12-3のどや鼻の迅速抗原検査
溶連菌・インフルエンザ・RSV・アデノ・hMPV・COVID-19の使い分け
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次7項目
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1ポイント
- 特異度はどの検査も概ね90〜100%と高いが、感度は病原体・病日・検体採取手技で大きく振れる。陰性=否定ではなく検査前確率とセットで解釈する。
- 溶連菌迅速検査は3歳未満では原則不要(リウマチ熱リスクが低くGAS咽頭炎自体が稀)。陽性でも無症候なら保菌の可能性を考える。
- RSV・hMPV・アデノ・SARS-CoV-2は保険算定要件(年齢・入院・適応等)が個別に定められており、要件外の「念のため」検査は査定・過剰検査になりうる。
- まずバイタルサイン・全身状態から重症細菌感染症(敗血症・髄膜炎・尿路感染症等)を除外したうえで、迅速抗原検査の適応を検討する。
2鑑別のながれ
- 咽頭痛・発熱+溶連菌迅速陽性→皮疹・関節痛など全身症状を伴う→混合感染・保菌の可能性に加え劇症型溶血性レンサ球菌感染症も念頭に置く
- 発熱4〜5日以上持続、または溶連菌迅速陽性でも非典型→結膜充血・口唇発赤・四肢末端の変化・頸部リンパ節腫脹を伴う→川崎病も鑑別に残す
- 乳幼児の細気管支炎様症状→RSV陰性→hMPV・ライノウイルスなど他病原体を鑑別に残す(混合感染もまれではない)
3計算・スコア
スコア
Centor/McIsaacスコア(3歳以上の溶連菌迅速検査の適応判定)
4検査
- 溶連菌(RADT):感度70〜90%程度、特異度95%以上。3歳以上でCentor/McIsaacスコア中等度以上の検査前確率がある咽頭炎に。3歳未満は原則不要
- インフルエンザ:感度は発症からの時間に依存(発症12時間未満38.9%、12〜24時間40.5%、24〜48時間65.2%、48時間以降69.6%)。早期陰性は再検査や臨床診断の余地を残す
- RSV:入院中の患者、1歳未満の乳児、パリビズマブ/ニルセビマブ適応患者のいずれかに該当する場合に限り保険算定可
- アデノ:咽頭・結膜ぬぐい液での感度はおおむね60〜80%程度。糞便検体とは別区分の点数で、混同して算定しない
- hMPV:6歳未満かつ画像診断または胸部聴診所見で肺炎が強く疑われる場合のみ保険算定可
- SARS-CoV-2:発症2日目以降で使用。初回陰性でCOVID-19以外の診断がつかない場合はさらに1回に限り算定可
- 溶連菌迅速陰性でも臨床疑いが強い場合(Centor高得点・周囲の流行)は咽頭培養を追加する
5検体採取(鼻咽頭ぬぐい液)
- 頭部をしっかり固定する(体動による医原性の損傷を防ぐ)
- 綿棒は上方に向けず、必ず鼻腔底に沿わせて挿入する
- 後咽頭に達する最低限の長さで綿棒を把持し、それ以上は挿入しない
- 挿入時に抵抗があれば無理に進めず、反対側の鼻腔で行う
やってはいけない・落とし穴- 綿棒を上方に向けて挿入する、抵抗を感じても押し込む、必要以上に深く挿入する(綿棒破損による医原性異物の実例がある)
6Q&A
- 3歳未満の子に「念のため」溶連菌検査をしてよい?
- 原則しない。GAS咽頭炎自体が3歳未満では稀で、検査対象を絞るのが推奨される。同胞の溶連菌陽性や猩紅熱様皮疹があるときは例外として考慮してよい。
- インフルエンザ検査が発症数時間で陰性だったら「インフルではない」と伝えてよい?
- 伝えない。発症12時間未満の偽陰性率は高く、症状が典型的なら12〜24時間以降の再検査や臨床診断の余地を説明する。
- 溶連菌迅速陽性なら必ず抗菌薬が要る?
- そうとは限らない。学童期の無症候性GAS保菌率はメタ解析で約12%とされ、症状が乏しい陽性例では保菌の可能性を検討する。
- 生後3か月未満の発熱にも迅速検査を先にしてよい?
- しない。生後3か月未満は最優先で重篤細菌感染症のワークアップを行い、迅速抗原検査はそのあとで検討する。
7家族への説明
この検査は、のど(や鼻・目)の粘膜から取った検体で、その場でウイルスや細菌のかけらがあるかを調べる簡易検査です。陰性でも、まだ検査で捕まえられるほどウイルス・細菌が増えていないだけの可能性があります。症状が続く・悪化する場合は再受診してください。溶連菌が陽性でも、症状がごく軽い場合は菌を持っているだけ(保菌)の可能性もあり、必ずしも抗菌薬が必要とは限りません。診察の様子から診断や対応の方針が変わらないと判断した場合は、検査を省略することもあります。溶連菌の治療が終わって数週間後に、尿の色が濃い・赤い、まぶたや顔がむくむ、関節が痛む、といった症状が出たら受診してください。
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