13-3予防接種のあとの反応(副反応)
アナフィラキシー・血管迷走神経反射・熱性けいれんへの初期対応
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
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このページの目次8項目
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1ポイント
- アナフィラキシーと血管迷走神経反射は初期対応が違うのに紛れやすい。前者は皮膚粘膜症状+気道/循環/消化器症状を伴い進行性、後者は蒼白・発汗を伴い臥位で自然に軽快する。
- アナフィラキシー疑いは大腿部前外側に0.1%アドレナリン0.01mg/kgを直ちに筋注(体重換算を優先・上限0.5mg。体重不明なら年齢帯目安:1〜5歳0.15mg・6〜12歳0.3mg・13歳以上0.5mg。5〜15分毎に反復可)。接種後は原則30分の座位/臥位観察が標準。アドレナリン投与後は、二相性反応(最大半数が6〜12時間以内に再燃)のリスクに応じて通常観察より延長した観察を個別に判断する(治療後の観察時間に統一基準はない)。
- 麻しん含有ワクチン(MR等)の発熱は接種後7〜12日がピーク(MR単体は5〜14日、特に7〜12日を中心。DPTは1〜6日・特に1〜2日)。「今日の副反応」ではなく1週間後に出るのが正常反応であることを事前に説明しておく。
- 医師の副反応疑い報告は予防接種法上の義務(努力目標ではない)。アナフィラキシーは接種後4時間以内が報告対象の時間枠。
2鑑別のながれ
- 接種後の急な体調変化→蕁麻疹・皮膚紅潮・呼吸器症状・消化器症状を伴い進行性→アナフィラキシー。仰臥位で大腿部前外側にアドレナリン筋注
- 接種後の急な体調変化→蒼白・発汗を伴うが臥位で軽快し呼吸器/消化器症状を伴わない→血管迷走神経反射。転倒防止のうえ横になって休ませる
- 接種後1週間前後の発熱・発疹→麻しん含有ワクチン接種後で全身状態は保たれる→生ワクチンの正常な発熱反応(MR単体は5〜14日、特に7〜12日)
- 接種後のけいれん→5分以上続く、または意識がなかなか戻らない・繰り返す→救急要請
3アナフィラキシー重症度(グレード1〜3、初期対応は全グレード共通)
| グレード1(軽症) | 皮膚粘膜の紅斑・瘙痒に、間欠的な咳嗽等・元気がない程度の症状が加わる | アドレナリン筋注の適応(疑った時点で、確定診断を待たない)。仰臥位で観察を継続し、二相性反応のリスクに応じて観察延長・入院を個別に判断する |
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| グレード2(中等症) | 全身性の瘙痒、断続的な咳嗽・喘鳴、頻脈(+15回/分)・血圧軽度低下、眠気・恐怖感のいずれか | アドレナリン筋注+静脈路確保。5〜15分毎に再評価し反復に備える。反復投与や症状の遷延があれば入院を検討する |
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| グレード3(重症) | 明らかな喘鳴・呼吸困難・チアノーゼ・呼吸停止、不整脈・血圧低下・重度徐脈・心停止、ぐったり・不穏・意識消失のいずれか | 直ちにアドレナリン筋注+蘇生チーム要請。酸素投与・胸骨圧迫の準備。原則入院とする |
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4計算・スコア
スコア
ジアゼパム坐剤の予防投与適応(熱性けいれんが2回以上反復した場合)
5検査
- アナフィラキシーの診断基準:皮膚・粘膜症状が急速に発症しさらに気道/呼吸器・循環器・重度消化器症状のいずれかを伴う場合。または皮膚症状を伴わなくても血圧低下・気管支攣縮/喉頭症状が急速に発症した場合
- 初期対応:曝露要因の除去、気道/呼吸/循環/意識の評価、大腿部中央前外側にアドレナリン0.01mg/kg筋注(体重換算を優先・上限0.5mg。体重不明なら年齢帯目安:1〜5歳0.15mg・6〜12歳0.3mg・13歳以上0.5mg)、仰臥位(突然立たせない)、必要なら酸素投与・静脈路確保・胸骨圧迫
- 二相性反応:成人の最大23%、小児の最大11%に出現し、約半数は初回反応後6〜12時間以内に発現する。アドレナリン投与の遅れ(発症から30分以上)は二相性反応の発現と関連する。治療後の観察時間に統一基準はなく、二相性反応のリスクに応じて通常観察より延長した観察を個別に判断する
- 熱性けいれんの5分ルール:けいれんが5分以上続くようなら迷わず救急車を呼ぶ
- ジアゼパム坐剤(ダイアップ坐剤)の予防投与は、遷延性発作(持続時間15分以上)、または特定条件を2つ以上満たす熱性けいれんが2回以上反復した場合に検討する。解熱剤と併用する場合はジアゼパム坐剤を先に、解熱剤は30分以上あけて後に投与する
- アナフィラキシー等の副反応疑いはPMDAへの報告義務がある(予防接種法上の医師の義務。アナフィラキシーは接種後4時間以内が報告対象の時間枠)
6処置・処方例
Rp. 1アドレナリン(0.1%、1mg/mL[1:1000]、希釈せず)
体重が分かれば0.01mg/kg(上限0.5mg)を優先。体重不明なら年齢帯目安:1〜5歳0.15mg・6〜12歳0.3mg・13歳以上0.5mg。大腿部中央前外側に筋注。5〜15分毎に反復可 筋注アナフィラキシーを疑った時点で直ちに投与する(確定診断を待たない)。体重が分かっている場合は年齢区分より体重換算を優先する
- 体重が分かる場合:0.1%アドレナリン(1mg/mL)を—(0.01mg/kg、上限0.5mg)、大腿部中央前外側に筋注
- 体重が分からない場合の年齢帯目安:1〜5歳0.15mg/6〜12歳0.3mg/13歳以上0.5mg
- 仰臥位を保つ(突然立たせない)
- 効果不十分なら5〜15分毎に反復投与する
Rp. 20.9%(等張)食塩水
体重あたり10mL/kgを目安に急速投与、およそ1時間かけて反復可 静注/点滴静脈路確保のうえ、初期輸液として投与を考慮
- 静脈路確保後、体重あたり—を急速投与
- 反応をみて追加のボーラスを反復。総経過(反復を含む)の目安はおよそ1時間
Rp. 3ジアゼパム坐剤(ダイアップ坐剤)
0.4〜0.5mg/kg/回、直腸内挿入(最大10mg/回) 坐剤遷延性発作(15分以上)、または特定条件を2つ以上満たす熱性けいれんが2回以上反復した場合に検討。解熱剤と併用時はジアゼパム坐剤を先に、解熱剤は30分以上あけて後に投与
- 体重×0.4〜0.5mg/kg=—〜—(上限10mg/回)に一番近い規格(4mg・6mg・10mgの3規格)を選んで直腸内挿入
- 初回投与から8時間後も発熱が持続すれば同量を追加(通常2回まで)
避けること・注意:血管迷走神経反射をアナフィラキシーと決めつけて漫然とアドレナリンを投与する(逆に典型像を疑わず様子見だけで済ませることも避ける)。抗ヒスタミン薬・グルココルチコイド・β2刺激薬をアナフィラキシーの第一選択として使う。熱性けいれん既往だけを理由に予防接種を長期延期する。
7Q&A
- 接種後すぐ帰宅させてよい?
- だめ。接種直後〜30分は院内で経過観察するか医師とすぐ連絡が取れる状態にする。急な副反応はこの時間帯に起こりうる。
- MRを打った当日に熱が出ないから大丈夫と説明してよい?
- 説明を分けて伝える。MRの発熱は接種5〜14日後、特に7〜12日を中心に出ることが多く、今日出なくても正常な反応が後から出うる。
- 熱性けいれんの既往がある子に予防接種はできる?
- できる。現行の考え方は待機期間を一律に示さず、有用性・副反応と対応を説明し同意を得れば接種可能という立場。
- アナフィラキシーの症状が治まったらすぐ帰宅してよい?
- だめ。二相性反応は初回反応後6〜12時間以内に半数が出現するため、症状消失だけで打ち切らない。治療後の観察時間に統一基準はないため、リスクに応じて観察延長・入院を個別に判断する。
8家族への説明
注射のあと30分くらいは、座って様子を見ていてください。体全体に広がるじんましんや強いかゆみに、息苦しさ・のどのイガイガ感・唇や舌の腫れ・繰り返す嘔吐のいずれかが加わったら、院内にいる間はすぐスタッフに、帰宅後ならすぐ救急要請してください。一度おさまっても、数時間後(半日以内が目安)に同じような症状がぶり返すことがあるので、落ち着いたと思ったあとも体調が悪くなったらすぐご連絡ください。緊張したり痛かったりすると、立ちくらみがしたり、気を失うことがあります。誰にでも起こりうる反応で、横になって休めば自然に治りますが、休んでも良くならない場合やじんましん・息苦しさを伴う場合はすぐ受診してください。今日は熱が出なくても、1週間くらいたった頃(特に7〜12日目)に熱が出ることがあります。これはワクチンがしっかり効いている証拠で、心配いりません。熱をきっかけにけいれんを起こしたことがあっても、予防接種は受けられます。あわてず、横向きに寝かせて時間を計り、口に物を入れないでください。5分以上続くようなら救急車を呼んでください。注射した場所以外に広がる痛みやしびれ、手足の動かしにくさが数日〜数週間後に出たら、すぐに相談してください。
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