生後3か月未満の赤ちゃんの発熱

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱

発熱・感染症β版・逐条レビュー継続中

2026-07-31更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

このトピックは「おうちで様子を見る」資料ではない。

当院の当直帯の実力(2026-09-14 確認): 腰椎穿刺・導尿・ルート確保はできる。夜間入院もできる尿は定性のみ(沈渣は出ない)/末梢血液像は出ない/画像は撮れない。髄液を夜間に測定できるかは未確認。
AAP 2021 のフルワークアップが求める3本柱——血液培養・尿検査・髄液検査——は、採取という意味では当直帯にすべて実施できる当院の弱点は採ることではなく、夜のうちに結果が出ないこと
したがって当直帯の型はこうなる。検体は全部採る。結果は待たない。生後8-21日は結果を待たずに抗菌薬と入院——これはガイドライン自身の指示でもある。そして当院は夜間入院ができるので、「結果が出ないから帰す」という選択を取らなくてよい

30秒要約

  • 生後3か月未満(0〜89日)の38.0℃以上は、機嫌がよくても精査前提。帰宅観察を自己判断しない。
  • 低体温(いつもよりはっきり低い/36.0℃未満)も感染症のサインになりうる。
  • 見た目 well-looking では重い細菌感染症を除外できない。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
119反応なし、呼吸弱・チアノーゼ、けいれん家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
緊急38.0℃以上、または体温がいつもよりはっきり低い「様子を見ずに受診」
緊急ぐったり、哺乳減、尿減、紫斑、大泉門膨隆、水疱、母体HSV家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. ABC・外観・バイタルを先に。不安なら即エスカレーション。
  2. 日齢で段階化(施設プロトコル優先)。生後7日前後はより慎重、入院経過観察が多い。
  3. 8-28日は見た目が良くても血液・尿、多くは髄液。結果を待たず経験的治療を始めることが多い。
  4. 29-89日も検査は行う。結果が安心なら、必ず再受診できる条件付き帰宅がありうる。自己判断で帰宅させない。
  5. 家族説明 → Family Guide「生後3か月未満の赤ちゃんの発熱」を渡す。解熱剤の自己判断はしない、と一言。

家族に渡す一文

「この月齢は、機嫌がよく見えても検査が必要になることがほとんどです。熱 38.0℃以上、または体温がいつもよりはっきり低いときは、様子を見続けずに連絡・受診してください。」
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/生後3か月未満の赤ちゃんの発熱について_患者説明_2026-07-31.html

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 月齢<3か月発熱、敗血症様、髄膜炎疑い、けいれん、HSV疑い → 上級医 / 小児救急フロー
  • 判断に迷う → 迷った時点で相談

出典

  • Family Guide young-infant-fever(2026-07-31)と整合
  • 施設マニュアルは facility オーバーレイで追記

計算

判定

発熱乳児 3か月未満の初期評価

この年齢帯は典型的な感染徴候に乏しいまま重症化しうる。全身状態が良く見えても年齢帯の方針を優先する。60日を超える場合はこの表の対象外で、通常の発熱児のトリアージへ。

いつ使う

生後3か月未満(8〜60日)の発熱。日齢で必須検査と腰椎穿刺の扱いが変わる。生後8日未満は本表の対象外で、新生児早期として別に評価する。

落とし穴
  • 生後8-21日は例外なくフルワークアップ。炎症マーカーが陰性でも省略の余地はない
  • 22-28日はマーカーで分岐するが、陰性でもLPは任意=臨床判断であって「不要」ではない
  • 29-60日は外来管理の余地が最も大きいが、shared decision makingが前提
出典

本シート「発熱乳児 3か月未満 初期評価プロトコル」§2の年齢帯表。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

手技

手技

生後3か月未満の発熱はwell-appearingでも精査する

生後3か月未満の38.0℃以上(または低体温)は、見た目が良くても重症細菌感染症を否定できない。日齢で段階化し、生後8-21日は例外なく全項目検査+入院

始める前に

  • 正確な日齢(7日 / 8-28日 / 29-89日)を確認する
  • 体温の測り方・時刻・数値、低体温の有無を確認する
  • 哺乳量、尿回数、活気・あやし反応を確認する
  • けいれん、呼吸、皮疹・水疱の有無を確認する
  • 母体HSV既往・周産期、基礎疾患・デバイスを確認する
  • 周囲の感染、ワクチン接種歴を確認する
  • 除外基準を確認する:早産児(<37週)、局所細菌感染巣(蜂窩織炎・臍炎・関節炎等)、来院時に既にHSV水疱等がある、細気管支炎の臨床像、免疫不全・染色体異常。該当あれば本フロー適用外・個別対応
  • HSVを疑うべき所見(母体の性器HSV既往または周産期母体発熱、児の水疱性病変、けいれん・無呼吸・低体温、粘膜潰瘍、肝逸脱酵素上昇、CSF単核球優位の細胞増多)の有無を確認する

手順

  1. 1

    ABC・外観・バイタルを先に確認する。不安なら即エスカレーションする

  2. 2

    ill-appearingなら年齢を問わず即・全項目検査+経験的抗菌薬+入院とする

    ill-appearingはAAPアルゴリズムの適用対象外

  3. 3

    生後8-21日は、well-appearingであっても炎症マーカーの結果を待たずに血液培養・尿検査・髄液検査を全例に施行し、結果を待たず経験的抗菌薬・入院へ進む

  4. 4

    生後22-28日は尿検査・血液培養・炎症マーカーを全例に施行し、炎症マーカー陽性なら髄液検査を追加する

  5. 5

    生後22-28日で尿検査陽性・マーカー陰性なら髄液検査は任意(省略可)とし、尿検査・マーカーともに陰性なら髄液検査は任意とした上で、省略時は24時間以内の再評価を条件に外来管理を検討しうる

  6. 6

    生後29-60日も尿検査・血液培養・炎症マーカーを全例に施行する。マーカー陽性でも髄液検査は臨床判断に委ねる

  7. 7

    採尿はカテーテル導尿または膀胱穿刺とし、バッグ採尿は用いない

    汚染率が高く偽陽性の原因となる

  8. 8

    HSVリスク因子があれば、HSV PCR(血液・CSF・皮膚粘膜スワブ)を追加し経験的アシクロビル投与を検討する

  9. 9

    生後8-21日は第一選択としてアンピシリン+(ゲンタマイシンまたはセフタジジム)の経験的併用療法を行う

  10. 10

    生後22-60日は一般に第三世代セファロスポリン(例:セフトリアキソン等)の経験的単剤投与を行う。ただし高ビリルビン血症のリスクがある児では避ける

  11. 11

    生後29-60日でGL上外来管理を選ぶ場合は、24-36時間以内の再評価を条件とする

やってはいけない

  • 生後8-21日児(あるいはill-appearingの児)に対し、炎症マーカー陰性のみを根拠に抗菌薬投与や入院を見送らない
  • 単一の炎症マーカーのみで治療方針を決定しない
  • 高ビリルビン血症リスクのある新生児期にセフトリアキソンを漫然と第一選択にしない
  • 母体HSV既往や児の水疱などHSVリスク因子がある場合に、アシクロビルの検討を後回しにしない
  • 生後28日未満では、well-appearingに見えることを重症除外の根拠にしない
  • 低体温(<36.0℃)を「発熱していないから軽症」と判断しない(新生児・若齢乳児は発熱ではなく体温低下で重症感染症を呈することがある)
  • バッグ採尿による尿検査結果のみで細菌尿を確定・除外しない
  • ウイルス性病原体(RSV等)のPCR陽性のみを根拠に、尿検査や血液培養など必須検査を省略しない
  • ill-appearingの児にプロカルシトニン・CRPの結果を待って抗菌薬開始を遅らせない

終わったあと

  • 再受診すべきサインを伝える:発熱が続く、または一度下がった後に再び上がる/哺乳量が明らかに減った、おしっこの回数・量が減った/ぐったりしている、あやしても反応が乏しい、いつもと様子が違うと感じる/けいれんのような動きがあった/皮膚に水疱ができた、押しても消えない紫の斑点・出血斑が出た/呼吸が速い・肩で息をする・唇や顔色が悪い/体が冷たい・体温が異常に低い
  • 解熱剤の自己判断はしない、と一言伝える
  • 家族説明はFamily Guide「生後3か月未満の赤ちゃんの発熱」を渡す

この場で持てない・送る

  • 月齢<3か月発熱、敗血症様、髄膜炎疑い、けいれん、HSV疑いは上級医/小児救急フローへ
  • 判断に迷う場合は迷った時点で相談する
  • ill-appearing、HSVリスク因子陽性、生後8-21日のいずれかに該当すれば上位医療機関(NICU/小児感染症科のある施設)への紹介・搬送を検討する
  • 要確認:プロカルシトニンの院内での迅速測定が可能か。不可の場合はANC+CRP+体温の組み合わせ運用に切り替える必要があり、その運用基準を確認する
  • 要確認:生後8-21日児に対する腰椎穿刺の実施体制(施行者、鎮静・体位固定の方法、失敗時の対応)
  • 要確認:尿検査の採尿方法(カテーテル導尿/膀胱穿刺)の実施体制・トレーニング状況
  • 要確認:院内採用の新生児向け抗菌薬プロトコル(アンピシリン+ゲンタマイシン/セフタジジムの規格・投与法)、および生後28日以降で使用する第三世代セファロスポリンの採用状況
  • 要確認:アシクロビル経験的投与のプロトコルの有無、NICU/小児感染症科・上位医療機関への紹介先と搬送手順
  • 要確認:生後22-28日・29-60日でGLが許容する外来管理(discharge)を実際に採用する方針か、それとも安全側に倒して原則入院とするかの院内方針決定
  • 要確認:生後61-89日(AAP 2021のスコープ外)の運用方針をどちらの型(本フロー/発熱児のトリアージの3ヶ月〜3歳側)に寄せるか
  • 要確認:夜間・休日の当直体制でのfull sepsis work-up実施可否(当直帯に腰椎穿刺・膀胱穿刺の実施体制がない場合の搬送基準)

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

詳細リファレンス8章(正本より)

出所: 正本「発熱乳児_3か月未満_初期評価プロトコル_2026-07-31.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

  • 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
  • 記録日: 2026-07-31
  • 状態: 下書き(要・本人確認)
  • 対象: 小児外来(愛育病院)

⚠ 本ファイルはAIが最新の文献・ガイドラインをWeb検索して起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ・個別処方値や患者情報は書かない。

🔗 関連ファイル:本ファイルは既存の 発熱児のトリアージ_2026-07-30.md(生後3ヶ月未満〜3歳の外来トリアージ全般)の「生後3ヶ月未満」の部分を深掘りしたもの。年齢区分別のfull sepsis work-up適応、炎症マーカーによるリスク層別化、HSV想起の判断根拠はこちらが正本。解熱薬(アセトアミノフェン/イブプロフェン)の選択・用量の考え方、川崎病・MIS-C鑑別、熱性けいれんの切り分けは上記トリアージ文書§4・§1を参照し、本文書では重複記載しない。

0. 一目でわかるフロー
受診(生後3ヶ月未満・体温38.0℃以上 ※直腸温または信頼できる測定法)
 ※体温38.0℃以上という事実そのものが「精査を要するハイリスク群」の定義(NICE NG143)[2]
 ※低体温(<36.0℃)も新生児では敗血症の徴候たりうる点に注意(発熱の代わりに低体温で来ることがある)

  → 見た目(well-appearing/ill-appearing)を評価
      ├─ ill-appearing(ぐったり・循環不全・呼吸障害等)
      │    → 年齢を問わずAAPアルゴリズムの適用対象外。即・全項目検査+経験的抗菌薬+入院
      │
      └─ well-appearing(AAPアルゴリズムの適用対象)
           → 除外基準の確認:早産児(<37週)、局所細菌感染巣(蜂窩織炎・臍炎・関節炎等)、
             来院時に既にHSV水疱等がある、細気管支炎の臨床像、免疫不全・染色体異常 [1][3]
             ※該当あれば本フロー適用外・個別対応
           ↓
      日齢で3群に分岐(AAP 2021)[1][4]
           ├─ 生後8-21日 → 全例フルワークアップ+入院+経験的抗菌薬(例外なし)
           ├─ 生後22-28日 → 尿検査・血液培養・炎症マーカー必須 → マーカーで分岐
           └─ 生後29-60日 → 同上、より外来管理の余地あり
           ↓
      ★生後28日未満(0-21日・22-28日)は「well-appearingに見える」ことが
        重症除外の根拠にならない点が最大の落とし穴(AAP GL自体が明記)[1][5]
           ↓
      HSVリスク因子スクリーニング(特に0-21日で必須)[1][3]
           ↓
      検査結果に応じた抗菌薬(±アシクロビル)・入院/外来管理の決定
           ↓
      再診・保護者説明・紹介閾値(§5)
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
  • 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上それ自体がハイリスク群の定義であり、「元気そう」に見えても本フローの対象から外れない(NICE NG143、AAP 2021共通の前提)[1][2]
  • 低体温(<36.0℃):新生児・若齢乳児は発熱ではなく体温低下で重症感染症(敗血症)を呈することがある。「発熱していないから軽症」と判断しない
  • ill-appearing(医療者から見て明らかに具合が悪い):この所見単独でAAPアルゴリズムの適用対象外となり、年齢・検査値によらず即座に全項目検査+経験的抗菌薬+入院の対象[1][3]。ぐったり・あやしても反応が乏しい・覚醒維持困難・循環不全(皮膚色不良・末梢冷感・CRT延長)・呼吸障害(多呼吸・陥没呼吸・呻吟・無呼吸)を含む
  • HSV(単純ヘルペスウイルス)を疑うべき所見(特に生後0-21日で重要・想起されにくく見逃し例が報告されている)[1][3][4]:
  • 母体の性器HSV既往、または分娩前後(周産期)の母体発熱
  • 児の皮膚・粘膜の水疱性病変
  • けいれん、無呼吸、低体温
  • 粘膜潰瘍
  • 肝逸脱酵素(ALT等)上昇、CSF単核球優位の細胞増多
  • 該当があれば「様子を見る」対象から即座に外れ、HSV PCR(血液・CSF・皮膚粘膜スワブ)と経験的アシクロビル投与の検討に進む
  • 点状出血・紫斑(特に圧迫で消えない皮疹=non-blanching rash)、髄膜刺激徴候(大泉門膨隆・項部硬直)、けいれん・意識障害
  • 経口摂取不良・尿量減少などの脱水徴候
  • 保護者が「いつもと様子が違う」と強く訴える所見(乳児では専門職の主観評価にも限界があるため軽視しない)
  • 生後28日未満というだけで、他の所見の有無にかかわらず精査対象:AAP 2021ガイドラインは生後8-21日の児について、well-appearingであっても炎症マーカーの結果を待たずに全例フルワークアップ(血液培養・尿検査・髄液検査)と入院を必須としている。これは本人の見た目の良さで「今回は経過観察でよい」という判断を許容しない、最も見落とされやすいルールの一つ[1][4][5]
2. 重症度・病型の判定

適用対象の確認(本フローが前提とする集団)

AAP 2021ガイドラインは「well-appearing・正期産(37週以上)・免疫正常・局所感染巣なし・来院時に明らかなHSV病変や細気管支炎の臨床像がない」生後8-60日児を対象とする[1][3]。この前提から外れる児(早産児、免疫不全、染色体異常、ill-appearing、既に局所感染巣が明らかな児)は本アルゴリズムの適用外であり、個別に重症度を判断する。

年齢区分(AAP 2021の3区分)[1][4]

年齢帯位置づけ必須検査腰椎穿刺(LP)
生後8-21日例外なくフルワークアップ尿検査・血液培養・髄液検査 全例必須必須(省略の余地なし)
生後22-28日炎症マーカーで分岐尿検査・血液培養・炎症マーカー 全例必須マーカー陽性なら必須/陰性なら任意(臨床判断)
生後29-60日外来管理の余地が最も大きい同上マーカー陽性でも省略しうる(臨床判断・shared decision making)
  • AAP 2021の適用範囲は生後8-60日まで。生後0-7日はガイドラインの直接対象外(より厳格な新生児プロトコルの対象)。生後61-89日(2-3ヶ月)もAAP適用範囲外=要確認:院内でどこまで本アルゴリズムに準じるか、どこから「発熱児のトリアージ」文書の3ヶ月〜3歳側の運用に寄せるかは施設判断が必要[要確認]
  • well-appearingという評価自体に限界がある:AAPガイドラインは"well-appearing"の標準化された定義を示しておらず、評価者の主観に依存する。特に生後28日未満では、見た目が良好でも重症細菌感染症・HSV感染症を否定できないというのがガイドラインの根本的な立場であり、「元気そうだから検査を絞る」という判断は生後28日未満では基本的に成立しない[1][5]
  • 重症細菌感染症(SBI)の頻度:発熱乳児(生後60日以内)の約8-13%にSBIを認め、その大半(最多の原因)が尿路感染症(UTI)で、発熱乳児の約5-15%を占める。菌血症・細菌性髄膜炎はUTIより頻度は低いが、見逃した場合の重症度が高い[3]
  • 国内データとして、生後3ヶ月未満の入院発熱児86例の検討(松江市立病院、2010年)では真の細菌感染群は11.6%にとどまったが、月齢の低い群では病歴・症状・検査値だけからの判別は困難であり、フルワークアップと積極的な抗菌薬適応の検討が妥当と結論づけている(単一施設・後方視的・n=86・ワクチン普及前のデータである点に留意)[7]
3. 検査
  • 必要(年齢区分に応じて。全例で採尿はカテーテル導尿または膀胱穿刺とし、バッグ採尿は用いない=汚染率が高く偽陽性の原因となる)[1][8]:
  • 生後8-21日:血液培養、尿検査(培養含む)、髄液検査(細胞数・グラム染色・糖・蛋白・培養、必要に応じエンテロウイルスPCR)を全例に施行。炎症マーカーの結果を待たずに実施し、結果を待たずに経験的抗菌薬・入院へ進む[1][4]
  • 生後22-28日:尿検査・血液培養・炎症マーカー(プロカルシトニン、無ければANC+CRP+体温の組み合わせ)を全例に施行。
  • 炎症マーカー陽性 → 髄液検査必須
  • 尿検査陽性・マーカー陰性 → 髄液検査は任意(省略可)
  • 尿検査・マーカーともに陰性 → 髄液検査は任意、省略時も24時間以内の再評価を条件に外来管理を検討しうる[1][4][5]
  • 生後29-60日:同様に尿検査・血液培養・炎症マーカーを全例に施行。マーカー陽性でも髄液検査は臨床判断に委ねられる(省略も選択肢)[1][4]
  • 炎症マーカーの閾値(GL採用値。単一マーカーのみでの判断は推奨されない)[1][5]:
  • プロカルシトニン >0.5 ng/mL(最も診断精度が高いとされ優先)
  • CRP >20 mg/L
  • ANC:研究により>4,000/mm³(PECARN基準)または>5,200/mm³(Febrile Young Infant Research Collaborative基準)と2つの異なるカットオフが併記されており、GLはいずれかまたは組み合わせでの評価を許容[5]
  • 体温 >38.5℃(プロカルシトニン非測定時の代替評価に用いる要素の一つ)
  • HSVスクリーニング(特に生後0-21日):母体HSV既往・周産期発熱、児の水疱、けいれん、無呼吸、低体温、粘膜潰瘍、ALT上昇、CSF単核球優位の細胞増多のいずれかがあれば、HSV PCR(血液・CSF・皮膚粘膜スワブ)を追加し経験的アシクロビル投与を検討する[1][3][4]
  • 不要・過剰になりがち
  • 生後8-21日児で炎症マーカーが陰性であることを理由に髄液検査・入院・抗菌薬を省略すること(このガイドラインの適用対象外の判断=この年齢帯はマーカーによらず全例フルワークアップが原則)
  • ill-appearingの児にプロカルシトニン・CRPの結果を待って抗菌薬開始を遅らせること(見た目が悪い時点でAAPアルゴリズムの適用外=待たずに治療)
  • バッグ採尿による尿検査結果のみで細菌尿を確定・除外すること(汚染率が高く、カテーテル/膀胱穿刺での再検が原則)[8]
  • ウイルス性病原体(RSV等)のPCR陽性のみを根拠に、尿検査や血液培養など他の必須検査を省略すること(ウイルス陽性はGL上「外来管理を後押しする一要素」にはなりうるが、必須検査の代替にはならない)[1][3]
4. 治療
  • 第一選択(経験的治療。培養結果判明後は標的治療へ切り替える通常の感染症診療プロセスに従う):
  • 生後8-21日(新生児):アンピシリン+(ゲンタマイシンまたはセフタジジム)の経験的併用療法が基本[1][4]。体重換算の考え方:新生児は日齢・在胎週数により薬物動態(分布容積・腎クリアランス)が大きく異なり、成書的な体重換算表に加えて日齢補正が必要となるため、実際の投与量・投与間隔は院内NICU/薬剤部の新生児抗菌薬プロトコルに従う[要確認:院内新生児抗菌薬プロトコル]
  • 生後22-60日:一般に第三世代セファロスポリン(例:セフトリアキソン等)の経験的単剤投与が広く用いられる。ただしセフトリアキソンは新生児期(特に高ビリルビン血症のリスクがある児)ではビリルビンのアルブミン結合を阻害し核黄疸リスクを高めるため避けるのが原則という、新生児薬理の基本原則がある。生後28日を超えていてもリスク因子(未熟性・高ビリルビン血症の既往等)があれば個別に薬剤選択を再検討する[要確認:院内採用抗菌薬・小児感染症科との連携]
  • HSVリスク因子該当時:静注アシクロビルの経験的追加投与を検討する。体重換算の考え方のみ・個別投与量は院内NICU/小児感染症プロトコルに従う[1][3][4]
  • 第二選択・無効時
  • 血液培養・尿培養・髄液培養の結果に応じてde-escalation(不要な広域抗菌薬の絞り込み)または標的治療へ切り替える
  • 解熱薬(アセトアミノフェン等)の選択・用量の考え方は既存の「発熱児のトリアージ」§4を参照。なお解熱薬が奏効した/しなかったことをもって重症度を判断してはならない点は本疾患でも同様に適用される
  • やってはいけない/非推奨
  • 生後8-21日児(あるいはill-appearingの児)に対し、炎症マーカー陰性のみを根拠に抗菌薬投与や入院を見送ること(GLの適用範囲外の運用であり、このガイドラインが最も強く戒めている落とし穴)[1][5]
  • 単一の炎症マーカーのみで治療方針を決定すること(GL自体が「単独の炎症マーカーは信頼性に乏しい」と明記しており、プロカルシトニン・ANC・CRP・体温を組み合わせて評価する)[5]
  • 高ビリルビン血症リスクのある新生児期にセフトリアキソンを漫然と第一選択とすること(ビリルビン置換によるリスク)
  • 母体HSV既往や児の水疱などHSVリスク因子がある場合に、アシクロビルの検討を後回しにすること(新生児HSV感染症、特に播種型・中枢神経型は治療開始の遅れが予後を大きく左右する)
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
  • 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
  • 発熱が続く、または一度下がった後に再び上がる
  • 哺乳量が明らかに減った、おしっこの回数・量が減った
  • ぐったりしている、あやしても反応が乏しい、いつもと様子が違うと感じる
  • けいれんのような動きがあった
  • 皮膚に水疱ができた、押しても消えない紫の斑点・出血斑が出た
  • 呼吸が速い・肩で息をする・唇や顔色が悪い(真っ青・灰色)
  • 体が冷たい・体温が異常に低い(低体温もサインになりうることを保護者に伝える)
  • 経過の見通し・登園/登校の目安
  • 生後3ヶ月未満の発熱児のうち実際の細菌感染は1〜1.5割程度にとどまるが、月齢が低いほど症状だけでの判別は困難という前提で対応する。外来管理を選択した場合でも「経過観察で自然に良くなる可能性が高い」という説明はGLが想定する対象(生後29-60日・全項目陰性)に限られ、生後28日未満では基本的に該当しない
  • 登園再開の目安は基礎疾患・診断確定後の一般的な感染症の登園基準に従うため、個別診断確定後に説明する
  • 紹介・入院の閾値
  • 生後8-21日は、well-appearingであっても原則として例外なく入院+経験的抗菌薬(フルワークアップの結果を待たずに開始)[1][4]
  • 生後22-28日:炎症マーカー陽性、または尿検査陽性の場合は入院。マーカー・尿検査ともに陰性でも、24時間以内の再評価体制が確保できない場合は入院を選択する[1][4][5]
  • 生後29-60日:全項目陰性であればGL上は外来管理(無投薬での経過観察、または尿検査陽性のみなら経口抗菌薬での外来管理)を選択肢としうるが、24-36時間以内の再評価を確約できることが前提条件。これが確保できない場合(フォローアップ体制・保護者の理解度・地理的アクセス等)は入院を選択する[1][4]
  • ill-appearing、HSVリスク因子陽性、生後8-21日のいずれかに該当すれば、上記の年齢別閾値によらず上位医療機関(NICU/小児感染症科のある施設)への紹介・搬送を検討する
6. 院内ローカルルール(愛育・要確認)
  • 要確認:プロカルシトニンの院内での迅速測定が可能か。不可の場合はANC+CRP+体温の組み合わせ運用に切り替える必要があり、その運用基準を確認する
  • 要確認:生後8-21日児に対する腰椎穿刺の実施体制(施行者、鎮静・体位固定の方法、失敗時の対応)
  • 要確認:尿検査の採尿方法(カテーテル導尿/膀胱穿刺)の実施体制・トレーニング状況
  • 要確認:院内採用の新生児向け抗菌薬プロトコル(アンピシリン+ゲンタマイシン/セフタジジムの規格・投与法)、および生後28日以降で使用する第三世代セファロスポリンの採用状況
  • 要確認:アシクロビル経験的投与のプロトコルの有無、NICU/小児感染症科・上位医療機関への紹介先と搬送手順
  • 要確認:生後22-28日・29-60日でGLが許容する外来管理(discharge)を実際に採用する方針か、それとも安全側に倒して原則入院とするかの院内方針決定
  • 要確認:生後61-89日(AAP 2021のスコープ外)の運用方針をどちらの型(本フロー/発熱児のトリアージの3ヶ月〜3歳側)に寄せるか
  • 要確認:夜間・休日の当直体制でのfull sepsis work-up実施可否(当直帯に腰椎穿刺・膀胱穿刺の実施体制がない場合の搬送基準)
7. 出典(日本のGL優先・URL+版年)

※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特にAAP 2021ガイドラインは著者ら自身が「前向き検証はまだ行われていない」限界を明記しており、施設プロトコルへの落とし込みは院内小児感染症・新生児科の確認を要する。日本国内に本テーマ専用の学会公式CPGは確認できず(要確認:日本小児科学会・日本小児感染症学会の関連ガイドライン最新動向)、本文書は国際GL(AAP・NICE)を主軸に国内の症例報告・学会解説記事で補完する構成とした。

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