10-19 注意欠如・多動症(ADHD)の外来評価

緊急

10-19注意欠如・多動症(ADHD)の外来評価

外来で確認する診断基準・検査・行動療法・薬物療法
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30

日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。

このページの目次11項目

ページ内目次

1ポイント

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2鑑別のながれ

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3DSM-5に基づく診断基準

症状数16歳以下:6項目以上不注意9項目、または多動・衝動性9項目のうち、少なくとも一方で6項目以上。
症状数17歳以上:5項目以上不注意9項目、または多動・衝動性9項目のうち、少なくとも一方で5項目以上。
持続6か月以上発達水準に不釣り合いな症状。
発症時期12歳未満いくつかの症状が既に存在。診断年齢とは別。
場面2つ以上家庭・学校などで症状を確認。
支障生活機能への影響学業・対人関係などの具体的な支障。
鑑別・併存他の病態も評価他の病態でよりよく説明されないか確認。併存も検討。

診断で確認する18項目(要約)

不注意と多動・衝動性を別々に数える。 両領域の合計で6項目としない。両領域がそれぞれ基準を満たす場合もある。

不注意
(9項目)
多動・衝動性
(9項目)
不注意による見落とし・ミスが多い。手足を動かす、座ったままそわそわする。
課題や遊びに注意を保ちにくい。座る必要がある場面で席を離れる。
直接話しかけても、聞いていないように見える。不適切な場面で走り回る・よじ登る。
指示に沿って課題を最後まで終えにくい。静かに遊びや余暇活動へ参加しにくい。
課題や活動の段取りを組みにくい。じっとしていられず、動き続ける。
集中を続ける課題を避けたり、取りかかりにくい。話しすぎる。
課題に必要な物をよくなくす。質問が終わる前に答える、相手の話を先に言う。
周囲の刺激や無関係な考えに注意がそれやすい。順番を待ちにくい。
日々の用事や約束を忘れやすい。会話や活動を遮る、割り込む。

症状数の数え方:10歳の例

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4検査

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5投薬前から始める行動療法・環境調整

年齢行動・学校の支援薬の検討
4〜5歳保護者訓練・園の行動療法を優先。支障が続くときは専門医へ相談。
6〜11歳保護者訓練・学校支援を続ける。支障に応じて薬との併用を検討。
12〜17歳計画・整理の練習と学校支援。本人の納得も確認し、併用を検討。

6歳以上で重い支障があるとき、行動療法の終了を薬の必須条件にしない。6歳未満の処方は専門医・国内適応を確認する。

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6処置・処方例

治療選択肢・同時に処方するセットではない
Rp. 1コンサータ(メチルフェニデート徐放錠) 中枢神経刺激薬・6〜17歳 経口・朝1回
徐放錠。割る・砕く・噛む・溶かすことを避ける。
  1. 開始前:医師・医療機関・薬局と患者の登録、文書同意を確認する。
  2. 禁忌確認:運動性チックなど、国内添付文書の禁忌を確認する。
  3. 開始量:18 mgを朝1回。
  4. 増量:1週間以上あけ、1日量を9 mgまたは18 mgずつ増やす。
  5. 維持・上限:維持18〜45 mg/日。上限54 mg/日。
  6. 錠剤:9 mgの調整は錠剤規格を変更する。錠剤を半分にしない。
  7. 開始後:食欲・睡眠・成長・血圧・脈拍を確認する。
Rp. 2インチュニブ(グアンファシン徐放錠) 非刺激薬・6〜17歳・体重別用量 経口・1日1回
徐放錠。割る・砕く・噛むことを避ける。眠気・低血圧・徐脈・失神に注意。
  1. 開始前:心電図異常の有無、血圧・脈拍を確認する。
  2. 開始量:17 kg以上50 kg未満は1 mg/日。50 kg以上は通常2 mg/日。
  3. 増量:1週間以上あけ、1 mgずつ増やす。
  4. 維持・上限:体重別の用量表で確認する。
  5. 例外:CYP3A4/5阻害薬併用・重度肝腎障害では1 mg/日から。
  6. 用量変更後:1〜2週間後に血圧・脈拍を確認する。
  7. 用量決定後:4週に1回を目安に血圧・脈拍を測る。
  8. 中止時:医師の管理下で、原則3日以上あけて1 mgずつ減らす。急に中止しない。
Rp. 3ストラテラ等(アトモキセチン) 非刺激薬・6〜17歳・1日量を2回に分ける 経口・小児は1日2回
悪心・食欲低下・眠気に注意。
  1. 開始前:体重・肝機能・併用薬を確認し、用量を選ぶ。
  2. 開始量:0.5 mg/kg/日。1日量を2回に分ける。
  3. 増量:1週間以上あけ、0.8→1.2 mg/kg/日へ。
  4. 維持量:1.2〜1.8 mg/kg/日。
  5. 上限:1.8 mg/kg/日と120 mg/日の少ない方。
  6. 開始後:気分・自殺念慮、肝障害、血圧・脈拍を確認する。
Rp. 4ビバンセ(リスデキサンフェタミン) 中枢神経刺激薬・6〜17歳の新規開始 経口・朝1回
国内適応年齢と腎機能を確認して選ぶ。
  1. 開始前:登録・流通管理と覚醒剤原料としての管理を確認する。
  2. 開始量:30 mgを朝1回。
  3. 増量:1週間以上あけ、1日量の増加は20 mg以内。
  4. 上限:70 mg/日。GFR 30 mL/min/1.73 m²未満では50 mg/日。
  5. 腎障害:透析中・GFR 15 mL/min/1.73 m²未満では、さらに低用量を検討する。
  6. 開始後:食欲・体重・睡眠・血圧・脈拍・精神症状を確認する。
対象:6〜17歳の新規開始。 1日量と1回量を区別する。増量は効果・副作用を確認して医師が判断する。6歳未満・成人用量は本表の対象外。当院の採用薬・登録体制・処方担当は未確認。詳細と出典は国内の開始・調整用量を確認する。
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7初診から再診までの進め方

  1. 初診:困りごと・強みと安全を確認。症状項目の具体例と診断条件を評価する。
  2. 情報収集:同意の下で家庭・学校の情報を集める。症状と具体的な支障を記録する。
  3. 追加評価:認知・学習にはWISC、ASD疑いにはPARS-TR。目的に応じて選ぶ。
  4. 再診:診断条件、鑑別・併存、検査結果を統合し、行動支援と薬の要否を決める。
やってはいけない・落とし穴
  • 尺度の点数・WISCの指標差・薬への反応だけで診断を確定しない。
  • 家庭・学校の回答が違うときは、環境や支援の違いを確認する。
  • 診断・検査を待つ間も、家庭・学校の環境調整を始める。
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8安全と紹介の目安

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9診療中の疑問と回答

薬が効かないと言われたら、すぐ増量する?
家庭と学校のどの時間帯・場面で支障が残るか、服薬できているか、睡眠、併存症と診断を確認する。増量は症状改善だけでなく学習・生活機能と副作用を比較する。適切な試行で効果が乏しければ、処方担当が剤形・薬剤・支援を再検討する。
根拠:NICE NG87 ADHD管理(海外指針・国内用量は別欄)
食欲低下や体重減少は、効いている証拠として放置できる?
成長曲線、食事量、服薬時間、睡眠を確認し、栄養支援や服用法、処方の見直しを検討する。血圧・脈拍も開始前後と増量時に評価する。休薬を選ぶ場合も生活への影響を含め処方医が計画し、家族の判断だけで量を変更しない。
根拠:NICE NG87 ADHD管理(海外指針・国内用量は別欄)
グアンファシン服用中に眠気や立ちくらみが強くなったら?
血圧・脈拍、失神や起立時の症状を評価し、強い症状は速やかに処方医へ連絡する。起立性低血圧や失神が続く場合は処方医が減量や変更を検討する。併用薬、脱水、飲み間違いも確認し、症状がある間の活動の安全を確保する。 急な中止を避け、減量・中止は血圧と脈拍を監視しながら添付文書に従って段階的に行う。
根拠:NICE NG87 ADHD管理(海外指針・国内用量は別欄) / PMDA インチュニブ電子添文(減量・中止時の注意)
WISCとPARSを両方依頼する?
全例の必須セットではない。認知・学習とASDの両方を評価する目的があれば、併用を検討する。
WISCが正常ならADHDではない?
否定できない。WISCはADHDの確定・除外検査ではない。
診察室で落ち着いていればADHDではない?
否定できない。家庭・学校での症状と生活への支障を確認する。
院内で心理検査を行っていれば十分?
検査に加えて家庭・学校の情報と診察を統合し、鑑別・併存を評価する。結果を具体的な支援につなげる。
行動療法をしてから薬を考える?
4〜5歳は保護者訓練・園の行動療法を優先する。6歳以上では支援と薬の併用も検討し、重い支障への治療を不必要に遅らせない。
保護者に声かけのコツを渡せば十分?
ペアレントトレーニングは、専門職と練習・振り返りを繰り返す支援。助言用紙を渡すだけで終了せず、家庭・学校の経過を確認する。
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11家族への説明

検査は、得意なことと必要な支援を知るために選びます。結果を待つ間も、家と学校でできる工夫を始めます。薬の増減・中止は担当医と相談してください。

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

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