調節性失神・たちくらみ)、てんかん、解離性(転換性)障害
  • 循環器症状:急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)、肺血栓塞栓症、心不全、褐色細胞腫(奇異反応)、全身性毛細血管漏出症候群
  • 皮膚が紅潮する疾患:カルチノイド症候群、レッドマン症候群(バンコマイシン)、閉経周辺期、甲状腺疾患
  • 食事・食物関連:仮性アレルゲンによる中毒症状(ヒスタミン中毒=サバ・マグロなどの常温保存不良、セロトニン中毒、チラミン中毒)、生物由来の中毒(フグ・貝類・スイセンなど)
  • 血管性浮腫:非アレルギー性血管性浮腫(遺伝性I〜III型、ACE阻害薬・NSAIDs・経口エストロゲン等の医薬品関連)
  • その他:好酸球性消化管疾患、マスト(肥満)細胞症/クローン性マスト細胞異常(アナフィラキシーのリスクが高く、アナフィラキシーが本疾患の初発症状にもなりうる点に注意)、好塩基球性白血病
  • 見落とし注意:患児があまりにも頻繁にアナフィラキシー様症状や喉頭症状を訴えている場合は、保護者による代理ミュンヒハウゼン症候群も鑑別に留意する

5忘れがちポイント・落とし穴 ★

  • 抗ヒスタミン薬・ステロイドを先に投与してアドレナリンを遅らせる:最も典型的で危険な誤り。両薬剤とも推奨度Cで救命効果は証明されておらず、アドレナリン投与の遅れ(発症30分以降)は二相性反応の増加と関連する[1]。
  • 筋注部位の誤り:大腿前外側以外(殿部・上腕皮下など)は吸収が不安定・遅延する。エピペンの添付文書でも「大腿部の前外側以外の尻や身体の他の部分に注射しない」と明記されている[2]。
  • 血圧低下が目立たない初期のショックを見逃す:ショックの初期には血圧低下が目立たないことがあり、仰臥位でも低血圧を示さないことがある。経時的な全身観察・モニタリングを怠らない[1]。
  • 急な体位変換による急変:立位や坐位への急な変換でempty vena cava/ventricle syndromeに陥り、数秒で急変することがある。「動けそうだから座らせる/立たせる」を避ける[1]。
  • エピペンの体重区分の取り違え:15kg未満に0.15mg、30kg未満に0.3mgを投与すると0.01mg/kgを超える過量投与になりうる。逆に体重が大きい患児に0.15mgのままにしていないかも確認する。エピペンには15kg未満に対応する承認区分がなく、その処方自体が適応外使用にあたる点も併せて説明・記録する[2]。
  • 心血管疾患既往・高齢を理由に投与をためらう:アドレナリン使用に絶対禁忌は存在しない。アドレナリンを使用しなくてもアナフィラキシー自体が急性冠症候群を来しうる[1]。
  • 「1回打ったら終わり」の誤解:アドレナリンの効果は短時間で消失するため、治療抵抗性なら5〜15分毎に反復投与する。多くは1〜2回の投与で効果が得られるが、反復投与を躊躇しない[1]。
  • 症状消失直後の安易な帰宅:二相性反応は小児でも最大11%、その約半数が6〜12時間以内に出現する。特にアドレナリン複数回投与例・重症例・アドレナリン投与が遅れた例では観察を延長する[1]。
  • エピペン処方だけで終わらせる:使い方の実技指導(打つ場所の再確認、太腿に数秒間〔目安5秒〕しっかり押しつける、使用後は必ず救急要請・医療機関受診)と、学校・保育所への生活管理指導表の連携までがセット[1]。
  • グルカゴンの適応を知らない:βブロッカー内服中でアドレナリンに反応しない患者にはグルカゴンが有効な可能性がある。ただし日本での承認適応は動揺病・メニエール症候群のみで、アナフィラキシーへの使用は適応外使用にあたる[1]。
  • 静脈内投与への安易な切り替え:静脈内投与は心停止/心停止に近い状態以外では不整脈・高血圧などのリスクがあり推奨されない[1]。

6患者・保護者への説明(要点)

  • アナフィラキシーは命に関わる急なアレルギー反応。迷ったら「様子を見る」のではなく、すぐに注射薬(エピペン)を使うこと。
  • かゆみ・じんましんだけでなく、息苦しさ・声のかすれ・激しいお腹の痛みや繰り返す吐き気、ぐったり・顔色が悪いなどが一緒に出たら、すぐにエピペンを使う。
  • エピペンは太ももの外側(服の上からでもよい)に、5秒間しっかり押し付けて注射する。
  • 使ったあと症状が良くなったように見えても、必ず救急車を呼んで病院を受診する(数時間後に症状がぶり返すことがあるため)。
  • 立ったり座ったりせず、横になって足を高くして休む。急に立ち上がると急に具合が悪くなることがある。
  • かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)は補助の薬であり、それだけで様子を見るのは危険。
  • 学校・保育所には生活管理指導表を提出し、エピペンの保管場所と使い方を先生たちと共有しておく。

7院内ローカルルール

  • 決定:二相性反応のリスクを踏まえ全例4〜6時間観察後に帰宅可否を判断し、重症例(グレード3以上・複数回投与)は入院とする(論点:観察後の帰宅基準/入院基準に関する院内の取り決め(グレード・投与回数別の運用があるか))
  • 決定:13〜15歳のアドレナリン筋注(アンプル)の上限は成人扱い(0.5mg)とする(論点:13〜15歳の上限は0.3mg〈小児扱い〉か0.5mg〈成人扱い〉か、本文の一般記述と年齢別簡易表〔2-2節〕の不一致)。日本アレルギー学会GL2022 表14・日本救急医学会監修の簡易チャート(出典3)がともに13歳を成人区分の境界としており一致。この決定はアドレナリン筋注の上限にのみ適用し、urticaria-anaphylaxis/hospital.md 4章にも同内容を反映済み。未確認:院内の計算ツール(_build-hospital.mjsのアドレナリン計算ツール)は現状デフォルトが「小児・上限0.3mg」側に固定されており、本文とツール初期表示の不一致が残っている。ツールの修正方式(未選択スタートにするか、年齢入力欄を追加し自動判定させるか)は当院の実装判断待ちで、本ワークフローでは編集対象外のため未着手。

8出典(日本のGL優先・URL+版年)

  • [1] 一般社団法人日本アレルギー学会 Anaphylaxis対策委員会. 『アナフィラキシーガイドライン2022』. https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2023_0301.pdf (2023年3月改訂版・2026-07-30にPDF原本を直接確認。定義・診断基準〔p.2〕、重症度分類表11〔p.18〕、初期対応10ステップ・第一選択薬アドレナリンの用法用量・投与部位〔p.19-22〕、第二選択薬とグルカゴンの日本適応脚注〔p.23〕、体位〔p.20〕、二相性反応の疫学〔p.17〕、エピペンの使い方図14〔p.27〕を参照。数値は原本と突合済み)
  • [2] ヴィアトリス製薬株式会社. 『エピペン注射液0.15mg/エピペン注射液0.3mg』添付文書(日本薬局方 アドレナリン注射液). PMDA医療用医薬品情報検索: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/671450_2451402G2020_4_07 (2026-07-30にPMDAページを確認したところ、直近改訂は2026年3月〔第6版〕・その前が2025年11月〔第5版〕であり、本稿が従来引用していた2017年2月改訂第11版は既に複数回改訂された旧版。体重区分別用量・警告・禁忌〔他のカテコールアミン製剤投与中は禁忌〕・投与部位の記載は確認したが、押しつけ秒数の逐語表現など細部は本レビューではAI要約経由の確認にとどまるため、運用前に必ずPMDA該当ページで最新版の全文を人手で再確認すること)
  • [3] 一般社団法人日本救急医学会監修『アナフィラキシー対応・簡易チャート(13歳以上〜成人)』. https://www.jaam.jp/info/2021/files/20230614_o.pdf (表14「体重1kgあたり0.01mg、最大総投与量0.5mg」「13歳以上および成人=0.5mg」を原本PDFで直接確認。未確認:本チャートの正式な発行年月日はPDF内に明記がなく、ファイル名の日付から2023年6月作成と推定されるのみ)
  • 運用前に必ず最新版(改訂の有無)を上記URLで確認すること。特にエピペン添付文書は2026年3月改訂第6版が最新(2026-07-30時点)だが、原本PDFでの逐語確認が必須。

9臨床医が迷う場面

10エピペンで落ち着いた後、外来から帰してよい?

改善直後には帰さない。最終アドレナリン投与後の再燃、呼吸・循環、喘息合併を観察する。反復投与や輸液を要した例、夜間・遠距離で再受診が難しい例では入院観察を検討する。帰宅前に原因回避、使用実演、再燃時の救急要請を確認する。

根拠:RCH Anaphylaxis(海外指針・国内用量は既存処方欄)

11喘息児の誤食後の喘鳴。吸入を先に試す?

誤食との時間関係、皮膚・消化器症状、声の変化、循環を確認する。アナフィラキシーが疑われる喘鳴では、吸入だけの効果を待たずアドレナリン筋注を優先する。皮疹がない場合も否定できず、喘息治療は必要に応じ並行する。

根拠:RCH Anaphylaxis(海外指針・国内用量は既存処方欄)

12次の受診までに家庭・学校へ何を引き継ぐ?

体重に合う製剤、期限、保管場所、本人以外の使用者を確認し、訓練器で実演してもらう。症状別の行動計画と救急要請を文書化し、原因評価の専門外来につなぐ。疑い段階の食品を無制限に除去せず、確定診断と栄養も見直す。

根拠:RCH Anaphylaxis(海外指針・国内用量は既存処方欄)

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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