急性中耳炎

急性中耳炎

耳鼻・眼β版・逐条レビュー継続中

2026-07-30更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

当院の当直帯に側頭骨CTは撮れない(2026-09-14 確認)。
中耳炎そのものは当直帯で扱える。当院の手が尽きるのは乳様突起炎を疑ったとき——耳介の前方突出・耳後部の発赤腫脹と圧痛
これは視診と触診で拾える所見なので、拾えたら画像を待たずに耳鼻科のある施設へ。

30秒要約

  • よくある。軽症は抗菌薬なしで数日観察もありうる。自己中断はしない。
  • 耳後部腫脹・耳介前方偏位は乳様突起炎。顔面神経麻痺・複視は合併症。
  • 鼓膜切開は適応時のみ、事前説明。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
緊急耳後部腫脹、耳介前方偏位家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
緊急顔面の左右差、複視、けいれん、意識変容家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日痛み増悪、38.5℃以上の持続・再上昇、耳だれ増加家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. 毒性と合併症(乳様突起炎、顔面神経、頭蓋内)を除外。
  2. 軽症観察 vs 抗菌薬は施設・年齢・所見で。用量は書かない。
  3. 家族説明 → Family Guide「急性中耳炎」。出席停止はない、熱と機嫌で判断。

家族に渡す一文

「とてもよくある耳の炎症です。軽い場合は抗菌薬なしで数日見ることもあります。処方されたら飲み切ってください。耳の後ろが腫れる、顔の動きが左右で違うときはすぐ連絡。」
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/急性中耳炎について_患者説明_2026-07-30.html

エスカレーション

  • 乳様突起炎、神経合併症、反復難治 → 耳鼻科 / 上級医

出典

  • Family Guide otitis-media(2026-07-30)と整合

計算

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
スコア

急性中耳炎 重症度スコア

年齢

耳痛

発熱(腋窩温)

啼泣・不機嫌

鼓膜発赤

鼓膜膨隆

耳漏(膨隆と加算可)

合計 0 点 → 軽症

  • 軽症 5点以下/中等症 6〜11点/重症 12点以上

スコアの前に診断そのものの要件を満たすか確認する。中等度〜高度の鼓膜膨隆、または急性外耳炎に起因しない耳漏。あるいは軽度の鼓膜膨隆と48時間以内に発症した耳痛(言語化前の児では耳を押さえる・ひっぱる・こすりつける)、あるいは急性発症の耳痛と鼓膜の強い発赤。中耳貯留液がみられない場合は急性中耳炎と診断すべきではない。

いつ使う

急性中耳炎と診断したあとの重症度分類。この点数で第一選択〜第三選択の段が変わる。24か月未満は年齢だけで3点が入るため、同じ所見でも低年齢児は重く出る。

落とし穴
  • 鼓膜膨隆と耳漏は加算可(両方あれば合算する)。片方だけ取ると過小評価になる
  • 中耳貯留液がない状態でスコアを付けない — 急性中耳炎の診断要件を満たしていない
  • どの段階でも鼓膜切開の適応を検討する(高度の鼓膜膨隆、適切な抗菌薬治療でも鼓膜異常所見が改善しない・悪化する場合)。鼓膜切開が可能な耳鼻咽喉科医との連携が必要
次の一手

各段階で3〜5日投与し、改善しなければ次段階へ。経過観察は初診時より3週間までが目安。抗菌薬使用前に細菌学的検査を実施し、選択・変更の参考にする。

出典

小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版(日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会編、金原出版)。スコア表・分類・診断要件はいずれも本シート§2の記載。URLは詳細リファレンス参照。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

処方

処方

処方の考え方

重症度別アルゴリズムに沿って段階的に行う。各段階で3〜5日投与し、改善なければ次段階へ。抗菌薬使用前に細菌学的検査を実施し、選択・変更の参考にする。経過観察は初診時より3週間までが目安。重症度は上のスコアから自動で入る。

重症度(スコア)

段階

  • ⚠要医師確認: 中等症・重症のアルゴリズムはGL2024 p.86-88の図に基づき分離修正済み。院内採用前にGL原本と照合すること(医師確認事項1)。
  • βラクタム系(ペニシリン系・セフェム系)アレルギーの既往があれば当該系統薬を使用しない(AMPC・CVA/AMPC・CDTR-PI・TBPM-PI・ABPC・CTRXなど)。
  • ピボキシル基を有する抗菌薬(CDTR-PI・TBPM-PI)は二次性低カルニチン血症・重篤な低血糖に注意。経口摂取不良・絶食時間延長のある児でリスクが高く、投与開始翌日からの重篤な低血糖発症例も報告されている(PMDA 2026年6月30日付続報、2019〜2026年5月で23例)。
  • 抗ヒスタミン薬は急性中耳炎に無効であり投与しない(強い推奨・エビデンスA)。発熱児への不要な投与は小児急性脳症のリスクとの関連が指摘されている。
  • 耳痛のみを目的とした抗菌薬投与は推奨しない(鎮痛はアセトアミノフェン10〜15mg/kg頓用が選択肢)。
この数字の意味

体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

詳細リファレンス10章(正本より)

出所: 正本「急性中耳炎_2026-07-30.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

  • 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
  • 記録日: 2026-07-30
  • 状態: 下書き(要・本人確認)
  • 対象: 小児外来(愛育病院)

⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。

医師確認事項(要・岡本判断)

敵対的検証(第三者レビュー)で指摘され、AIの一存では確定できないため列挙する。運用開始前に本人確認が必要。

  1. 4章 中等症・重症の第二選択・第三選択の再構成(severity: high/needs_physician)— 現行の下書きは中等症と重症の第二選択・第三選択を1本のリストに統合していたため、重症例で「既に無効だったAMPC高用量」を再掲しTFLXを欠落させるなど、実際のステップアップ順序と食い違っていた可能性がある指摘。本ファイルは検証者の指摘(GL2024 p.86-88のアルゴリズム図)に基づき下記の通り分離修正済み。院内プロトコルとして採用する前に、GL原本のアルゴリズム図と本文の記載を岡本本人が直接照合すること。
  2. Gradenigo症候群(複視・外転神経麻痺)のレッドフラグ追加(severity: high/needs_physician)— 検証者より、頭蓋内合併症のレッドフラグに錐体尖炎(Gradenigo症候群)を示唆する複視・眼球運動異常が抜けているとの指摘。本GL自体に本症候群の明文規定はなく、GLの対象外規定「頭蓋内合併症などがみられる急性中耳炎」に包含される具体症候として追加した。GL本文に直接の記載がない外挿のため、臨床的に妥当かどうか岡本の判断を仰ぐ。
  3. 鎮痛薬項へのアスピリン/Reye症候群注意の追加可否(severity: low/needs_physician)— 検証者の指摘は「本GL本文には記載がないが、一般小児科原則として付記を検討してはどうか」という提案止まり。GLに根拠のない一般論の追加であり、本ワークフローに含めるかどうかは岡本の判断とする(下記4章に⚠付きで候補記載のみ)。
0. 一目でわかるフロー
受診(耳痛・発熱・耳漏・不機嫌などの訴え)
  → レッドフラグ評価(乳様突起炎・顔面神経麻痺・髄膜刺激症状・GL適用外病態)
      該当あり → 本GLは適用せず、即日耳鼻咽喉科紹介/救急対応
  → 気密式耳鏡で鼓膜所見を確認し急性中耳炎と診断
  → 重症度スコア判定(軽症/中等症/重症)
  → 検査(細菌学的検査の要否、ティンパノメトリーの要否)
  → 治療(重症度別アルゴリズムに従い抗菌薬 or 経過観察、鼓膜切開の適応検討)
  → 3〜4日目に再評価 → 改善なければ次段階の抗菌薬へ
  → 再診・帰宅指導・耳鼻咽喉科紹介基準の適用(反復性・遷延性・難治性の判定含む)
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)

本ガイドラインは以下を対象外と明記しており、該当すれば通常の重症度アルゴリズムに乗せず、耳鼻咽喉科への緊急紹介・入院を検討する。

  • 急性乳様突起炎(耳介後部の発赤・腫脹・圧痛、耳介の前方への偏位、波動感)— 中耳炎の重篤な合併症。GL適用対象外。
  • 顔面神経麻痺(中耳炎に伴う末梢性顔面神経麻痺)— GL適用対象外。合併症としての中耳炎であり緊急紹介。
  • 頭蓋内合併症を疑う髄膜刺激症状(項部硬直、乳児の大泉門膨隆、意識障害・傾眠、痙攣など)— 硬膜外膿瘍・静脈洞血栓症・髄膜炎などを疑う所見。GL適用対象外、救急・脳外科/感染症科との連携が必要。
  • 内耳障害を疑う所見(高度難聴、めまい・ふらつき)を伴う急性中耳炎 — GL適用対象外。
  • 複視・眼球運動の左右差(外転神経麻痺) — 錐体尖炎(Gradenigo症候群: 三叉神経領域痛+外転神経麻痺+耳漏の三徴)を示唆する所見。頻度は稀だが見逃されやすい頭蓋内・頭蓋底合併症であり、GLの対象外規定「頭蓋内合併症などがみられる急性中耳炎」に包含される。⚠要医師確認(GL本文に本症候群の明文規定はなく、外挿での追加。医師確認事項参照)。
  • 遷延・反復のパターン(後述、2026-07時点でGL上の定義に基づく)
  • 遷延性中耳炎: 耳痛・発熱など急性症状が顕在化しないまま、急性中耳炎と同様の鼓膜所見が3週間以上持続
  • 反復性中耳炎: 「過去6カ月以内に3回以上、または12カ月以内に4回以上」急性中耳炎に罹患
  • 難治性中耳炎: 本ガイドラインのアルゴリズムに準じた一連の治療を完遂しても、初診時の臨床症状・鼓膜所見が改善しない状態
  • → これらは薬剤耐性菌・宿主免疫(IgG2低値など)・器質的要因の関与を考慮し、耳鼻咽喉科への評価紹介(鼓膜切開・鼓膜換気チューブ・免疫学的評価の適応検討)を推奨
  • その他GL適用対象外(個別に判断): 滲出性中耳炎、鼓膜換気チューブ留置例、頭蓋・顔面の先天性形態異常、重大な免疫不全のある症例、水疱性鼓膜炎
2. 重症度・病型の判定

急性中耳炎は鼓膜所見と臨床症状のスコアにより軽症・中等症・重症に分類する(ガイドライン作成委員会提案のスコアリング。24カ月齢未満は年齢加点3点)。

項目0点加点
年齢(24カ月未満)3点(該当すれば加算)
耳痛0(なし)1(痛みあり) / 2(持続性の高度疼痛)
発熱(腋窩温)0(37.5℃未満)1(37.5〜38.5℃未満) / 2(38.5℃以上)
啼泣・不機嫌0(なし)1(あり)
鼓膜発赤0(なし)2(ツチ骨柄あるいは鼓膜の一部の発赤) / 4(鼓膜全体の発赤)
鼓膜膨隆0(なし)4(部分的な膨隆) / 8(鼓膜全体の膨隆)
耳漏0(なし)4(外耳道に膿汁あるが鼓膜観察可能) / 8(鼓膜が膿汁のため観察できない)

※鼓膜膨隆と耳漏のスコアは加算可(両方あれば合算する)。

合計点数による分類

  • 軽症: 5点以下
  • 中等症: 6〜11点
  • 重症: 12点以上

診断そのものの鼓膜所見要件(GLの急性中耳炎定義): 中等度〜高度の鼓膜膨隆、あるいは急性外耳炎に起因しない耳漏の出現。または軽度の鼓膜膨隆と48時間以内に発症した耳痛(言語化前の児では耳を押さえる・ひっぱる・こすりつける)あるいは急性発症の耳痛と鼓膜の強い発赤。中耳貯留液がみられない場合は急性中耳炎と診断すべきではない。

3. 検査
  • 必要:
  • 薬剤アレルギー歴(薬剤名・反応内容)の確認 — βラクタム系(ペニシリン系・セフェム系)アレルギーの既往がある場合は当該系統薬を使用しない。抗菌薬選択の前段として問診票に必須項目として組み込む(出典: GL2024 p.36 表13 問診票/p.56 CQ3-1 例外規定)。
  • 気密式耳鏡による鼓膜の詳細な観察(発赤・膨隆・耳漏の有無)— 診断・重症度判定の根幹。正確な鼓膜所見評価が最重要。
  • 抗菌薬の使用前・変更時の細菌学的検査(中耳貯留液または耳漏、あるいは上咽頭ぬぐい液のグラム染色・培養)— 原因菌・感受性に基づく抗菌薬選択のため、中等症・重症では推奨。
  • ティンパノメトリー: 鼓膜の詳細な観察のみでは中耳貯留液の有無が判断困難な例で、客観的指標として使用を推奨(推奨の強さ: 推奨、エビデンスの質: B)。ただし本邦で普及するプローブ音226Hzの機器は生後6カ月未満では信頼性が乏しい点に注意。耳漏がある患者には実施しない(GL2024 CQ1-3 p.37 益と害の評価・例外規定)。
  • 不要・過剰になりがち:
  • レッドフラグを伴わない典型例での血液検査・画像検査(頭部CT等)— 乳様突起炎・頭蓋内合併症を疑う所見がない限り原則不要。
  • 発赤のみで鼓膜膨隆・耳漏を伴わない例を「急性中耳炎」として抗菌薬治療の対象にすること(発赤のみでは診断根拠として不十分)。
  • 迅速抗原検査は補助的位置づけ(実施体制・意義はGL第3章参照。当院での採用有無は要確認)。
4. 治療

治療は重症度別アルゴリズムに沿って段階的に行う。各段階で3〜5日投与し、改善なければ次段階へ。抗菌薬使用前に細菌学的検査を実施し、選択・変更の参考にする。経過観察は初診時より3週間までを目安とする。

軽症(5点以下)

  • 抗菌薬非投与で3日間経過観察(自然経過の観察を推奨。推奨の強さ: 推奨、エビデンスの質: B)
  • 改善なければ→ 第一選択: アモキシシリン(AMPC)高用量、3〜5日投与
  • なお改善なければ→ 原因菌・感受性を考慮し、CVA/AMPC(クラブラン酸/アモキシシリン 1:14製剤)またはCDTR-PI(セフジトレン ピボキシル)高用量を3〜5日投与

中等症(6〜11点)

⚠要医師確認(下記アルゴリズムはGL2024 p.86-88のアルゴリズム図に基づき中等症・重症を分離修正済み。院内採用前にGL原本と照合すること。医師確認事項1参照)。

  • 第一選択: AMPC高用量を3〜5日投与。鼓膜切開の適応を検討。
  • 第二選択(無効時): AMPC高用量/CVA/AMPC(1:14)/CDTR-PI高用量のいずれかを3〜5日投与。鼓膜切開の適応を再検討。
  • 第三選択(なお無効時): CVA/AMPC(1:14)/CDTR-PI高用量/TBPM-PI(テビペネム ピボキシル)常用量/TFLX(トスフロキサシン)常用量のいずれかを3〜5日投与。

重症(12点以上)

⚠要医師確認(同上)。

  • 第一選択: AMPC高用量、またはCVA/AMPC(1:14製剤)を3〜5日投与。鼓膜切開の適応を検討。
  • 第二選択(無効時): CVA/AMPC(1:14)/CDTR-PI高用量/TFLX常用量のいずれかを3〜5日投与(AMPC高用量は含めない=既に無効だった薬剤を再掲しない)。鼓膜切開の適応を再検討。
  • 第三選択(なお無効時): 経口ではTBPM-PI高用量(中等症の常用量とは区別。投与期間は7日以内目安)またはTFLX常用量のいずれかを3〜5日投与(CVA/AMPC・CDTR-PIは重症の第三選択には含めない)。または以下の静注抗菌薬を3日間点滴静注:
  • ABPC(アンピシリン)150mg/kg/日 分3
  • CTRX(セフトリアキソン)60mg/kg/日 分2または分1(新生児は50mg/kg/日以下)。高ビリルビン血症を伴う未熟児・新生児には禁忌(核黄疸リスク)。カルシウム含有製剤・輸液と同一経路での同時投与も禁忌(結晶析出による死亡例報告あり)。

すべての場面で鼓膜切開の適応を検討する条件: 高度の鼓膜膨隆所見がある場合/適切な抗菌薬治療を行っても鼓膜異常所見が改善しない、あるいは悪化する場合。鼓膜切開が可能な耳鼻咽喉科医との連携が必要(推奨の強さ: 推奨、エビデンスの質: C)。

  • 体重換算の考え方(個別処方値は書かない):
  • AMPC(アモキシシリン): 高用量が第一選択の中心。1回あたり・1日あたりの上限(GL規定の投与量上限): 1回45mg/kg、1日90mg/kgを超えない。通常量(45mg/kg/日)ではなく高用量(80〜90mg/kg/日相当)とする根拠が本邦の肺炎球菌・インフルエンザ菌の薬剤耐性率にある。
  • CDTR-PI: 1回200mg、1日600mgを超えない。
  • TBPM-PI: 1回300mg、1日600mgを超えない(中等症・重症のみ、投与期間は7日以内を目安)。
  • TFLX: 1回180mg、1日360mgを超えない。
  • 抗菌薬投与時の下痢予防として耐性乳酸菌や酪酸菌製剤の併用を選択肢とする(GL根拠は抗菌薬投与時のみ。非投与・経過観察時への適用はGL記載なし)。
  • 段階移行の考え方: 上記アルゴリズムの段階的なステップアップを参照。抗菌薬投与後に臨床症状が悪化する場合は抗菌薬の変更を考慮。
  • 抗菌薬選択の前に必ず確認:
  • 薬剤アレルギー歴(薬剤名・反応内容)。βラクタム系(ペニシリン系・セフェム系)アレルギーの既往がある場合は当該系統薬(AMPC・CVA/AMPC・CDTR-PI・TBPM-PI・ABPC・CTRXなど)を使用しない(GL2024 p.36 表13/p.56 CQ3-1 例外規定)。
  • やってはいけない/非推奨:
  • 耳痛(鎮痛)のみを目的とした抗菌薬投与は推奨しない(鎮痛薬としてはacetaminophen 10〜15mg/kg頓用が選択肢)。⚠要医師確認(GL本文に根拠なし・一般小児科原則として検討候補): アスピリンは小児のウイルス性疾患合併時にReye症候群のリスクがあるため使用しない旨を、保護者説明資料に加えるかどうかは岡本判断(医師確認事項3参照)。
  • 抗ヒスタミン薬は急性中耳炎に無効であり投与しない(推奨の強さ: 強い推奨、エビデンスの質: A)。発熱児への不要な抗ヒスタミン薬投与は小児急性脳症のリスクとの関連が指摘されており特に避ける(GL2024 p.73-74 CQ3-7)。
  • 鼓膜穿孔のない症例への点耳薬使用(無効であり非推奨)。点耳薬は鼓膜換気チューブ留置など中耳腔に薬液が十分到達可能な症例にのみ推奨。点耳薬を選択する場合でも、アミノグリコシド系・抗真菌薬含有製剤は内耳毒性(不可逆的感音難聴のリスク)のため使用しない(GL2024 CQ3-6 p.72 註)。
  • CDTR-PI・TBPM-PIなどピボキシル基を有する抗菌薬の使用時は、二次性低カルニチン血症の発症に十分注意する。特に経口摂取不良・絶食時間延長のある児で低血糖・低カルニチン血症のリスクが高く、投与開始翌日からの重篤な低血糖発症例も報告されている(PMDA「ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症、重篤な低血糖について(続報)」2026年6月30日付。2019〜2026年5月で23例集積、死亡等の不可逆的転帰例あり)。意識障害・活気不良・けいれん等の低血糖症状に注意し、保護者にも説明する。
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
  • 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
  • 耳痛・不機嫌の悪化、38.5℃以上の発熱の遷延・再燃
  • 耳漏の新規出現・増加
  • 耳介後部の腫脹・発赤、耳介の前方偏位(乳様突起炎を疑う)
  • 顔面の左右差・動きの左右差(顔面神経麻痺を疑う)
  • 物が二重に見える・目の動きの左右差(外転神経麻痺、Gradenigo症候群を疑う。⚠要医師確認・医師確認事項2参照)
  • ぐったりする・活気がない・意識がぼんやりする、痙攣(低血糖症状の可能性も含む。ピボキシル系抗菌薬使用時は特に注意)
  • 経過の見通し:
  • 軽症は抗菌薬非投与で3日間経過観察 → 多くは自然軽快。改善なければ抗菌薬開始。
  • 中等症・重症は抗菌薬開始後3〜4日目に病態の推移を観察し、改善の有無で次段階を判断。
  • 治療効果判定は発症から3週間の時点での鼓膜所見(発赤・膨隆・肥厚・水疱形成・混濁・穿孔・中耳腔の貯留液・耳漏)の改善評価で行う。
  • 紹介・入院の閾値:
  • レッドフラグ(1章)に該当する場合は即日耳鼻咽喉科紹介、または救急対応。
  • 第三選択薬(TBPM-PI高用量・TFLX、または重症での静注抗菌薬)でも改善がない難治例。
  • 鼓膜切開の適応があるが院内で実施可能な体制がない場合。
  • 反復性中耳炎・遷延性中耳炎・難治性中耳炎(1章の定義参照)に該当し、鼓膜換気チューブ留置や免疫学的評価(血清IgG2値など)の適応検討が必要な場合。
6. 院内ローカルルール(愛育での運用)
  • 要確認(院内採用抗菌薬、耳鼻咽喉科紹介先・連携フロー、当直時の対応、鼓膜切開の実施体制、細菌学的検査の提出可否)
7. 出典

※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。

検証・修正ログ(2026-07-30)

敵対的検証(第三者レビュー)の所見13件を反映した。

反映した主な変更:

  • 4章「中等症・重症」の第二選択・第三選択を、GL原文(p.86-88アルゴリズム図)に基づき中等症/重症で明確に分離。重症の第二選択からAMPC高用量(既に無効な薬の再掲)を除きTFLX常用量を追加、第三選択の経口薬をTBPM-PI高用量/TFLX常用量に限定(要医師確認)。
  • 3章・4章に薬剤アレルギー歴確認を必須項目として追加。
  • 4章「やってはいけない/非推奨」に、抗ヒスタミン薬の強い非推奨(急性脳症リスク言及)、点耳薬選択時のアミノグリコシド系・抗真菌薬の内耳毒性禁忌、CTRXの新生児高ビリルビン血症・カルシウム含有製剤同時投与の禁忌を追加。
  • ピボキシル系抗菌薬の注意書きを「二次性低カルニチン血症」に表記統一し、PMDA 2026年6月30日付続報(低血糖リスク・23例集積)の内容を追記。
  • 1章・5章にGradenigo症候群(複視・外転神経麻痺)をレッドフラグ・再受診サインとして追加(要医師確認・GL本文に明文規定なし)。
  • 静注抗菌薬(ABPC/CTRX)に投与期間「3日間」を明記。耐性乳酸菌・酪酸菌製剤の適用を「抗菌薬投与時」に限定。ティンパノメトリーの例外規定(耳漏がある場合は非実施)を追加。

残る要確認点(冒頭「医師確認事項」参照):

  • 4章の中等症・重症アルゴリズム再構成をGL原本のアルゴリズム図と本文で直接照合。
  • Gradenigo症候群の追加が臨床的に妥当か(GL本文に根拠なし・外挿)。
  • 鎮痛薬項へのアスピリン/Reye症候群注意の追加可否(GL根拠なし・一般小児科原則としての提案)。
  • 6章「院内ローカルルール」は未着手のまま(院内採用抗菌薬・耳鼻咽喉科連携・当直対応・鼓膜切開体制・細菌学的検査提出可否)。

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