10-19注意欠如・多動症(ADHD)の外来評価
このページの目次23項目
1ADHDを疑う場面と診断の位置づけ
2DSM-5に基づく診断基準を確認する
不注意と多動・衝動性を別々に数える。いずれか一方、または両方の領域が該当しうる。[1][3]
| 年齢 | 症状数の条件 |
|---|---|
| 16歳以下 | 不注意9項目、または多動・衝動性9項目のうち、少なくとも一方で6項目以上。 |
| 17歳以上 | 不注意9項目、または多動・衝動性9項目のうち、少なくとも一方で5項目以上。 |
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両領域の合計で6項目、という数え方ではない。 次の例は症状数の読み方を示し、個別の診断を確定するものではない。[1][3]
- 10歳・不注意4+多動・衝動性4:合計8でも、症状数の条件を満たさない。
- 10歳・不注意7:症状数の条件に該当。他の診断条件も確認する。
- 10歳・不注意6+多動・衝動性6:両領域の症状数条件に該当。他の条件も満たせば混合した状態。
以下の条件も必要で、症状数だけでは診断を決めない。[1][3]
| 確認する条件 | 外来で集める情報 |
|---|---|
| 少なくとも6か月持続し、発達水準に不釣り合い | 一時的な寝不足、環境変化、急な気分・身体の変化との関係を聞く。 |
| いくつかの症状が12歳未満に存在 | 幼児期・小学校の様子、通知表、園・学校の記録を可能な範囲で確認する。診断された年齢とは別。 |
| 症状が2つ以上の場面に存在 | 家庭と学校・園、友人活動等の情報を集める。両場面で同じ得点である必要はない。 |
| 社会・学業等の機能を損なう明確な証拠 | 課題の完了、忘れ物、対人関係、安全、本人の負担など具体的な支障を記録する。 |
| 他の病態でよりよく説明されない | 鑑別を行い、同時にASDや学習症、不安等の併存も確認する。 |
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正式な診断では診断基準の原文と症状項目を確認する。この表は診断条件の要約であり、正式な診断面接や尺度の代わりではない。[1][3]
3症状項目を面接で確認する
以下は症状領域の要約であり、正式な診断面接・評定尺度の代わりではない。一度だけの行動を1項目とせず、頻度・持続期間・発達水準を確認する。本人・保護者と学校から、各項目の具体例を集める。[1][2][3]
不注意の9項目(要約) [3]
- 細かいところへの注意が難しく、見落としが多い。
- 課題や遊びに注意を保ちにくい。
- 直接話しかけても、聞いていないように見える。
- 指示に沿って課題を最後まで終えにくい。
- 課題や活動の段取りを組みにくい。
- 集中を続ける課題を避けたり、取りかかりにくい。
- 課題に必要な物をよくなくす。
- 周囲の刺激や無関係な考えに注意がそれやすい。
- 日々の用事や約束を忘れやすい。
多動・衝動性の9項目(要約) [3]
- 手足を動かす、座ったまま身をよじることが多い。
- 座る必要がある場面で席を離れる。
- 不適切な場面で走り回る・よじ登る。年長者では落ち着かなさとして現れることがある。
- 静かに遊びや余暇活動へ参加しにくい。
- じっとしていられず、動き続ける。
- 話しすぎる。
- 質問が終わる前に答える、相手の話を先に言う。
- 順番を待ちにくい。
- 会話や活動を遮る、割り込む。
外来での確認順序 [1][2][3]
- 頻度・持続期間・発達水準を確認し、具体例を記録する。
- 不注意と多動・衝動性を別々に数える。16歳以下は各9項目中6項目以上、17歳以上は各9項目中5項目以上を確認する。
- 12歳未満からの症状、2つ以上の場面、生活の支障、鑑別を確認する。
- いずれか一方、または両方の領域の該当を整理し、医師が診断する。数だけで確定しない。
反抗や、指示・言語を理解できないための行動と区別する。ADHD-RSは採用した正式版を用い、この要約を独自の診断得点表にしない。[1][2]
4初診・情報収集・再診の順に進める
初診では本人・保護者から困りごとと強みを聞き、発達・家族歴、睡眠、学習、情緒、服薬、身体・神経所見を確認する。本人の話を聞く時間も取り、思春期は必要に応じて保護者と別の面接を行う。[1][2][3]
家庭と学校・園には、症状だけでなく、いつ困るか、何ができるか、既に行っている配慮とその効果を尋ねる。学校との情報共有は同意の下で必要な範囲に限る。回答が食い違う場合は、課題の難しさ、環境、見守り・支援の違いを調べる。一方の回答を誤りと決めず、情報を追加する。[1][2][3]
再診で診断条件、鑑別・併存、検査結果、支援への反応を統合する。基準がまだ不明なら評価継続と具体的な再診計画を伝える。診断待ちを理由に学校・家庭への配慮を止めない。薬剤への反応だけを診断根拠にしない。[1][3]
5鑑別と併存を同時に評価する
| 候補 | 見分ける入口 | 必要な評価・対応 |
|---|---|---|
| 睡眠不足・睡眠障害 | 就寝・起床、いびき、無呼吸、日中の眠気 | 睡眠の困りごとを参照。睡眠への介入と残存症状の再評価。 |
| 難聴・視覚障害 | 指示が伝わらない、聞き返す、板書が見えにくい | 聴覚・視覚の状態を確認し、必要なら専門検査。 |
| 言語発達・限局性学習症 | 言語理解、読み書き・計算など特定の課題で困る | 学習到達度・言語の評価を追加。WISCのIQだけでは判断しない。 |
| ASD | 社会的コミュニケーション、こだわり、感覚特性、幼児期からの経過 | 鑑別だけでなく併存も考える。PARS-TR等を必要に応じて選び、医師の臨床評価へ。 |
| 知的発達症 | 認知面と生活上の適応に広い困難 | 知能検査と適応行動を合わせて評価する。 |
| 不安・抑うつ、心理社会的負担 | 時間経過、場面との関係、いじめ・ストレス・トラウマ等 | 安全を確認し、面接と必要な心理・精神科評価。 |
| チック・反抗挑発症等 | 反復運動・発声、対人場面の行動、情緒 | ADHDの併存症としても評価し、必要に応じ専門相談。 |
| てんかん等の神経疾患 | 突然の反応停止、意識の途切れ、退行、神経所見 | 初回けいれん等を参照し、小児神経へ。 |
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睡眠・感覚器・学習・情緒の問題はADHDに似た症状を生みうる。原因が一つと決めつけず、併存を含めて評価する。[1][2][3]
6心理検査は何を知りたいかで選ぶ
| 検査・尺度 | 主な目的 | 選ぶ場面と限界 |
|---|---|---|
| ADHD-RS等のADHD評定尺度 | 家庭・学校での不注意、多動・衝動性を整理し経過を追う | 臨床評価の補助。家庭版・学校版を対象年齢・版に合わせて使う。点数だけで確定・除外しない。[1][6] |
| WISC-V | 全般的認知水準と認知領域の特徴を把握し、学習・教育支援を考える | 日本版の対象は5歳0か月〜16歳11か月。学習のつまずき、理解の特徴、認知水準の確認が支援に必要なときに選ぶ。[4] |
| PARS-TR | ASDに関連する発達・行動特性と支援ニーズを養育者面接で整理 | 対人交流、コミュニケーション、こだわり等が疑われるとき。ADHDを測る尺度ではなく、ASDも点数だけで確定しない。[5] |
| 学習到達度・言語・適応行動の評価 | 読み書き・計算、言語理解、日常生活の支援課題を把握 | 困りごとに合わせ心理職・教育機関等と選ぶ。知能検査で代用しない。[1][3] |
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WISCとPARS-TRは全例の必須セットではない。 AAPでは神経心理検査は多くの場合ADHDの診断精度を高めず、学習の強み・弱みを明らかにする役割があるとされる。診断は面接・多場面の情報・診察を中心に進める。[1]
7WISCを依頼する時と結果の読み方
WISCは「ADHDかどうか」だけを知るために依頼しない。「口頭の長い指示でつまずく」「読み書きの支援方法を考えたい」「認知水準と課題の難しさが合っているか」など、依頼で明らかにしたいことを添える。習熟した心理職等が正式なマニュアルに沿って実施・解釈する。[1][4]
言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度等を、検査中の行動と日常の困難に照らして読む。ワーキングメモリーや処理速度が低い、指標間に差がある、という所見はADHDの確定根拠にはならない。正常範囲の得点でもADHDを否定できない。[1][4]
知的発達症はIQの数値だけでなく適応行動も必要。[8] 限局性学習症は読み書き・計算の実際の到達度等を評価する。WISCだけでいずれも確定しない。眠気、不安、言語背景、参加状況等による結果への影響を心理職と確認し、数字をそのまま「能力の限界」と説明しない。[1][3]
8PARSを依頼する時とASD評価
9採血・脳波・画像は所見から選ぶ
10投薬前から始める行動療法・環境調整
行動療法は、望ましい行動を増やし、本人が困る行動への対応を練習する支援。診断・検査を待つ間から、家庭・学校の環境調整と保護者への支援を始める。[1][14][15]
ペアレントトレーニングの院内実施・院外紹介先と利用条件は未確認。提供できる条件を確認して案内する。
保護者訓練と家庭の支援 [14][15]
- ペアレントトレーニング:専門職と、指示・称賛・一貫した対応を練習し、家庭で試して振り返る。
- 目標:達成できる小さな行動を本人・保護者と決める。
- 指示:短く一つずつ伝え、手順を見える形にする。
- 称賛:できた直後に、何ができたかを具体的に認める。
- 環境:気が散りにくい場所、決まった手順、区切った課題を用意する。
これは保護者の育て方を責める支援ではない。医療・家庭・学校で負担を分け、助言用紙を渡すだけで終えない。[15]
学校・園とそろえる支援 [1][14]
- 指示・課題:一度に示す量を減らし、短い単位に区切る。
- 座席・環境:本人に合う場所と刺激の量を調整する。
- 行動目標:できたことを具体的に認め、家庭と対応をそろえる。
- 記録:合意した目標行動を記録し、必要な範囲で家庭と共有する。
- 学習支援:認知・学習・言語の評価結果に合わせて配慮を選ぶ。
例えば「宿題を1問始める」を目標にし、できたらすぐ認める。本人に合う目標と方法へ変えるための例であり、一律の回数・課題量は設定しない。
11年齢で治療の順序を変える
以下の年齢区分はAAPの治療方針を整理したもの。国内の薬剤適応・院内体制は別に確認する。[1][14][15]
| 年齢 | 行動・学校の支援 | 薬物療法の考え方 |
|---|---|---|
| 4歳未満 | 発達全般と養育環境を評価し、専門家へ相談する。 | この外来概要で一律に処方へ進めない。 |
| 4〜5歳 | 保護者訓練や園の行動療法を第一に選ぶ。 | 中等度〜重度の支障が続く場合は専門医へ。海外の幼児処方推奨を国内へそのまま適用しない。 |
| 6〜11歳 | 保護者訓練・学校での行動支援・学習面の配慮を組み合わせる。 | 診断と支障を評価し、支援と薬の併用を検討する。 |
| 12〜17歳 | 計画・整理の練習、行動支援、学校の配慮を本人と組む。 | 本人の納得も確認し、支援と薬の併用を検討する。 |
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学童・思春期では、行動療法の全課程を終えることを薬の必須条件にはしない。重い支障がある場合や支援を受けにくい場合は、本人・保護者と薬を含む選択肢を相談し、治療を不必要に遅らせない。[1][14]
12行動支援の効果を再診で確認する
13薬物療法を始める前に
14ADHD治療薬の違いと選び方
| 薬剤(一般名) | 位置づけ・服用 | 選択時に確認する点 |
|---|---|---|
| コンサータ(メチルフェニデート徐放錠) | 中枢神経刺激薬。朝1回。 | 食欲低下、体重・成長、睡眠、血圧・脈拍を確認。登録医・医療機関・薬局と患者登録、文書説明・同意が必要。[9] |
| インチュニブ(グアンファシン徐放錠) | 非刺激薬。選択的α2A受容体作動薬。1日1回。 | 眠気、低血圧、徐脈、失神に注意。体重別用量と心電図、血圧・脈拍を確認。急な中止を避ける。[10] |
| ストラテラ等(アトモキセチン) | 非刺激薬。ノルアドレナリン再取り込み阻害薬。小児は1日量を2回に分ける。 | 悪心、食欲低下、眠気、血圧・脈拍の上昇、気分・自殺念慮、肝障害に注意。CYP2D6関連の相互作用と肝機能を確認。[11] |
| ビバンセ(リスデキサンフェタミン) | 中枢神経刺激薬。朝1回。国内は小児期ADHDの適応。 | 食欲・体重・睡眠・心血管系・精神症状と依存リスクを確認。登録体制と覚醒剤原料としての管理が必要。[12][13] |
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特定の症状だけで薬を一律に決めず、併存症、身体状態、服薬方法、本人の希望、効果と副作用を合わせて調整する。[1] インチュニブの眠気は副作用であり、眠った・静かになったことをADHDの改善と同一視しない。[10]
ビバンセは6歳未満・18歳以上の有効性と安全性が確立していない。18歳未満で開始し18歳以降も継続する場合の注意は添付文書に従う。2026年6月に「他のADHD治療薬が効果不十分な場合のみ」という承認条件が削除されているため、旧資料の制限を現行ルールとして扱わない。登録・流通管理は継続して必要。[12][13]
15小児の開始・調整用量を確認する
以下は6〜17歳の新規開始を想定した国内添付文書の概要で、個別の処方指示ではない。 実処方は最新の添付文書で用量、禁忌、相互作用、臓器障害による変更を確認する。成人用量を小児へ流用しない。[9][10][11][12]
コンサータ [9]
- 開始:朝1回18 mgから。
- 増量:1週間以上あけ、1日量を9 mgまたは18 mgずつ調整する。
- 維持・上限:6〜17歳は18〜45 mg/日、上限54 mg/日。
- 剤形:徐放錠の分割・粉砕・咀嚼・溶解を避ける。9 mg単位の調整は錠剤規格を変更する。
- 服用時刻:午後の服用を避ける。
インチュニブ [10]
- 開始:17 kg以上50 kg未満は1 mg/日、50 kg以上は通常2 mg/日から。1日1回服用する。
- 増量:1週間以上あけて1 mgずつ。
- 維持・上限:下の体重別表で確認する。すべて1日量で、1日1回服用する。
- 年齢・体重:6歳未満の有効性・安全性は未確立。17 kg未満は体重別表に用量の記載がなく、流用せず専門家・最新資料で確認する。
- 開始量の変更:CYP3A4/5阻害薬併用や重度肝腎障害では1 mgから開始する。
- 剤形:割る・砕く・噛むことを避ける。
インチュニブの体重別維持量・上限量(6〜17歳、すべて1日量)[10]
| 体重 | 維持量(mg/日) | 上限量(mg/日) |
|---|---|---|
| 17 kg以上25 kg未満 | 1 | 2 |
| 25 kg以上34 kg未満 | 2 | 3 |
| 34 kg以上38 kg未満 | 2 | 4 |
| 38 kg以上42 kg未満 | 3 | 4 |
| 42 kg以上50 kg未満 | 3 | 5 |
| 50 kg以上63 kg未満 | 4 | 6 |
| 63 kg以上75 kg未満 | 5 | 6 |
| 75 kg以上 | 6 | 6 |
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維持量は通常の目安で、上限量まで増やすことを目標にしない。効果・副作用に応じて医師が調整する。17 kg未満には、この表の量を流用しない。[10]
アトモキセチン [11]
- 開始:1日0.5 mg/kgから。1日量を2回に分ける。
- 増量:1週間以上あけて0.8、1.2 mg/kg/日へ。
- 維持・上限:維持量1.2〜1.8 mg/kg/日。上限は1.8 mg/kg/日と120 mg/日の少ない方。
- 肝障害:Child-Pugh Bでは開始・維持量を通常の50%、Cでは25%に減らす。
- 相互作用:CYP2D6阻害薬併用・代謝活性欠損では、忍容性を確認し慎重に増量する。
- 剤形:カプセルは開けない。
計算例:体重20 kgで0.5 mg/kg/日なら、1日量は10 mg。1日2回に分けるため、1回量は5 mgとなる。単位の読み方を示す例であり、個別の処方指示ではない。実際の用量と剤形は医師が決める。[11]
ビバンセ [12]
- 開始:通常は朝1回30 mg。
- 増量:1週間以上あけ、1日量の増加を20 mg以内とする。
- 上限:70 mg/日。
- 腎障害:GFR 30 mL/min/1.73 m²未満では上限50 mg/日。透析中またはGFR 15 mL/min/1.73 m²未満では、さらに低用量を検討する。
- 服用時刻:午後の服用を避ける。
16開始前・増量時・再診のチェック
開始前に身長・体重、血圧・脈拍、食欲・睡眠、心疾患・失神の既往、突然死等の家族歴、チック、精神症状、併用薬を確認する。心理検査の点数を薬剤開始の条件にはしない。[1][9][10][11][12]
- コンサータは運動性チック、Tourette症候群またはその既往・家族歴、重症うつ病、不整頻拍・狭心症等が禁忌。MAO阻害薬使用中・中止後14日以内も禁忌で、登録と文書同意を開始前に確認する。全禁忌は添付文書2項を参照。[9]
- インチュニブは開始前に心電図異常の有無を確認する。第2度・第3度房室ブロック、妊娠・妊娠の可能性は禁忌。心疾患や心電図異常がある場合は慎重に評価する。[10]
- コンサータ・アトモキセチン・ビバンセは病歴・家族歴等から心血管異常が疑われる場合、開始前に心電図等で評価する。薬剤ごとの禁忌は各添付文書で確認する。[9][11][12]
- 再診では家庭・学校での課題とADHD-RS等の経過に加え、食欲、睡眠、身長・体重、血圧・脈拍、気分・行動の変化を確認する。コンサータ長期投与では添付文書上、定期的な血液学的検査が望ましいとされる。診断目的の一律採血とは区別する。[1][9][10][11][12]
- インチュニブは開始前、用量変更の1〜2週間後に血圧・脈拍を測定し、用量決定後も4週に1回を目安に確認する。効果不十分・副作用がある場合は、服薬状況、環境、併存症と用量を再評価し、漫然と増量・併用しない。[1][10]
17中止・飲み忘れと早めの相談
インチュニブを急に中止しない。 [10]
- 減量:医師の管理下で原則3日以上あけて1 mgずつ減らす。
- 観察:血圧上昇・頻脈を避けるため、血圧・脈拍を確認する。
- 飲み忘れ・中断:再開量を処方医に確認する。2回分をまとめて飲まない。
失神、胸痛、強い動悸、強いふらつき、幻覚・躁状態、自殺念慮等の変化は早急に医療機関へ相談する。意識障害・呼吸困難や差し迫った自傷の危険は救急対応を優先する。アトモキセチンでは黄疸・濃い尿等が出た場合も肝障害を疑って評価する。インチュニブでは脱水、開始・増量時の眠気にも注意する。[9][10][11][12]
薬の変更・中止は、効果、副作用、生活上の支障を定期的に見直して医師と決める。コンサータやビバンセの休薬評価と、インチュニブの計画的な漸減は別に扱う。他人への譲渡や診療目的以外の使用をしないよう説明する。[9][10][11][12]
18当院の心理検査を診療につなげる
19出典
- [1] Wolraich ML, et al. Clinical Practice Guideline for the Diagnosis, Evaluation, and Treatment of ADHD in Children and Adolescents. Pediatrics. 2019;144(4):e20192528. doi:10.1542/peds.2019-2528. KAS 1–3、神経心理検査の限界、支援・連携。米国の指針であり、薬剤の国内適応とは区別する。原文確認2026-10-08。
- [2] CDC. Diagnosing ADHD. 2026年7月30日レビュー。単独検査の限界、多場面の情報、睡眠・感覚器・情緒・学習の評価。確認2026-10-08。
- [3] NIMH. Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder: What You Need to Know. 診断条件の要約、心理検査の位置づけ、心理社会的支援。確認2026-10-08。
- [4] 日本文化科学社. WISC-V知能検査. 日本版の対象年齢、構成、認知領域。メーカー資料であり、ADHD診断精度の根拠としては用いない。確認2026-10-08。
- [5] 一般社団法人 発達障害支援のための評価研究会/スペクトラム出版社. PARS-TRについて. 特性・支援ニーズを整理する養育者面接、診断確定には専門医診察が必要。資料中のPDDは旧名称。確認2026-10-08。
- [6] Ishibashi S, et al. Psychometrics of rating scales for externalizing disorders in Japanese outpatients: The ADHD-Rating Scale-5 and the Disruptive Behavior Disorders Rating Scale. International Journal of Methods in Psychiatric Research. 2024;33(1):e2015. 日本語版ADHD-RS-5の検証研究。限られた外来標本の尺度研究であり、単独での確定診断や院内の採用を保証しない。確認2026-10-08。
- [7] Shah R, Grover S, Avasthi A. Clinical Practice Guidelines for the Assessment and Management of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder. Indian Journal of Psychiatry. 2019;61(Suppl 2):176–193. 身体的検査の節:採血、脳波、神経画像を日常的なADHD診断の検査としては推奨せず、特定の適応があるときに検討する。インドの指針であり、国内の処方・院内運用の根拠には使わない。確認2026-10-08。
- [8] American Psychiatric Association. What is Intellectual Disability?. 知的機能と適応行動の両面による評価。確認2026-10-08。
- [9] PMDA. コンサータ錠 電子添文. 2026年6月改訂、第5版。登録・文書同意、国内小児用量、禁忌、成長・心血管系等の観察、剤形。確認2026-10-08。
- [10] PMDA. インチュニブ錠 電子添文. 2026年6月改訂、第6版。体重別用量、体重別表と6歳未満の注意、心電図・血圧脈拍、漸減、相互作用。確認2026-10-08。
- [11] PMDA. ストラテラカプセル 電子添文. 2024年4月改訂、第2版。国内小児用量、肝機能・CYP2D6関連の調整、成長・気分・心血管系の観察。確認2026-10-08。
- [12] PMDA. ビバンセカプセル 電子添文. 2026年10月改訂、第6版。国内適応・継続時の注意、通常用量・腎障害の上限、登録と安全性。確認2026-10-08。
- [13] 厚生労働省. リスデキサンフェタミンメシル酸塩製剤の使用に当たっての留意事項についての一部改正. 2026年6月8日。旧承認条件の削除、登録・流通管理。確認2026-10-08。
- [14] CDC. Treatment of ADHD. 2026年7月30日レビュー。年齢別の行動療法・薬物療法、家庭と学校の具体策。米国の方針であり、国内適応は別途確認する。確認2026-10-08。
- [15] CDC. Parent Training in Behavior Management. 2026年7月30日レビュー。保護者が専門職と練習・振り返りを行う支援、幼児での優先。確認2026-10-08。
20臨床医が迷う場面
21薬が効かないと言われたら、すぐ増量する?
家庭と学校のどの時間帯・場面で支障が残るか、服薬できているか、睡眠、併存症と診断を確認する。増量は症状改善だけでなく学習・生活機能と副作用を比較する。適切な試行で効果が乏しければ、処方担当が剤形・薬剤・支援を再検討する。
22食欲低下や体重減少は、効いている証拠として放置できる?
成長曲線、食事量、服薬時間、睡眠を確認し、栄養支援や服用法、処方の見直しを検討する。血圧・脈拍も開始前後と増量時に評価する。休薬を選ぶ場合も生活への影響を含め処方医が計画し、家族の判断だけで量を変更しない。
23グアンファシン服用中に眠気や立ちくらみが強くなったら?
血圧・脈拍、失神や起立時の症状を評価し、強い症状は速やかに処方医へ連絡する。起立性低血圧や失神が続く場合は処方医が減量や変更を検討する。併用薬、脱水、飲み間違いも確認し、症状がある間の活動の安全を確保する。 急な中止を避け、減量・中止は血圧と脈拍を監視しながら添付文書に従って段階的に行う。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。