2-13睡眠時無呼吸・いびき
OSA評価と扁桃摘出後出血
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 強い努力性呼吸・チアノーゼ・意識レベル低下を伴う急性上気道閉塞は気道確保を最優先しながら、気道確保できる施設へ即搬送(持てない)。感染性の急性閉塞(喉頭蓋炎・深頸部感染症・クループ)を並行して除外する(院内方針院内)。
- いびき自体はよくある相談。週に3回より多くいびきが観察される習慣性いびきの有病率は小学校低学年で7%とされる。無呼吸を伴うかどうかで話が変わる。
- 原因の大半はアデノイド・扁桃肥大。分岐は「無呼吸の目撃と日中症状があるか」。睡眠時無呼吸もみられれば、アデノイド切除や扁桃摘出術(当院ではできない)。
- 当直で実際に動くことが多いのは扁桃摘出後の出血。出血を認識した時点で蘇生評価と耳鼻科・麻酔/受入施設への連絡を並行する。止血処置の成否を連絡条件にしない。
- 術後出血は術後2週間ほどまで起こりうる。10日を過ぎても除外しない。特に術後7日目前後に注意する。
2鑑別のながれ
- いびき(無呼吸なし)→頻度が高い(小学校低学年で7%)→単純いびき
- いびき・無呼吸→アデノイドや扁桃が大きい→アデノイド・扁桃肥大
- いびき→鼻がつまっている→アレルギー性鼻炎・鼻閉
- 睡眠中の無呼吸を家族が目撃・動画あり/低酸素所見あり→日中の眠気・多動・学習の問題を伴うことが多い(中等症以上)→閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)→ ENT紹介、当日〜数日以内
- いびきに軽度の無呼吸目撃のみ・低酸素所見なし→日中症状は軽微またはなし(軽症疑い)→閉塞性睡眠時無呼吸の軽症疑い→ ENT外来予約で可
- 扁桃摘出後の口腔内出血→術後2週間ほど、特に術後7日目前後。日数だけで緊急度を下げない→扁桃摘出後出血
3検査
- 呼吸様式(陥没呼吸・努力性呼吸の有無)
- 口腔・咽頭所見(扁桃の大きさ・口呼吸・鼻閉)
- 自宅での睡眠中の動画(胸とあごの動きが見えるもの)があれば参考にする
- 監視下ポリグラフ検査(PSG)がゴールドスタンダードだが当院にPSGはない。簡易睡眠検査・夜間オキシメトリで代用されるのが実地の現状
- SpO2はスポット測定。当直での日中スポット値は夜間評価の代わりにはならない
4扁桃摘出後出血への対応
- 扁桃摘出後の出血を認識した時点で、気道・循環評価と同時に上級医・耳鼻科/麻酔・受入施設へ直ちに連絡し、搬送を調整する。
- 意識清明なら座位・前傾で、血液を飲み込ませない。絶飲食とし、酸素化・吸引・静脈路などを状態に応じ準備する。
- 創部圧迫など局所処置は協力が得られ、習熟者が安全に実施できる場合に限る。気道を刺激する処置を無理に行わず、搬送連絡を遅らせない。
- 一時的に止血しても帰宅させず、術者・耳鼻科での緊急評価と入院の要否を調整する。
やってはいけない・落とし穴
↑ このページの入口へ- 止まっても経過観察で自宅に帰さない。術後2週間ほどは遅発出血の危険があるため術者の施設へ連絡する
5送る/持つの目安
- 帰宅いびきのみで無呼吸の目撃なし・日中症状なしは単純いびきの可能性が高く経過観察でよいことが多い
- 搬送・紹介強い努力性呼吸・チアノーゼ・意識レベル低下を伴う急性上気道閉塞は気道確保を最優先しながら、気道確保できる施設へ即搬送(持てない、即時、院内方針院内)、扁桃摘出後の出血は認識時点で耳鼻科/麻酔と受入施設へ緊急連絡。止血処置を試してから相談する運用にしない。、明らかな無呼吸・低酸素所見あり(中等症以上)→ ENT紹介、当日〜数日以内(PSG・手術なし、持てない)、いびき+軽度の目撃のみ・低酸素所見なし(軽症疑い)→ ENT外来予約で可
6診療中の疑問と回答
- いびきだけの相談で、何を聞けば紹介につながる?
- 睡眠中の呼吸停止、あえぎ、寝苦しさ、口呼吸に加え、日中の眠気や集中・行動の変化を聞く。保護者の動画は参考になるが単独で重症度を確定しない。無呼吸や日中機能への影響があれば耳鼻科等へ紹介し、必要な睡眠検査を判断する。
根拠:RCH 小児閉塞性睡眠時無呼吸 - 扁桃が大きいだけで手術の適応を決めてよい?
- 扁桃の見た目だけでなく睡眠中の閉塞症状と生活への影響を合わせて評価する。必要時は睡眠検査で確認し、肥満や他の背景も含めて専門医が治療を選ぶ。当院では手術を実施しないため、家族には紹介先での評価と治療の見通しを伝える。
根拠:RCH 小児閉塞性睡眠時無呼吸 - 手術後にいびきが減ったらフォローは終了?
- 術後も無呼吸、いびき、睡眠の質と日中機能を確認する。症状が残る、再び強くなる場合は残存・再発を考えて専門医に再相談する。特に肥満など他の閉塞要因がある場合は、手術をした事実だけで治癒と判断しない。
根拠:RCH 小児閉塞性睡眠時無呼吸
- いびきだけなら心配ない?
- 多くは心配いらない。ただし大きないびきに加えて息が止まっている、日中にひどく眠そう・集中できない、といったことがあれば耳鼻咽喉科で診てもらう必要がある。
- 扁桃摘出後、何日まで出血に注意?
- 口蓋扁桃摘出術後10日までは後出血の危険性がある。特に術後7日目前後(退院日)の夜に多かったとする単施設の報告がある。
- OSAの手術は当院でできる?
- できない。アデノイド切除・扁桃摘出術は全身麻酔下で約1週間の入院が必要で、耳鼻咽喉科のある病院を紹介する。
8家族への説明
いびき・無呼吸の相談の場合:お子さんのいびきについてですが、いびき自体はよくあることで、多くは心配いりません。ただ、大きないびきに加えて、息が止まっている、苦しそうに息をしている、夜中に何度も目を覚ます、日中にひどく眠そうだったり、集中できなかったりする、といったことがあれば、耳鼻咽喉科で診てもらう必要があります。原因の多くは鼻の奥にあるアデノイドや、のどの扁桃が大きくなっていることです。軽ければお薬や鼻の処置で様子を見ますが、無呼吸がみられる場合は、アデノイドや扁桃を取る手術になることがあります。手術は全身麻酔で、約1週間の入院が必要です。当院では手術はできませんので、耳鼻咽喉科のある病院を紹介します。
扁桃摘出後出血で来院した場合:術後に口から血が出る、血を吐く、血を繰り返し飲み込む様子があれば、止まるか待たず手術施設へすぐ連絡してください。息苦しい、大量の出血、ぐったりする場合は119です。うがいの成否で受診を遅らせないでください。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。