3-2 急性陰嚢症・精巣捻転

緊急

3-2急性陰嚢症・精巣捻転

病態・根拠
このページの目次10項目

1鑑別の考え方:捻転を疑う理由は、静脈還流と動脈血流の障害にある

精巣捻転では精索がねじれ、精巣の血流が障害される。突然の陰嚢痛だけでなく下腹部痛・嘔吐で来ることがあり、痛みの場所を本人が言い出せない場合もある。発症時刻、急に始まったか、過去に自然軽快した同様の痛みがあるかを確認し、腹部・鼠径・左右の精巣を診察する。時間がたった症例も温存不能と決めず、緊急外科評価を求める。[1][2]

2鑑別:挙睾筋反射や尿検査で一つに決めない

高位・横位の精巣、強い圧痛、反射消失は捻転を支持するが、個々の所見は確定・除外の単独検査にはならない。精巣付属器捻転では上極の限局痛、精巣上体炎では排尿症状や発熱が手がかりとなる。ただし、これらがありそうでも精巣捻転を確実に除外できなければ外科相談を先にする。正常尿は精巣上体炎も完全には除外しない。[1]

3超音波の役割と限界

ドプラ超音波は血流・解剖を評価できるが、捻転で陰性の検査が報告されている。疑いが強いときは、画像を予約すること自体が手術を遅らせないかを考える。RCHは外科評価を検査のために遅らせないよう求め、日本泌尿器科学会も、診断できない場合は緊急手術を行うことがあると説明する。当直帯にエコーと手術がない当院では、受入泌尿器科・小児外科へまず電話する。[1][2]

4治療と搬送前に必要なこと

鎮痛を行い、手術・麻酔を想定して経口摂取を控える。捻転を疑う診察所見と発症時刻、最終摂取、嘔吐、外傷を伝え、検査結果がそろうまで連絡を待たない。用手的解除は手術の代わりではなく、実施するかは経験のある受入専門医と判断する。痛みが軽快しても間欠性捻転を含むため、相談を取り消す根拠にはしない。[1][2]

5帰宅と家族への説明

外科的緊急疾患を除外した後に、診断に応じた安静・鎮痛や尿路評価を組む。原因不明の陰嚢痛を検査ができなかったまま帰すことは避ける。再燃する痛み、腫れ、嘔吐は予約日を待たない症状であり、早い受診が精巣を守る可能性につながると説明する。[1][2]

6出典と適用範囲

手技の手順・鎮痛薬量・施設間搬送の時間基準はこの解説では固定しない。

7臨床医が迷う場面

8超音波で血流があれば、精巣捻転は否定できる?

部分捻転や間欠性では血流が保たれることもある。突然の痛み、精巣の位置、嘔吐など臨床的疑いを優先し、画像陰性だけで終了しない。当院では疑った時点で手術可能な施設へ連絡し、超音波の実施や再検のために搬送を遅らせない。

出典:RCH 急性陰嚢痛・腫脹(海外小児指針) / 日本泌尿器科学会 陰嚢の急な腫れ・痛み

9来院時には痛みが消えた。帰宅でよい?

自然に戻った間欠性捻転の可能性がある。突然の発症・消失、反復、精巣位置の変化を確認し、泌尿器科へ相談する。痛みの消失を確定的な否定材料にせず、再燃時に直ちに受診することも伝える。思春期男児の腹痛では陰嚢の確認を省略しない。

出典:RCH 急性陰嚢痛・腫脹(海外小児指針) / 日本泌尿器科学会 陰嚢の急な腫れ・痛み

10精巣上体炎らしいので、抗菌薬を出す前に何を確認する?

まず捻転を十分評価する。年齢、尿症状、尿検査と培養、性活動歴をプライバシーに配慮して確認し、病原体と基礎尿路異常の可能性を考える。小児を成人の尿道炎レジメンに自動的に当てはめず、本文の院内対応と専門科の判断で処方する。

出典:RCH 急性陰嚢痛・腫脹(海外小児指針) / 日本泌尿器科学会 陰嚢の急な腫れ・痛み

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