1-19先天性感染症・HBV/HIV母子曝露
せんてんせいかんせん・TORCH・先天性CMV・先天梅毒
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 胎児発育不全、小頭、紫斑/血小板減少、肝脾腫・黄疸、難聴、母体の感染/治療歴を確認する。[1][2][3]
- HBV/HIVは児の症状がなくても母体検査・治療/ウイルス量と出生時刻から曝露リスクを確認し、出生後予防の実施時刻・薬剤を引き継ぐ。[4][5]
- 新生児のけいれん、出血・全身不良、重い肝障害:敗血症や先天感染を並行評価して入院・新生児/感染症専門診療へつなぐ。[1][3]
- 症候性先天CMVの抗ウイルス治療適応は専門医が病型と有害事象を踏まえて決め、聴覚・眼・神経発達を追う。[1][2]
2鑑別のながれ
- 紫斑/難聴・小頭→新生児早期、母体リスク→CMVの適切な時期の核酸検査と臓器評価を行う。[1][2]
- 母体梅毒歴→未治療/治療不十分、児の所見が正常でも→先天梅毒のリスク分類に沿って評価・治療する。[3]
- 母体HBV/HIV陽性または曝露評価未了→児は元気でも予防の時間枠内/未実施→感染症状の出現を待たず予防と専門評価へつなぐ。[4][5]
- 難聴/白内障・先天心疾患→妊娠中風疹曝露または母体歴不明→先天風疹を疑い検査と接触予防を行う。[6]
- 眼/神経異常または母体トキソプラズマ感染→出生時無症状・抗体陰性でも疑いが残る→専門検査と長期眼科フォローを相談する。[7][8]
3検査
- CMVは原則出生後3週以内の適切な検体で核酸検出を行う。出生後に時間が経つと後天感染との区別が難しい。[1][2]
- 先天梅毒は母体治療の内容/時期、児の診察、母児の非トレポネーマ定量抗体等を組み合わせる。母体IgG移行と臍帯検体の誤判定に注意する。[3]
- HBVは母体HBs抗原と出生後HBIG/ワクチン歴を確認し、接種完了後にHBs抗原/抗体で予防効果を判定する。HIVは母体ウイルス量と曝露を踏まえ、児の核酸検査・予防を専門医と組む。[4][5]
- 先天風疹はIgMと適切な時期の呼吸器/尿PCR等を組み合わせ、単回陰性で除外しない。トキソプラズマは児IgG/IgM/IgA等を専門検査で解釈し、母体抗体/採血時混入と偽陰性に注意する。[6][7]
4対応の注意
避けること・注意:CMVをIgG/IgMのみで診断しない。先天梅毒の児の抗体価が低い/陰性だけでリスクを無視しない。[2][3]。
↑ このページの入口へ5初期対応と継続管理
初期対応
- 症候性先天CMVの抗ウイルス治療適応は専門医が病型と有害事象を踏まえて決め、聴覚・眼・神経発達を追う。[1][2]
- 先天梅毒疑いは母体・児のリスク別に検査とペニシリン治療を選び、結果待ちで治療を遅らせない状況を確認する。[3]
- HBV曝露児は出生後できるだけ早く、望ましくは12時間以内のHBIGとHBワクチンを国内手順で実施する。HIV曝露児のARVは出生後できるだけ早く、NIHでは望ましくは6時間以内とし、薬剤数/期間は母体ウイルス量等のリスクで専門医が選ぶ。[4][5]
- 先天風疹疑いでは長期ウイルス排泄を考慮した接触予防と感染管理部門への連絡、聴覚・眼・循環器評価を行う。先天トキソプラズマは眼/神経評価を行い、無症状でも治療要否を感染症専門医に相談する。[6][7][8]
フォローと再評価
- CMVは遅発/進行難聴と視力・発達を、梅毒は定量抗体の推移と治療反応を病原体別に追う。[1][2][3]
- HBVは予定された追加接種と予防効果検査、HIVは曝露・ARVに応じた核酸検査/薬剤評価を確保する。風疹は聴覚・眼・心臓と感染性、トキソプラズマは遅発眼病変を長期追跡する。[4][5][6][7][8]
根拠と適用範囲
- 先天性サイトメガロウイルス感染症診療ガイドライン2023:国内研究班GL。CMV部分のみ
- CDC Clinical Overview of CMV and Congenital CMV:2024年、出生後検査と治療/聴覚追跡
- CDC Congenital Syphilis STI Treatment Guidelines:2021年、先天梅毒の母児評価・治療概念。国内製剤は別確認
- 日本小児科学会 お子さんのB型肝炎母子感染予防について:国内学会資料。出生後早期HBIG/ワクチンと接種後検査を実本文で確認
- NIH Antiretroviral Management of Infants With HIV Exposure:2026年6月25日更新。出生後早期ARV、母体ウイルス量によるリスク、児NAT
- CDC Surveillance Manual: Congenital Rubella Syndrome:2026年公的マニュアル。症状、検査偽陰性、長期排泄と接触予防
- CDC DPDx Toxoplasmosis:新生児血清診断、母体血混入・抗体陰性の限界と遅発眼病変
- CDC Clinical Care of Toxoplasmosis:2026年5月、先天感染治療と眼科評価の入口。用量は不採用
6帰宅・入院の目安
- 帰宅全身状態が安定し、病原体別に必要な治療と長期追跡が具体化した場合に専門医と外来管理を検討する。[1][3]
- 入院症候性で臓器障害がある場合、静注治療/精査やフォロー確保が必要な場合は入院を検討する。[1][3]
- 搬送・紹介新生児/小児感染症と耳鼻科・眼科・神経発達支援へ連携する。[1][2]
7診療中の疑問と回答
- 難聴の再検査がある児でCMV疑い。1か月健診で採血してよい?
- 先天性と出生後感染を区別するには、生後早期の適切な検体採取が重要である。生後3週を過ぎる前に小児科・検査部と尿などのPCR採取を調整する。IgG・IgMだけでは先天CMVを診断せず、聴覚・眼・神経所見も専門医と評価する。
根拠:CDC Congenital CMV clinical overview / NIH 乳児HIV曝露の抗ウイルス管理2026 - 先天CMVでも出生時の聴力は正常。フォローは不要?
- 遅れて難聴が出たり進行したりすることがあるため、出生時正常だけで終了しない。聴覚、視覚、発達の定期評価を計画する。抗ウイルス薬の適応は症候・臓器所見・開始時期と有害作用を専門医が評価し、検査陽性だけで一律に投与しない。
根拠:CDC Congenital CMV clinical overview / NIH 乳児HIV曝露の抗ウイルス管理2026 - HIV母子曝露の新生児が元気。検査結果まで予防薬を待つ?
- 児の症状だけで待たない。母体の治療・ウイルス量、分娩と出生時刻を確認し、出生後できるだけ早い予防・治療計画を新生児科・HIV専門医と決める。海外の薬剤量を転用せず、在胎週数・体重と国内入手可能性を含む個別計画を引き継ぐ。
根拠:CDC Congenital CMV clinical overview / NIH 乳児HIV曝露の抗ウイルス管理2026
8家族への説明
感染が確認されても影響は子どもごとに異なる。早い時期に検査し、今症状がなくても聴こえや発達の変化を続けて確認する。[1][2]
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。